第1章 検討の目的

ストリーミング技術等の新技術を用いた
コンテンツ流通ビジネスに関する研究会
《中間取りまとめ骨子案》
平成12年5月
郵政省通信政策局政策課
目次
はじめに 研究会開催の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1章 インターネット上のコンテンツ流通ビジネス隆盛の背景
1-1 利用者を取り巻く環境変化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1-2 提供者を取り巻く環境変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第2章 ビジネスの現状
2-1 コンテンツ配信ビジネスの傾向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2-2 コンテンツ関連市場の構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2-3 ビジネス展開の隘路
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
3-1 インターネットアクセスの高速化・多様化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3-2 バックボーンネットワークの広帯域化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
3-3 IPマルチキャストによるネットワーク資源の効率的な利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
第4章 今後の変化と重要性を増す政策課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
5-1 デジタル化・ネットワーク化がもたらす変革の波
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
5-2 著作権管理制度の現状と見直しに向けた動き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
5-3 著作権管理制度が向かうべき方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
5-4 コンテンツ配信ビジネスの著作権法上の取扱い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
6-1 事業者の自主的対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
6-2 対策技術の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
6-3 違法・有害情報の流通に関わる事業者の法的責任 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
まとめ デジタル化時代に応じた規律の最適化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
はじめに
研究会開催の目的
(1)コンテンツ流通ビジネスの新たな萌芽
①CPUの高速化、インターネットアクセスの高速化、パソコンの家庭への普及等を背景に、
ストリーミング技術等の新技術を用いたコンテンツ流通ビジネスが注目を集めている。
②ストリーミング技術※)は、待ち時間が必要なダウンロード型のサービスとは違ったアプリ
ケーションを実現。例えば、コピーが容易に行えないので、コンテンツをネットワーク上で
流通するのに安心感。
③放送等の既存のサービスと比べると、参入コストは小さく、現実に多様な業種から参入。
(2)今後の展開
①著作権等の保護、違法・有害コンテンツからの利用者保護等の未解決の課題は残され
ているが、こうした新技術を用いたコンテンツ流通ビジネスは、今後も隆盛が予見されて
いる。
②コンテンツ流通ビジネスの発展阻害要因に適正に対応し、ビジネスとして健全に発展し
ていく環境整備が急がれる。
※)ストリーミング技術は、音声・映像コンテンツを受信しながらリアル
タイムで再生が可能な技術
本研究会開催の目的は、次の2点についての情報・意見交換
①新たなコンテンツ流通ビジネス市場の現状と展望の分析
②今後の留意すべき政策の動向
1
第1章 インターネット上のコンテンツ流通ビジネス隆盛の背景
