窒素RFプ ラズマの発光分光診断 - 室蘭工業大学

論
窒 素RFプ
Optical
ラズマ の発光分光 診 断
正
員
伊
藤
秀
範
(室蘭工業大学)
正
員
西
山
伸
泰
(東芝)
正
員
佐
藤
孝
紀
(室蘭工業大学)
正
員
中
尾
好
隆
(室蘭工業大学)
正
員
田
頭
博
昭
(室蘭工業大学)
Emission
文
Spectroscopic
Diagnostics
in Nitrogen
RF Discharges
Hidenori Itoh, Member (Muroran Institute of Technology), Nobuyasu Nishiyama, Member (Toshiba), Kohki Satoh,
Member, Yoshitaka Nakao, Member and Hiroaki Tagashira, Member (Muroran Institute of Technology)
The characteristics
of RF plasmas as a function of driving frequency f, 0.1- 13.56MHz
in nitrogen has been
observed by optical emission spectroscopic method. The space- and time-resolved profiles of the net excitation
rate of molecules and ions have been deduced from spatiotemporally resolved optical emission profiles of their
species, i.e. the second positive and the first negative bands. It is found that ionizations due to the secondary
electrons from the electrodes by positive ions play an important part in the maintaining mechanism at low
frequency as f<1.5MHz,
while a discharge is maintained by bulk ionizations at high frequency as f>10MHz.
results also show that a discharge at middle frequency as 1.5<f<10MHz,
The
is explained from the point of view of
the transition of the mechanism which maintains a discharge. It is also shown that the excitation profiles exhibit
double layers near the electrodes in nitrogen at 13.56MHz, 60W and the gas pressure p, p>67Pa.
キ ー ワ ー
1.
ド:発
光 分 光 診 断,RFプ
ラ ズ マ,正
イ オ ン,二
次 電 子,
ダ ブ ル レイ ヤー 、 電離 、 励起
置 分 解 で き る こ と,位 置 分 解 能 はCCDの
ま えが き
電 子 デ バ イ ス の 製 造,材
料 表 面 の 修 飾,薄
画 素 数 で 決 ま りそ
れ が 極 め て 高 い こ と,IIを ゲ ー テ ィ ン グ す る こ と に よ っ て ス
膜 の 創製 な ど
の各種 プ ロセ ス に お け る反 応 性 プ ラズ マ の利 用 技 術 は 急 速
ペ ク ト ラ ム ・プ ロ フ ァイ ル の 時 間 分 解 が 可 能 な こ と,で あ る 。
に進 歩 し,そ の 利 用 範 囲 は 広 が り続 け て い る 。こ れ ら プ ラ ズ
こ れ ま で に ゲ ー トパ ル ス 回 路 の 改 良 を 重 ね て,現 在 の 時 間 分
マ プ ロセ シ ン グ 技 術 が 今 後 さ ら に 成 熟 し発 展 し て い く た め
解 能 は5nsと
に は,プ ロ セ ス プ ラ ズ マ の 基 礎 特 性 を 的 確 に 把 握 す る こ と が
るRF周
本 研 究 の 目 的 は,時 間 分 解 能 が 改 善 さ れ た 診 断 装 置 に よ っ
必要 で あ る 。
著 者 ら は,こ
(2),こ
分 光 検 出 し,2段
こ の 診 断 装 置 は,プ
Processor)を
positive bandとlst
negative
bandの
代表 的 な
励 起 分 子 密 度 と 励 起 イ オ ン 密 度 の プ ロ フ ァ イ ル を 導 出 し,窒
メ ラ と フ レー ム メ モ
素RFプ
(Digital
ラズ マ内 部構 造 の 周波 数 依 存性 を調査 す る。
搭 載 した 計 算 機 で統 計演 算処 理 を施 し
2.
