顧客価値の創造

顧客価値の創造
モノづくりから価値づくりへのコンセプト革新
崔
光
流通経済大学
顧客価値って?
企
業
商品価値
顧客価値
顧
客
•価値は評価主体の状況によって変わる、主観的なもの
•その本質は、商品と評価主体との関係性にある
両者の関係性をいかに発見、創造するか
関係性の顕在化
既存の顧客
潜在顧客
素材
技術
ノウハウ
情報
考えてみましょう
あなたは自社の顧客について
どれくらい知っていますか
 あなたは顧客との関係を深めるために
どういうことを行っていますか
 顧客は貴社を
どれくらい大切に思っていますか

ところで
貴社は顧客に
どういう価値を
提供していますか?
発想の転換!
職人のこだわり
職人と顧客のこだわり
 もの作りの職人
顧客との対話の達人


もののプロバイダー
価値のクリエーター
<価値ドメインの設定>
誰に?
場のデザイン
どういう価値
を?
いかに?
ビジネスモデルの構築
キャッツ社の事例
シロアリ防除や環境改善機器販売⇒
「アグリビジネス」に参入
 キャッツ・アグリシステムズ農業センター
⇒①マルハナバチや天敵生物の増殖:生物農薬
②グリンハウスで無農薬トマトの栽培:全自動管理

独自の販売ルートを開拓
(特定病気の顧客や病院、料理店、野菜専門店など)
 将来的にはトータル無農薬栽培システムを販売

グリンハウスシステムの概要
グラスハウス
 リサイクル方式溶液栽培システム
 アグリ・コンピュータシステム
 送紛昆虫(マルハナバチ)
 天敵生物
 コンサルティング
 生産物の物流・販売サポート

キャッツから学ぶもの



付加価値ではなく新しい顧客価値の創造を目指
す(有機栽培:無農薬野菜)
最も価値を認める顧客を攻略
商品のレベルではなく、システムレベルのイノ
ベーションで持続的成長を狙う
⇒個別の顧客次元を超え、
社会的に認められる価値の発見と
具体的な実現の仕組みを構築
坂本飼料の事例
養殖漁業の配合飼料メーカー
 ドライペレット市場で3割シェア、63億円売上、
3年間20%成長持続
 下請ではメーカーの言いなり、エンドユーザーの顔も
見えない
⇒独自技術や製造プラントを持ったオリジナル製品の
メーカーへ変身
 既存の沖合養殖システムを革新する
ドライペレット養殖システムの開発に成功

坂本飼料の養殖システム
従来ドライペレット養殖問題を克服
 エクストルーダーによる低温低圧加工で製造過
程で魚粉の栄養損失を防ぐ
 ソフトドライ: 給餌作業の省力化,成長効率の
向上(嗜好性,病気抑制),自動化が容易で多
額の設備投資が不要,海洋汚染防止

坂本飼料から学ぶもの
海を愛する気持ちをビジネスに具体化
社会的価値(海の環境保全)⇒事業価値へつなぐ
 顧客の問題を全面的に解決できるシステムを提案,製
品レベルの提案⇒問題解決のソリューションを提供
 ハード(ソフトドライ)+ソフト:きめ細かい給餌方法のサ
ポート(栄養成分や粒の大きさの調整,エンドユーザー
の調理目的に合わせた肉質のコントロールなど),セー
ルスエンジニア
 顧客の顧客まで視野に入れた全包囲型サポート体制で
非価格競争を確立

梶原工業の事例
食品加工機械(特に,加熱攪拌機:50%シェア)
 製造業から創造業
⇒職人の技にかわる新しい食品加工技術を開発



手作りの味で大量調理できる技術の機械化
フードメーション:新たな科学的調理技術の体系化
工場内に食品加工テスト室,データベース化
全社的品質管理活動(TPM),カジワラ義塾の運用
価値ドメインの拡大

背景:製菓・製パン業界の低迷,同業他社の
攻略
 コンビニを中心とした中食業界へ進出
 ハイブリッド加熱釜(カスチーム,電磁スチー
ム)開発
⇒低コストで短時間(½~¼)大量調理が可能
 二酸化炭素の放出を抑制,調理場の環境改善
梶原工業から学ぶもの
トップが提示した目標を全社が一丸となって考
え,動き成し遂げようとする姿勢
 不況の中でも,コア技術の深化や拡大のため
の努力は惜しまない
⇒異質性の少ない分野にコア能力を展開
 各種展示会や発明展などで積極的にアピール

バリュークリエーターへの課題
顧客との対話の場
 ターゲット業界に関する幅広い知識
 顧客企業の事業環境に対する深い洞察
 多様な次元の価値を取り入れる
⇒社会的価値,文化的価値など
 顧客価値に基づき自社の既存のネットワークを再構築

現代企業の競争は商品の品質や価格より顧客
価値に大きく左右される