1-1 利用者を取り巻く環境変化
(1)CPUの高速化により可能となった、動画像等の大容量データのリアルタイム再生
・PCの標準的なCPUクロック数の向上(デスクトップ型:1995年133MHz→1999年500MHz、ノート型:1995年
120MHz→1999年366MHz)
・既に、通常のテレビ並の映像はPC上で十分再生可能。
(2)家庭へのPCの普及、インターネット利用者層の増大
・家庭へのパソコンの普及率:1995年16.3%→1999年37.7%(約2倍)
・家庭でのインターネット利用者数:1996年12月195万人→1999年12月1,140万人(約6倍)
(3)インターネットアクセスの高速化による利用環境の向上
・一般家庭でのインターネットアクセス:1995年14.4~28.8Kbps→1999年56~64Kbps
・CATV網を利用したインターネット接続(代表的なサービスで512Kbps、月額6,000円)の普及:1999年3月末3.2万加入
→2000年3月末21.6万加入(約10.3倍)
・ADSLサービスの登場:下り512~640Kbps
(4)常時接続サービスの登場
・CATVインターネット(例:タイタスALLNET 月額6,000円、512Kbps)
・衛星インターネット(例:NTTサテライトコミュニケーションズ 月額3,960円、1Mbps)
・無線LAN(例:グローバルフレンドシップ 最大2Mbps、月額3,000円)
・ADSL(例:東京めたりっく通信 月額5,500円、下り最大640Kbps。ただしNTT料金を含めると8,050円)
・ISDN(例:NTT東日本、西日本 月額4,500円、64Kbps)
(5)ストリーミング技術を用いた番組提供の増大と対応再生用ソフトの普及
・RealPlayerの国内登録は750万人以上。マイクロソフトIE5.0はWindows Media Playerを標準搭載。
インターネットを経由した動画像コンテンツをPC上で気軽に楽しめる環境が一般家庭にも次第に浸透
2
第1章 インターネット上のコンテンツ流通ビジネス隆盛の背景
1-2 提供者を取り巻く環境変化
(1)低い新規参入コスト
■既存の放送事業と比べて初期コストが小さい→ニッチなマーケットに向けたビジネスでも採算可
・例えば、200人同時アクセス規模のストリーミングサービスの初期コストは約95万円
(cf.民間放送局の1社当たり年間投資額約6億円)
■モバイルコンテンツも現状はテキスト中心で特に参入容易(ただし、IMT2000以降は、映像系も)
(2)コンテンツ制作・配信技術の革新とシステム構築支援サービスの登場が参入を加速
■コンテンツ制作・配信用ツールの充実
・デジタルカメラ、デジタルビデオの普及
・オーディオ/ビデオ制作ツールが無料または廉価で入手可
■システム構築支援(コンテンツ制作代行、課金代行)サービスが潤滑油として作用
・ライブ中継支援、エンコーディング代行、ホスティングサービス等のコンテンツ制作代行
・クレジットカード会社、ISP、EC用プリペイドカード発行業者等による課金代行サービス
(3)顧客ニーズへの的確な対応を可能とする特徴
■アクセス履歴に基づくニーズ分析
■インターネットの双方向性を活かしたワン・トゥ・ワンマーケティング
インターネット上のコンテンツ流通市場の拡大
■ネット広告市場:1998年114億円→1999年241億円(まだ離陸期)
■モバイルコンテンツビジネスの拡大
・利用者急増(2000年3月末で750万人を突破)
・事業者増大(1999年2月のサービス開始時点で81サイトが現状では約12,000サイト)
3
第2章 ビジネスの現状
2-1 コンテンツ配信ビジネスの傾向
(1)多様なジャンルに渡るコンテンツ
・ニュース、映画、スポーツ、教育、音楽等の多様なジャンルのコンテンツが流通。(次頁参照)
・ストリーミング技術を用いてコンテンツを配信しているサイト数は、代表的なポータルサイトに登録され
ているもので約200。レコード会社、映画会社、出版社に加え、放送事業者も参入。
(2)無料サービスが中心。有料サービスは増加傾向にあるものの、まだ少数
・プロモーションを目的とした無料サービスが中心。
・テレビ放送の未公開映像の提供やネットシアター等の有料サイトなど、特色あるコンテンツも増加の
傾向。
(3)インターネットの特徴を活かしたサービス展開
・双方向性、パーソナル性を活かしたサービス
・地域を問わない、利用時間を問わないサービス
4
第2章 ビジネスの現状
(参考)インターネット上で流通する多様なコンテンツジャンル
(1)ニュース