平 成13年
実験 装 置 と実 験方 法
<2・1>分光 診 断装 置
置 の 特 長 は,装 置 を移 動 さ せ る こ と な く ス ペ ク ト ラ ム 像 を 位
121巻5号,
力 波 形 の デ ー タ を モ ニ タ しな が ら,窒 素 プ ラ
発 光 の 時 空 間 分 解 測 定 を 行 っ て 、そ れ ぞ れ の 発 光 に 対 応 す る
意波 長 の発 光 プ ロ フ ァイ ル を出 力 す る も ので あ る。装
電 学 論A,
流,電
ズ マ の2nd
ラ ズ マ か らの 発 光 を
リ基 板 で デ ジ タ ル 変 換 し て 計 算 機 に 取 り込 み,DSP
て,任
電 圧,電
の イ メ ー ジ イ ン テ ン シ フ ァ イ ア(II)で 増 幅
した ス ペ ク ト ラ ム 画 像 デ ー タ をCCDカ
ラ ズマの 内部 構 造 の変化
を 調 査 す る こ と で あ る 。そ の た め に,周 波 数 を 変 化 さ せ て,
れ を容 量 結 合
ラ ズ マ に 適 用 して,各 種 プ ラ ズ マ の 基 礎 特 性 の 調 査
を 行 っ て き た(3)。
Signal
て,電 源 周 波 数 に 対 す る 窒 素RFプ
れ まで に画 像 処 理 法 と発光 分光 法 を組 み 合
わ せ た プ ラ ズ マ 診 断 法 を 開 発 し(1),
型RFプ
な り,こ れ に よ っ て 実 際 の プ ロ セ ス に 用 い られ
波数 の プ ラズ マ診 断 が可 能 に な った 。
465
実 験 装 置 の概 略 図 を図1に 示 す 。
図1
Fig.1.
Schematic
分 光 診 断 装 置 は,基
ま で のIIの
実験装置概略図
diagram
図2
of experimental
Fig.2.
本 的 に は 文 献(1)と 同 様 で あ る が,こ
れ
製 ・PG-200)に
の ス イ ッチ ン グ を5nsに
式 を 用 い て,励
置 き 換 え る こ と に よ っ て,II
な い と 思 わ れ る(5)。
は 難 し く,本
画 素数 を最大 限
素 で あ る 、 ギ ャ ッ プ 全 体 を300画
素
素 で あ れ ば0.2mmで
は0.1<f<13.56と
MHzと
図1の
Table
発 光 分 光 診 断 装 置 を 用 い て,2nd
(0,0) (C3Пu:v'=0か
negative
band
定 と し 、電 源 周 波 数f(MHz)
した 。 以 降,周
波 数fの
単位 は すべ て
す る 。使 用 し た 窒 素 ガ ス の 純 度 は99.9995%で
表1
(1)
れ らを考 慮 して い な い。
ある。
り高 い 。
<2・2> 実 験 方 法
band
f
し か し,こ れ を 分 離 して 検 出 す る こ と
研 究 で は,こ
な お 、ギ ャ ッ プ 長 は30mm一
あ り,実 際 に は こ の 問 で 画 像 を 捉 え て い る 。 し た が っ て 本 装
置 の 位 置 分 解 能 は0.2mmよ
vs
準 位 な どの 準 安 定励 起 分 子 が発 光 に 及 ぼ す 影 響 は 無 視で き
あ る の で,ギ ャ ッ プ 長30mmと
とす れ ば 位 置 分 解 能 は0.1mm,150画
and Vs/Vp
起 分 子 密 度 分 布Aj (t,x)を 予 測 し た 。(1)式 は,
の 大 き さ に よ っ て 決 ま る 。 ギ ャ ッ プ 方 向 の 画 素 数 は492で
利 用 す れ ば0.06mm/画
of Vp
