意思決定のプロセスは問題→解決

第9章~意思決定のプロセス~
ヒルズ、アルト、ジャリー
目的
組織における意思決定の実際を知る
「戦略、構造、イノベーション、買収」
についてどのように行うか、
行われるべきかを検討する
意思決定の定義
• 問題を特定し、解決するプロセス
 問題を特定する段階
 問題解決の段階
• プログラム化された意思決定
 内容が明確
 意思決定は体系化
• プログラム化されていない意思決定
 内容が不明確
 問題解決の手順がない
個人による意思決定
• マネジャー個人による意思決定は・・・
合理的アプローチ
 マネジャーがどのように意思決定に取り組むべきか
限定された合理性
 厳しい制約のなかでいかに意思決定を行うか
合理的アプローチ
意思決定を論理的かつ段階的に実行する
現実世界では「理想」
明確な情報が不足しても良い決断を下すこと
ができる
プログラム化された意思決定が最適
意思決定を8つの段階に分解できる
合理的アプローチ
環境を
内部、外部情報
監視する
実行
案の利点、
不利点
問題定義
最良のものを
目的を明確に
する
選択
問題の詳細
代替案の
評価
問題分析
解決策の
代替案の
策定
限定された合理性
限定された合理性
複雑で多面的な
問題に対処する際
の時間、情報、
資源の制限 トレードオフ
組織的制約
合意、共通の視点
協力、支持、企業
の
文化と構造、倫理
上の価値観の
必要性
トレードオフ
トレードオフ
トレードオフ
個人的制約:
個人的な意思決定
スタイル、感情的な
ニーズを満たし、
自己概念を維持
する必要性
トレードオフ
取引
意思決定/
選択:
質の高い
意思決定の
代替案の
探索
限定された合理性
• 直観的なプロセスと関連付けられる
– 経験や判断による意思決定
– 長年の経験に基づいたもの
– 意思決定のプロセスの迅速化
危険な2つの意思決定
1. 恣意的な意思決定
2. 数字や合理的分析に依存
組織における意思決定
• その多くが複数のマネジャーが関与している
• 組織における意思決定のプロセスは、いくつかの要因、独自
の内部構造、外部環境の安定度によって影響される
4つのタイプの意思決定プロセス
マネジメント・サイエンス・アプ
ローチ
カーネギー・モデル
漸進段階的意思決定プロセスモデル
ゴミ箱モデル
マネジメント・サイエンス・アプローチ
• マネジャー個人による合理的アプローチと類似性を持つ
• マネジメント・サイエンス・アプローチが有効な手段となるのは、
問題の分析と変数の特定および測定が可能で、論理的な構造を
与えることができる問題に適用された場合
• 定性的な要因を含む問題に対する意思決定の補助となる
• 問題点
定量データが豊富でないこと
→マネジャーが直感で感じとるしかない
カーネギー・モデル
• カーネギー・メロン大学にゆかりある、リチャード・サイアート、
ジェームズ・マーチ、ハーバート・サイモンの三者の研究に基
づく
• 個人による意思決定への限定された合理性のアプローチの
公式化と、組織の意思決定についての新たな洞察の提示に
貢献している
カーネギー・モデルにおける意思選択プロセス
コンフリクト
探索
合同の構築
不確実性
満足化を行う
意思決定行動
合同の構築
• 合同
=組織の目標や問題の優先順位について合意した数人のマネジャーの連帯
• 意思決定の際に合同が必要となる2つの理由
1.組織の目標の曖昧で各部門の業務目標に一貫性のない場合が多い
→意見の対立が生まれる
2.さまざまな制約を受ける
→時間や、資源、知的能力が足りない
• 合同構築の意味
①満足化が目的
②マネジャーは目前の問題や短期的な解決策に関心を持ち、
「不確かな探索行動」が行われる
③意思決定の問題特定段階では議論と交渉が重要
プログラム化されていない意思決定では、交渉とコンフリクトの解消が必要となる
漸進段階的意思決定モデル
• マギル大学のヘンリー・ミンツバーグらの研究
• 「組織における大規模な選択は、小さな選択の連続である」
という考え方
• 意思決定プロセスにおける中断現象=組織が段階的に意思
決定に立ち返り、新しい方策を試みなければならなくなること
• 動的要因:意思決定プロセスには解決策の再検討や出発点
に戻るループやサイクルが生じることがある
漸進段階的意思決定モデル
特定フェー
