10章 消費者の態度形成と変容 香川大学経済学部 堀 啓造 1 世界でもっとも強力なブランド名は? ベスト10 ① コカコーラ ②ソニー ③メルセデスベンツ ④コダック ⑤ディズニー ⑥ネスレ ⑦トヨタ ⑧マクドナルド ⑨IBM ⑩ペプシコーラ 2 1節 消費者の態度形成 • 1節 消費者の態度形成 • 態度の定義 ローゼンバーグとホブランド 「特定の刺激に対し,一定の仕方で反応する 傾性」 態度は反応のための準備状態,傾性。 人間の行動を説明する,あるいは予測する重 要な要因と考えられる。 3 2 態度の成分 • 知情意モデル 認知的成分 → 感情的成分 → 意志的 → 行動 (信念) (全体的評価) (行動意図) 知識 好き・嫌い • 予測力 低い <--------------> 高い 診断力 高い <--------------> 低い 4 信念・態度・意図の測定例 • 信念測度 ペプシは甘さはどの程度ですか? • 態度測度 あなたはどの程度ペプシが好きですか? • 意図測度 あなたはペプシを買おうと思っていますか? 5 3 態度の特性 ①好意の次元 好き嫌い ②強度 その強度 ③確信 ある態度は確信の程度が高い ④安定性 時間によって変わらないもの・変わるもの ⑤功利的特性/快楽的特性 6 4 態度の形成 • 広告等間接的言説知覚 • 直接経験の役割 フェスティンガーの認知的不協和理論 ベムの自己知覚理論 • 不況時・好況時・バブル時 7 5 多属性態度モデル 顕著な属性 (1)フィッシュバイン(Fishbein)モデル 4章 消費者の情報探索と選択肢評価 (2)理想点モデル 8 (2)理想点モデル ソフトドリンクの理想点 とても甘い _:_:_:_:_:_:_ とても苦い 1 2 3 4 5 6 7 それが まったく重要でない _:_:_:_:_:_:_ とても重要 0 1 2 3 4 5 6 9 理想点モデルの計算例 ──────────────────────────────── 信念(Xi) ブランド 属性 重要度(Wi) 理想点(Ii) あ い ───────────────────────────────── 味 甘い(1)-苦い(7) 6 2 2 3 炭酸 高(1)-低(7) 3 3 2 6 カロリー 高(1)-低(7) 4 5 4 5 果汁 高(1)-低(7) 4 1 2 2 価格 高(1)-低(7) 5 5 4 3 ───────────────────────────────── 合計 16 10 2節 広告戦略と態度変容 ①ブランド信念の変容 ②属性の重要性の変容 ③理想点の変容 ④選択肢変化の態度への影響の推定 11 3節 説得的コミュニケーションと態度 1 ELM(精緻化見込み)モデル • 11章p172 • Petty and Cacioppo 精緻化する動機づけ・能力→ 中枢ルート…メッセージが効果的 周辺ルート…周辺的手がかり(服装、音楽、 有名人)が効果的 12 13 実験 • メッセージ内容 (製品関連ありなし strong/week) • 提示者 (有名・無名) • 製品選択 (有無=関与) 14 15 2 情報源効果 • 情報源の特性 – 信頼できる・できない – 身体的魅力 – 類似性 – 知識 16 3 メッセージ効果 ①主張の強さ 製品との関連性 客観的主張、主観的主張 – 探索 – 経験 – 信用 • 次に例 17 主張の強さ • 探索 (客観的) ・5つのタイプの葉巻を揃えています ・ 私どものブランドはコレステロールを含んでいませ ん (主観的)・私どもは特別の宝石のコレクションを揃 えております ・ 魅力的なスタイルをいろいろ取り揃えております • 経験 (客観的) ・ 私どものテントの中で濡れることはありません ・ テストの結果は30分でわかります (主観的) ・ 豪華な食事を提供いたします ・専門家の判定が簡単に使えます 18 • 信用 (客観的)遠距離ネットワークに5000億円投 資しました ・ 私どものタイヤは徹底的にテストいたしまし た (主観的)われわれのワインは自然に発酵さ せております ・ われわれのつや出し剤は77の代表的画廊 や美術館で使われております 19 ②主張の数 低関与の場合数が影響することが ある ③メッセージの側面性 両側・一方 ④比較メッセージ ⑤感情的メッセージ b 恐怖喚起コミュニケーション ⑥できばえ要素 視覚、音声、色彩、ペース (周 辺的) 取違孝昭(1996)『詐欺の心理学-どうだます?