階 励 起 や カ ス ケ ー ドが な い と仮 定 し て 得 ら れ る 。実 際 に はA
画 素数 と捉 え た画 像
し てCCDの
values
j準 位 の 励 起 分 子 の 拡 散 時 間 に 比 べ て τが 極 め て 小 さ く,段
す る こ とが可 能 にな った 。
画 像 デ ー タ の 位 置 分 解 能 は,CCDの
The
周 期 に 渡 っ て 記 録 す る 。 こ の 画 像 デ ー タ(Φji(t, x))か ら(1)
ゲ ー トパ ル ス 回 路 を パ ル ス 発 生 器(Princeton
Instruments社
ピー ク 電 圧 と 自 己 バ イ ア ス の ピ ー ク 電 圧 に 対 す る 比
apparatus
らB3Пg:v"=0へ
(0,0) (B2Σu+:v'=0か
2p (0, 0)と1n
1. The
values τ0
(0,0)に 関 す る τ0とkの
of and
k for 2p (0, 0) and
値
1n (0,0)
positive
の 遷 移)と1st
らX2Σg+:v"=0へ
の 遷 移)の ス ペ ク トル の 時 空 分 解 プ ロ フ ァ イ ル を 周 波 数 の 変
化 に 対 し て 測 定 す る 。 そ れ ぞ れ の ス ペ ク トル の 波 長 は,337,
391nmで
(2)
あ り,こ れ 以 降2P
(0,0),1n
(0, 0)と 表 す 。
3.
<3・1> 放 電 維 持 電 圧 と セ ル フ バ イ ア ス 電 圧
測 定 し た 時 空 分 解 発 光 プ ロ フ ァ イ ル か ら文 献(3)の
方 法 を 用 い て,N2励
時 空 間 プ ロ フ ァイ ル を 導 出
極 の 面 積 が パ ワ ー 電 極 よ り大 き い 非 対 称 放 電 と な り,パ ワ ー
す る。
電 極 側 に 負 の 直 流 電 圧,自
時 刻t'で
j 準 位 に 励 起 し た 粒 子 数 をAj (t',
x),発
命 を τと す れ ば,時
刻tで
光 実効 寿
図2は,流
i準 位 に 脱 励 起 す る 粒 子 数(発 光 強
な お,τ=(τ0-1+κ・p)-1と
位 か らi準
(0,0)と1n
(0,0)のτ0とk
電 源 周 波 数fに
強 度 φji (t,
x)か ら励 起 分 子 密 度 分 布Aj
対 して そ
の 図 は,f<1.5で,Vp
値 が 小 さ い の に 対 し て,f>10で
を 反 映 し て い る も の と考 え ら れ,f<1.5,
圧 を 表 し,Aji
位 へ の 遷 移 確 率 で あ る 。(1)式
し
は,
は,過 渡 的 な 状
態 を 表 し て い る 。これ らの 変 化 は プ ラ ズ マ の 内 部 状 態 の 変 化
こ こ で,τ0,k,Pは,
己 ク エ ン チ ン グ係 数,気
生 じる。
効 電 力60Wと
そ れ ら が い ず れ も 反 対 と な り,1.5<f<10で
τ)dt'……(1)
表 さ れ,2p
示 す 値 を 用 い た(4)。
そ れ ぞ れ 発 光 寿 命,自
はj準
圧133Pa,有
れ ぞ れ プ ロ ッ トし た も の で あ る.こ
の 値 が 大 き く,Vs/Vpの
の 値 は,表1に
己 バ イ ア ス 電 圧Vs,が
量50sccm,気
た と き の ピ ー ク 電 圧VpとVs/Vpを
度)Φji (t,x)は,
Φji(t,x)=∫t0AjiAj(t',x)exp(-t-t'/
ステ ン
レス 製 の プ ラ ズ マ 反 応 容 器 は 接 地 さ れ て い る の で,ア ー ス 電
起 分 子 数 密 度(C3Пu:v'=0)とN2+励