・テレビで放送したニュースの一部を提供
・新聞社、出版社が動画像でニュースを提供
(2)映画
・映画の予告編の提供
・インターネット試写会
・ネット封切りによる映画公開
・視聴者参加型/ECとの連携サービスの提供
(3)スポーツ
・無料のライブ中継
・ペイパービューによるライブ中継
・各場面集の有料サービス
(4)教育
・セミナー、講演会での発表内容の提供
・技術研修での教材の提供
(5)音楽
・オンライン販売のプロモーションのための視聴
・アーティストがオフィシャルサイトで視聴サービスを提供
・インディーズの紹介
・コンサートのライブ中継
(6)ビジネス
・自社の製品やサービスのコマーシャル
・IR、リクルート向け会社説明
(7)エンターテイメント
・テレビ番組の未公開シーンの有料提供
・地方の放送局のライブ放送
・人気タレントのプロモーション
(8)その他
・議会映像の提供
(9)モバイル上のサービス
・モバイルバンキング
・簡易画像の配信
・音楽データ配信の実験
5
第2章 ビジネスの現状
2-2 コンテンツ関連市場の構造
コンテンツ提供者(レコード会社、映画会社、放送局等)
・コンテンツ販売、自社商品の販売促進、広告料等を目的にコンテンツを提供
①
アウトソーシング
コンテンツ
制作
コンテンツ
配信
コンテンツ
販売・決済
・ビジネスコンサルティング・
コンテンツ制作代行
○
コンテンツ配信業者
・コンテンツ提供者より、コンテンツ配信料を徴収
・広告料徴収
オフラインでの
製品・サービスの販売者
支払い
②
料金徴収代行業者
・配信料等との一括
徴収
・クレジットカード型
・プリペイド型
○
○
○
○
③
④
○
○
○
○
⑤
○
支払い
消費者・コンテンツ利用者
(主な事業者等の活動分
①ISP野)
②通信キャリア
③システムコンサルティング業者
④ポータルサイト
⑤クレジットカード/プリペイドカード会社
6
第2章 ビジネスの現状
2-3 ビジネス展開の隘路
(1)ネットワークの広帯域化
アクセス系ネットワークが低速のため、既存のテレビ並の画質は望めない。
(2)通信料金の低廉・定額化
インターネットの利用にかかる通信料金のコスト負担が利用の足かせ。
(3)著作権処理の円滑化
著作権処理の仕組みが整っておらず、既存のコンテンツの二次利用が進んでいない。
(4)不正コピー対策
デジタルコンテンツは劣化しない上、ネットワークによる伝播力が高い。
(5)違法・有害コンテンツ対策
現在、BBS(電子掲示板)等で起きている名誉毀損、誹謗中傷等の問題が拡大、尖鋭化しかねない。
7
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革
顕在化するネットワーク環境の変化
(1)インターネットアクセス
の高速化・多様化
・CATVインターネット、
ADSL等による高速イン
ターネットサービスの開
始
・xDSL、FWA、FTTH、
IMT2000等の高速サー
ビスの登場。
・競争による料金の低
廉・定額化
(2)バックボーンネット
ワークの広帯域化
・波長多重技術(WDM)
によるバックボーンのさ
らなる高速化
(3)IPマルチキャストによ
るネットワーク資源の効
率的な利用
・アクセス増に伴うバック
ボーンやサーバの負荷
増大を軽減
現状の隘路(前頁)のうち、
「(1)ネットワークの広帯域化」、「(2)通信料金の低廉・定額化」は、近い将来解消
8
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革
3-1 インターネットアクセスの高速化・多様化
(1)現状は提供サービス地域は限定的ながら、家庭向け高速インターネットサービスが普及中
・CATVインターネット:代表的サービス512kbps
・ADSL:下り 512~640kbps →順次サービスエリア拡大中(例:東京めたりっく通信は半年から1年以内に東京03地域へ展開予定)
(2)近い将来、xDSL、FWA、FTTH、IMT-2000等の多様なアクセス系ネットワークの導入⇒高速イ
ンターネットサービスの普及、更なる高速化⇒画像等の品質向上、ダウンロード時間の大幅短
縮
・xDSL(x Digital Subscriber Line):既存のメタリックケーブルの電話線で高速データ通信を可能にする伝送方式の総称。ADSL、HDSL、SDSL等の
方式があり、それぞれ伝送速度が異なるが、概ね数メガ程度の伝送速度を実現する。
・FWA(Fixed Wireless Access):無線により固定の加入者に対する通信設備を構成するアクセス伝送網。
