直接投資論(FDI)

直接投資論(FDI)
吉竹広次
直接投資(FDI)とは?
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IMFの定義
居住者による非居住者企業(子会社、関連企業等)に対
する永続的権益の取得を目的とする国際投資
企業(親会社)による投資先(子会社、関連企業、支店)
の株式取得(10%以上)、長期貸付(1年超)、再投資
TNC(多国籍企業)
国連の定義では2カ国以上にPEを所有する企業
直接投資とクロスボーダーM&A
グリーンフィ-ルドFDIとM&A
直接投資
グローバリゼーションの推進力
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2002年
直接投資/世界投資
海外子会社売上/世界貿易
海外子会社貿易/世界貿易
90年代後半 直接投資増加率 40.2%
世界貿易増加率
3.4%
世界所得増加率
1.3%
10%
2.3倍
1/3
直接投資のトレンド
直接投資
投資国 上位20ヶ国
直接投資
受入国 上位20ヶ国
直接投資
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中国のケース
貿易と投資 :
輸出の急増
260億ドル(1985)⇒2490億ドル(2002)
直接投資流入の急増
20億ドル⇒410億ドル(2002)
輸出の構造変化:
一次産品
49%(1985)⇒12%(2002)
高度技術製品
3%(1985)⇒22%(2002)
中国の優位 :
国内市場規模・成長性・労働力
サプライネットワークの急成長(内外企業クラスター・現地サプライヤーの
供給能力向上・地方政府の積極的な現地企業の集積化)
高度技術産業への直接投資 貢献 :
産業高度化 輸出競争力
先行的直接投資振興政策 :
ガイドライン作成 インセンティブ供与 経済技術特別区(EPZ)活用
直接投資の諸理論
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MacDougall Model
プロダクト・サイクル仮説(バーノン)
雁行形態発展論 (赤松 要)
H-K命題: (Hymer, Kindleberger)
内部化理論(Rugman)
折衷理論=OLI theory:(Dunning )
小宮理論
新産業組織論
直接投資と国際法制
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受入国国内法(外国投資法など)
二国間投資条約(BIT)
地域取極め
Colonia Protocol within MERCOSUR
APEC Non-Binding Investment Principles
NAFTA
COMESA
ASEAN Investment Agreement (AIA)
EU
多国間取極め
OECD投資コード
OECD-MAI
WTO-TRIM
WTO-Singapore Issue カンクン閣僚会議とその後
直接投資と国際課税
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内国法人と外国法人の区分
設立準拠法主義と管理支配地主義
国際課税方式
居住地主義(全世界所得課税・Global Taxation)
源泉地主義(Tax Exemption)
二国間租税条約
税の効率性
課税回避策: タックスヘブン 移転価格 過小資本
「有害な税の競争」論議
直接投資と貿易
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投資国の貿易への効果
輸出創出
輸出代替
輸入誘発
輸入代替
直接投資とISバランス
直接投資と貿易収支のマクロモデル分析
直接投資の便益・費用
▼便益:
資本形成・生産能力拡大
技術移転・コーポレートガバナンス会計基準/法制整備
雇用機会創出
市場アクセス
競争促進
資金調達
法人税収
受入国政府の政策への牽制
▼費用:
市場集中(独占・寡占化)
環境影響
国内政策の自立性阻害
投資のクラウディング・アウト
経済格差の拡大
優遇策
直接投資の分類
資源志向型(Resource Oriented FDI)
 市場志向型(Market Oriented FDI)
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関税回避型(Tariff Jumping FDI)
貿易摩擦回避型(Quid Pro Quo FDI)
直接投資の決定要因(政治的)
▼政治的要因
政治的社会的法的安定性
マクロ経済政策(財政・金融・為替交換性)
FDI政策
FDIの国際取決め(二国間、地域)
競争政策
貿易政策(関税, 非関税障壁)
租税政策
ハッスルコスト
直接投資の決定要因(経済的)
▼経済的要因
資源・生産志向型FDI
天然資源・原材料
低賃金労働力・熟練労働力・経営管理能力
物的インフラストラクチャー
個人・企業・企業集団などの有する技術・技術革新などの創造性
市場志向型 FDI
市場規模・一人当り所得
市場の成長性
地域・世界市場へのアクセス
消費者の嗜好特性
市場構造 (競合企業 / 卸売ネットワーク)
▼ 実証研究結果
資源志向型 一人当りGDP との負相関
市場志向型 一人当りGDP/GDP規模との正相関
直接投資政策
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Core FDI政策:
参入
許認可
操業
待遇
競争政策
FDI促進政策
第一世代政策:market friendly
第二世代政策:marketing the host country
第三世代政策:targeted approach