起 イ オ ン数 密 度(B2Σu+:v'=0)の
実験 結 果 と考 察
を そ れ ぞ れ,領
よ り発 光
な お,Vsは
域(A),
図3の
(B),
1.5<f<10,
f>10
(C)と し て 以 下 考 察 し て い く。
電 圧 波 形 でV=0と
破 線 で示 した 直線 の 間
の 距離 で ある 。
(t,x)を 予 測 し た 。 す な
わ ち,パ ル ス で シ ャ ッ タ を 開 放 し,シ ャ ッ タ 開 放 時 間 内 の 画
<3・2> 励 起 分 子 と イ オ ンの 時 空 間 プ ロ フ ァ イ ル
素 数 で 位 置 分 解 され た画 像 デ ー タ をパ ル ス 幅 の 中 央 値 の 時
(A),
刻 に お け る 空 間 プ ロ フ ァ イ ル φji (t,
x)と して 捉 え,そ
造 の 変 化 を 見 る た め に,図3に(a)
れ を1
466
(B),
次に
(C)そ れ ぞ れ の 領 域 に 対 応 し た プ ラ ズ マ の 内 部 構
B2Σu+
T.IEE Japan,
(0,0)(励 起 イ オ ン
Vol. 121-A, No.5, 2001
窒 素RFプ
(a) B2Σu+
(b) C3Пu
ラ ズ マ の 発 光分 光 診 断
0.1MHz
1MHz
6MHz
13.56MHz
図3
Fig.3.
B2Σu+ (0,0)とC3Пuの 時 空 間
プ ロ フ ァイル の周 波 数特 性 と
対応 す る電 圧 、電 流 波形
Spatiotemporal
profiles
C3П
u and
excitation
of B2
Σu+
(0, 0)
and
voltage-current
waveform
電 学 論A,
121巻5号,
平 成13年
467
密 度)と(b)
に よ る 空 間 電 荷 電 界 が 生 ず る 。こ の 空 間 電 界 に よ る 電 子 群 の
C3Пu (0,0)(励 起 分 子 密 度)の 時 空 間 プ ロ フ ァ イ ル
と そ れ に 対 応 した 電 圧,電
電 力 は 図2の
流 波 形 を 示 す 。 流 量,気
条 件 と 同 じ で あ る 。(a),
(b),い
圧,有
移 動 が ピ ー クIII,IVを
効
形 成 す る が,N2+イ
オ ン を励 起す るほ
ど の エ ネ ル ギ ー を 獲 得 で き な い の で(a)で は,こ
ずれ のプロフ
れ らに対 応
ァ イ ル と もf=0.1の
と き の 最 大 値 が240に
な るよ う に規 格
す る ピ ー ク は な い 。IVに 対 応 す る 瞬 時 陽 極 側 の ピー クVIと,
化 し て い る 。 ま た,ギ
ャ ッ プ の0,30mmに
そ れ ぞれ パ ワー
領 域(C)で
電 極,ア
見 られ るIIIに 対 応 す る ピー クVは,そ
れ ぞれ 瞬 時
陽 極 ヘ ド リ フ トす る 電 子 群 に よ っ て 形 成 さ れ る 。そ の 結 果,
ー ス電 極 が あ る。ギ ャ ッ プの 外側 に見 られ る発 光 は
電 極 を 包 み 込 む よ う な 発 光 に よ る が,そ の ま ま 出 力 して い る 。
ピ ー クIVとVIが
生 じ る 位 相 の 時 間 軸 で(b)の プ ロ フ ァ イ ル を
図3か
ら読 み 取 れ る こ と を 以 下 に 示 す 。
切 っ た 断 面 を み る と ダ ブ ル ピー ク と な り,N2ガ
(1)
(A)領 域 のf=0.1で
も ダ ブ ル レイ ヤ ー 形 成 さ れ て い る こ と を 示 す(5)。
位 相 で(a),
