2009年「経済センサス ―基礎調査」 結果の精度について 日本統計学会 (北海道大学) 国士舘大学 山田 茂 2012年9月11日 1 要旨 2009年調査結果の精度の検討 1 調査方法の変更 2 把握数:不自然な減少⇒把握漏れ 3 把握分での「不詳」の発生状況 4 同時点の他の統計との比較 2 経済センサス-基礎調査 • 事業所・企業を対象とする全数調査 • 事業所・企業統計調査ほかを継承 • 2009年7月実施 次回:2014年予定 • 経済センサス-活動調査:2012年2月 経理項目 3 30% 25% 支所・支社・支店の比率 20% 15% 10% 5% 0% 事業所・企業統計 経済センサス 4 2006年以降新設事業所比率 35 30 % 25 20 15 10 5 0 大規模SC新設 5 内閣府「統計調査の協力に関する特別世論調査」09年11月 面接 50 40 % 30 20 10 0 東京区部 政令市 10万人以上 10万人未満 町村 「回答したい」+「どちらかといえば回答したい」 (対抽出総数3000人・回収率61.8%) 6 新調査方式の導入 従来方式:調査員が配布・回収(公営・民営) 従来+新方式 新:民営本社が傘下事業所について報告 10か所以上事業所がある企業 新:商業・法人登記情報の利用 7 調査項目 • 前回把握した事業所:住所などをプレプリント • 数字の記入:従業者数 • フリー記入:主な事業内容・本社の住所など • 残りは選択式 • 支所なし・個人経営の事業所:記入項目は少ない *全体として記入は容易 8 本所←調査票・登記 支所 調査員 支所 調査員 9 時系列接続 • 「事業所・企業統計とは別の統計」:新方式 • 全国・地域ごとに接続した集計表: 公表されていない ・小規模事業所・支所でない事業所: 従来と同一方式での把握 ⇒独自に接続 10 事業所数・従業者数・ 企業数の把握数の比較 不詳 不詳 不詳 集計可能 集計可能 集計可能 把握漏れ 把握漏れ 把握漏れ 2006年 事業所・企業統計 2009年 経済センサス 2009年前後 労働力調査 会社標本調査の母集団リスト 法人企業統計調査 企業信用情報の提供可能企業 業務統計 11 民営事業所の把握状況 ← 調 査 員 が 把 握 し た 事 業 所 → ↑ 協力が得られた事業所 全部の A 外観上から脱落が 生じにくい事業所 (外観から住居と 誤認の可能性) 集計表 に収録 ↓ B 脱落しやすい 事業所 2006年調査の比率:87.2% 2006年調査の比率: 9.7% (事業内容など判明) (同左) 事業内容以外の項目に 「不詳」の場合あり 同左 C 行政情報 ・本所 からの X 脱落 情報から した 把握した 事業所 事業所 上記の方法は 2009年経済セン サス基礎調査 で初めて導入 (比率不明) +?% ↑ 少数の D 非協力の事業所 (事業内容など不詳) 集計表 に収録 2006年調査の比率:3.1% 2009年調査の比率:4.9% ↓ 12 60 住居と誤認されやすい事業所 50 % 40 30 20 10 0 全国 13 小倉北区 広島 中区 神戸 兵庫区 神戸 中央区 神戸 長田区 大阪 西成区 大阪 旭区 大阪 生野区 京都 東山区 京都 中京区 名古屋 昭和区 名古屋 東区 対2006年 事業所総数減少率 1%以上の区 民営のうち 事業内容 不詳以外 2009年 東京 東京 東京 東京 東京 東京 東京 東京 荒川区 北区 豊島区 渋谷区 世田谷区 文京区 港区 中央区 仙台 青葉区 -20 % -15 -10 -5 0 14 4,500 4,000 3,500 3,000 渋谷区 減少が大きい業種 2006年 2009年 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 15 事業所統計:公衆衛生監視対象 • 東京都福祉保健局:毎年度末の把握数 飲食店・個人向けサービス • 渋谷区・東京区部 美容業:差が大きく、保健局把握数は増加 事業所統計・経済センサスは減少 公衆浴場:微減・両統計の差は小さい *京都市東山区:ほぼ同じ傾向 16 1600 渋谷区 美容所 保健局 センサス 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 17 16000 東京区部 美容所 保健局 センサス 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 18 1000 区部 公衆浴場 900 保健局 経済センサス 800 700 600 500 400 300 200 100 0 2005年度末 2006年度末 2007年度末 2008年度末 2009年度末 2010年度末 19 公衆浴場数(全国) 250000 6000 施設数(全国) 理容所 200000 美容所 5000 4000 150000 3000 100000 2000 50000 1000 0 厚労省 09年3月 経済センサス 09年7月 厚労省 10年3月 0 厚労省 09年3月 経済セン 09年7月 厚労省 10年3月 20 