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第18回JSL漢字学習研究会
2008.3.29
ICT時代の漢字・語彙教育への一提言
川村よし子(東京国際大学)
[email protected]
1.Web上の漢字・語彙教育支援環境
 リーディング・チュウ太 http://language.tiu.ac.jp
 理解.com
http://www.rikai.com/perl/Home.pl
 英辞郎 on the Web http://www.alc.co.jp/
 キッズgoo
http://kids.goo.ne.jp/
 ひらひらのひらがなめがね http://www.hiragana.jp/
 漢字クリニック
http://www.kanjiclinic.com/
 Kanji Alive http://kanjialive.lib.uchicago.edu/
 万物大辞典
http://qingdaonet.org/dic/
 Web問題作成ツール
http://www.fureai.or.jp/~irie/webquiz/
2.漢字・語彙学習支援環境の再構築
 日本語学習者のための漢字・語彙学習支援環境
読解学習支援システム「リーディング・チュウ太」
http://language.tiu.ac.jp
・辞書引きツール
a.辞書ツールの多言語化
・レベル判定ツール →
b.文型検索システム
・リンク集
c.新基準のレベル判定
・読解教材バンク
a.辞書ツール多言語化プロジェクト
辞書ツール
・入力された文章の形態素解析
・分析結果を辞書と照合
・本文と辞書情報をリンクして表示
日日・日英・日独・日蘭・日斯
↓
多言語化
多言語版辞書編集システムの編集画面
編集者相互の情報交換システム
チュウ太のWeb辞書 http://chuta.jp
トルコ語版辞書の画面
b.文型検索ツールの開発
辞書ツール: 単語と辞書情報をリンク
↓
文型検索ツール
・文中の機能表現を自動的に検出するシステム
(土屋・宇津呂ほか2005)
機能表現=いくつかの語が複合してひとまとまりの
句となって付属語的な役割を果たしている語
=文型
b.文型検索ツールの開発
文型検索ツール
・入力された文章を形態素解析
・形態素列パターンに基づくパターンマッチング
・本文中の文型を抽出
↓
・辞書情報とリンクして表示
グループ・ジャマシイ『日本語文型辞典』
文型検索ツールの結果画面
c.新基準のレベル判定
レベル判定ツール
・入力された文章の形態素解析
・分析結果を日本語能力試験の出題基準と照合
・本文中の単語と漢字のレベル情報を表示
語彙チェッカー・漢字チェッカー
↓
新基準の導入
単語親密度の活用
単語親密度を利用した語彙リストの見直し
新聞雑誌等文献中の出現頻度は低くても
実生活ではよく目や耳にする語:
ラーメン、筆箱、包丁等→級外
↓
『日本語の語彙特性(第1期)』
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
天野成昭ほか(2000)三省堂
日本語学習者のための学習環境の整備
読解学習支援システム「リーディング・チュウ太」
・辞書ツールの多言語化
・文型検索システム
・新基準のレベル判定
↑↑↑ ↑↑↑
日本語教育の研究者と情報工学の研究者との連
携
学習支援ツールがあればいいのか
教師自らが学習支援ツールを試す
学習者に学習支援ツールを紹介する
学習者に学習支援ツールの活用方法を教える
授業に学習支援ツールを取り入れる
課外学習として学習支援ツールの利用を課す
↓
自立学習に結びつく漢字・語彙の指導を行う
漢字・語彙の学習方法
◎





学習者の活用している学習方法
イメージで覚える
何度も書く
漢字を意味のある要素に分解する
覚え話を作る
意味や形で関連のあるグループに分類する
◎ 学習者に不足している学習方法
熟語の意味に関しては個別に覚えるしかない
と考えている学習者が多い
漢字の多様な要素に着目する
◎「仲間さがしクイズ」の形で漢字の読み・意味・形・機能などに
着目させるトレーニング
例 ☆ 次の各グループに入る語を下から選びなさい。
1. 桜 杉 松 林
2. 犬 猫 馬 羊
3. 高 長 寒 重
4. 枚 本 秒 回
5. 日 米 中 独
6. 栄 映 永 営
【 a.泳 b.強 c.年 d.梅 e.牛 f.墺 】
◎「仲間はずれ」を探すというクイズ形式も可能
漢字及び漢字熟語の読みを推測する
◎ 音読み・訓読みの特徴
◎ 音と意味との関連
例: 省
はぶく
かえりみる
作
つくる
(する)
ショウ
セイ
サク
サ
省略
反省
作文
動作
省エネ
内省
制作
作業
◎ 漢字熟語の読み方
◎ 連濁はいつ起こるか
単語がつながって1つの単語として扱われるときに起こる
訓読みの漢字: 小+川=小川 cf.山川
熟語の組み合わせ 株式+会社=株式会社
漢字熟語の意味を推測する
◎同一の漢字を含む熟語を集め、各々の語の意味の違いを考える
同じ漢字でも置かれる位置によって意味(機能)が異なることに気づく
例 ☆ 同じ意味をあらわしている語を選びなさい
治療などで一定期間病院に入る
薬などを吸い込む
展覧会などで賞をもらえる順位に入る
外国から品物を買う
入るべきでないところに無理に入る
部屋に入る
会場にものを運び込む
勢いよく中に入る
学校に入る
計算の中に含める
会場に入る
・侵入する
・算入する
・輸入する
・突入する
・搬入する
・吸入する
・入室する
・入院する
・入場する
・入学する
・入賞する
接尾辞・接頭辞となる漢字の特徴を知る
◎ 接尾辞的な役割を果たす漢字
例1 ☆各々のグループに共通するものは何か考えなさい。
1.国 市 区 町
2.家 館 邸 屋
3.会 省 部 家
例2 ☆「的」「性」「風」「流」の意味の違いについて考えなさい。
◎ 接頭辞的な役割を果たす漢字
例 ☆次の漢字がつく表現を集めなさい。
また、それぞれの意味の違いを考えなさい。
反・非・不・否・無/超・最/同・某
目的: 接頭辞の意味の違いを把握し、反意語にも着目する。
漢字教育の評価と学習効果
◎学習者の評価 (学習者 8名)
授業評価:非常に良かった 6名 よかった 2名
コメント:
・漢字が覚えやすくなった(3名)
・熟語の読みや意味の類推ができるようになった(3名)
・もっと早く(1年生の時)から教えて欲しかった(2名)
◎学習効果
学期の始めと終わりに漢字テストを実施した
テストの形式
文中の下線の引かれた20の漢字および漢字熟語について
読みと意味を記述する(意味は日本語以外の言語で記入可)
おわりに
ICT時代の漢字・語彙教育への一提言
◎ Web上の学習支援環境への留意
・教師自らが学習支援ツールを使いこなす
・学習者に学習支援ツールの利用を促す
・自立学習にむすびつく指導法学習法を考える
◎ 体系的、継続的な漢字指導
非漢字圏の学習者には漢字熟語に関しても
体系的な指導が不可欠である
◎
・
・
・
今後の課題
熟語を含めた体系的な漢字指導法を考える
中・上級学習者のための漢字学習教材を開発する
インターネット上で公開する