鉄道を骨格とした交通事業 - エイトライナーの建設・運営 - 阿部 等 注意 : ① この事業計画は個人の発案であり、実存す る鉄道事業者とは無関係である。 ② 計画路線の選択理由は、新しいビジョンを 実践する場として最適だからである。 1.はじめに • 豊かな日本で、人々の不満=ビジネスチャンスは? – 電車の通勤ラッシュ・駅への行き来の面倒さ – 自動車の渋滞・駐車場不足 • 道路建設は、交通問題の究極的解決策でない • 道路(自動車)は大都市の交通手段として不適切 – 能力不足 複々線鉄道≒200車線の自動車専用道路 – さらに、駐車場・エネルギー・環境・事故を考慮した ら・・ • 大都市の交通問題を解決する方策は、 道路のさらなる建設でなく鉄道の利便性向上 便利な鉄道を作りたい 1 2.鉄道に対する評価 • 一般的な考え – 自動車や航空が発達し、また少子化時代の中、鉄 道事業は成熟産業で飛躍的成長はない – 大都市圏・新幹線を始め、日本の鉄道技術は世界 最高水準 • 提案者の考え – 交通の良質サービスに対するニーズは強い – 鉄道技術は時代遅れで、改善の余地大 – 従来の経営施策や運輸政策を改めれば、 鉄道が事業として発展する可能性あり 2 3.鉄道業界の実情 • 商品の販売価格である“運賃”の決定権が、鉄 道会社の社長になし • 運賃値上げへの社会的反対・高率の通学定期 割引等、低価格設定のプレッシャー • 一部路線を除き、競合路線なし • 赤字に合わせた値上げ認可 • 営団・公営地下鉄等への高額補助 • 企業努力や創意工夫を喚起しない仕組み 鉄道事業者の経営自由度を高めるべき 3 4.事業展開のステップ • 既存の鉄道事業者は、積極的な鉄道サービス 改善に事業の魅力感じず • 事業者の経営自由度を高めれば交通を便利に できることを示すべく、独自に鉄道事業を開始 • 新線建設は莫大な資金が必要で不可能 • 既設線を借り使用料を払い、独自の運行・営業 • 東急多摩川線の蒲田-多摩川で事業開始 • さらに前後延伸してエイトライナーの建設・運営 東武・西武・東急・・、元はベンチャー 4 5.多摩川線の立地条件 将来は京急空港線へ乗入れ 山手線外側の環状ルートへ 東横線 複々線化 平成12年夏完成 渋谷 地下鉄直通運転 平成12年秋より 目黒 目黒線 品川 大規模改良 平成12年夏完成 田園調布 池上線 多摩川 京浜東北線 京浜急行 武蔵小杉 東横線 至横浜 多摩川線 蒲田 独自の運行・営業 京急蒲田 京急空港線 3km 5 6.多摩川線での独自の鉄道運行 • 高頻度運転 昼7分30秒間隔 4分間隔 • 終電繰下げ及び終夜運転 割増運賃 • 着席を立席より値段高く ICカードで降りるイス – 割増料金で確実に着席可 – 基本運賃の値下げ – 抵抗感なく平均客単価の向上 5~15円/分 110円→90円 90円→110円 • ラストワンマイルの解消 – 会員制乗合タクシー、駅周辺の駐輪場整備、駅で のレンタサイクル、自転車の車内持込み 顧客志向、最新技術導入、付加価値向上 6 7.エイトラ イナーの建設・ 運営 • 運輸政策審議 会答申にて 「今後の整備に ついて検討すべ き路線」 • エイトライナー研 究会「平均速度 45km/hの急行 が12分ヘッド」 東武練馬 赤羽 志村3丁目 平和台 練馬春日町 練馬高野台 井荻 荻窪 高井戸 環状8号線の 上空を利用 八幡山 千歳船橋 二子玉川園 田園調布 まで延伸 スタート 区間 上野毛 田園調布 多摩川 地下鉄 新設 京急空港線 の活用 蒲田 京急蒲田羽田空港 3km 77 8.電車方式と鉄輪リニア方式 • 現行の電車方式 – 車両に電力を供給してモーターを回転させ、車輪と レール間の粘着力(摩擦力)により駆動及び制動 – 急な上り坂の走行や急加速で空転 – 急な下り坂の走行や急減速で滑走 – 他にも様々な弱点 • 鉄輪リニア方式 – 車体の荷重支持と方向操舵は車輪とレールで行い、 駆動(加速)及び制動(減速)のみを電磁力で行う 電車方式の弱点の多くを解消 8 9.