f=1で
は,(a),
き さ は0.2倍
は,電
(b)と もそ れ ぞ れI,
圧波 形 が 最 大値 を もつ
領 域(C)で
IIと 表 示 した ピ ー ク を も ち,
(b)と も にf=0.1と
は,(b)に
お い て も ピー クI,IIは
り,時 間 軸 で 切 っ たC3Пuの
き に く らべ て 密 度 の 大
に2つ
以 下 に な っ て い る 。ま た,(a)に は 無 い が(b)に
ス にお いて
完 全 に 無 くな
位 置 プ ロ フ ァ イ ル は,1周
の ダ ブ ル レ イ ヤ ー,III-VとIV-VIが
期内
存 在す る こ とに
新 た なIIIの ピー ク が 現 わ れ る 。こ の ピー ク は 図 に は 示 さ な か
な る 。 こ の こ と は,領 域 に お け る 放 電 維 持 は 電 子 群 に よ る 空
っ た が,f=0,2く
間 電 離 衝 突(α)作 用 が 主 体 的 で あ る こ と を 意 味 す る 。
(2)
ら い か ら 現 わ れ,次
(B)領 域 のf=6で
は,(a)の
ピ ー クIIだ け は 微 弱 な が ら(f=1の
第 に 大 き くな る。
ピ ー クIは
と き の0.2倍
ダ プ ル レ イ ヤ ー は,電 子 が 空 間 電 荷 電 界 の 向 き に し た が っ
見 え な い が,
程 度)が 見 ら
て ド リ フ ト して α作 用 に よ っ て 形 成 さ れ る わ け で あ り,診 断
れ る 。(b)も ピ ー クIが 消 失 し,IIは 微 弱 な が ら 残 り,ピ ー ク
IIIがIIよ り も大 き く な る
。IIIとほ ぼ180° ず れ た 位 相 で ピ ー
結 果 だ け か ら は 確 認 で き な い が プ ラ ズ マ バ ル ク 内 で は,振 動
クIVが 現 わ れ て い る 。さ ら にIVよ り 僅 か 遅 れ てVIの
見 られ る 。IVの ピ ー ク の 時 間 軸 で 切 る と2つ
電 界 が 存 在 して い る こ と を 予 測 さ せ る 。
<3・3> シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と の 比 較
ピー ク が
較 検 討 を し な が ら,N2RFプ
の ピー ク が 描 か
れ る ことが わ か る。
(3)
で,(a)は
空 白 で あ る 。(b)の
い る(6)。 ダ プ ル レ イ ヤ ー の 形 成 は,負
(0,0)が 検 出 で さ れ な い の
ピ ー クIIが 無 く な り,ピ ー クIII
とIVが 残 っ て い る 。 さ ら にf=6で
れ てV,IVよ
ラ ズ マ の 特 性 を 調 査 す る た め に,
並 行 し て プ ロパ ゲ ー タ 法 に よ る シ ミ ュ レー シ ョ ン を 行 っ て
(C)領 域 のf=13.56で1n
180° ず れ た 位 相 でVが
現 わ れ る 。 す な わ ち,IIIよ
り僅 か 遅 れ てVIの
ら に よ っ てH2ガ
見 られ た ピ ー クVIと ほ ぼ
報 告 は な い 。N2で
ス で 報 告 され て い る(5)が,他
起 分 子 の 生 成 レー ト,電 極 間 の
電 界,そ れ ぞ れ の 時 空 間 プ ロ フ ァイ ル の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン結
描 か れ,切 っ た 時 間 軸 か ら 短 い 時 間 の 経 過 に した が っ て 小 さ
