はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 . . 第 1 章 微分方程式と近似解法 畔上 秀幸 名古屋大学 情報科学研究科 複雑系科学専攻 May 22, 2015 . . . . . . 1 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.1 はじめに (目標) 数値解析の考え方を理解する. . . . . . . 2 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.2 数値解析の考え方 数値解析における問題処理のプロセスを図 1.2.1 に示す. 熱伝導 現象 有限差分方程式 近似関数による弱形式 (連立方程式) 熱伝導方程式 (偏微分方程式) 記述方程式 数理モデル化 数値解 近似方程式 離散化 (有限差分法, 有限要素法, 境界要素法, 有限体積法, 粒子法) コンピュータ による数値計算 図 1.2.1: 数値解析における問題処理のプロセス . . . . . . 3 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3 熱伝導問題 偏微分方程式の境界値問題の基本問題として Poisson 問題が使われる. Poisson 問題は静的な釣合状態にある様々な場の現象を表す数理モデル として用いられる.ここでは,熱伝導現象を例に挙げて,Poisson 問題 がその定常的な熱の釣合状態を表していることをみてみよう.最初に, 1 次元連続体の時間発展型熱伝導問題について考えてから,d ∈ {2, 3} 次元連続体の時間発展型熱伝導問題に拡張していくことにする. . . . . . . 4 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 図 1.3.1 のような 1 次元連続体を考えよう.(0, tT ) を時間の領域, (0, l) を 1 次元連続体の領域とする.a を断面積を表す正の実定数とす る.b : (0, tT ) × (0, l) → R を単位時間, 単位体積当りに内部で発熱する 熱量,u : (0, tT ) × (0, l) → R を温度とする.このとき,b に対して,u を求めるための熱伝導方程式を熱と温度の構成方程式と Fourier の熱伝 導法則を満たす熱の釣合から求めてみよう. u,b u(t,x) b(t,x) a x=l x=0 図 1.3.1: 1 次元熱伝導問題 . . . . . . 5 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) . 定義 1.3.1 (熱と温度の構成方程式) . u (t, x) を (t, x) ∈ (0, tT ) × (0, l) における温度とする.熱が伝わる物体 の単位体積当りの熱量は w (t, x) = cV (x) u (t, x) (1.3.1) で与えられる.ここで,cV : (0, l) → R は体積熱容量を表すは正値をと る関数である. . . . . . . . 6 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) . 定義 1.3.2 (Fourier の熱伝導法則 (1 次元領域)) . u を温度とする.熱が伝わる物体のある面に対して,単位時間,単位面 積当りに通過する熱量 (熱流束) は q (t, x) = −λ (x) ∂u (t, x) ∂x (1.3.2) で与えられる.ここで,λ : (0, l) → R は熱伝導率を表すは正値をとる .関数である. u u(t,x) q(t,x) x 図 1.3.2: Fourier の熱伝導法則 . . . . . . 7 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) 任意の (t, x) ∈ (0, tT ) × (0, l) に対して,微小な adxdt における熱量 の変化は, (w (t + dt, x) − w (t, x)) adx = (b (t, x) dx − q (t, x + dx) + q (t, x)) adt となる.dx → 0, dt → 0 のとき, ∂w ∂q (t, x) = b (t, x) − (t, x) ∂t ∂x が成り立つ.さらに,(1.3.1) と (1.3.2) を用いれば, ( ) ∂ ∂u ∂u cV − λ =b ∂t ∂x ∂x が成り立つ.この方程式は熱伝導方程式とよばれる. . . . . . . 8 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) {q(t,x)adt b(t,x)adxdt a q(t,x+dx)adt dx 図 1.3.3: 熱量の釣合 熱伝導方程式は空間に関して 2 階,時間に関して 1 階の微分方程式で ある.u を一意に決定するためには,2 つの境界条件と1つの初期条 件が必要となる.例えば,次のような条件が考えられる. 1. uD : (0, tT ) → R を既知として,x = 0 において u (t, 0) = uD (t) が満たされているとする.