・FTTH(Fiber To The Home):2005年を目途として、各家庭まで光ファイバケーブルを敷設して、大容量の伝送を可能とする加入者網光化。
・IMT2000(International Mobile Telecommunications 2000):有線並みの音質、最大2Mbpsのデータ通信を目指した次世代移動体通信システム
(3)アクセス系ネットワークが多様化することで、地域通信市場の競争が進展
予想されるアクセス網の高速化
・固定アクセス
・モバイルアクセス
2000年:56K~1.5Mbps
2005年:512K~10Mbps
2010年:6~150Mbps
2000年:9.6~64Kbps
2005年:384K~2Mbps
2010年:2~10Mbps
出所)電気通信技術審議会答申「情報通信研究開発基本計画」より
定額サービスの浸透
地域限定ながら、CATVインターネット、ADSL、ISDN等において既に提供開始。対象地域の拡大が課題。
9
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革
3-2 バックボーンネットワークの広帯域化
●波長多重技術(WDM)によりファイバ1芯あたりの通信容量が増大
→バックボーンネットワークのさらなる高速化が実現
2000年:2.5G×160波→2005年:2.5~10G×160波→2010年:2.5~40G×1,000波
100Tbps
バックボーンNW
2.5~40G×1000波
1Tbps
10Gbps
バックボーンNW
2.5~10G×500波
アクセス系NW
1G×1000ch
バックボーンNW
2.5G×160波
アクセス系NW
100M×500ch
アクセス系NW
10M×128ch
100Mbps
アクセス系NW
5M×32ch
固定アクセス
6~150M
(一般家庭)
固定アクセス
0.5~10M
(一般家庭)
1Mbps
固定アクセス
56K~1.5M
(一般家庭)
固定アクセス
10M~2.5G
(一般家庭)
モバイルアクセス
2~30M
モバイルアクセス
2~10M
モバイルアクセス
384K~2M
モバイルアクセス
10~64K
2000年
2005年
2010年
出所)電気通信技術審議会答申
「情報通信研究開発基本計画」より
10
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革
3-3 IPマルチキャストによるネットワーク資源の効率的な利用
(1)アクセス増に伴うバックボーン及びサーバーの負荷の増大を軽減
・IPマルチキャストは、加入者のPC端末にグループアドレスを割り当て、経路上のマルチキャス
ト対応ルータがデータをコピーして配信する技術
・上流の配信サーバに近いネットワークの帯域が節約でき、さらに配信サーバの負荷も軽減で
きるため、ストリーミング型コンテンツのような大容量データの流通が常態化しても問題が生じ
ない
・ユニキャスト(従来方式)によるデータ配信
サーバの負荷:大
・マルチキャストによるデータ配信
必要帯域:大
サーバの負荷:小 必要帯域:小
受信者1
A
A
A
A
A
A
A
A
ルータ
A
受信者1
A
A
A
A
受信者2
ルータ
サーバ
A
受信者2
サーバ
受信者3
受信者3
(2)IPv6対応機器の普及が進むことでIPマルチキャストの実装が進展
・従来(IPv4)・・・IPマルチキャストはクラスDアドレス(特殊用途アドレス)で実現
⇒IPマルチキャスト非対応機器も混在
・次世代(IPv6)・・・IPマルチキャストを実装⇒IPv6対応機器=IPマルチキャスト対応機器
11
第3章 ネットワーク技術の革新がもたらすビジネス環境の変革
(参考)日米のIPマルチキャスト普及の民間団体の取組み
●米国の取り組み
●日本の取り組み
・IPMI(IP Multicasting Initiative)の設立
・IPMI日本支部設立
-1995年に、IPマルチキャスト技術の普及を目的
とした業界団体、Stardust社の主催
-主な活動内容はニュースレター発行や、レポー
ト、研究成果などが掲載された技術誌の発行、
さらに会議やワーキンググループの開催。これ
らを通じてIPマルチキャストの情報提供やIPマ
-1999年、IIJが事務局となり設立
-具体的には、日本語によるIPマルチキャスト技
術、対応製品等の情報交換や、相互接続実験
を実施
-J/Splash(IPマルチキャストの相互接続運用実験
ルチキャスト対応製品/サービスに対する需要
網)を構築、現在はMP3技術を利用した音楽配
を喚起。
信実験を実施中
-参加企業