果 で あ る 。詳 細 は 省 く が,67Pa,
い 方の ピー クが 次 第 に 大 き くな っ て い る。
周 期 目 の 結 果 で あ り,領
圧 が ほ ぼ ピー ク値 を も つ 位 相 で,ピ
のガ ス での
ダ ブ ル レ イ ヤ ー が 形 成 され る か 否 か に つ
図4(b),図5は,C3Пu励
の ピー ク が
以 上 の 結 果 か ら次 の よ うな 考 察 が 可 能 で あ る 。
性 ガ ス 以 外 で はLeroy
い て シ ミ ュ レー シ ョ ン結 果 か ら検 討 す る 。
り僅 か 遅
ピー ク が そ れ ぞ れ 見 られ る 。
IIIとIVの ピ ー ク の 時 間 軸 で 切 る と い ず れ も2つ
に お い て,電
診 断 結 果 と比
13.56MHzに
域(C)の
は(b)と 同 じ 条 件 で の 実 験 結 果 で あ り,比
領 域(A)
ー クI,II
お け る3000
結 果 を 意 味 す る 。図4(a)
較 の た め に 図4
(b)の 座 標 軸 と 同 じ に して プ ロ ッ ト し て い る 。 図4は,励
起
が 瞬 時 陰 極 近 傍 に 現 わ れ て い る 。こ れ は 直 流 グ ロ ー 放 電 の 構
分 子 の 密 度(実 験)と 生 成 レ ー ト(計 算)の プ ロ フ ァ イ ル が 定
造 と 同 じ で あ る(4)。
性 的 に 一 致 し て い る こ と を 示 し て い る 。 ま た,図5か
す な わ ち,そ
イ オ ン シ ー ス が 存 在 し,正
陰 極 か ら2次
イ オ ン に よ る γ作 用 に よ っ て 瞬 時
方 が(b)よ り も 瞬 時 陰 極 に 近 く,こ
の 場 合 と 同 じ で あ る(4)。
約1/8,
己 バ イ ア ス に よ る も の で あ る(2)。
の 図 か ら は 読 取 る こ と は 難 し い が,(a)の
域(A)で
イ オ ン に よ る2次
き な ピー ク は,電 子 群 が 瞬 時 陽 極 側 に ド リ フ トし,
る 空 間 電 荷 電 界 で あ る 。一 方,小
は 窒 素R
さ な ピー ク は 極 性 が 変 っ た
瞬 間 か ら 瞬 時 陽 極 ヘ ド リ フ トす る 電 子 と トラ ッ プ さ れ て い
ー ク
る正 イオ ンに よ る空 問電 荷 電 界で あ る。
これ ら の 結 果 か ら,ピ ー クIII-VとIV-VIは
電子 放 出 の存在 を意 味 して い
る。
領 域(B)で
置的 には 瞬 時 陽極 近 傍 で あ る。 図は 省
トラ ップ され て ほ とん ど動 けず に残 って い る正 イ オ ン によ
の 結 果 も直 流 グ ロ ー 放 電
こ の こ と は,領
7/8周 期,位
い た が,大
ピー ク の
Fプ ラ ズ マ は γ作 用 に よ っ て 放 電 が 維 持 さ れ て い て,ピ
IとIIは,正
ク が そ れ ぞ れ 見 られ る 。矢 印 の 部 分 は,時 間 的 に は そ れ ぞ れ
現 れ て い る と解 釈 で き る 。 ピー クI
とIIの 大 き さ の 違 い は,自
レイ ヤ ー に よ る も の で あ り,N2RFプ
は,ピ
ー クIIに 比 べ て 大 き なIIIとIVが,瞬
ら瞬 時
陰 極 で 電 界 が 大 き な ピー ク,図 中 の 矢 印 の 部 分 で 小 さ な ピ ー
電 子 を 放 出 し,こ れ ら の 電 子 に よ る 非 弾 性 衝 突
に よ っ て ピ ー クI,IIが
ま た,こ
れ ぞ れ 瞬時 陰 極 前面 には