このような u を指定する条件は基本境 界条件あるいは第 1 種境界条件,Dirichlet 条件とよばれる. . . . . . . 9 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) 2. pN : (0, tT ) → R を既知として,x = l において λ ∂u (t, l) = pN (t) ∂x が満たされているとする.このような u の導関数を指定する条件 は自然境界条件あるいは第 2 種境界条件,Neumann 条件とよば れる. 3. u0 : (0, l) → R を既知として,t = 0 において u (0, x) = u0 (x) が満たされているとする.このようなある時刻における u を指定 する条件は初期条件とよばれる. . . . . . . 10 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.1 1 次元問題 (cnt.) 初期条件は時間領域の境界条件とみなすことができる.そこで,初期 条件も含めた境界条件と偏微分方程式が満たされるような u を求める 問題は偏微分方程式の境界値問題とよばれる.熱伝導方程式は線形 2 階 偏微分方程式に分類される.その中でも,熱伝導方程式は放物型偏微分 方程式に分類される (1.4 節).定常状態のときは,b (t, x) = b (x) およ び u (t, x) = u (x) となり, ( ) d du − λ =b (1.3.3) dx dx となる.(1.3.3) は定常熱伝導方程式とよばれる.この定常熱伝導方程 式を d 次元領域に拡張したときは,後で示される (1.3.5) のような偏微 分方程式となる.これは楕円型偏微分方程式に分類されることになる (1.4 節). . . . . . . 11 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 次に d ∈ {2, 3} 次元物体における熱伝導現象を考えよう.Ω を Rd 上 の区分的に滑らかな領域として,ΓD を Ω の境界 ∂Ω の部分集合とす ¯ D とおく.b : (0, tT ) × Ω → R を単位時間, 単位体積当 る.ΓN = ∂Ω \ Γ りに内部で発熱する熱量,u : (0, tT ) × Ω → R を温度とする.このと き,Fourier の熱伝導法則は次のようになる. u,b u(t,x) uD b(t,x) ºp(t,x) x2 x1 ¡D 図 1.3.4: 2 次元熱伝導問題 . . . . . . 12 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) . 定義 1.3.3 (Fourier の熱伝導法則 (d 次元領域)) . u : (0, tT ) × Ω → R を温度とする.熱が伝わる物体のある面に対して, 単位時間,単位面積当りに通過する熱量 (熱流束) q : (0, tT ) × Ω → Rd は ∂ q1 λ11 · · · λ1d ∂x1 .. .. u = −Λ∇u .. q = ... = − ... . . . qd λd1 ··· λdd ∂ ∂xd を満たす.ここで,Λ = (λij )ij : Ω → Rd×d は熱伝導率を表す正定値実 対称行列 (定義 2.4.5) 値をとる関数である.熱伝導率が等方的であれ ば,正の実数値をとる関数 λ : Ω → R を用いて,Λ = λI (I は単位行 .列) とかくことができる.このとき, . . . . . . 13 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) . q = −λ∇u (1.3.4) .となる. . . . . . . 14 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) 任意の (t, x) ∈ (0, tT ) × Ω に対して,微小な dx1 · · · dxd dt における 熱量の変化は,ei を xi 軸方向の単位ベクトルとして, (w (t + dt, x) − w (t, x)) dx1 dx2 · · · dxd ∑ = b (t, x) − (qi (t, x + ei dxi ) − qi (t, x)) dt i∈{1,··· ,d} となる.dx1 , · · · , dxd → 0, dt → 0 のとき, ∂w =b− ∂t ∑ i∈{1,··· ,d} ∂qi ∂xi が成り立つ. . . . . . . 15 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) q(t,x+e 3 dx 3 )dx 1 dx 2 dt b(t,x)dx 1 dx 2 dx 3 dt q(t,x+e 2 dx 2 )dx 1 dx 3 dt dx 3 q(t,x+e 1 dx 1 )dx 2 dx 3 dt {q(t,x)dx 2 dx 3 dt {q(t,x)dx 1 dx 3 dt dx 1 x3 x2 x1 dx 2 {q(t,x)dx 1 dx 2 dt 図 1.3.5: 3 次元の熱量の釣合 . . . . . . 