HBT干渉法における 平均場の効果の準古典理論 東大 駒場 服部 恒一 松井 哲男 ・高エネルギー重イオン衝突におけるHBT干渉法 ・RHICの未解決問題;「HBTパズル」 -HBT干渉法によって測定されたハドロン粒子源の 時空サイズと流体模型による理論計算との不一致 ・パイオンによるHBT干渉法の再検討 -終状態相互作用、特に平均場の効果に注目 ・平均場による同種粒子相対波動関数の位相の変化 -見かけのソース分布の変化として現れる 高エネルギー重イオン衝突実験における時間発展 ローレンツ収縮した原子核の衝突 Ecm=130,200 GeV per NN pair 閉じ込め相 終状態におけるハドロンの放出 入射ビーム方向への強い膨張 カラーの自由度の開放 (Quark-Gluon Plasma) ・スペクトルからソースの 分布を知ることができるか? ・HBT干渉法:恒星の半径を測定する手法 -ボソンに対して生じる干渉効果 検出器へ -生成数の多いパイオンの利用 スペクトルの検出 HBT干渉法の歴史 R. Hanbury Brown and R. Twiss (1952)、(1956) E. Purcell(1956) “coherent time” →“photon banching” 天体の大きさの測定に成功(incoherent source) ・高い分解能 ・大気の揺らぎの影響を受けにくい R. Glauber(1963) 量子光学の確立へ “order of coherence” G. Goldhaber et al.(1960) 衝突実験におけるpionスペクトルに干渉効果を発見(LBL) ・Bose-Einstein統計による波動関数の対称化に起因 ソースサイズの測定への応用 F. Yano and S. Koonin(1978) M. Gyulassy et al.(1979) 高エネルギー重イオン衝突実験への導入 Bevalac AGS SPS RHIC HBT干渉法 の波動関数の対称化による干渉効果 k1 k 検出器1 検出器 P1(k) 検出器2 k2 P2 (k1, k2 ) P1(k1)P1(k2 ) + (干渉項) 相関関数Cとソースの拡がりR (q=k1-k2 ) Gauss分布: C. Adler et al. (STAR) G. Baym, nucl-th/9804026 R. Hanbury-Brown, The Intensity Interferometer 波束の拡がりとHBT効果 detectors “両観測地点に跨る波束の重なり” separation R. Hanbury-Brown, R. Twiss (1956) G. Goldhaber et. al (1960) time dalayとcoherent time τc τc “観測による波束の収束” → no coherence “photon bunching” R. Hanbury-Brown, R. Twiss (1956) E. Purcell (1956) HBT干渉法における相関関数 1粒子分布:P1(k) k 検出器 x ソース Random phase approximation 2粒子分布:P2(k1,k2) (random phase approximation) 二体の相互作用を無視 k 1 x y k 2 k k x x y k 一体の相互作用を無視 1 2 寿命の長いソースにおける時間差の効果 平均運動量K 検出器 1 検出器 2 long-lived 検出器 1 検出器 2 short-lived SPS RHIC signal for long-lived source →QGP : phase transition S. Pratt(1986), G. Bertsch(1989) D. Rischke, M. Gyulassy(1996) M. L. Lisa et al. ・大きな Rs再現の必要性 ・ Rs の運動量依存性の由来 ・ Roの運動量依存性 RsideのKT依存性 RoutのKT依存性 通常の定式化に用いられる近似 random phase approximation ソース分布のdecouple近似 粒子の自由伝播 (incoherent source) k 1 ・二体の相互作用 (Gamow factor) k k 2 ・一体の相互作用 ソース近傍における平均場の効果 (強い相互作用による) k k 1 2 平均場の効果の古典的描像(レンズ効果) S. Pratt (2006) 実際のサイズR bmax attractive 見かけのサイズ bmax pa R 漸近運動量 pa bmax