銀河中心部ガス円盤における 磁気流体過程の数値実験 松元亮治(千葉大理)、町田真美(国立天文台)、 鈴木重太郎(千葉大自然)、田中 実(千葉大自然)、 錦織弘充(千葉大自然) 銀河中心領域のフィラメント構造 RaLosa et al (2000) VLA Yusef-Zadeh and Morris 1987 銀河系中心の分子ループ構造 NANTENにより、銀河系中心で発見されたCO分子のループ構造 (Fukui et al. 2006) 銀河中心領域の磁場構造 ガス降着 arc Loop 1kpc 降着円盤の大局的3次元MHD シミュレーション Initial Condition :β=1 Machida et al. 2000 降着円盤の加熱とアウトフローの生成 密度 Isosurface of veritical velocity 円盤内部での磁気エネルギー 解放によって円盤を加熱 温度 加熱率 ∝ Trφ×dΩ/dr ∝ αB2×dΩ/dr Application to SgrA* (Machida et al. 2007 in prep) 43GHz 690GHz τ=1 surface (3Dview) 1AU 講演内容 • 銀河ガス円盤の大局的3次元 MHDシミュレーション • 銀河中心領域の大局的3次元 MHDシミュレーション • 加熱・冷却を含めた磁気ループ 形成シミュレーション 銀河ガス円盤のMHDシミュレーション Nishikori, H., Machida, M., and Matsumoto, R., ApJ 641, 862 (2006) 渦状銀河の平均磁場:起源はダイナモ? M51 (Neininger & Horellou, 1996) Our Galaxy (Han et al., 2002) 磁気回転不安定性(MRI) Angular momentum MRI in differentially rotating disks (Balbus and Hawley 1991) 銀河円盤におけるMRI成長の シミュレーション(Dziourkevitch et al. 2004) 計算領域 1kpc < r < 5kpc -1kpc< z < 1kpc 銀画面内で方位角 磁場の方向が頻繁 に反転 パーカー不安定性による磁束流出 鉛直方向に広 いシミュレー ション領域が 必要 Parker (1966), Matsumoto et al. (1988) パーカー不安定性による磁気ループ形成 (Matsumoto et al. 1988) 2 2 3/2 g(z)= -GMz/(r0 +z ) β=Pgas/Pmag=1 磁気エネルギー解放 →円盤表面を衝撃波加熱 広い計算領域を用いたシミュレーション (Nishikori et al. 2006) • 重力ポテンシャル – ダークマターを含む軸対称ポ テンシャル( Miyamoto 1980) • 初期条件 – 10kpcで密度最大になる角運 動量一定のトーラス – 方位角方向の弱い磁場 (β=100,1000,10000) – T=105K • r=0.8kpc に吸収境界 • 赤道面対称性を仮定 250*64*319 mesh 密度分布と磁力線形状 t = 3.8Gyr 初期磁場が弱い場合のシミュレーション結果 2μG after 1Gyr… 5Gyr 方位角方向の平均磁場の時間 発展 (5kpc < r < 6kpc) β0=1000 1Gyrの時間スケールで平均 磁場方向が反転する。 銀河中心磁気ループの形成 銀河系中心の分子ループ構造 ループに沿って50km/s以上の速度差 NANTENにより、銀河系中心で発見 されたCO分子のループ構造 (Fukui et al. 2006) 「ひので」衛星で観測された太陽コロナの 磁気ループ velosity Loop形成のメカニズム velosity position velosity position Color:12CO Contour:13CO(white) position B=100μG 体積=100pc3 個数密度 n= 150 cm-3 Emag = 1052erg アルフベン速度 VA = 24 km s-1 2D MHD simulations of Parker instability Fukui et al. (2006) 大局的3次元MHDシミュレーション Machida et al. 2007 Formation of magnetic loops Magnetic loop structure : plasma β=1 Hight : 400pc Length : 1kpc Inclination angle: 40度 Magnetic loops are created where the gas density becomes lower than the region outside the loop. Yellow: Isosurface of β=1 Blue: Magnetic field strength パーカー不安定性によって 低温高密度の分子ループを 作ることはできるか? 加熱・冷却を含めたシミュレーション 500pc H=100pc T0=10000K β0 = 1 n0 = 5/cm^3 162*246 mesh シミュレーション コード CANS 密度+磁力線 星間ガスの熱不安定性 圧力 10000K cooling heating Inoue, Inutsuka, Koyama 2006 30K 個数密度 熱不安定な初期条件の場合の 密度分布の時間変化 T0=4000K n0=2/cm^3 • 2相構造が発達 • 高密度領域が 磁力線に沿って 運動、合体 • 磁力線に沿った 高密度ループは できていない。 温度分布の時間変化 T0=4000K n0=2cm-3 • 10000Kの高温 領域と100K以下 の低温領域共存 • ハの字形の低 温高密度領域が 形成される 初期温度が高い場合 (T0=8000K) 密度 温度 分子雲ループの形成機構(1) • 赤道面付近の分子ガスが持ち上げられた 高温ハロー 10000K 100K Isobe et al. 2005 3層モデル 太陽では光球、彩層、コロナ ループ上昇を抑えると top heavy になる。 分子雲ループの形成機構(2) • ループ形成に伴う衝撃波で分子を生成 Fast shock Slow shock Shibata and Matsumoto 1991 まとめと今後の課題 • 銀河ガス円盤の大局的3次元MHDシミュレーションを行い、 平均磁場方向が準周期的に反転するという結果を得た。 • 平均磁場増幅と反転には磁気回転不安定性とパーカー不 安定性による磁束流出が関与している。 • 銀河中心領域の大局的MHDシミュレーションにより、数百 pcの長さを持つ磁気ループが形成されることを示した。 • 円盤部の磁場は方位角成分が卓越するが、回転軸近傍で は鉛直成分も重要になり、アウトフローが発生する。 • 加熱・冷却過程を含めたパーカー不安定性の局所シミュ レーションを実施した。 • 今後、加熱・冷却過程、超新星爆発を含めた大局的3次元 MHDシミュレーションにより、多相構造を持つ銀河ガス円 盤、中心核ガス円盤の進化に磁場が及ぼす効果を明らか にしたい。 END
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