「事業内容不詳」事業所数 350000 300000 250000 200000 150000 100000 50000 0 2001年 2004年 2006年 2009年 2009年は総数の4.9% 21 12% 10% 事業内容等不詳 事業所比率 8% 6% 4% 2% 0% 22 0% *:大規模ショッピングセンター新設 埼玉 菖蒲町* 東京 日の出町* 鳥取 日吉津村* 25% 東京都世田谷区 横浜市中区 大阪市中央区 東京都渋谷区 横浜市都筑区* 東京都豊島区 東京都新宿区 大阪市北区 東京都目黒区 大阪市淀川区 東京都練馬区 横浜市西区 大阪市浪速区 東京都中央区 東京都千代田区 東京都港区 東京都中野区 川崎市川崎区 東京都品川区 30% 2009年 事業内容不詳(%) 20% 15% 10% 5% 23 30% 25% 新設率が高いと事業内容不詳が多い 2009年 20% 事業内容不詳 15% 10% 5% 0% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 新設率 市区町村単位 30% 35% 24 12% 事業内容不詳の事業所比率1) 10% 2001年 2004年 2006年 2009年 8% 6% 4% 2% 0% 1)2006年まで事業所・企業統計、2009年経済センサス 2)域内の特別区・政令市を含む 25 不詳率 25% 20% 全国 東京都 19大都市 東京区部 従業者 の男女別 資本金 15% 10% 5% 0% 開設時期 存続・新設 の別 事業所 本所の 所在地 経営組織が「会社」 26 派遣従業者のみ うち支所 従業者1~4人 支所 本所 単独事業所 2009年 2006年 2004年 2001年 1996年 1991年 5% 開設時期不詳 4% 3% 2% 1% 0% 27 5% 4% 3% 2% 開設時期不詳 うち支所 2004年 2006年 1% 0% 2001年 事業所統計 2009年 経済センサス 28 支所からみた名寄せ可能率(%) 86 84 82 80 78 76 74 72 70 1972年 1986年 1996年 2001年 2006年 2009年 事業所統計 経済センサス 29 0% 1000事業所以上の中分類限定 窯業・土石製品製造業 その他の生活関連… 繊維・衣服等卸売業 洗濯・理容・美容・浴場業 自動車整備業 娯楽業 飲食店 通信業 輸送用機械器具製造業 プラスチック製品製造業 印刷・同関連業 宿泊業 電気機械器具製造業 職別工事業(設備工事… 繊維工業 生産用機械器具製造業 医療業 専門サービス業 はん用機械器具製造業 金属製品製造業 本所の所在地不詳率 2009年 30% 20% 10% 30 事業所の従業者のカウント • 経済センサス:事業所ごとにカウント 複数事業所での従業:それぞれでカウント ・労働力調査:個人の主な従業先でカウント (6月末週対象) ⇒労働力調査のカウントが少ないはず *2007年就調:副業あり 男153万人、女109万人 31 3000 男性 2006年 万人 2500 2000 事業所・企業 労調 1500 1000 500 0 個人業主 家族従業者 有給役員 常用雇用者 臨時雇用者 32 3000 男性 2009年 万人 2500 2000 経済センサス 労調 1500 1000 500 0 個人業主 家族従業者 有給役員 常用雇用者 臨時雇用者 33 2000 1800 女性 2006年 万人 1600 1400 1200 事業所・企業 労調 1000 800 600 400 200 0 個人業主 家族従業者 有給役員 常用雇用者 臨時雇用者 34 2500 2000 女性 2009年 万人 1500 経済センサス 1000 労調 500 0 個人業主 家族従業者 有給役員 常用雇用者 臨時雇用者 35 800 700 男性 2009年 万人 経センサス 労調 600 500 400 300 200 100 0 36 700 600 経センサス 労調 女性 2009年 万人 500 400 300 200 100 0 37 経済センサスが労調より多い • 調査方法から順当:副業従事者もカウント • 常用雇用者: 2006年より増加 *男性:建設・製造・情報通信以外 *女性:製造・金融・教育以外 男女とも大きな差は卸・小売、宿泊飲食 • 経済センサスが労調より少ない:漏れを反映? *男性:建設・製造・情報通信 38 *女性:製造・金融・教育 100% 企業数の比較 会社標本調査=100% 80% 60% 40% 20% 0% 資本金 39 80% 企業数の比較 会社標本調査=100% 75% 70% 65% 60% 55% 50% 1981年 1986年 1991年 1996年 2001年 2006年 2009年 登記情報利用 40 300 2009年前後の把握企業数 万社 250 200 150 100 50 0 41 まとめ 1 零細事業所の把握低下は継続 2 特定地域・特定業種の把握低下 大都市の事業所の把握:特に低下 3 複数の事業所を持つ企業の把握は改善 (了) 42
© Copyright 2025 ExpyDoc