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2003年8月1日 総合教育センター発表資料
実践発表
「評価方法の改善と
個に応じた指導の実際」
城陽市立南城陽中学校
竺沙敏彦
1.はじめに
次の問題はどの観点?
xの値がaからa+3まで増加するとき、2つの関数
y=2x2とy=7x+2の変化の割合が等しい。このと
き、aの値を求めなさい。
「数学的な見方や考え方」か?
「数学的な表現・処理」か?
数学の教師21人のうち、
見方や考え方 11人
表現・処理
10人
2.目標に準拠した評価
観点別評価の手順(1)
国立教育政策研究所(2002)
(前略)~まず「おおむね満足できる」状況(B)
か,「努力を要する」状況(C)かを判断した上で,
さらに「おおむね満足できる」状況(B)と判断され
るもののうち,児童生徒の学習の実現の程度に
ついて質的な高まりや深まりをもっていると判断
されるものを「十分満足できる」状況(A)とするこ
とが適当であると考える。(p.17)
観点別評価の手順(1)
国立教育政策研究所(2002)
(前略)~まず「おおむね満足できる」状況(B)
か,「努力を要する」状況(C)かを判断した上で,
さらに「おおむね満足できる」状況(B)と判断され
るもののうち,児童生徒の学習の実現の程度に
ついて質的な高まりや深まりをもっていると判断
されるものを「十分満足できる」状況(A)とするこ
とが適当であると考える。(p.17)
観点別評価の手順(1)
国立教育政策研究所(2002)
(前略)~まず「おおむね満足できる」状況(B)
か,「努力を要する」状況(C)かを判断した上で,
さらに「おおむね満足できる」状況(B)と判断され
るもののうち,児童生徒の学習の実現の程度に
ついて質的な高まりや深まりをもっていると判断
されるものを「十分満足できる」状況(A)とするこ
とが適当であると考える。(p.17)
観点別評価の手順(2)
根本(2002) 文部科学省視学官
「B以上と判断されるもののうち,質的あるいは
量的な高まりがあると判断されるものをA」(p.31)
「観点別評価規準」の捉え方(根
本;2002)
A
B
「B」のうち、
量的または
質的な高まりがある
「おおむね満足できる」状況
規準
C
規準に達していない
評価規準 BとA
「B」の評価規準
因数分解を利用して二次方程式を解くことができる
質的な発展
量的な発展
解の公式や平方完成
を利用して解くことが
できる
因数分解を利用して
素早く正確に解くこと
ができる
いずれも「A」の評価規準
「発展的な学習」の取り扱い
文部科学省(2002)
発展的な学習とは、学習指導要領に示す
内容を身に付けている生徒に対して、学習
指導要領に示す内容の理解をより深める
学習を行ったり、さらに進んだ内容につい
ての学習を行ったりするなどの学習指導
であるといえる。(p.4)
「発展的な学習」の取り扱い
文部科学省(2002)
発展的な学習を行ったかどうかにかかわ
らず、目標に照らして評価する。
発展的な学習に取り組まなければ高い評
価(「5」)をつけないということではない。
「B問題」と「A問題」
「B問題」 BかCか 判定する問題
(例) x2+6x+8=0 を解く
<判定基準> 60%以上正解で「B」と判定
「A問題」 AかBか 判定する問題
(例) x2+5x+8=0 を解く
<判定基準>「B問題」正答60%以上
かつ 60%以上正解で「A」と判定
または
「B問題」を90%以上正解で「A」と判定
質的
量的
A問題、B問題を使用した観点別評価
A問題
60%未満
60%以上
60%未満
C
C
B問題
60%~80%
B
A(質的高まり)
80%以上
A(量的高まり)
A
「2次方程式」に関する調査結果
0人
1
2
3
4
A
5
問
6
題
7
8
9
10
計
0人 1 2 3
0% 5 10 15
0% 5 2 6 4
10
20
1
30
40
50
60
70
80
90
100
5 2 7 4
4 5 6 7 8 9
20 25 30 35 40 45
1 2
1
1
B問題
10 11 12
50 55 60
2 2
1
2
1
2
1
1
13 14 15 16 17
65 70 75 80 85
1 1 2
1
1
1
1 1 3
1
1 1
1
1 1
1 1 2 1
1
1
1 1 2
3
1
1 1
3
1
1
1
1 3 0 2 1 3 4 5 3 5 6 10 4 11
18 19 20 計
90 95 100
30
1 1
4
1 1 12
1
1 7
1 4
10
2 8
1
1 8
3 3 1 10
6 2 8 22
1 5 3 11
2 5 7 15
16 21 24 137
3.個に応じた指導の実際
授業スタイル(パターン)の確立
計算問題の復習
計算問題の復習
前時の復習
前時の復習
場面を変えて練習量を増やす
チェックテスト
チェックテスト
講
こ義
1授業
1テーマ!