ま さ に ダ ブル
ラズ マ にお いて も ダブ
ル レイ ヤ ー が 形 成 さ れ る こ と が 確 か め られ る 。た だ し,シ ミ
時陰
極 側 に 電 圧 が ピー ク値 を もつ 前 に 現 れ て い て,放 電 維 持 に 関
ュ レ ー シ ョ ン 結 果(b)がC3Пu励
して γ
作 用 が 主 体 的 で な くな っ て い る こ と が わ か る 。 周 波 数
の を 表 現 し て い る の に対 して,実
起 分 子 の 生 成 レー トそ の も
の増 加 と と も に 正 イ オ ンが バ ル ク内 に トラ ッ プ され て い っ
<2・2>
で 示 し た 通 り,2p (0, 0)の 発 光 プ ロ フ ァ イ ル を デ コ ンボ
験 か ら得 ら れ た 結 果(a)は
て,電 子 が 印 加 電 界 の 極 性 に し た が っ て プ ラ ズ マ 中 を 移 動 す
リュー シ ョン でネ ッ トの励 起 分 子 数 密度 を算 出 した も ので
る こ と に な る 。電 極 の 極 性 の 変 化 に 即 応 して 瞬 時 陽 極 側 に 向
あ り,段 階 励 起 や カ ス ケ ー ド,準 安 定 励 起 分 子 の 影 響 を 含 ん
か っ て 電 子 群 が 移 動 し,陰 極 側 で は トラ ッ プ さ れ た 正 イ オ ン
で い る 結 果 で あ る こ と に 注 意 す る 必 要 が あ る 。こ の よ う な 条
468
T. IEE Japan, Vol.121-A, No.5, 2001
窒 素RFプ
(a)
ラズマの発光分光診 断
件 下 で あ っ て も,窒 素 ガ ス 中 に お い て ダ プ ル レ イ ヤ ー の 形 成
が 確 か め られ た こ と は 重 要 で あ る と 思 わ れ る 。
<3・4> ダ ブ ル レ イ ヤ ー 形 成 の 条 件
ダ ブ ル レイ ヤ ー
が 形 成 さ れ る に は,正 イ オ ン が ギ ャ ッ プ に ト ラ ッ プ され,印
加 電 界 を 歪 ませ る程 度 の 空 間 電 荷 が 存 在 す る 必 要 が あ る 。し
た が っ て,周
波 数,電
力,気
圧(ガ ス 分 子 数 密 度)な ど の 外 部
パ ラ メー タ の 条件 に よ って ダ プ ル レイ ヤ ー が観 測 され る か
否 か が決 定 され る 。
f=13.56
(領 域(C))で,60Wの
時,ρ>67(Pa)で
ヤ ー が 観 測 さ れ た 。 ま た,133Paの
ダ ブル レイ
時,40W以
上 で観測 さ
れ た 。ダ ブ ル レ イ ヤ ー が 観 測 さ れ な く と も,ピ ー クIVあ る い
はIII,も し く は そ の 両 方 が 観 測 さ れ る が,IとIIは
さ れ ず,こ
全 く観 測
の 領 域 で は プ ラ ズ マ は α作 用 よ っ て 維 持 さ れ て い
る ことが 確認 で き た。
f=6(領
(b)
域(B))で
れ て い る が,60Wの
は,主
に プ ラ ズ マ は α作 用 よ っ て 維 持 さ
時,ρ>80(Pa)で
ピー クIIが 観 測 され,
気 圧 が 高 くな れ ば,γ 作 用 に よ る 寄 与 も 僅 か な が ら見 られ る 。
こ の 条 件 で は,133Paの
測 され る(図3)。
時 にIV-VIの
気 圧 を133Pa一
ダ ブル レイヤ ー も観
定 に して 電 力を増 加 させ
て も定 性 的 に は 大 き な 変 化 は 見 られ な か っ た 。
4.