16 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) さらに,(1.3.1), (1.3.4) を用いて, cV ∂u ( ∂ − ∂x1 ∂t = cV ··· ∂ ∂xd λ11 ) . .. λd1 ··· .. . ··· ∂ λ1d ∂x1 .. .. u . . ∂ ∂x3 λdd ∂u − ∇ · (Λ∇u) = b ∂t が成り立つ.この方程式は d 次元の熱伝導方程式とよばれる.熱伝導率 が等方的であれば, cV ∂u − ∇ · (λ∇u) = b ∂t となる.さらに,λ が実定数であれば, cV ∂u − λ∆u = b ∂t . . . . . . 17 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) となる.ただし,∆ = ∇ · ∇ は Laplace 作用素,調和作用素あるいは発 散作用素とよばれる.∆ は ∇2 とかかれることもあるが,本書では ∆ を用いることにする. . . . . . . 18 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) d 次元の熱伝導方程式を満たす u を一意に決定するためには次のよう な境界条件が必要となる. 1. uD : (0, tT ) × ΓD → R を既知として, u = uD 2. on (0, tT ) × ΓD が満たされているとする (基本境界条件). pN : (0, tT ) × ΓN → R を既知として, ν · (Λ∇u) = pN on (0, tT ) × ΓN が満たされているとする (自然境界条件).熱伝導率が等方的であ れば, λ∂ν u = pN 3. on (0, tT ) × ΓN となる.ただし,∂ν ( · ) は (∂( · )/∂x) · ν を表すものとする. u0 : Ω → R を既知として,ある t0 ∈ (0, tT ) に対して u (t0 , x) = u0 (x) in x ∈ Ω が満たされているとする (初期条件). . . . . . . 19 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) 定常状態のときは,b (t, x) = b (x) および u (t, x) = u (x) となり, 熱伝導方程式は −∇ · (Λ∇u) = b (1.3.5) となる.また,∂Ω 全体で自然境界条件の場合は,定数分の不定性が残 る.u を一意に決定するためには,ΓD の大きさが零ではない必要が ある. 以上をまとめると,熱伝導問題は次のように定義される.Ω を ¯ D とす d ∈ {2, 3} 次元領域とする.また, ΓD ⊂ ∂Ω および ΓN = ∂Ω \ Γ る.cV : Ω → R は正値をとる関数とする.Λ : Ω → Rd×d は正定値実対 称行列値をとる関数とする. . . . . . . 20 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) . 問題 1.3.4 (熱伝導問題) . b : (0, tT ) × Ω → R, pN : (0, tT ) × ΓN → R, uD : (0, tT ) × ΓD → R, u0 : Ω → R が与えられたとき, ∂u − ∇ · (Λ∇u) = b in (0, tT ) × Ω, ∂t ν · (Λ∇u) = pN on (0, tT ) × ΓN , u = uD on (0, tT ) × ΓD , cV u = u0 in Ω at t = 0 を満たす u : (0, tT ) × Ω → R を求めよ. . . . . . . . 21 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . d 次元問題 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.3.2 d 次元問題 (cnt.) 定常状態のとき,熱伝導問題は次のようになる. . 問題 1.3.5 (定常熱伝導問題) . b : Ω → R, pN : ΓN → R, uD : ΓD → R が与えられたとき, − ∇ · (Λ∇u) = b in Ω, ν · (Λ∇u) = pN on ΓN , u = uD on ΓD を満たす u : Ω → R を求めよ. . 問題 1.3.5 において,Λ = I とおけば,Poisson 問題となる. . . . . . . 22 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.4 線形 2 階偏微分方程式の分類 1.3 節でみたように,熱伝導問題は時間発展問題としてみたときに放 物型に分類され,定常問題としてみたときに楕円型に分類された.ここ では,定数係数の 2 階偏微分方程式 (線形 2 階偏微分方程式) の標準形 に基づく分類法についてまとめておこう. . 定義 1.4.1 (線形 2 階偏微分方程式の分類) . 