隔離されたマメナシ個体群の種子生産と発芽 増田理子,斉藤篤志(名工大・社会),越口貴文(名工大・都市社会) 調査方法 背景・目的 場所 愛知県小牧市大草 マメナシの自生地 期間 H24~H25 方法 マメナシ35個体に対して, 果実内の種子の個数計数, 種子の生存率計数, 種子の発芽実験を行った. 東海地方の固有植物群である,東海丘陵要素は 小規模な湿地や沢筋に生育し,植生遷移により 消滅しやすく,宅地開発などで数が減っている. この植物群に含まれるマメナシ(Pyrus calleryana Decne.)は愛知県から絶滅寸前(CR) に指定されており,果実を生産しているにも 関わらず個体が増えていかないという問題を 抱えており,この原因を実験により検討した. 種子の個数計数 果実 昨年度 218個 種子 昨年度 881個 今年度 1415個 今年度 1837個 果実が出来ていない 個体があり,果実を 作っても種子を生産し ない個体があった. 全体的に2012年度の方 が種子の出来が良い. 種子の生存率計数 年ごとに大きな違い TTC溶液を用いて 生存率実験 生存確認! ※2013年度 大きなばらつきがあり, 種子を作っても死んで いるのもあった. 個体別の種子の出来の 良し悪しには, まとまりがあった. ※2013年度 種子の発芽率計数 変温 ・10℃/10hr~20℃/14hr ・15℃/10hr~25℃/14hr ・20℃/10hr~30℃/14hr 定温 ・15℃ ・20℃ ・25℃ の6条件で発芽実験 発芽に適した条件は個体ごとに違う ※2013年度 発芽のt検定 変温,定温 n=39ずつ t=1.833 P=0.0373 P<0.05 両者に 有意な差 考察 マメナシが増えていかないのは,全ての個体が種子を作っているわけでなく,出来た種子も死んでいるものがあり,発芽に様々な条件が 必要であるからと分かった.種子が出来ても生存していないものに関してはマメナシの特性の,自家不和合性によると考えられる.地図上 の種子の出来が悪いエリアは,同じ遺伝子型が固まって存在していると考えられる.そこでこの自生地に巣箱を設けるなどで多くの生物に 住みやすい環境を作り,存在しないと言われているポリネータや果実を食べる鳥類を復活させるべきである.しかし今年度の種子の出来が 悪かったのは5,6月に発生したハマキムシが葉を食べ尽くしたことによるエネルギー不足が原因と言われており,農薬を使用するか,ポリ ネーターのために使用を控えるかを毎年検討していく必要がある.生存率と発芽率が等しい関係でないことから,休眠状態の種子が多く存 在する事が分かり,土壌シードバンクを用いた遺伝子型の復元も保全に役に立つだろう.また自生地は湿地にするために水位を上げられ比 熱が高くなっているため,温度変化を起こしやすくするために,水位を下げつつ自生地内に様々な環境を作るべきである.
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