ズ
・認識=マネジャーが問題と意思決定の必要性に気づくことによって始まる
・分析
開発フェー
ズ
・解決策の形成が行われる
解決策の開発の2つの方向性
①探索手順を用いて組織の有する解決策のレパートリーの中から代替案を探し出す
②個々の問題に合わせた解決策を設計する
(問題が目新しく、過去の経験が役立たない場合)
選定フェー
ズ
・解決策が選ばれる
・選定=実行可能と思われる一つの案を評価すること
評価と選択の3つの方法
①判断(最終選択が一人の意思決定者で、選択が経験に基づく判断を伴う場合)
②交渉(選定に意思決定者のグループが関与する場合)
③認可(意思決定が組織によって公式に受け入れられた場合)
漸進的意思決定モデル
特定フェーズ
開発フェーズ
探索
選定フェーズ
選別
判断
認可
評価―選択
分析
設計
認識
分析
評価
交渉
評価―選択
内部的中断
新たな選択肢による中断
外部的中断
小さな選択が集まって大規模な意思決定を生み出している
★ゴミ箱モデル
➢組織における意思決定プロセスの
最も新しい解釈
組織における複数の
意思決定のパターンや
流れに着目
組織全体、組織中の
マネジャーが頻繁に
行っている意思決定の
考察に役立つ
★組織化された混乱
ゴミ箱モデル→高い不確実性を持った組織の
意思決定のパターンを説明
組織化された混乱
有機的な組織
通常の権威の縦の階層構造や
官僚主義的な意思決定ルールに
は依存しない
★組織化された混乱を引き起こす要因
優先順位があやふやである
曖昧さが意思決定プロセスの各段階を特徴
づけている
技術が不明瞭でよく理解されていない
意思決定に適用できる系統だったデータベースがない
人員の交代
どの意思決定においても参加者が流動的で
限られている
★出来事の流れ
➢意思決定のプロセスは問題→解決
の流れを持たない!
意思決定にかかわる出来事は4つある
問題
潜在的な
解決策
参加者
選択の機会
★結果
➢ゴミ箱モデルから生じる結果は4つ
問題が生じないのに解決策が提示される
選択が行われても問題は解決しない
問題が解決されないまま残る
いくつかの問題は解決される
★変化の激しい意思決定状況
今日では競争状態や技術の変化がかなり急速
市場データが入手できないor古くなっている
→戦略的チャンスは瞬く間に出現&消滅
意思決定の過ち
=企業としての失敗
変化の急速な環境
の中でどのように
意思決定を行って
いるの?
★成功を収めている企業
意思決定者がリアルタイムで情報を追っている
重大な意思決定に際して複数の代替案を
即座に構築している
マネジャーは現状を常に把握し
コンセンサスと助言を求めた
あらゆる人々に助言を求め
相談相手を大いに頼っていた
うえでリスクを冒して前進する
覚悟をもたなければならない
意思決定に全ての人々を巻き込み
コンセンサスの構築を試みていた
意思決定は独立的で理想主義的に行われていた
★意思決定の失敗と学習
➢意思決定は多くの失敗を生む
➢マネジャーはどの代替案なら解決できるか
マネジャー/組織
判断も予測もつかない
失
敗
失敗の可能性があっても
意思決定の学習プロセスを経験
意思決定プロセスを前進させることが重要!
↓
将来よりうまく意思決定するための
経験と知識を得る
「無秩序な活動は、秩序正しい不活動より好ましい」
★エスカレートするコミットメント
単なる失敗<エスカレートするコミットメント
調査から効果がないとはっきりわかっているのに
一つの解決策に執着してしまっている
なぜエスカレート
させるのか?
★エスカレートさせてしまう理由
マネジャーが好ましくない情報を遮断したり
歪曲している
マネジャーが誤った意思決定に個人的な責任を
負っているという背景で起こる
マネジャーがいつ
手を引くべきかわからない!
戦略が誤っているように見えても
徒労を続けてしまう
★エスカレートさせてしまう理由
現代社会では一貫性と忍耐力が評価される
一貫性のあるマネジャーは
行動方針の維持
良い指導者と見なされる
経営資源の浪費
学習の妨害
組織は試行錯誤を通じて学習するが
といった結果を招く可能性
組織の規範は一貫性を重んじる
★エスカレートするコミットメント
解決策への
学習アプローチを
採用する
意思決定における
最終的な成功への
期待
失敗
試行錯誤のプロセスを
通じて不確実性の解消