偏微分作用素 ∂/∂xi , i ∈ {1, · · · , d}, を ξi と表して,階数の和が最大の 項 (主要項) の特性方程式が f (ξ1 , ξ2 , · · · , ξd ) = 0 であるとする.この とき,次のようにいう. 1. 2. 3. . 特性方程式が (ξ1 , . . . , ξd ) = (0, . . . , 0) 以外の実数解をもたないと き,楕円型偏微分方程式という. 特性方程式が (ξ1 , . . . , ξd ) ̸= (0, . . . , 0) に対して,常に2つの異な る実数解をもつとき,双曲型偏微分方程式という. 特性方程式 f (ξ1 , ξ2 , · · · , ξd ) = 0 が ξ1 − f1 (ξ2 , · · · , ξd ) = 0 とかく ことができて,f1 (ξ2 , · · · , ξd ) = 0 が (ξ2 , . . . , ξd ) = (0, . . . , 0) 以外 の実数解をもたないとき,放物型偏微分方程式という. . . . . . . 23 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.4 線形 2 階偏微分方程式の分類 (cnt.) 楕円型偏微分方程式の典型は Laplace 方程式 ( 2 ) ∂ ∂2 u=0 ∆u = + · · · + ∂x21 ∂x2d である.実際, f (ξ1 , · · · , ξd ) = ξ12 + · · · + ξd2 = 0 となり,(x1 , . . . , xd ) = (0, . . . , 0) 以外の実数解をもたない.Laplace 方 程式の他に Poisson 方程式 ∆u = b や Helmholz 方程式 ∆u + ω 2 u = 0 なども楕円型に分類される.ただし,b と ω は実数とする.これらの特 徴は • 釣合い型であること • 閉じた境界条件が必要であること . . . . . . 24 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.4 線形 2 階偏微分方程式の分類 (cnt.) である.ただし,閉じた境界条件とは偏微分方程式が定義された領域の 境界上のすべての点において第 1 種境界条件 (Dirichlet 条件),第 2 種境 界条件 (Neumann 条件) あるいは第 3 種境界条件 (Robin 条件) が与え られていることを示す.例として,定常熱伝導 (温度),静電場 (電位), 静的線形弾性問題 (変位),理想流体の流れ場 (ポテンシャル), Stokes 流れ場 (流速と圧力) などが挙げられる. 一方,双曲型偏微分方程式の典型は波動方程式 ( 2 ) ∂2u ∂ ∂2 ∂2 2 2 u ¨ − c ∆u = 2 − c + 2+ u=0 ∂t ∂x21 ∂x2 ∂x23 である.ただし,c は正の実数で波の速度とよばれる.実際, ) ( f (ξ1 , · · · , ξd ) = ξ12 − c2 ξ22 + · · · + ξd2 = 0 となり,(x1 , . . . , xd ) ̸= (0, . . . , 0) に対して,常に2つの異なる実数解を もつ.双曲型偏微分方程式の特徴は • 時間発展型であること . . . . . . 25 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.4 線形 2 階偏微分方程式の分類 (cnt.) • 閉じた境界条件と 2 つの初期条件が必要であること である. さらに,放物型偏微分方程式の典型は拡散方程式 ( 2 ) ∂u ∂ ∂2 ∂2 u˙ − a∆u = −a + + u=0 ∂t ∂x21 ∂x22 ∂x23 である.ただし,a は正の実数で拡散係数とよばれる.実際, ( ) f (ξ1 , · · · , ξd ) = ξ1 − a ξ22 + · · · + ξd2 = 0 となる.放物型偏微分方程式の特徴は • 時間発展型であること • 閉じた境界条件と1つの初期条件が必要であること である. . . . . . . 26 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 . 定義 1.5.1 (線形性 ) . d n d 1. 関数 u : R → R が,任意の α, β ∈ R, 任意の x, y ∈ R に対して u (αx + βy) = αu (x) + βu (y) を満たすとき,u を線形関数 (linear function) , あるいは 線形作用 素 (linear operator) という. 2. 同様に,U , V をノルム空間として,写像 D : U → V が,任意の α, β ∈ R, 任意の x, y ∈ U に対して D (αx + βy) = αDx + βDy . を満たすとき,D を線形作用素 (linear operator) という. (注) 作用素は,慣例で,D (x) ではなく, Dx とかく. . . . . . . 27 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) 微分作用素は線形であることを確認しよう.