r repulsive pa R T dependence of pion mass 見かけ 実際 流体モデルによるRside 140MeV (NJL model) (Linear sigma model) T. Kunihiro, T. Hatsuda(1989) Heui-Seol Roh, T. Matsui(1996) ・古典的なレンズの描像からは引力の平均場が必要 ・有効理論: mm ed mvac (斥力?) HBT干渉法:不可分別性による量子論的な干渉効果を もちいたソースサイズの推定 ・古典的な軌道の変化ではなく、 干渉効果に対する平均場の影響を評価することが必要 引力の平均場による効果(強い引力) * S. Pratt(2006):レンズ効果 Rapparent>R0 (古典的描像と量子論の一致) *G. Miller et. al.(2005): Rapparent<R0 Chu, Gardner, Matsui, Seki(1994) 検出器 1 検出器 2 ・古典軌道との対応 ⇒ 準古典近似による確率振幅 の評価 ・平均場は確率振幅 にphase shiftを及ぼす 平均場によるphase shiftは、 見かけのソース分布にどのような効果を与えるのか?? 準古典近似 準古典近似による の計算: 干渉効果は位相差に現れる: 非相対論的作用 2次元(transverse平面)、中心力ポテンシャル 位相のずれ *ポテンシャルV(r)について展開の1次 相対運動量qに関する作用の展開 outwardのみへの座標のシフト (運動量Kの方向) b free: 分布ρ(x)のフーリエ変換 ・分布の規格化 interaction 角運動量の不定性 ⇒ 異なる軌道間の干渉 Shift: :Jacobian y 相対論的な古典作用 ・Klein-Gordon方程式に対する準古典近似 x ⇒ 相対論的Hamilton-Jacobi方程式 z 静止質量の寄与を引いた作用S’に対して、 非相対論的HJ方程式に帰着する ・相対論的な1粒子の作用 古典軌道上で相対論的HJ方程式を満たす ・スカラーポテンシャル(円筒型のソース、横平面の動径rのみに依存) ・保存量:E、M、Kz 古典軌道上における作用の差 保存量:E、M、Kz 時間成分 x、y(transverse)成分 平面波解 mass-shell constraint z(longitudinal)成分 3成分のみが独立 ・Cartesian coordinate (x,y,z) ・Yano-Koonin parameterization (1978) 補正項はKμの各成分に比例 ・特に、Ky=0 (sideward) Longitudinally Co-Moving System:Kz=0となる座標系における解析 x方向(outward)のみへのshift ξとτは逆符号 時間成分に対する補正 free 10 10 5 5 0 0 -5 -5 分布ρ(x)の等高線 -10 -10 -5 0 interaction 5 -10 -10 -5 10 0 5 10 x軸上におけるソース分布 0.16 0.0025 K=150 MeV K=200 MeV K=500 MeV 0.14 0.002 0.12 0.1 0.0015 0.08 0.001 0.06 0.04 Gaussian 0.0005 0.02 10 20 30 40 50 -30 -20 -10 10 20 30 ソース分布:ρ(x) Potential:V(r) 0.175 0.0025 0.15 0.002 0.125 0.1 0.0015 0.075 0.001 0.05 0.0005 0.025 10 20 30 40 50 -30 -20 -10 10 20 30 ・まとめ 準古典近似において、平均場による位相の変化を 見かけのソース分布の変化として解釈 ・古典的レンズ描像ではsidewardへの変化が期待されたが、準古典論による 干渉効果の評価では、一般の静的な中心力場でsidewardへの変化は生じない *相対論的補正によっても生じない ・平均場による影響はoutwardへのソースのシフトと形状の変化として現れる ⇒ 運動量Kの小さいところで強く効く効果 ・ 今後の課題 ・Pratt、Millerの結果との対応 ・場の量子論からの定式化 ソースによる吸収の効果 f:complex scattering amplitude n:pion density Jcobianの特異性 shift: :連続 Jacobian:
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