現代の経済学B 伊東光晴「ケインズ」第2回 新しい経済学の誕生 京大 経済学研究科 依田高典 1 III 新しい経済学の誕生 2 1 新しい現実 古い理論 資本主義の危機とは何か? 1929年10 月24 日NY株価大暴落 →大不況と大失業 イギリスにおける3つの対策 ・均衡財政政策 ・国内産業の保護 ・賃金切り下げ ブロック経済への移行 3 古い経済像はどのようなものか? マーシャル流の需要・供給・価格決定論 ・財の市場=需要・供給・価格 ・金融市場=投資・貯蓄・利子率、 ・労働市場=労働需要・労働供給・賃金 価格の自由な動きが経済を調和させる →自由競争、個人主義、安価な政府、均衡財政主義 4 ケインズの苦闘はどのようなものか 大量の失業は高い賃金の為か 賃金切り下げ政策に対する反発 5 2 『一般理論』の骨組み (i) 新しい労働市場分析とはどのようなものか? 労働供給曲線は、現在の賃金のもとでも働きたい人まで、 水平な直線 非自発的失業者の発生 完全雇用の前提の放棄、不完全雇用を前提とした理論 6 有効需要の原理とセー法則は何か? 「供給はそれ自体の需要を作る」セー法則の否定 →社会全体の生産量は有効需要によって決まる 7 消費性向と有効需要の原理はどのようなものか? 有効需要=消費需要+投資需要 →国民所得は社会全体の有効需要によって決まる 所得が増加するほどには消費は増加しない →平均消費性向は段々小さくなり、 平均貯蓄性向が段々大きくなる 8 投資と貯蓄との関係はどのようなものか? 所得Y=消費C+投資I 所得Y=消費C+貯蓄S →投資I=貯蓄S 9 乗数理論とは何か 投資の増加→乗数倍の所得の増加を生み出す 所得の増加=1/(1ー限界消費性向)×投資の増加 所得=1/(1ー平均消費性向)×投資 乗数=1/(1ー限界消費性向) 10 乗数理論の実践的意味は何か? 投資の大小→所得を決定 完全雇用は自動的に達成されない 政府の伸縮的な財政政策→有効需要の創出 政府の活動と民間の企業活動は必ずしも矛盾しない 11 結合の誤りとは何か 人々が貯蓄を増やそうとする(消費性向の上昇) →乗数の減少 →所得の減少 →貯蓄の減少 貯蓄は美徳ではない 以上 ここまで 12
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