-相互接続実験参加団体
Cisco-Systems、HP、Intel、Lucent Technology、
IIJ、CTC、日本シスコシステムズ、NTTコム、
SunMicrosystems、AT&T 等
FM東京、NTT、富士通、大日本印刷、インプレ
-マルチキャストを提供しているISP
ス等
UUNET、Sprint 等
12
第4章 今後の変化と重要性を増す政策課題
今後の変化
(1)ストリーミング技術を活用した、オンディマンド
サービスの浸透
・インターネットの普及により、利用者の裾野が拡大
・長時間視聴に耐えられる画質の向上
・個人制作コンテンツなど、情報発信者の拡大、多様化
(2)ダウンロード型のコンテンツ配信の拡大
・音楽のネットワーク配信は既に実ビジネス
・ビデオ、教材、ゲームソフトにも今後拡大
<将来像のイメージ>
<将来像のイメージ>
2年後:現在のテレビ放送並の画質を伴ったサービスの登場
2年後:音楽等の配信が主
5年後:普及
5年後:映画等の大容量コンテンツがネットワーク上で普通に配信
10年後:DVD並の画質のコンテンツ配信が実現
・不正コピーへの制作者側の
懸念拡大
・コンテンツ需要(二次利用
等)の拡大
デジタルコンテンツの流通の
円滑化
・社会的影響力の増大
安心してネット上でコンテン
ツを流通できる環境
13
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
5-1 デジタル化・ネットワーク化がもたらす変革の波
具体例
(1)利用者は、欲しいコンテンツの所在を簡単に知ることができるようになる。
(2)著作権者は、自身の作品を発表し、販売する多様な方法を獲得する。
(3)放送のデジタル化が進み、インターネット配信が台頭。多チャンネル化がコンテンツの価値を高める。
(4)様々な種類の著作物を複合的に組み合わせて新たなコンテンツを制作するなどの二次利用が増加する。
(5)品質劣化なしに大量にコピーし、流通することが簡単になる。著作権保護管理技術開発も進んでいる。
デジタル化、ネットワーク化の進展が、現行の著作権制度の見直し論議を刺激。
(1)著作権管理制度
(2)著作権法上の取扱い
14
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
(参考)様々な著作権保護管理技術
対応技術
概要
活用例
① コ ン テン ツ コンテンツを暗号化し、復号鍵を有 ●Liquid Player(Liquid
の暗号化
するソフトウェアがないと再生で Audio 開発の音楽再生
きなくする。
ソフト)
② コ ピ ー先 の コンテンツを蓄積(複製)する媒体 ●Magic Gate(ソニー音
媒 体 の 機 器 が正当であることを暗号技術を用 楽配信対応の製品(PC、
認証
いて認証し、パスした場合にのみ指 メモリースティック)に
定された回数だけ蓄積(複製)を許 活用)
可する。
③ コ ン テン ツ 利用制限に係る内容を示した ID を ●DVD
I D に よ る コンテンツに付与し、再生・複製の
再生・複製制 制限を行う。
(例えば、地域指定、
限
コピー回数等を制限)
④電子透かし コンテンツに管理情報を埋め込み、 ●DAWN2001(JASRAC
管理者が許可していない不正利用 が検討中の不正利用監
を検出する。
視システム)
15
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
5-2 著作権管理制度の現状と見直しに向けた動き
著作権管理の現状
●音楽分野
・JASRACが一元的に集中管理を実施。
著作物の利用に対する権利行使の機会を確保し、著
作権者の使用料収入の確保が所期の目的。
・著作権者の間には、作品毎・支分権ごとの委託ができない
等、固定的な利用条件への不満がある。
・利用者の間には、利用料、スピード等について、不満があ
る。
●映像分野
・様々な著作権等が複雑にからみ、権利処理が煩雑。
(例)
利用したいコンテンツの著作権処理に加えて、原作、
脚本等についても、それぞれの著作権管理団体もしくは
個々の著作権者との交渉が必要。
放送事業者が制作する放送番組については、俳優等
の実演家について個別の権利処理が必要。
著作権管理制度の見直しの動き
・著作権審議会で、著作権管理事業のあり方について検討⇒著作権審議会権利の集中管理委員会専門
部会の「中間まとめ」、著作権審議会権利の集中管理小委員会の「報告書」⇒これに基づき仲介業務法
改正作業が進展中。
→著作権管理事業参入の規制緩和(登録制への移行)と規制対象著作物の拡大
