経済学入門

経済学入門
2
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
経済学入門
2006年4月20日
前回の復習
• 経済学とは個人や企業の
選択
に関する学問
• 経済の諸問題は,利用可能な物,時間,
設備(資源)の
希少性
• から発生しています
経済学とは
• つまり,ある物を食べるには他の何かを犠
牲にしなければならない.
• この世はパラダイスではない.
• 経済学とは英語で
economics
と言います
経済学の基本問題(p.25)
1. 何がどれだけ生産されるのか.
2. どのように生産されるのか.
3. 誰に与えるか.
4. どのような方法で与えるのか.誰がこうした
経済的決定を行うのか.
経済主体の合理性
• 消費者の合理性とは?
→ 自分の満足を最大にすること
→ 満足=「効用」
• 企業の合理性とは?
→ 自分の利益を最大にすること
→ 利益=「利潤」
これが経済学の基本!
経済学は選択の科学
財物・時間はきわめて少ない,足りない
何かを得るには他を犠牲にする
四つの問題
合理性
消費者=効用最大化
企業=利潤の最大化
2 経済学とは何か(p.16)
• 経済学とは,個人,企業,政府,さらに社
会にある様々な組織が,どのように選択し,
そうした選択によって社会の資源がどのよ
うに用いられるかを研究する学問
• 重要なキーワード:
トレードオフ,インセンティブ,交換,
情報,分配
例
• 少ないお小遣いで映画を見るためにはCD
の購入を諦める必要がある.
• CDの値段が下がるとCDをもっと買う
• 友達とCDと本を取り替えることにより選択
の幅が広がる
• お買い物やアルバイトをするには価格や
時給が分からないと困る
2.1 トレードオフ(p.17)
• トレードオフとは,ある一つのことに資源を
多く使えば他の物に使える資源は少なくな
ること.
• 我々はすべてトレードオフに直面している
CDか映画か
自宅で勉強か図書館で勉強か
減税するか橋を建設するか政府は悩む
2.1 トレードオフ(p.18)
• 希少性のために我々はトレードオフに直
面せざるを得ない
• ある物を多く手に入れるには,他の何かを
諦めなければならない
• 個人,企業,政府,その他の組織にすべ
て当てはまる真理
2.2インセンティブ(p.18)
• トレードオフだけでは経済行動を分析でない
• 価格が上昇したときの消費者はどう行動す
るか?
• 原油や賃金の上昇に企業はどう対処する
か?
• 意思決定者は選択肢の良い面と悪い面を
比較検討する
2.2インセンティブ(p.19)
• インセンティブとは,特定の選択をすること
が意思決定者にとって望ましくなるような便
益を指す
• この便益には費用の減少も含まれる
• インセンティブ(incentive) は日本語では誘
因,経済学ではカタカナでそのままインセン
ティブと言うことが多い
大辞林を引くと
誘因.目標を達成するための刺激.
 売り上げ報奨金.
とあります.2番目の売上報奨金とは会社の
目標利益をクリアした人に特別の報奨金を
与えてセールスマンの努力を引き出すこと
を意味します.
一番大きな誘因は価格
•
•
•
•
•
•
人は価格を見て購買行動を大いに変える
ガソリン価格の上昇
MP3プレイヤーの価格の下落
ある財の価格の上昇
大卒者の所得が高卒に比べて高くなる
ある講義の単位の取得が容易になる
もっと複雑なインセンティブ
• シートベルトやエアバックの装着は交通事
故を減らすか?
• 少々事故を起こしても死なないので,運転
手はスピードを出してしまう
• 米国では交通事故が増えた.しかし,死亡
者数は減少
インセンティブ
• 意思決定者はインセンティブに反応する
• 選択行動を理解するためにはインセンティ
ブが重要である
• 制度を設計する上で正しく経済主体のイン
センティブを考慮しないと思わぬ結果とな
る
2.3交換(p.20)
• 人は一人では生きていけない
新潟で取れたお米を食べる
北海道産のサケを食べ
フランス製のバックで通学
• 様々な人々が様々な財を作ってそれを交換
• うまく機能しているのは驚き!
2.3交換(p.21)
•
•
•
•
経済活動が上手く機能している要因は?
市場における自発的交換
農民と漁民
教師,警察官,法律家,建設現場労働者
• 自分の労働力を売って所得を得て好きな物
を買っている
自発的な交換
• 現代日本での交換は自発的
• 大昔はそうではなかった
身分によって職業や消費パターンが決まる
職業選択の自由ナシ
• 買ったり,交換してから後悔することもある
• しかし契約は強制的に結ばれてはいない
市場
• 市場を英語で
Market
• 交換が行われる状況を市場という
• 具体的な財が取引される市場(いちば)だけ
ではなく様々な経済主体が直接的または間
接的に様々な形態で行われる取引の場所
全体を表します
市場経済(p.22)
•
•
•
•
•
築地の魚市場,青果市場
フリーマーケット
コンビニやデパート
生産者から卸売業,卸売業者から小売
東京証券取引所
すべて市場という概念で捉える
経済学の基本問題
1. 何がどれだけ生産されるのか.
2. どのように生産されるのか.
3. 誰に与えるか.
4. どのような方法で与えるのか.誰がこうした経
済的決定を行うのか.
政府の役割
•
•
•
•
•
市場経済では解決できない場合
道路,灯台の建設,福祉,富の不平等
市場の失敗
政府の介入
市場経済に政府の意思決定も重要な経
済を混合経済という
• 政府の失敗
2.4情報(p.25)
• 価格や内容を知るためには情報が必要
• 洋服を買う前にファッション雑誌でチェック
• インターネットの価格比較サイト
• 情報の特徴
情報を見たらお金を支払う意欲がなくなる
情報を自由に共有できる ×アンパン
情報が重要な市場
•
•
•
•
•
中古車市場
ディーラーは品質を良く知っている
耐震強度偽装,温泉偽装問題(白骨温泉)
すぐ痩せる!簡単に!
株インサイダー取引,労働者の真面目さ
情報は市場の効率性発揮について重要
2.5分配(p.27)
•
•
•
•
•
•
分配とは分け配ること 配分
「財を誰のために生産するか」に関連
財を買うためのお金がなければならない
職業による所得の不平等
世代間と世代内の不平等
政府は不平等の是正のために補助を行う
機会と結果
• 機会の平等は誰もが賛成
• 努力した人や才能のある人が報われるの
は当然,つまり結果は不平等
• しかし,ある程度の平等の確保は必要
• 社会福祉,生活保護,最低賃金
効率と平等のトレードオフ
• 悪平等は人々のインセンティブを阻害する
• 金持ちに高い税金,働く意欲が萎える
• 貧乏人に手厚い保護,自力更生の意欲を
失う
• この適度なバランスが必要
• 近年日本では不平等が高まる
経済学の五つの重要な考え方
1.
2.
3.
4.
5.
トレードオフ
インセンティブ(誘因)
交換
情報
分配
その意味
1.
2.
3.
4.
5.
資源は貴重なので何かを犠牲
意思決定者は便益に反応
自発的に交換することにより便益を得る
財や市場に関する知識は重要
生産された財がどのように行き渡るか
重要ですよ!