む すび
プ ラ ズ マ 発 光 分 光 診 断 結 果 か ら,N2RFプ
調 査 し,得
(1)
ラズ マの 特性 を
られ た 結 果 を 以 下 に ま と め る 。
f<1.5MHzの
領 域 で は,プ
る 瞬 時 陰 極 に お け る2次
ラズ マ は正 イオ ンによ
電 子 放 出(γ)作用 で 維 持 さ れ,直 流 グ
ロー放 電 と同 じで ある ことがわ か った。
(2)
f<10MHzの
領 域 で は,プ ラ ズ マ は 電 子 の 衝 突 電 離
(α)作用 で 維 持 さ れ る こ と が わ か っ た 。f=13,56で,60Wの
と きp>67(Pa)で,133Paの
図4
Fig.4.
C3Пu励
ヤ ー が 観 測 さ れ,周
起 分 子 の 生 成 レ ー トの 時 空 間 プ ロ フ ァ イ ル
Spatiotemporal
profiles
of excitation
rate
と き40W以
波 数,気 圧,電
上 で,ダ
ブ ル レイ
力 な ど の 外 部 パ ラ メー タ
に よ っ て,負 性 ガ ス,水 素 ガ ス 以 外 で も ダ プ ル レ イ ヤ ー が 形
for C3Пu
成 され る ことを示 した 。
(3)
1.5<f<10の
領 域 で は,過 渡 的 な 特 性 を 示 し,プ ラ
ズ マ は α作 用 と γ作 用 で 維 持 さ れ る こ と が わ か っ た 。f=6で,
主 に プ ラ ズ マ は α作 用 よ って 維 持 さ れ て い る が,60Wの
p>80(Pa)で
γ
作 用 に よ る寄与 も僅 かな が ら見 られた 。 この
条 件 で は,133Paの
(4)
とき
f=13.56,
と き に ダ ブ ル レ イ ヤ ー も観 測 さ れ た 。
67Paで
行 っ た 計 算 機 シ ミ ュ レー シ ョ ン
の 結 果 と診 断 結 果 は 定 性 的 に一 致 し,ダ ブ ル レイ ヤ ー の 形 成
に 関 す る 推 論 の 裏 付 け が 得 られ た 。
こ の 研 究 の 一 部 は,文 部 省 科 学 研 究 費 の 補 助 を受 け て 行 わ
れ て い る。
(平 成12年9月1日
受 付,平
文
(1) H.Itoh, Y.Takeyama,
成13年1月24日
再 受 付)
献
M.Ikeda, K.Satoh, Y.Nakao and H.
Tagashira: "Spectroscopic and Image Intensified investiga図5
Fig.5.
電 学 論A,
Spatiotemporal
121巻5号,
tions of RF plasmas in H2 and CH4 mixtures", IEE Proc.-Sci.
電 界 の時 空 間 変化
variation
平 成13年
of electric
Meas. Technol., 141, 2, 95-98 (1994-2)
field
469
(2) 伊 藤 秀 範 ・池 田 誠 ・武 山 保 人 ・佐 藤 孝 紀 ・中尾 好 隆 ・田
頭 博 昭:「 画 像 処 理 法 を 用 い た プ ラ ズ マ 分 光 診 断 法 の 開
発 と 水 素RFプ
ラ ズ マ へ の 適 用 」,電 学 論C,
115, 475∼80
(1995-3)
(3) 西 山 伸 泰 ・佐 藤 孝 紀 ・伊 藤 秀 範 ・中 尾 好 隆 ・田 頭 博 昭:
「13.56MHzに
お け る 窒 素RFプ
会 放 電 研 究 会 資 料,ED-97-73
(4) 岩 朝
ラ ズ マ の 特 性 」 ,電 気 学
(1997)
晃 ・近 藤 敬 一 ・生 田 信 皓:「N2ガ
ス 中 グ ロー放
電 の 分 光 学 的 検 討 」,電気 学 会 放 電 研 究 会 資 料,ED-80-34
(1997)
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プ ロパ ゲー
タ 法 に よ る 容 量 結 合 型N2RFグ
ロ ー 放 電 の 解 析 」,電 気 学
会 放 電 研 究 会 資 料,ED-99-57
(1999)
470
T. IEE Japan,
Vol.121-A , No.5, 2001