→著作隣接権管理制度の検討
・当初、予定されていた今通常国会(第147回)への法案提出は、先送り。
見直しにより次の効果が期待
・管理団体新規参入の機会拡大
・委託する作品や支分権の選択権拡大等→コンテンツのネット流通に弾み
それでも、急速に進むデジタル化への
対応という点では不十分
16
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
5-3 著作権管理制度が向かうべき方向
著作権管理業務の本質
円滑な権利処理の遂行、すなわち著作権者の権利を確実に保護した上で、利用者からの許諾要求を簡
便、迅速に処理し、著作権者、利用者双方に利益をもたらすこと。
制度の向かうべき方向
デジタル化・ネットワーク化を受けて、今後急速に映像素材の二次利用ニーズが拡大
→著作権等が複雑な映像分野でのコンテンツの権利処理を円滑、迅速に行い得る仕組みが必要。
コンテンツがデジタル化されネットワーク上で簡単に流通するワンソースマルチユース時代には、著作権を一ヶ所で集中管理
する方法ではなく、例えば複数の権利管理団体のデータベース等をネットワークで結んで分散的に処理する方法が効率的。
権利処理を委託する先の選択肢拡大、利用条件設定の柔軟性向上にも役立つ。
<現状>
著作権者
著作権者
著作権者
著
作
権
管
理
団
体
<将来>
利用者
著作権者
利用者
著作権者
利用者
著作権者
著作権管理
団体B
著作権管理
団体C
委託先を選択
できない
利用条件等を比較
して委託先を選択
DB
著作権管理
団体A
DB
利用者
DB
DB
利用者は、複数の著作権管理団
体が管理する著作物の内容、使
用料の条件等を簡単に比較して
最適な所を選択
利用者
利用者
17
第5章 デジタルコンテンツの流通の円滑化
5-4 コンテンツ配信ビジネスの著作権法上の取扱い
放送事業者は、
放送においては著作権者等の権利行使が制限されている。
業務実態上、事前にビデオ撮り、テープ取り
を行うことが多い
• 業務実態への適
合
放送事業者は、
①多数の人間に成果物(著作物)を提供す
るという役割を果たしている
②準創作的活動をしている
(カメラワーク、ライティング等)
• 著作物の伝達行
為の促進
• 準創作活動の奨
励
①「商業用レコードの放送における二次使用」について実演家及びレコード製作
者の事前の許諾不要(報酬請求権のみ)。
②「一時的固定」について、著作権者の著作権(複製権)、実演家及びレコード製
作者の著作隣接権(実演家の録音権・録画権、レコード製作者の複製権)の
効力が制限。
放送事業者は、著作隣接権が認められている。
①複製権
②再放送権及び有線放送権
③テレビジョン放送の伝達権
●インターネット上のコンテンツ配信事業者には、著作権法上、同様の権利が認められない
・放送に著作隣接権等が認められているのは「多数の人間への成果物の提供・伝達」、「準創作的活動」等の実態が根拠。一方で、放送事業者は、稀少な
電波資源の利用、社会的影響力の大きさ等を理由に、規律がある
・WIPO(世界知的所有権機関)の「著作権及び著作隣接権に関する常設委員会」において、「視聴覚的実演の保護」に関し議論が進んでおり、権利者保護
が世界的潮流
●CSデジタル音楽放送は、アルバムCDをそのまま送信し、利用者がMDに録音している実態があっても、複製権侵害にあたらない
(H12.5.16東京地裁判決)
通信・放送の融合に対応した諸制度の在り方をトータルに議論すべき状況が生じている
・通信と放送の境界領域サービスの規律
・デジタル化時代に対応した知的財産権体系の見直し
18
第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
インターネットの特性
①発信者に高度の匿名性、②強力な伝播性、③一旦発信された情報は回収困難
インターネット上の違法・有害コンテンツの取締り
①発信者が個人である場合が多く、発信者の特定が困難
②仮に発信者を特定できても、責任追及に限界(個人の場合は賠償能力が低い)
③特に、海外からの発信は、取り締まりが困難
○インターネット利用の急速な拡大につれ、ネットワークを通じた違法・有害な情報の流通も拡大
○違法・有害な情報流通、詐欺事件等が現実に多発
・誹謗、中傷、名誉毀損 ・プライバシー侵害 ・ねずみ講 ・著作権侵害 ・わいせつ情報 ・詐欺 等
①事業者の自主対策(いわゆる自主規制)
②対策技術も開発中(違法コピーを防止する暗号技術、フィルタリング技術等)
現状は、その有効性と限界を検証する時期=事業者・利用者の自主的取り組みを尊重
十分か?