鉄輪リニア方式の特徴 • 特急の200km/hでの営業運転及び短駅間の普 通列車との混在を低コストに実現 – 急勾配に強く、路線選定の自由度が向上し、用地 買収及び建設費の低減 – 加減速度が大きく、線路容量の増大及び普通列車 のスピードアップ – 車両低床化により、2階建て化と屋根上への自動車 積載に有利 – パンタグラフが不要で、高速走行時の騒音減少 高サービスを実現する技術的裏付け 9 10.実現されるサービス内容 • 特急停車駅と羽田空港からの所要時分 – 蒲田:4分(東海道線停車させ、東京13分) – 田園調布:7分(東横線特急停車させ、渋谷9分) – 千歳船橋:11分(小田急線急行停車させ、新宿13 分) – 荻窪:14分(中央線特快停車させ、立川18分) – 練馬高野台:16分(西武線急行停車させ、池袋10 分) – 赤羽:21分(東北新幹線停車させ、大宮12分) • 普通は駅間距離1km、急行は各放射線と接続 • 特急・急行・普通を各6分ヘッド 自動車を使う気をなくさす高サービス • カートレイン 10 11.現行鉄道技術の時代遅れの例 • 普通が急行を待避する場合 – 普通は、急行通過の1分以上前に到着 – 急行通過の1分程度過ぎた後に、普通が出発 • 自動車が路方停車する場合 – 先行車が路方停車した直後に、後続車が通過 – 本線車両が通過した直後に、路方から出発 • 鉄道が自動車より非能率なのは、信号システム が低機能のためで、最新技術により改良可 • 同様の事例は多数あり 最新技術の導入により鉄道の利便性向上 11 12.全線の建設費等 • 建設費の低減と、利用者の垂直移動を少なくし 利便性を高めるため、環八区間は高架方式 延長 建設費等[億円](単価[億円/km]) [km] 高架方式 地下方式 蒲田付近 3 1,500(500) 上記除く羽田空港-田園調布 10 800(80) 田園調布-赤羽 30 4,500(150) 9,000(300) 車両基地新設・車両購入等 1,700 合 計 43 8,500 13,000 沿線住民の理解と協力が不可欠 12 13.会員制の導入 • 首都圏の各鉄道の運賃=10~20[円/人km] • 自動車のコスト=車両費+税金+保険代+保 管用駐車場代+ガソリン代・・≒70[円/人km] • 鉄道が割高と感じるのは – 鉄道利用時には変動費と固定費を同時に払う – 自動車利用時には変動費しか払わない • 鉄道を会員制とし、平均60[円/人km] – 会員は、変動費のみの負担で割安 – ビジターは、変動費と固定費を負担し割高 割高感を感じさせずに収益性向上 13 14.具体的な運賃水準 • 羽田空港-田園調布13kmの場合 – 会員の月会費:2万円 閑散時 ピーク時 会員 70(130) 130(260) ビジター 980(1040) 1040(1560) ※単位は円 ※( )外は立席、( )内は着席 – 同区間のタクシー利用:4,500円 – グリーン定期:東京-戸塚6万円/月 – 新幹線定期:東京-大宮5万円/月 高サービスを考えたら決して高くない 14 15.事業としての成立可能性 • 以下の路線の輸送密度は、13~22万[人/日] – 南武・横浜・武蔵野・京王井の頭・東急大井町線 • 平均単価60[円/人km]、輸送密度20万[人/ 日]として、年間収益は – 60[円/人km]×20万[人/日] ×43[km]×365[日] ≒1,900億[円/年] • 高架方式の工事費8,500億円に対して充分に高 く、運営費を考慮しても事業として成立 • 平均単価が従来鉄道の4倍である効果が大 運賃設定の自由を得れば事業として成立 15 16.おわりに • 理念(志) 交通を便利にし、自動車に頼らずとも豊 かで幸せに生活できる社会をつくる • ビジョン “民” が自由に力を発揮できる仕組みと し、良質な交通サービスを提供 • 戦略 純民間で鉄道の建設・運営が可能となる ビジネスモデルを構築し実践 • 戦術 会員制により割高感薄く収益性を向上し、 また最新技術により高い利便性を提供 16
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