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特集 骨粗鬆症
かくれ
骨粗鬆症
(2)
監修
聖隷浜松病院骨・関節外科部長 森諭史氏
目次
第1章 なぜ骨粗鬆症に注目する?
第2章 骨粗鬆症患者はどこにかくれている ?
第3章 骨粗鬆症はどのように診断、 評価する ?①
第4章 骨粗鬆症はどのように診断、 評価する ?②
第5章 骨粗鬆症はどのように治療する ?
1
骨粗鬆症の定義
・WHO(1994年)
「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の
異常を特徴とし、 骨の脆弱性が増大し、 骨折
の危険性が増大する疾患」
・ N I Hコンセンサス会議提案 (2000年)
「骨強度の低下を特徴とし、 骨折のリスクが
増大しやすくなる骨格疾患」
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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骨密度から診断した骨粗鬆症の年代別有病率
(%)
80
測定部位:腰椎L2~L4
測定部位:大腿骨頸部
(%)
80
男性
男性
女性
60
60
40
40
20
20
0
0
~39
40
50
60
年齢(歳)
70
80 ~
~39
40
50
60
70
80 ~
年齢(歳)
Yoshimura N et al. J Bone Miner Metab2009;27:620-628.
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骨密度から診断した骨粗鬆症の年代別有病率
(%)
80
測定部位:腰椎L2~L4
測定部位:大腿骨頸部
(%)
80
男性
男性
女性
60
60
40
40
20
20
0
~39
40
50
60
年齢(歳)
70
80 ~
80歳以上の女性では、
0
「2人に1人」ですね
~39
40
50
60
70
80 ~
年齢(歳)
Yoshimura N et al. J Bone Miner Metab2009;27:620-628.
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では、 「骨強度」は、
どのような要因により構成さ
れるのでしょうか?
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骨強度は、骨密度と骨質から構成されます
骨強度
=
骨密度
・BMD
BMD:Bone Mineral Density
+
骨質
・微細構造
・骨代謝回転
・微小骨折
・石灰化
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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骨強度は、骨密度と骨質から構成されます
BMD:Bone Mineral Density
骨強度
=
骨密度
・BMD
骨密度 70%
骨質 30%
と考えられています。
+
骨質
・微細構造
・骨代謝回転
・微小骨折
・石灰化
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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どのようなメカニズムで
骨強度が低下するのでしょうか?
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骨粗鬆症における骨強度低下のメカニズム
骨強度
=
骨密度
骨質(構造
+
材質
)
骨基質の変化
二次石灰化度の低下
微細構造劣化
ビタミンD、K不足
骨吸収の亢進
骨形成の低下
エストロゲン欠乏
骨形成の低下
酸化ストレス
加齢
生活習慣病
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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骨粗鬆症における骨強度低下のメカニズム
骨強度
=
骨密度
骨質(構造
+
材質
)
骨基質の変化
二次石灰化度の低下
微細構造劣化
ビタミンD、K不足
骨吸収の亢進
骨形成の低下
エストロゲン欠乏
骨形成の低下
酸化ストレス
加齢
生活習慣病
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
12
骨粗鬆症における骨強度低下のメカニズム
骨強度
=
骨密度
骨質(構造
+
材質
)
骨基質の変化
二次石灰化度の低下
微細構造劣化
ビタミンD、K不足
骨吸収の亢進
骨形成の低下
エストロゲン欠乏
骨形成の低下
酸化ストレス
加齢
多様ですね…
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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骨粗鬆症における骨強度低下のメカニズム
骨強度
=
骨密度
骨質(構造
+
材質
)
骨基質の変化
二次石灰化度の低下
微細構造劣化
ビタミンD、K不足
骨吸収の亢進
骨形 そうですね。
骨形成の低下
酸化ストレス
骨密度だけでなく、 骨強度を低下させる
原因がたくさんあります。
エストロゲン低下、加齢、さらには生活習慣病も
関係しています。
多様ですね…
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版
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生活習慣病と骨粗鬆症の関係に焦点を当てて
さらに詳しく見ていきましょう。
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生活習慣病と骨密度/骨質異常のメカニズム
骨強度
= 骨密度
+
骨質
コラーゲン架橋異常
石灰化度
酸化ス トレス増大
骨吸収の亢進
高血糖
高ホモシステイン血症
動脈硬化関連因子
ビタミンB群・葉酸不足
葉酸還元酵素多型
(C677T:TT型)
CKD
COPD
高血圧
糖尿病
脂質異常症
生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド
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このことから、
生活習慣病で診療中の患者さんは、
「かくれ骨粗鬆症」 の可能性があると
言えます。
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とくに、 これらの患者では
注意が必要です
腰背痛などの有症者
身長短縮者(2cm以上)
脊柱変形(円背、亀背)
高齢女性
検診での要精検者
ステロイ ド薬使用
両親に大腿骨近位部骨折歴あり
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先ほどの患者さんには、下記を実施し
「かくれ骨粗鬆症」 をスクリーニングします。
1. 骨密度測定、 X線検査を働きかける。
(骨粗鬆症検診なども利用)
2. 面接による骨粗鬆症ならびに
関連骨折の危険因子の有無を把握する。
3.簡便な検査を含めた身体所見を確認する。
4. X線画像で脊椎を確認してみる。
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順に見ていきましょう。
21
1. 骨密度測定を勧めましょう
国が行う骨粗鬆症検診*
*市町村が実施する検査もあります。各地域の検診については、各自治体にお問い合わせください。
また、 費用に関しては、 各自治体で異なりますので、 各自治体にお問い合わせください。
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2.面接により骨粗鬆症ならびに関連骨折の
危険因子の有無を把握しましょう
医療面接での質問のポイント
年齢および閉経時期
既往症および骨折歴
過去の骨粗鬆症検査の有無と結果
ステロイド内服の有無
大腿骨近位部骨折の家族歴
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3.参考となる身体所見を確認しましょう
★身長の低下、 脊柱変形 (円背、 亀背)
•円背は、特に骨粗鬆症の特徴的な容姿
•脊柱後弯の増強と身長の低下は、椎体の扁平化や楔状変形が複数の椎体に発生して生じることが多い。
・聴取法
「洗濯物を高いところに干せない」 「高い棚に手が届かない」 などのADLの制限や逆流性食道炎、
胃部圧迫感などの臨床症状の有無も間接的に椎体骨折の有無を知る情報になる。
・簡便な診断方法 (Rib-pelvis test)
患者を立位にして後方から肋骨と骨盤の間に手を入れて
2横指未満であれば、 腰椎椎体骨折が存在する可能性が高い。
(感度:88%、特異度:46%)
★骨粗鬆症自己評価ツール(FOSTA*)
・FOSTAが-4未満の女性の43~45%が骨粗鬆症であったと報告
*FOSTA= [体重(kg)-年齢(歳)]✕0.2 ]
骨粗鬆症の予防と治療ガイ ドライン 2011年版.
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4.脊椎のX線検査をしましょう
•椎体骨折は脊椎の側面
図で発見しやすい
•腹部、 胸部X線像に写っ
ている脊椎をもう一度
チェックしてみよう
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第2章 まとめ
•普段診療している患者の中に
「かくれ骨粗鬆症」 がいる可能性がある
•普段からの発掘意識と簡便なスクリーニン
グ検査で 「かくれ骨粗鬆症」 を見つけるこ
とが可能
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