直接投資と技術移転
Findlay モデル
先進国の技術水準 A(t)=A0・ent
n:技術進歩率
途上国の技術水準 B(t)=f(A(t))
dB/dt=λ〔A0ent-B(t)〕
λ:技術移転係数
Bについて微分方程式を解くと
B(t) =(λ/n+λ)・A0・ent +{(n+λ)B0-λA0}e-λt/(n+λ)
tを無限大にすると
B(t)/ A(t)=λ/(n+λ)+{ B0/ A0 -λ/(n+λ)}e-(n+λ)t
n < λ であれば 技術格差 縮小
n > λ であれば 技術格差 拡大
直接投資の実務
直接投資プロジェクトのリスク分析
・プロジェクトと外部との関係が想定どおりならリスク・フリー
・不確実なリスクを分析し蓋然性の範囲で許容可能なリスクにミニマイズ
スポンサーリスク
完工リスク
カントリーリスク
プロジェクト
キャシュフローリスク
操業リスク
市場リスク
原材料リスク
直接投資の実務1 合弁事業の流れ
投資目的・経営戦略上の位置付け明確化
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投資国の選定
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投資環境等の調査
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F/S(企業化可能性調査)
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進出(投資)形態の決定
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合弁パートナーの調査・決定
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合弁契約締結
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対外直接投資に係る届け出・報告
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相手国政府等の許認可
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合弁法人設立
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工場建設・操業等
直接投資実務2 法的手続き
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事後報告:直接投資を行う場合(1件1億円以下の場合
を除く)は、日本銀行を経由して財務大臣に対し「事後報
告」を行う(証券投資(10%以下の出資を含む)や貸付期
間1年以内の貸付であっても、1億円超のもの同様)。な
お、イラク及びアンゴラの企業に対し海外直接投資を行
う場合は、財務大臣の事前許可必要。
事前届出: ①漁業②皮革・皮革製品の製造業③武器
の製造業④武器製造関連設備の製造業⑤麻薬等の製
造業
直接投資実務3 事業計画作成
①目的
②コンセプト
③立地(国、場所)
④株式・出資比率
⑤資本金
⑥役員構成
⑦投資総額
⑧組織図
⑨製品・生産規模
⑩設備計画
⑪原料調達計画
⑫人員計画
⑬販売計画
⑭収支計画・資金計画・貸借対照表
⑮投資採算
⑯業務見直し(撤退プログラム)
直接投資プロジェクトの資金調達
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本国送金: 親会社出資・融資(短期・企業間信用含む)
現地調達:
①子会社再投資(内部留保・減価償却積立金)
②子会社株式・債券発行
③現地金融機関借入(親会社保証含む)
④輸出金融(中銀再割引)
⑤リース・企業間信用
国際金融・資本市場: ADR、起債、借入
直接投資実務4
F/S フィージビリィティー調査
1.政治・経済・社会情勢 … (1)政治の安定性 (2)経済情勢
2.政府の政策・制度 …
(1)外資に対する政府の態度 (2)経済・産業政策
(3)貿易政策 (4)地域開発政策 (5)企業活動に関連する法
3.市場 ……… (1)市場の規模とその変化 (2)市場の特性 (3)流通経路
(4)マーケティング関係の法規制 (5)競合状況 (6)その他
4.生産諸条件 (1)人的資源 (2)設備、原材料、部品の調達 (3)インフラス
トラクチャー (4)公害規制と公害発生状況
5.合弁のパートナー … (1)パートナーの人的条件 (2)資金調達力 (3)政官
界あるいは業界における発言力 (4)企業の場合(業績・技
術力、従業員など)
6.資金調達・金融制度 …(1)現地における資金調達の可能性 (2)外貨取り
入れの可能性 (3)財務リスク情報
7.その他 (1)会社設立の手続き(2)本社派遣社員関係(3)対日感情(4)気候
直接投資の実務5 進出形態
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委託加工
合弁事業
完全子会社
直接投資の実務6 合弁事業の注意点
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合弁出資比率
現地側出資形態
技術保護
直接投資の実務7
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政策金融と保険
海外投資金融(国際協力銀行)
国際経済調整対策特別貸付(中小企業金融公
庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫)
海外投資関係信用保証制度(信用保証協会)
海外投資保険