チェルノブイリ 2002.5.30 事故の概要 • 1986年4月26日(土)午前1時23分 • ウクライナ社会主義共和国のキエフ州内 の非軍事原子力発電所で発生 • 公式発表で死者31人 ソ連の原子力産業 • ソビエトの宣伝によると、この国の原子力 産業は「事故を起こさない」ものだった。し かも、事故は「起こり得ない」ものとされて いた。 • →防護服もガイガーカウンターも、事故発 生時の行動規定も持たない 安全文化の欠如 • きわめて重要な安全装置の取り外しが 個々の作業者に任される • 発電所の屋根に燃えやすいアスファルトが 重ねてある • 危険な施設で働くための適切な訓練を受 けていたのは、地位の高い管理職だけ • 『七つの巨大事故』ミッチェル 創芸出版 安全文化 • IAEA国際原子力機関の事故調査で、 • 1.設計における多重防護といった安全認識の 欠如 • 2.運転現場における規則違反 • がチェルノブイリで見られた。 • 安全確保を最優先するという意識とその実践を 個人と組織に徹底するという原子力安全文化 • 最大の教訓:安全文化の重要性 設計上の欠陥 • 低出力の状態では、出力が増加するとさら に核分裂が増加する特性がある • 制御棒の挿入速度が遅く、緊急停止に関 する設備に不備がある • 気密耐圧型の格納容器が設置されていな い • 『原子力安全白書』平成12年版 原子力安全委員 会編 RBMK型原発 • • • • 制御系が複雑 格納容器がない 緊急対応マニュアルがない 停止システムの問題 事故情報 • ソ連の公式発表は、チェルノブイリ原発で 原子炉の一つが破損し、複数の被災者が 出た、政府委員会が調査に乗り出す、とい う簡単なものだった • UPI電が80人即死、2000人が病院へ運 ばれる途中死亡と報じた • タス通信は死者は2人と発表 • 日本の新聞は、死者2000人を重視 情報の犠牲 • 事故を起こした原子炉は爆発炎上したた め、消火作業に大勢の消防士がかけつけ た。彼らは、大量の放射線を浴び、次々と 死亡していった。 • 周辺の住民の避難も事故の2日後 • 事故の様子を撮影した映画スタッフまで放 射能の犠牲になる • 『科学報道』柴田鉄治 朝日新聞社 当局が情報を流そうとしない • 1.住民のパニックを避けようとした • 2.加害産業に本来備わっている「自己防 衛」メカニズム • 3.責任の重大さ • (公式に報告されるチェルノブイリの死亡 者数がいつまでも31人である) スリーマイル島原子力発電所 • • • • • 1979年4月28日午前4時発生 運転条件に違反して運転が継続 警報が判断を混乱させた(137の警報灯) 運転員の誤動作(→炉心の損傷) 人的要因が複雑にからむことにより、設計 上の対策を超えて炉心が重大な損傷を受 ける可能性があることを現実に示した TMI原発事故の情報 • メトロポリタン・エジソン社は、事故の12時間後 最初の記者会見時に放射性微粒子が大気に漏 れだしていることを認識していたらしいが、公表 は控えた。 • 人々は騙されたのに気づいた後は、会社のどん な情報も受け入れなかった。 • 電力会社が情報を与えなかったので、原子力に 反対する側の情報源から、メディアは情報を得た JCO臨界事故 • 平成11年9月30日 • 茨城県東海村で、濃縮ウラン溶液の均一 化作業中、臨界量以上のウラン溶液を注 入したことにより、臨界状態が20時間にわ たり継続した • 作業者2名死亡 臨界事故の教訓 • 臨界事象に対する危機意識の欠如 • 「原子力の安全神話」、観念的な「絶対安 全」の標語を捨て、 • 「リスクを基準とする安全の評価」へ意識を 転回する 原子力安全委員会 • 内閣府に設置 • 原子力の安全確保について、内閣総理大 臣を通じて関係行政機関の長に勧告でき る • (内閣府に食品安全に関する新独立機関 「食品安全委員会」(仮称)を設置する方針 を固めた) • 『読売新聞』2002.5.24
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