シミュレーション力学特論 「モンテカルロ直接シミュレーション (DSMC)法による 分子気体潤滑解析」 01.09.27 Ver.2.0 DSMC法の概要 気体流れの粒子シミュレーション手法 U DSMC法の適用範囲 低密度気体 通常 Kn > 0.1で使用 気体の粒子性の指標 代表長さ L L Knudsen数 : Kn≡ 分子平均自由行程 l Kn > 0.1 : 気体の粒子性の考慮が必要 高Knudsen数の流れ ・ ・ ・ 航空・宇宙、真空装置 (l大) (1)希薄気体の流れ (2)超微小形状領域の流れ ・ ・ ・ 磁気ディスク装置、 MEMS デバイス (L小) どれくらい微小? Kn = l Air, 1atm L 0.064mm = = 0.1 L? L = 0.64mm = 640nm 粒子性の考慮が必要となる長さ : 約0.64mm ( ※ MEMS : Microelectromechanical systems) MEMS (Microelectromechanical systems) デバイス 出典:Sheplak, M., Seiner, J.M., Breuer, K.S., & Schmidt, M.A. "A MEMS microphone for aeroacoustics measurements" AIAA Paper 99-0606, Reno, NV, 分子気体力学 ・流体力学に比較して、気体を微視的に見る ・気体分子の運動を確率・統計的に取り扱う 速度分布関数 f(r, v, t) 速度分布関数 f の変化・・・Boltzmann方程式 速度分布関数 f(r, v, t) Boltzmann方程式 ・気体の流れによる速度分布関数 f(r, v, t) の変化を記述 ∂f f(r +dr, v +dv, t +dt) - f(r, v, t) = ∂t dt col ・分子状態は分子間の衝突により変化 ・ 直接解法は困難である Boltzmann方程式の確率解法・ ・ ・ DSMC法 DSMC法 ・シミュレーション分子の 位置・速度が分子衝突・境界面衝突により変化する 様子を計算機上で模擬する U DSMC法の特徴 分子の振る舞いを一部確率論的に決定 ・比較的少数のシミュレーション分子で系を構成 ・粒子運動を比較的大きい時間刻みdt で計算できる DSMC法のアルゴリズム ・シミュレーション分子1個1個の追跡を繰り返す DSMC法の主要処理 (1) 流入 (2) 移動・衝突 (3) 壁面衝突 (1) (3) (2) U DSMC処理のイメージ ・シミュレーション分子1個1個の追跡を繰り返す DSMC法の主要処理 (1) 流入( ) (2) 移動( )・衝突 ( (3) 壁面衝突( ) ) (1)分子流入処理 ・流入境界面からシミュレーション分子を流入させる 境界条件( f ) に基づき以下を決定する (1)流入数 (Nin) (2)分子位置 (r)・速度 (c) 個数 (Nin) 位置 (r) 速度 (c) fRear fFront U 流入面の境界条件 ・速度分布はMaxwell分布と仮定する - (cx - Vin)2 / 2RT 1 f (r, cx, t) = 1/2 e (2p RT ) ※速度境界条件 Vin は未知 流入分子の速度分布関数 fin が求まる 分子速度 (c) 位置(r):乱数 流入数 (Nin) 分子速度 (c) の決定法 ・乱数を2回使用する(棄却法) (2)分子移動・衝突処理 ・移動と衝突を別々の処理として実行(分離の原理) 移動処理 直線移動 r’ = r + c・dt (分子相互作用無視) 移動前 r 移動後 r’= r + c・dt 衝突処理 ・移動後に分子速度を変えることで擬似的に行う セル単位に処理し以下を決定する (1)衝突数 (Ncol) (2)衝突ペア分子 (i, j)と衝突後の速度 (c’) 衝突 (c → c’) 衝突数 (Ncol) の決定法 ・分子i と分子j の衝突確率Pij から求める n Pij = dt・gij・sT N 数密度(n)、相対速度 (gij)、衝突断面積(sT)に比例 1 Ncol = SSP 2 i j ij 衝突後の速度 (c’) の決定法 ・分子i と分子j の運動量・エネルギー保存則により決定 m ci + m cj = m c’i + m c’j m ci2 + m cj2 = m c’i2 + m c’j2 1 ( ci + cj - gijR )、 c’j = 1 ( ci + cj + gijR ) c’i = 2 2 gij c’j cj ci c’i ※R : 単位3次元乱数
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