両眼立体視におけるゲシュタルト要因 電子システム工学専攻 11621024 廣田雅哉 ゲシュタルトと聞くとゲシュタルト崩壊を真っ先に連想するのではないか。ゲ シュタルト崩壊とは心理学における概念のひとつで、全体性を持ったまとまりの 2 要因以上が拮抗した場合、最初に知覚された要因がより強く知覚される。 これらの要因が複合する場合を両眼立体視のものとで実験を行うと ある構造から全体性が失われ、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直 近接の要因<閉合の要因<閉合の要因(凹タイプ)<閉合の要因(凸タイプ)の関係 されてしまう現象をいう。下の写真がその一例でじっと見ているとシマウマでは でグルーピング力が強いことが分かった。また、奥行きに対する刺激への応答は なくただの白と黒に溶け 1 つに見える現象である。 線形的になっており、遠いほど刺激に対する反応が弱いことが分かっている。[1] これらの順位付けは人間における危険認識に起因していると考えられる。人が 歩いている場合では、ある視覚情報が凸にグルーピングされることによりその場 所で躓かないよう脳が優先的に処理を行っている。 しかしこの情報も直前の情報と関連付けが可能なものは認識時間が短縮され、 プライムを長時間反復提示することで減じられることが確認されている。このた め一定の情報として与えられ続けると、人間はそれを知覚できない状況に陥って しまう。これが意味的飽和と呼ばれる劣化でゲシュタルト崩壊を引き起こしてし ゲシュタルト崩壊には人間の刺激に対する知覚が関わってくる。そして、その視 まう。また、これ以外にも視覚情報がほかのノイズを含み劣化している状態か原 覚情報はゲシュタルト要因に関わってくる。 型状態かではプライム反復における意味飽和効果の影響はほとんどないことが 多数の刺激が存在するとき、それらは個々に知覚されるのではなく、より大 きな範囲の、いくつかの群として知覚される傾向がある。そのまとまりを決定す るものゲシュタルト要因という。視覚情報においてデザインなどの知覚のしやす さはゲシュタルト要因にとって決定される。 分かっている。[2]このため視覚においては多少の視覚的情報劣化に左右さず、む しろプライム反復においてゲシュタルト崩壊が起こりやすい。 実際にある一定のプライム反復を目撃する例としてゲームセンターなどがあ る。照明効果が激しい筺体が目に入るとはじめは刺激を受けそれを認識するが、 ゲシュタルト要因には以下のようなものがある。 だんだんと他のことに意識が向くことが多いのではないだろうか。これはまさに 1.近接の要因 情報劣化におけるゲシュタルト崩壊である。 ゲシュタルト要因やゲシュタルト崩壊が絡んで問題となる例は交通機関など 図 1:近接の要因 の事故を招くような場合である。とっさの変化では特に突起物に対して人間は敏 空間的距離の近い者同士はまとまりやすい。 感に反応するので問題ないが長期におけるプライム反復が起こることで様々な 図 1 では 8 つの●があるが、● 問題を引き起こし事故へとつながる。そのため交通機関では視覚的なプライム反 ●のペアが 4 つあるように知覚される。 2.類同の要因 復を避けるシステムが導入されている。 引用文献: 図 2:類同の要因 [1]両眼立体視におけるゲシュタルト要因について 類似した者同士はまとまりやすい。 Technical 図 2 は 4 つずづの●と○があるが、●●と○○でまとまって知覚される。 HI2009-85,3DIT2009-34(Mar.2009) 3.閉合の要因 北野智也 Report 菊池眞之 ITE Vol.33,No.17,PP.69~72 [2]劣化した視覚刺激による意味的飽和の検討 下木戸隆司 認知心理学研究 第 4 巻第 1 号 2006,25~32 図 3:閉合の要因 参考文献: 閉じて知覚できる部分はまとまりやすい。 本能行動とゲシュタルト知覚 図 3 は[ ]で囲まれた 4 つの領域が図としてまとまって知覚される。 ゲシュタルト心理学 4.対称性の要因 線対称な線に挟まれた領域やパターンのものは図としてまとまって知覚される。 5.残りを生じさせない要因 ず全体を見てあまりが生じないように知覚される。 6.よい連続の要因 なめらかな線や共線的なものはまとまりやすい。 7.客観的構えの要因 著 著 八木冕 大村敏輔 1952 1991 九州大学出版 岩波現代叢書
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