銀染色 (Gitter / 渡辺の鍍銀法) 目的 結合組織線維の1つである細網線維を染める事が目的。 1904年Bielschowskyが神経原線維と軸策に用いた染色法を、1905年 Mareschが肝に応用したのがはじまり。 1921年Perdranにより過マンガン酸カリ、シュウ酸による前処理の追加で染 色性が安定した。 その後、多くの改良・変法が発表されているが、その多くは安定性を求めて の部分的変更にすぎない。 一般的にはGomoriの方法が賞用されている。 その他Wilderの変法、Jones,Gomoriらのmethenamine silver法も賞用さ れている。 いずれもPapの浮かせ銀法の改良法である。 試薬 • • • • 0.25%過マンガン酸カリウム水溶液 2%シュウ酸水溶液 2%鉄ミョウバン水溶液 還元液 1%ホルマリン水溶液、還元液に2%鉄ミョウバン2mlを加えてもよい。 • 0.2%塩化金水溶液 • 定着液 5%チオ硫酸ナトリウムを用いてもよいが、市販されている写真用酸性 硬膜定着液を5~10倍に希釈使用する。 アンモニア銀液の作り方 ※容器は蒸留水できれいに洗ってから使う。 300~500mlの三角コルベンに10%硝酸銀60mlを入れ、これに10%水酸化 カリウム(苛性カリ)12mlを加える(このとき黒色の酸化銀が沈殿する) コルベンを振りながらアンモニアを少しずつ滴下して沈殿した酸化銀を溶解 しながらコルベンの底に酸化銀の顆粒が少し残るくらいのところで滴下を 中止する。 これに蒸留水を加え、300mlまで希釈する。 これが原液で、使用時は蒸留水で2倍にして使用する。 アルカリ AgNO3 (硝酸銀水溶液) AgOH (水酸化銀) KOH (水酸化カリウム) NH3OH (水酸化アンモニウム) Ag2O (酸化銀) 過剰な アルカリ Ag(NH3)2+ (ジアミン銀) 組織中の反応部と結合 酸化銀の沈殿 ( Ag2O ) 原理 1、酸化 細網線維の膨化を起こし、銀顆粒の沈着を容易にさせ、好銀性を増大さ せる。また、細胞核、神経線維などの共染も抑制する。 2、銀浸 鍍銀液の主成分である銀アンモニアが組織を構成しているアミノ酸のスル ホヒドリル基およびアミノ酸と結合することにより、鍍銀が行われると考え られている。 3、還元 一般的に各種濃度のホルマリンが使用される。 4、調色 塩化金により金属銀は金属金に還元される。金属金は金属銀より安定か つコントラストも良く、目で判別しやすい。 5、定着 切片上の未反応銀イオンと可溶性銀複合体を形成し、未反応銀を除去す る。このことにより光による非特異的還元が防げる。 方法 脱 パ ラ ・ 水 洗 水 洗 過 マ ン ガ ン 酸 カ リ 水 洗 2 % シ ュ ウ 酸 水 洗 2 % シ ュ ウ 酸 定 着 液 蒸 留 水 水 洗 水 洗 ・ 脱 水 2 % 鉄 ミ ョ ウ バ ン 水 封 入 蒸 留 水 水 洗 ア ン モ ニ ア 銀 液 局 方 エ タ ー ル 還 元 液 蒸 留 水 水 洗 塩 化 金 大谷法 脱 パ ラ ・ 水 洗 過 マ ン ガ ン 酸 カ リ 塩 化 金 蒸 留 水 水 洗 流 水 水 洗 1 % シ ュ ウ 酸 1 % シ ュ ウ 酸 水 洗 ・ 脱 水 流 水 水 洗 封 入 2 % 鉄 ミ ョ ウ バ ン 蒸 留 水 水 洗 ア ン モ ニ ア 銀 液 96 % エ タ ノ ー ル 還 元 液 蒸 留 水 水 洗 注意点 • • • • • 使用するガラス器具の洗浄はできるだけ厳重に、できれば専用のもの を用意する。 硝酸銀はCl-により塩化銀の沈殿を生ずるので、硝酸銀、アンモニア銀 の調整には蒸留水を用いる。 染色後、切片は長時間キシロールに設置しない。 染色時、肝・脾臓などをコントロールとしておくと他の切片の目安になる。 アンモニア銀液中の銀アンモニアはそのまま、またはエタノールの付加 により黒色沈殿が生ずる。この沈殿は摩擦、衝撃、加熱により爆発する 危険性がある。したがって鍍銀液は使用時作製し、使い残し、使用済み の廃液は、塩酸を加え塩化物の沈殿とし廃液を行う。 染色結果 細網線維 黒色 膠原線維 赤紫色~レンガ紅色 核 黒またはエンジ色 細胞質 淡紫色 赤血球 エンジ色~紫色
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