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卒論最終発表
LECTES: WSNにおける
低消費電力な時刻推測機構
LECTES: A Low Energy Consumption
Time Estimation Scheme in WSNs
move! kenz
親: takuroさん
概要
• 無線センサネットワーク(WSN)における,ノー
ドの時刻がずれる問題を解消するLECTES
(Low Energy Consumption Time Estimation
Scheme) の提案,実装
背景
• MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)の
発達
• 無線技術の発達
• 無線センサノードの小型化,低価格化
• 無線センサネットワーク(WSN)の普及
– モニタリング,軍事,商業,etc.
無線センサノードの特徴
• 小型+バッテリ駆動
– CPU,メモリ,ストレージ,電力資源が厳しく制限
センサノードの”1秒”
• クロックのずれ
– 性能の低いCPU
– 精度の低いオシレータ
クロックがずれることによる問題
y秒後
sinkへ通知
time=tに人検知
Time=t
Time=t-y
A
B
検知
sinkへ通知
time=tに人検知
Time=t+y
A
Time=t
B
検知
アプリケーションとその要求精度
• カウンタースナイパー
– 狙撃手の位置特定
– 要求する精度:1μs
• 対象追跡
– 人や車の位置把握
– 要求する精度:100μs
• 建築物モニタリング
– 建築物のヘルスモニタリング
– 要求する精度:250μs
• 火山モニタリング
– 火山の活動状況モニタリング
– 要求する精度:10ms
既存の解決手法
• ノード間で時刻同期を
行う
• データを送受信する
sink node
time=tt
time=tb
Root node
ta
time=tt
ta
ta
time=tf
ta
ta
time=ta
time=tt
time=tc
ta
time=tt
ta
ta
time=te
time=td
time=tt
time=tt
sink node
既存研究
• RBS (Reference Broadcast Synchronization)*1
– アプリケーションレイヤで実装
– 精度:11μs (29.1μs according to TPSN)
• CCS (Continuous Clock Synchronization)*2
– Virtual Clockの概念
• FTSP (Flooding Time Synchronization Protocol)*3
– MACレイヤで実装
– 精度:1.48μs
*1: Elson et al. “Fine-grained network time synchronization using reference
broadcasts”, SIGOPS, 2002
*2: Mock et al. “Continuous clock synchronization in wireless real-time applications”,
Reliable Distributed Systems, 2000
*3: Maroti et al. “The flooding time synchronization protocol”, Sensys, 2004
時刻同期手法の問題点
• 同期手法
• 同期頻度
• 時刻の修正方法
– 実クロックの修正
– Virtualクロックによる修正
– 時刻のずれを利用した修正
同期手法・頻度の問題
• 同期手法
– ノード間の無線通信による時刻同期
• 同期頻度
– 無線センサノードは時刻のずれが激しいため,同
期の頻度を高くする必要がある.
• 無線通信による電力の使用
• パケット干渉による無線通信の品質低下
時刻修正方法の問題
• 実クロックを修正
– スケジュールされたタスクのスキップ/重複実行
• Virtualクロックによる修正
– 計算のオーバーヘッドが大きい
• 時刻のずれを利用した修正
– ノード上で保持するデータ量の増加
本研究の目的
• WSNにおける時刻がずれる問題を解消する
要件
– 電力消費が少ない
– 時刻の精度が高い
– スケーラビリティが高い
– 使用データ量が少ない
• LECTES (Low Energy Consumption Time
Estimation Scheme) の提案,実装
想定環境
• Sinkノードの存在
– sinkノード上でデータが解析される
• 範囲の広いWSN
– 高いスケーラビリティが必要
LECTESのアプローチ
• 時刻を推測する
– 無線センサノードの時刻を同期しない
– 受信時刻から,要した時間(delay)を減算すること
で,時刻を推測する
LECTESの動作
クエリ
送信ノード
送信
送信: dt1 伝播
転送ノード
時間
送信
転送: dt2 伝播
転送ノード
時間
送信
転送: dt3 伝播
受信ノード
受信時刻: t4
時間
時間
受信ノード上で,受信時刻からDelayを減算することで,
クエリの時間を推測する: t4 - (dt1 + dt2 + dt3)
#多くの場合,伝播時間<1μsなので,無視する
LECTESの設計
送信時: A + B
転送時: C + B
受信時: C + D
センサノード
アプリケーション
D. 通知
C. 受信
A.送信
LECTES (MACレイヤ)
ヘッダ データ Delay
B. 送信
ヘッダ データ Delay
LECTESの特徴
• 利点
– 起動,スリープ復帰直後
も機能する
– 常に高精度を保証する
– 余分な通信を行わない
• 制限
– データを各ノード上に保
存し,後に解析するのは
不可能
実装環境
• ハードウェア: Iris mote
– CPU: Atmega1281
– 無線チップ: RF230
• OS: TinyOS2.x
• 実装言語: nesC (Network Embedded Systems
C)
LECTESの実装
• TinyOS2.xのライブラリとして実装.