関数 u : R → R の微分は du u (x + ϵ) − u (x) (x) = lim ϵ→0 dx ϵ で定義される.任意の α, β ∈ R, 任意の関数 u, v に対して d αu (x + ϵ) + βv (x + ϵ) − αu (x) − βv (x) (αu + βv) = lim ϵ→0 dx ϵ βv (x + ϵ) − βv (x) αu (x + ϵ) − αu (x) + lim = lim ϵ→0 ϵ→0 ϵ ϵ du dv =α +β dx dx が成り立つ. . . . . . . 28 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) 線形性の利点: 線形性が成立すれば微分方程式の解を解析的に得るこ とができる. (第3章) 非線形微分方程式の例 µ mg 図 1.5.1: 単振り子 . . . . . . 29 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) 図 1.5.1 のような単振り子の運動方程式は l d2 θ + g sin θ = 0 dt2 となる.sin θ は θ = 0 周りで sin θ = θ − θ3 θ5 + + ··· 3! 5! と展開できる.そこで, θ ≪ π のときには sin θ ≈ θ より,線形化で きる. . . . . . . 30 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) Van der Pol の運動方程式 ( ) du d2 u − µ 1 − u2 =0 2 dt dt を満たす u は,図 1.5.2 のように,任意の初期条件に対して,あるリ ミットサイクルに落ち込む.この現象は本質的に非線形であると考えら れる. . . . . . . 31 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) 図 1.5.2: Van der Pol の運動方程式の解の軌跡 . . . . . . 32 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) 運動方程式を非線形にする例をいくつか挙げてみる. f(u) f(u) u (a) 硬化ばね f(u) u u (b) 軟化ばね (c) がた 図 1.5.3: 非線形ばね . . . . . . 33 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) µ l l(1{cosµ) mg (a) 軟化ばね (b) 硬化ばね 図 1.5.4: 大変形による剛性の非線形性 . . . . . . 34 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.5 微分方程式の線形性 (cnt.) f(u_) f(u_) u_ (a) Coulomb 摩擦 u_ (b) 動摩擦 図 1.5.5: 摩擦による減衰の非線形性 . . . . . . 35 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.6 Poisson 問題 この教材では,次のような Poisson 問題を取り上げて,数値解析の原 理を考えていこう. . 問題 1.6.1 (1 次元 Poisson 問題) . ある b : (0, 1) → R, uD ∈ R, pN ∈ R を固定する.このとき, d2 u = b in (0, 1) , dx2 u(0) = uD , du (1) = pN dx − を満たす u : (0, 1) → R を求めよ. . . . . . . . 36 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.6 Poisson 問題 (cnt.) ¯ D とする. ΓD ⊂ ∂Ω および ΓN = ∂Ω \ Γ . 問題 1.6.2 (d 次元 Poisson 問題) . Ω ⊂ Rd , d ∈ {2, 3}, ΓD ⊂ ∂Ω, b : Ω → R, pN : ΓN → R, uD : ΓD → R を固定とする.このとき, − ∆u = b in Ω, ∂u = pN on ΓN , ∂ν u = uD on ΓD .を満たす u : Ω → R を求めよ. . . . . . . 37 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 数値解法の典型として有限差分法の考え方をみておこう. 有限差分法では,問題 1.6.1 を次のように解く. m ある自然数として,(0, 1) 上に節点 {x0 , x1 , x2 , · · · , xm }, x0 = 0, xm = 1, を等間隔に配置する.節点間の長さを h = 1/m とする.近似 関数を uh : (0, 1) → R と表して,uh (xi ) = ui とかく. ui{1 u1 um ui ui+1 u0=uD um{1 h x x0=0 x1 xi{1 xi xi+1 xm{1 xm=1 図 1.7.1: 近似関数 uh (x) . . . . . . 