アザン染色 (Azan stain) 結合組織の染色 目的 膠原線維と筋線維を染め分ける染色法。 原理 酸性タール色素の重染色(配合染色) 酸性色素の分子量(分散度)の差に基づく方法であり、分子量の小さい色素は密な組 織に、分子量の大きい色素は粗な組織に吸着されることを利用している。 膠原線維は粗構造で間隙が広く、筋線維では密構造で間隙が狭い。 負電荷小色素分子のアゾカルミンG、オレンジGは密構造に入りやすく内面を密にお おう。 アニリン青は、一部正帯電のNH3基をもち親水性に乏しいので吸着性が大きく、広い 間隙に入り小色素分子を押し退けて定着する。 アニリン青>酸性フクシン>アゾカルミンG>オレンジG>ピクリン酸 結合組織 体の中のいろいろな構造や臓器のすき間を埋めて支える組織。 結合組織は全身のいたるところにあり、細胞への栄養分を補給したり細胞から 老廃物を排除するなど、新陳代謝に関わっている。 膠原線維 細網線維 弾性線維 主に存在する 臓器 靱帯 軟骨 結合組織 リンパ節 脾臓 肝臓 基底膜 動脈 肺 皮下真皮 化学的組成 コラーゲン レチキュリン エラスチン 特性 弾力性 格子状、網目状 伸縮する 煮魚が冷えると、煮こごりができることがある。 これは魚に含まれる膠原線維が分解されて、膠(にかわ)状に なったもので、膠原線維の名前の由来になっている。 試薬 • 媒染液 10%トリクロル酢酸水溶液 10%重クロム酸カリウム水溶液 • アゾカルミンG液 使用する前に60℃に暖めておく • • • • アニリン・アルコール 酢酸アルコール リンモリブデン酸 リンタングステン酸液 アニリン青オレンジG液 アゾカルミン SO3Na N N+ SO3Na N N+ NH NH SO3Na SO3- SO3 アゾカルミンG アゾカルミンB オレンジG HO N=N NaO3S SO3Na 染色法 軽 く 水 洗 ( 流 水 ) 染色 ア ニ リ ン ア ル コ ー ル 分別 酢 酸 ア ル コ ー ル 流 水 水 洗 分別停止 リ ン モ リ ブ デ ン 酸 媒染 流 水 水 洗 ア ニ リ ン 青 オ レ ン ジ G 液 染色 ア ル コ ー ル × ア ゾ カ ル ミ ン G 液 × 脱 パ ラ ・ 流 水 水 洗 3 キ シ ロ ー ル ・ 封 入 分別脱水・透徹 注意 • アゾカルミンGは十分濃く染色しておく。 • アニリン・アルコールによる分別はかなり速く脱色される。 • リンタングステン酸でもある程度脱色されるので、少し濃い程 度にしておく。 • アニリン青の分別は非常に大切で、この分別1つでアザン 染色の成否が決まるといってよい。できるだけ早く染色液を 純エタノールと置換することが大切。 • 染色をやり直す時は、薄いアンモニア水か、アンモニアア ルコールに入れ脱色し、水洗して染色をやり直す。 染色結果 膠原線維 濃青色 細網線維、基底膜 青色 細胞核 赤色
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