2013年6月 きちんと改善していますか、ヒューマンエラーの要因? -事故の直接原因は職員のミスでも・・・- ヒューマンエラーの要因改善でミスを減らそう 外見は明らかに職員の不注意によるミスと思えるが… -SHELLモデルによる原因分析- S:ソフトウエア(Softwear) 介助手法や業務手順などの要因 H:ハードウエア(Hardwear) 設備や機器などの要因 E:環境(Environment) 人が置かれた環境や設備などの要因 L:人(Livewear) ミスを犯した当事者の要因 L:人(Livewear) 当事者以外の関係者の要因 多くの事故報告書の事故原因欄には「職員の不注意によるミス」、再発防止策の欄に は「今後はもっと注意するよう指導した」などと書かれて処理されています。しかし、職員 のミスにもミスを誘発する要因があり、この要因を改善しないとどんなに注意力を高めて も事故は再発します。これらの職員のミスを誘発する要因を分析する手法として、 SHELLモデルという手法があります。この手法はヒューマンエラーを誘発する要因を、 右図の5つのファクターに分けて分析するものです。これらの手法を介護事故に応用し て、下記の例のように3つのファクターに簡素化するとわかりやすくなります。 ※「SHELモデル」という当事者要因を除く手法や、医療関係では患者(Patient)と管理(Management)を 加えPm-SHELLという手法もあり、また、航空機事故などでは、4M4Eという手法もあります。 離床時の移乗介助中の転倒事故が起きたら・・・ 移乗介助中に利用者を転倒させたら、誰が見ても明らかに“介助ミス”と考えてしまいます。しかし、この介助ミス を「なぜこのようなミスが起きたのだろう?ミスが起きた要因は何か?」と考えて様々な角度から分析し隠れたミス の要因を改善すれば、ミス(ヒューマンエラー)の防止につながります。 介護のヒューマンエラー要因分析(参考:SHELL モデル分析) 直接原因 一次要因 二次要因 利用者側の原因 な ぜ 利 利用者自身に 早朝に急激な低血糖を起こしていた 血糖値コントロールがうまくいっていない 用 者 が 関 す る 要 因 前日眠前の睡眠剤が残っていた 睡眠剤の処方量が多すぎる 急 に ふ (L) 居宅での介助方法と施設の介助方法が異なり慣れていなかった 動作方法に無理があった ら つ い 利用者の環境 ベッドにつかまるものがなかった 福祉用具の見直しを怠っていた た の か に関する要因 ベッドが高すぎて滑り落ちた ベッドが古いものでソファーの高さを下げられない (L) 居宅で来ていたシルクのパジャマをそのまま持ってきていた (E) パジャマが滑りやすい素材だった 介護職側の原因 な ぜ 職 介護職に関す 介助方法が不適切だった 新しい無理のない介助方法の研修を行っていない 員 が 支 る要因(S・L) 声のかけ方が不十分だった 離床時の声かけのマニュアルがない えられ 利用者の動作のクセを知らなかった 利用者別の個別介助方法の訓練を行っていなかった な か っ 介護職の環境 履物が適切でなかった 安定した履物を着用するような規則がなかった た の か に関する要因 体調が悪かった 体調が悪い職員に対する申し出を促したり、フォローする体制がない (L) 10 日前の深夜に体調急変の利用者が出て、夜勤が不安であった (E) 精神状態が不安定だった 施設側の 原因 設 備 や 施設の業務運 介助方法の徹底ができていなかった 新しい介助方法や個別利用者の介助方法の研修がない 用 具 な 営に関する要 職員が足りず急いでいた 職員の勤務シフトにより繁忙時間帯に職員が足りない ど に 不 因(S) 認定更新以外に身体機能の再評価をしていなかった 身体機能の再評価を怠っていた 備 は な 施設の設備に ベッドが低床ベッドではなかった 身体機能に合わせてベッドや福祉用具の見直しを行っていなかった か っ た 用具に関する 車椅子の肘掛が跳ね上げ式でなかった 10 年前の車椅子を使っていた か(H) 衝撃吸収マットなどを床に敷く対策をとっていなかった 要因(H・E) 居室の床が硬すぎる
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