19
第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-1 事業者の自主的対策
○ホームページ等に掲載された誹謗中傷等に関する苦情の増加に対応して、 ISP等の業界団体
である(社)テレコムサービス協会が、一定の条件下で、発信者の利用を停止し、また利用契約
を解除することを定めたガイドラインを策定。
○この趣旨を盛り込んだモデル契約約款も策定して、ホームページで公表中。
(参考)ISPの自主的対応(「テレサ協ガイドライン」)
第3章 利用契約に規定すべき事項
(情報の発信)
第7条 事業者は、利用者が迷惑通信またはなりすまし通信を行ってはならないこと、及び公然性を有する通信において
違法または有害な情報を発信してはならないことを利用契約に規定するものとする。
(事業者の対応措置の明確化)
第8条 事業者は、利用者が前条の規定に違反したことを知った場合、必要に応じて、次章に掲げる措置を講じることを利
用契約に規定するものとする。
第4章 事業者の対応措置の内容
(違法または有害な情報に対する措置)
第9条 事業者は、公然性を有する通信に関して、違法または有害な情報が発信されたことを知った場合、当該情報を発
信した利用者に対し、以下の各号に掲げる措置を講じることができる。
1.違法または有害な情報の発信をやめるように要求すること。
2.前号の要求を繰り返し行っても、発信者が要求された措置を講じないときは、事業者が違法または有害な情報を利用者
が受信できない状態にすること。ただし、明らかに違法または有害で、緊急性があると判断できる相当の事由がある場合、
第1号の要求を行うことなく、事業者が違法または有害な情報を利用者が受信できない状態にすること。
3.発信者が違法または有害な情報の発信を繰り返す場合、発信者の利用を停止し、または発信者との利用契約を解除す
ること。
出典)テレサ協HPより(http://www.telesa.or.jp/guide/guide01.html)
20
第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-2 対策技術の開発
違法・有害コンテンツに対する技術の開発が進行中。総じて開発途上。
対応技術
概要
①フィルタリング 管理者側で手作業により不適正なコンテ
ンツを検出し、そのサイトのURLをデータ
ベースで管理してフィルタとして用い、そ
のサイトへのアクセスを制限する。
②コンテンツ ID 閲覧対象を制限するためにコンテンツ制
による閲覧制 作者側で予め表示制限を制御する ID を
限
コンテンツに埋め込んでおき、閲覧者側
ではブラウザの設定により表示を制限す
る。
③不適 正 利 用 情報内容検索・解析技術及び高速ブラ
に係るコンテ ウジング技術等を組み合わせることによ
ン ツ の 検 知 り、コンテンツに含まれる文字情報、画
技術
像情報の特徴から、わいせつ、誹謗中
傷等の不適正なコンテンツを検出する。
④発信 元 情 報 電子メール等において、アドレス等の発
認証特定 技 信者に関する情報の改ざんを防止し、真
術
正な情報を保持する。
活用例
●@nifty(WebSENCE というソフトで実
施)
●IE(ICRA という NPO がルール化された
コードの普及を進めており、ブラウザ
側ではマイクロソフトがメンバ)
※通信・放送機構において研究開発を
実施中
※通信・放送機構において研究開発を
実施中
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第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-3 違法・有害情報の流通に関わった事業者の法的責任
背景
○確信犯的な情報発信者、ISP等に対しては、業界団体の自主的対応は無力。
○「情報発信者」-「ネットワーク上のコミュニティにおいて情報の組織化を行うもの」-
「サーバーの領域を提供するもの」-「通信経路を提供するもの」-「利用者」という情
報の流通経路を考えた場合、「情報発信者」と「利用者」の間に介在する者の法的責
任が現状では不明瞭。
○「情報発信者」に関しては、責任の所在は明確でも海外からの発信のように取締りに
限界がある場合も。
○「利用者」に関しては、利用者保護の技術・制度が発展途上。
○最近、サイバーテロに代表されるような、インターネット社会の基盤を揺るがしかねな
い犯罪的行為が多発。
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第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-3 違法・有害情報の流通に関わった事業者の法的責任
(1)ISPの法的責任-国内における議論の現状
① ISPの有する次の特徴から、未然の防止、善後策を講じるための一定の責任と能力をISPに求める意見が
ある→インターネット上で流通する違法・有害情報の責任問題が争点
ア 情報発信者にインターネット上での情報伝播手段を提供
イ 技術的に違法・有害な情報発信をコントロールし、伝播(=被害の拡大)を防ぎうる立場にいる
ウ 情報発信手段提供により利益を得ている
② わが国は、ISPの責任について法文上明文の規定がない。判例もパソコン通信事業者の責任を認めたニフ
ティ判決(二審係争中)があるだけ。
③ ISPが事前に全ての情報をチェックし不適切なものを排除するのは事実上不可能であることに鑑み、
ア 配信する違法・有害なコンテンツについて係わりが強い場合
イ 違法・有害なコンテンツの存在を認識してから相当の時間が経過しても削除等の措置をとらない場合