38 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) Taylor の公式より, duh h2 d2 uh (xi ) + (xi ) dx 2 dx2 ( ) h3 d3 uh (xi ) + O h4 + 3 6 dx duh h2 d2 uh uh (xi−1 ) = uh (xi ) − h (xi ) + (xi ) dx 2 dx2 3 3 ( ) h d uh (xi ) + O h4 − 3 6 dx uh (xi+1 ) = uh (xi ) + h が成り立つ.2 式の和をとれば uh (xi+1 ) + uh (xi−1 ) = 2uh (xi ) + h2 ( ) d2 uh (xi ) + O h4 dx2 ( ) が成り立つ.両辺を h2 で割って,O h2 を省略すれば − d2 uh uh (xi+1 ) − 2uh (xi ) + uh (xi−1 ) (xi ) = − 2 dx h2 . . . . . . 39 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) が成り立つ. . . . . . . 40 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) 自然境界条件について,Taylor の公式より, uh (xm−1 ) = uh (xm ) − h ( ) duh (xm ) + O h2 dx が成り立つ.両辺を h で割って,O (h) を省略すれば duh uh (xm ) − uh (xm−1 ) (xm ) = dx h が成り立つ. . . . . . . 41 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) したがって,uh (xi ) = ui , b (xi ) = bi とかけば,問題 1.6.1 に対して, 未知変数 u0 , u1 , u2 , · · · , um に対する m + 1 元連立 1 次方程式 u0 = uD , ui+1 − 2ui + ui−1 − = bi h2 um − um−1 = pN h i ∈ {1, 2, · · · , m − 1} , を得る.この連立 1 次方程式は一意に解ける. . . . . . . 42 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) 次に,問題 1.6.2 を有限差分法で解く手順をみてみよう. m と n をある自然数として,Ω を含む領域 D 上に節点 {x00 , x01 , x02 , · · · , xmn } を等間隔に配置する.節点間の長さを h = 1/m = 1/n とする.近似関数を uh : D → R と表して, uh (xij ) = uij とかく. xmn D xij xi j+1 xi{1 j xij xi+1 j ¡D h x00 xi j{1 図 1.7.2: 2 次元問題に対する有限差分法の節点 . . . . . . 43 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) Taylor の公式より, ∂uh h2 ∂ 2 uh (xij ) + ∂x1 2 ∂x21 3 3 ( ) h ∂ uh + (xij ) + O h4 3 6 ∂x1 ∂uh h2 ∂ 2 uh uh (xi−1 j ) = uh (xij ) − h (xij ) + ∂x1 2 ∂x21 ( ) h3 ∂ 3 uh − (xij ) + O h4 3 6 ∂x1 ∂uh h2 ∂ 2 uh uh (xi j+1 ) = uh (xij ) + h (xij ) + ∂x2 2 ∂x22 ( ) h3 ∂ 3 uh (xij ) + O h4 + 3 6 ∂x2 ∂uh h2 ∂ 2 uh uh (xi j−1 ) = uh (xij ) − h (xij ) + 2 ∂x2 2 ∂x 2 . uh (xi+1 j ) = uh (xij ) + h (xij ) (xij ) (xij ) (xij ) . . . . . 44 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) − ( ) h3 ∂ 3 uh (xij ) + O h4 3 6 ∂x2 ( ) が成り立つ.4 式の和をとって,両辺を h2 で割って,O h2 を省略す れば, ∂ 2 uh ∂ 2 uh (x ) + (xij ) ij ∂x21 ∂x22 uh (xi+1 j ) + uh (xi j+1 ) + uh (xi−1 j ) + uh (xi j−1 ) − 4uh (xij ) =− h2 が成り立つ. 基本境界条件については,ΓD 近傍の節点 xij を選んで uh (xij ) = uD (xij ) . . . . . . 45 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) で近似する.