なぜだまされる?』 講談社ブルーバックス 『豊田商事の販売促進マニュアル』広告批評,1987.10,no99,47-52 (no,18) 20 (4)広告に対する態度の影響 注目段階 (接触性) 迫力を感じる,特色のある,新鮮みのある,注意をひ かない (関与性) 楽しくなる,きれいな,ひきつけられる,退屈な (累積性) 親しみやすい,また見たくなる,肩のこらない,しつこ さを感じる 理解段階 (伝達性) 具体的な,すなおな,スッキリした,わかりにくい 記憶段階 (記銘性) おぼえやすい,心に残る,リズムにのった,個性のな い 態度変容段階 (説得性) 共感できる,説得力のある,納得のいく,そらぞらし い 電通BASIC CFテスト 仁科貞文(1982)『広告心理-消費者心理と広告計画』電通 p189 21 4 反復効果 22 6 消費者の考察 ①動機 ②覚醒 ③知識 ④ムード ⑤性格特性 自己モニタリング ⑥すでにある態度 賛成・反対 23 7 製品の考察 ①製品のライフサイクルの段階 ②製品経験 ③製品のポジショニング p169 24 4節 段階的勧誘法などの行動 変容テクニック 25 1 さそい • 新しいメニューを試してみませんか 赤だし味噌はどうしましょうか 26 2 Foot-in-the-Door(FITD) • 最初のなんでもない誘いにのると、あとの誘 いにOKしてしまう。 →アンケート調査 チャリティ お話だけでも cf.豊田商法 • 肯定的な構えができてしまう。 直接的なお願いよりも効果がある。 27 3 Door-in-the-Face • 最初の要請は、2番目の要請よりも複雑 – 100万円貸してくれ→10万円かしてくれ – 最初は拒絶する。 – では、~ではどうですか。 • 社会規範 無碍に断るのは悪い→不安の解消 28 4 ローボール技法 29 5.ラベリング • 「親切だ」 ラベルにふさわしい行動をするよ うになる。 • 持続は短い 30 6 試供品 • 一度使ってみる。 • →一度使ったから、今度もそうしよう (習慣 化) • →態度(強力な競争相手がいると、一度与え てみないと売れない) • 認知のレベルで反応 31 7 誘引 • 割引・バーゲン、プレミア、コンテスト、くじ、リ ベート、クーポン、スタンプ • 内的動機、誘引はブランド・ロイヤルティを下 げる。例。ASICCSの割引 • 使い過ぎの問題…強化がないと買わない 32 8 生態学的環境 • p124 トピックス10 強化と意識 • エコロジカル、デザイン 環境 音楽→早く買う(音楽があると決断が 早い) 横浜国大 闇市 ショッピングモール→流れ 片原町 • 購入点 point of purchase(POP)が大事 33 5節 態度・意図から行動へ 1 消費者は好きなものを買うのか 34 2 行動意図モデルから 計画行動モデルへ • Ajzen,I.(1988) Attitudes, personality, and behavior. Dorsey. • 統制要因 control factors (1)内部要因 (a)情報,技能,能力 忘却もある (b)感情と衝動(強迫) (2)外部要因 (a)機会 (b)他人への依拠 これらはその機会については決定因となるかもしれな いが,その後の行動に影響するわけではない。 • 計画行動の理論 35 4 測定上の問題 (1)測定の仕方 ①行為 買う、使う、借りる 本を読む(買う、借りる、立ち読 み、図書館) ②時間 何曜日 ③文脈 ソフトドリンクを飲む:雑貨屋、レストラン、映画館、 学校 (2)時間間隔 測定時と実行時の間隔 (3)経験 間接経験 (4)利用可能性 記憶から検索できるか (5)社会的影響 社会的に望ましい方向にバイアスがかかる 態度をうまく測らないと落とし穴に陥る。 36 • Engel et al.(1995) Consumer behavior. 8th ed. Dryden を参考にした部分が多い。 37
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