講こ義
Try&Training
Try&Training
グ
ラ
ス
・
ス
ミ
ス
曲
線
学級規模別得点(国研;2002)
36~40人の得点を100とする
120.0
115.0
110.0
105.0
全体
知識理解
表現処理
考え応用
100.0
95.0
90.0
85.0
80.0
~20
21~25
26~30
31~35
36~40
学級規模(人)
グループ間にほとんど有意差は見られなかった
少人数指導とT.T.指導の比較
神原(2003)
国立大学付属中学校
T.T.指導 40人学級
少人数指導 基礎コース 13人
発展コース 27人
2ヶ月(2年生12月~2月)にわたり授業行
い、テストの結果を分析
到達度の差に有意差は見られなかった。
T.T.と「習熟度別WS」の活用
T.T.の活用
習熟度別ワークシート
の活用
先生と一緒に
3
種
類
Aコース:基礎
教え合い
Bコース:標準
9通り
一人で学習
Cコース:応用
3
種
類
少人数指導と「習熟度別WS」の活用
3
種
類
少人数指導
の活用
習熟度別ワークシート
の活用
基礎コース
Aコース:基礎
標準コース
Bコース:標準
9通り
発展コース
Cコース:応用
3
種
類
調査の概要
単元の導入、展開時は一斉指導
診断テスト
習熟度別ワークシートを活用して、
少人数指導やT.T.指導を実践(2校時)
確認テスト
調査問題(診断テスト)
-5+3
-7+9
5+(-3)
4+(-9)
-7+(-5)
-7-5
6-(-3)
-9-(-3)
-4-(-9)
0-6
4.3-(-2.1)
-2.1-6.3
-0.3+1.5
-5/7-3/7
-1/3+1/2
6+9-4
-8-2-9
4.7+6.5-2.1
8/9-5/9-4/9
2/3-1/3+3/2
T.T.(1995)
「学習形態別」の成果
診断テスト
確認テスト
20
15
10
5
0
先生と
グループで
1人で
少人数指導のテスト結果(2003)
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
全体
基礎
診断テスト
発展
確認テスト
生徒の変容
少人数指導
(2003年5月)
T.T.
(1995年2月)
20
20
19
19
18
18
17
17
16
16
15
15
診断
確認
16.8→18.0
診断
確認
16.8→18.3
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
2003少人数
2
3
4
5
1995T.T.
縦軸:人数 横軸:(確認テスト)-(診断テスト)
6
7
8
4.今後の課題
少人数指導は優れた指導方法
か?
人物Aは犯人か?
少人数は優れてい
る?
証拠あり
肯定する証拠も
→「Aは犯人である」と言える
否定する証拠も無し
アリバイあり
→「優れている」とも
→「Aは犯人でない」と言える
「優れていない」とも
言えない
証拠無し、アリバイ無し
→「Aは犯人である」とも
「Aは犯人でない」とも
言えない
データの集積が必要
「発展的な学習」の取り扱い
2003年7月下旬
学習の「上限」撤廃へ 中教審部会が報告書
(共同通信)
要領を超える学習を明記 中教審作業チーム
(毎日新聞)
学習範囲「上限」見直し提言 学力低下批判受
け中教審部会
(共同通
信)
中教審部会 学習指導要領「歯止め規定」見
直しを提言
(読売新
・A問題、B問題を使った評価の
あり方
・少人数指導の改善
・基準問題の作成
各観点を評価するための問題
xの値がaからa+3まで増加するとき、2つの関数
y=2x2とy=7x+2の変化の割合が等しい。このと
き、aの値を求めなさい。
・発問する時期によって違う?
・指導のねらいによって違う?
・教師によって違う!
どのように整理すればよいだろう
か?
参考文献
(1) 神原一之(2003),「中学校数学科における少人数指導とTT指導との学習効
果の比較 -中学校2年生 図形の証明の指導を通して-」,全国数学教育
学会第18回研究発表会 発表資料
(2) 川崎市教育委員会,川崎市立中学校教育研究会(2002),「中学校 学習指導
事例集 -『生きる力』をはぐくむ学習指導と評価-」
(3) 国立教育政策研究所,教育課程研究センター(2002),「評価規準の作成,評
価方法の工夫改善のための参考資料(中学校)-評価規準,評価方法等の
研究開発(報告)」
(4) 清水静海(2002),「生徒が変わる評価(教師が変わる評価) 目標に準拠し
た評価の意義」,「中学校新学習指導要領に基づく学習の評価」に関する研
修会発表資料
(5) 竺沙敏彦(2002),「学級の枠を越えない習熟の程度に応じた学習指導の一
実践 -難易度別ワークシートと様々な学習形態とを組み合わせた授業を
通して-」,日本数学教育学会,第35回数学教育論文発表会論文集
参考文献
(6) 竺沙敏彦(2003),「観点別評価を行うための評価方法と評価問題の開発」,
第85回全国算数・数学教育研究(愛知)大会 発表論文(in press)
(7) 中学校学習指導要領(平成10年12月)
(8) 根本博(2002),「数学教育における評価-『評価規準』作成の意義-」,第
84回全国算数・数学教育研究(兵庫)大会講習会テキスト,pp.28~33
(9) 文部科学省(2002),「個に応じた指導に関する指導資料-発展的な学習や
補充的な学習の推進-(中学校数学編)」,文部科学省Webページ(
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/09/020916b.htm)