– 無線通信用インタフェースを提供
• 汎用で使用できるもの全て+LECTES用インタフェース
– MACレイヤタイムスタンプによる精度向上
• 汎用性は下がる
実装
Library
プラットフォーム確認
オプションの確認
LectesC
LectesAMSend,LectesReceive,
LectesSnoop,LectesInfo
Platform specific
チップの確認
LectesMessageC
LectesAMSend,LectesReceive,
LectesSnoop,LectesInfo
Radio chip specific
RF230LectesMessageC
SubSend,SubReceive,
SubSnoop
RF230ActiveMessageC
RF230LayerC
IEEE154Packet
IEEE154PacketC
モジュールのコネクト
パケット操作
パケットの送受信
Delay処理
PacketInvokeTime,
PacketDelay
RF230PacketC
LECTESの情報格納
評価実験
• 実験対象
– Simple
• 1Hzで照度をセンシングし,ID,シーケンス番号,時間,
照度,電圧を送信する
– FTSP
• simpleに加え,少ない電力で高い精度を実現している
FTSPを使用する
– LECTES
• simpleに加え,LECTESを使用する
評価項目
• 電力消費
– 無線センサノードの稼働時間の長さで評価
• 精度
– シングルホップの精度で評価
• スケーラビリティ
– 複数ホップでの精度,パケットロス率で評価
• ストレージ使用量
– バイナリ,パケットのサイズで評価
実験環境
• Simple
• FTSP & LECTES
電力消費
センサノードの稼働時間
合計稼働時間
Simple 100%
FTSP
85.1%
LECTES 101.9%
時刻の精度
FTSP
LECTES
平均エラー
1.618 μs
0.488 μs
最大エラー
13 μs
11 μs
エラーの標準偏差
1.195
0.744
エラーの標準偏差
エラーの分布
FTSP
LECTES
-3 μs
6.90%
0.16%
-2 μs
10.67%
2.47%
-1 μs
11.39%
21.45%
0 μs
36.40%
56.63%
1 μs
8.90%
17.23%
2 μs
6.66%
1.74%
3 μs
3.69%
0.24%
スケーラビリティ
Simple
FTSP
LECTES
平均エラー
n/a
7.174 μs
2.538 μs
最大エラー
n/a
49 μs
21 μs
エラーの標準偏差
n/a
2.052
1.173
パケットロス率
1.509%
2.851%
1.510%
ストレージ使用量
Simple
FTSP
LECTES
ROM
100.0%
155.4%
99.0%
RAM
100.0%
187.2%
103.5%
パケットサイズ
100.0%
154.7%
79.0-100.0%
• パケットのペイロードのサイズが小さい=電
力消費が小さい*1
*1: Panthanchai et al., An energy model for transmission in telos-based
wireless sensor networks, International Joint Conference on Computer Science &
Software Engineering, 2007.
まとめ
• 無線センサノードの,時刻がずれる問題を解
消するLECTESを提案,実装した
– LECTESは時刻同期を行わなず,時刻を推測する
– TinyOS2.xのライブラリとして実装
• LECTESの評価実験を行った
– 電力消費,精度,スケーラビリティ,ストレージ使
用量においてLECTESが優れている
• LECTESの制限
– Sinkノードが存在する必要がある
今後の展望
• スケーラビリティ,コンパティビリティの向上を
目指す.
– より大きなWSNに対応できるようにする
– 他のライブラリやプロトコルとのコンパティビリティ
を確保する
ご清聴ありがとうございました