自然境界条件については,ΓD を横切る x1 方向と x2 方向 の節点間 (xij1 , xi+1 j 1 ), (xij1 , xi j+1 1 ) に対して Taylor の公式を適用 して ( ) ∂uh (xij ) + O h2 ∂x1 ( ) ∂uh (xij ) + O h2 uh (xi j+1 ) = uh (xij ) + h ∂x2 uh (xi+1 j ) = uh (xij ) + h が成り立つ.両辺を h で割って,O (h) を省略すれば, ∂uh uh (xi+1 j ) − uh (xij ) (xij ) = ∂x1 h uh (xi j+1 ) − uh (xij ) ∂uh (xij ) = ∂x2 h が成り立つ. したがって,Ω 上と Ω に隣接する節点 xij に対して,uh (xij ) = uij , b (xij ) = bij , pN (xij ) = pNij , uD (xij ) = uD ij とかいて,さらに,境界 . . . . . . 46 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) 付近の節点 xij における法線 νij の情報が与えられれば,問題 1.6.2 に 対して,未知変数 {uij }ij に対する未知変数個の連立 1 次方程式 uij = uD ij , ui+1 j + ui j+1 + ui−1 j + ui j−1 − 4uij − = bij , h2 ui+1 j − uij ui j+1 − uij νij1 + νij2 = pNij h h を得る.この連立 1 次方程式は一意に解ける. . . . . . . 47 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.7 有限差分法の考え方 (cnt.) 有限差分法について,次のことがいえる. • 境界付近の節点 xij における法線 νij の評価は容易ではない. • 一方,有限要素法は微分方程式の弱形式 (weak form) に基づく近似 解法で,このような問題は起こらない.また,誤差評価も数理的に 示すことができる. . . . . . . 48 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.8 演習問題 1. 2. 微分方程式で表させる現象を一つ挙げて,その微分方程式と境界条 件で構成された境界値問題 (初期値問題,初期値境界値問題も含 む) を示せ.また,その境界値問題は,線形 / 非線形,線形 2 階偏 微分方程式の場合は楕円型 / 双曲型 / 放物型のどれに分類されるの かを示せ. 1 次元 2 階微分方程式の境界値問題 − d2 u +u=b dx2 in (0, 1) , u(0) = uD , du (1) = pN . dx に対して,有限差分法による連立 1 次方程式を示せ.ただし, (0, 1) 上に節点 {x0 = 0, x1 , x2 , · · · , xm = 1} を等間隔に配置して, 節点間の長さを h = 1/m とする.近似関数を uh : (0, 1) → R と表 して,uh (xi ) = ui , b (xi ) = bi とかく. . . . . . . 49 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 §1.9 まとめ 数値解析の考え方を概観した. 1. 2. 3. 4. 数値解析における問題処理のプロセスでは,現象を偏微分方程式な どで数理的にモデル化し,差分方程式などで離散化し,コンピュー タによる数値計算により連立 1 次方程式を解いて,数値解を得る. 熱伝導現象は,熱量と温度の関係式 (構成方程式),Fourier の熱伝 導法則から,発熱と温度分布の関係を表す 2 階偏微分方程式の境界 値問題として数理モデル化される. 2 階偏微分方程式は,楕円型,双曲型,放物型に分類される.これ らは線形微分方程式である.非線形微分方程式の例として,単振子 の運動方程式と Van der Pol の運動方程式をみた. 有限差分法によって 1 次元 2 階微分方程式の境界値問題と Poisson 問題の近似方程式が得られるプロセスをみた. . . . . . . 50 / 51 はじめに 数値解析の考え方 熱伝導問題 線形 2 階偏微分方程式の分類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 微分方程式の線形性 Poisson 問題 有限差分法の考え方 演習問題 参考文献 [1] 菊地文雄. 有限要素法概説 : 理工学における基礎と応用. サイエンス社, 1980. [2] 藤田宏, ほか. 数理物理に現われる偏微分方程式. 岩波書店, 1977. [3] 草野尚. 境界値問題入門, 復刊. 朝倉書店, 2004. [4] 広田良吾. 差分方程式講義 : 連続より離散へ. サイエンス社, 2000. . . . . . . 51 / 51
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