等を除いて、責任を問わないとの学説あり。ニフティ一審判決もこの立場。
(参考)
・風営法での努力義務
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では、ISPは、映像送信型性風俗特殊業者がわいせつ映像をサーバ
に記録したことを知った時には、この送信を防止する努力義務。
・放送における基準
放送番組の編集に当たっては、放送法等により、公安や善良な風俗を害しない等の基準が課せられ、また、番組審議機関
の設置等を行うこととされている。
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第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-3 違法・有害情報の流通に関わった事業者の法的責任
(2)ISPの法的責任-諸外国における取扱い
① 諸外国では、違法・有害なコンテンツを配信したISPの責任について、
ア 配信する違法・有害なコンテンツについて強く関わった場合
イ 違法・有害なコンテンツが流されていることを認識してから適切な処置をとらなかった場合
以外には法的責任を問わないというのが大勢。
② ただし、アメリカでは1997年にコンテンツの内容を知っていてもISPの責任を免責するという判決が出され
ている。被害者の救済の面から問題があるという指摘がなされているものの、その後の判例も踏襲。
(参考1)
○ アメリカ(名誉毀損)
① 当初、アメリカでは名誉毀損に関するISPの責任については、ISPがパブリッシャー*1・ディストリビューター*2・コモン
キャリア*3のいずれに該当するかにより検討され、これにより判例(→カビー判決(1991年)、プロデジー判決(1995年))も
出されていた。
*1:パブリッシャー、すなわち、雑誌社、新聞社、放送局などの場合には、出版のコンテンツに対して編集・削除などを
行う管理権限を有しているものとされ、基本的に名誉毀損を行った本人と同一の責任を負う。
*2:ディストリビューター、すなわち、書店や図書館などの場合には、単に、出版物の流通に関与しているだけであり、
出版のコンテンツに対して編集権限を有していないので、名誉毀損の事実を知っていたか、もしくは、知り得た場
合に限り、名誉毀損を行った本人と同一の責任を負う(それ以外の場合には、原則として責任を負わない)。
*3:コモンキャリア、すなわち、電話会社などの公共通信事業者の場合には、単に、情報の通信を目的としているの
であり、名誉毀損の事実を知っていったとしても、名誉毀損の責任は、一切負わないとされている。
② その後、1996年通信品位法§230(c) でISPはパブリッシャーでないことが規定された。
③ 1997年のゼラン判決では、1996通信品位法§230(c)に基づきパブリッシャーとしての責任を免責し、さらに同条項の法
目的がネット上のコミュニケーションへの萎縮効果の排除も目的であったと認定し、ディストリビューターとしての責任も免
責した。被害者救済の面から問題であるという指摘もあるが、その後の判例でもこの立場が踏襲されている。
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第6章 安心してネットワーク上でコンテンツを流通できる環境の形成
6-3 違法・有害情報の流通に関わった事業者の法的責任
(参考2)
○ アメリカ(著作権侵害)
判例の変遷を踏まえた上で立法的措置が講じられている。
① 判例
・プレイボーイ事件(1993年)→ISPの直接侵害*1が認められた事例。
・セガ対マフィア事件(1994年)→BBS運営者の寄与侵害*2が認められた事例。
・ネットコム事件(1995年)→直接侵害・代位侵害*3は認めず、ISPが侵害コンテンツの存在を知った
以後は責任を負いうると判示。
*1:ISP自身が直接著作権侵害を行ったと認定できるような場合。
*2:直接的な侵害までは存在しないが、ユーザ等による侵害行為に対してISPも何らかの責任を負
担するべきであるとする法理。
*3:ISPが侵害行為を監督する権利と能力を有しており、かつ当該侵害行為から直接的な経済的
利益を得ている場合には間接責任を課されるとする法理。
② 法令
ネットコム判決の趣旨を踏まえ、デジタルミレニアム著作権法(1998年)にISPの責任制限を明記。これ
により、ISPは一定の条件の下に著作権者からの著作権侵害の通知がありそれが要件を満たしてい
る場合に当該コンテンツを削除すれば、著作権者及びアップロードした者双方に対して免責されること
となった。
○ ドイツ
通信サービス法の中にISPの責任制限規定を設置。
○ イギリス
1996年の名誉毀損法によりISPの責任制限規定を設置。
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まとめ デジタル化時代に応じた規律の最適化
① 情報通信の分野は、技術革新が急速に進む分野。新技術が様々な諸問題を引き起こ
す一方で、その問題解決をもたらすのも新技術。このダイナミズムを損なわないよう、事
業者の自主的な対策を最大限、尊重することが望ましい。
② 一方、社会の機能を麻痺させかねないサイバーテロのような行為に関しては、有効な
対策が急がれる。知的財産権やプライバシー等の問題も、対策が後手に回っている印
象は否めない。
③ 誰もが容易に動画コンテンツを大量発信できる時代を迎えようとしており、人権侵害、
世論操作等といった事象も、今後、顕在化しかねない。
デジタル化時代に応じた諸制度の規律の最適化について
社会的なコンセンサスを形成すべき。
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