土崎港南〒目10−56 ︵金子物産株式会社所有︶ [烏嗣離郡牒 藩政時代、土崎湊には藩 の米蔵が立ち並び、仙北地 方から雄物川の水運によっ て下された年貢米がここに 陸揚げされていた。元々、 御蔵は藩直営の米保管庫で あったが、後に金子物産㈱ がそれらの倉庫群を買い取 って現在に至っている。 明治一〇年 ︵一八七七︶ こうした伝統工法も消えてしまうのか。 の湊御蔵配置図によると、 土蔵二棟、板蔵七棟、蔵番 号 一 番 か ら 一 五 番 ま で の 構 のモルタルや土壁が随所で 成になっている。現在、旧 剥がれ落ち、外観は相当荒 倉庫の様式を利用して営業 れている。﹁土崎湊御蔵資 するレストラン ﹁湊御蔵﹂ 料館 ︵六号御蔵︶ の標柱が があるが、その後方に往時 前に立っている。 の湊御蔵が現存している。 桁行二四間、横幅四間の 六号倉庫と呼ばれる四、 細長い倉庫は、外観よりも 五番の土蔵は、今では外壁 内部を見るとその豪快な建 築様式に驚かされる。出入 口が西側 ︵湊側︶ に二つあ ることから四番蔵、五番蔵 とされたものであろう。 平屋建て、土蔵造り、和 小屋形式の蔵の内部構造の 特長は、柱や梁、棟木など 各部材の木柄が太く、いか にも力強さを感じさせる。 建坪は一三〇坪︵四二九2m︶ で、現在レストランに改造 された六番蔵よりはやや小 さい。蔵組みは陸梁から棟 木を支えるように立つ棟持 柱を舟肘木が受け止め、こ のように相互にかみあう相 欠組という工法は単純だが 頑丈で、ほかではあまり例 を見ない秋田地方独特のも のであるという。明治以降、 改造は加えられているもの の、最も原形をとどめる六 号蔵の命脈もこのままで は、もはや時間の問題であ るようだ。 ︵取材・構成/藤原優太郎︶ 湊御蔵の痛々しい外観 (6) 第1113号 報 時 建 秋 平成15年 9 月1日
© Copyright 2024 ExpyDoc