~サイトロメガロウイルス検査のご紹介~

(平成 27 年 3 月 20 日
第 135 号)
発行元:先端医療センター 病院管理課
~サイトロメガロウイルス検査のご紹介~
先端医療センター 臨床検査技術科
物部 真恵
則政 文子
那須 浩二
当院では、血液悪性疾患に対して造血幹細胞移植を実施しています。
造血幹細胞移植後の免疫力低下状態では、感染リスクが高まります。その中でも、サイトメガロウ
イルス(CMV)は、ヘルペスウイルス科に属する DNA ウイルスで、乳幼児期に 7~9 割の日本人が
初期感染し、初期感染後は多核白血球内に潜伏しています。移植患者様の免疫力低下に伴い、CMV
が再活性化する事があります。その場合、抗ウイルス薬の予防投与や先制治療の措置が遅れると、肺
炎や胃腸炎等を引き起こし、致命的となることから CMV 感染の早期検出が重要です。
そこで今回は、臨床検査技術科で実施しているサイトメガロウイルス検査(抗原血症検査)につい
てご紹介します。
CMV 検査には、血清学的検査法や組織学
的検査、遺伝子検査等、様々な検査法があり
ます。抗原血症検査と遺伝子検査である
real-timePCR 法は定量性があり、数時間で
報告可能なため、CMV 感染のモニタリング
に有用です。現在、保険収載されている検査
法は抗原血症検査であり、私たちは間接酵
(図 1)CMV 抗原血症検査測定原理
素抗体法(図 1)を用いた CMV 抗原血症検
査を実施しています。
移植患者様の免疫力低下に伴い、CMV が再活性化すると、
pp65 抗原を標識とした間接酵素抗体法で陽性細胞(CMV 感染
細胞)は赤く染まります(図 2)
。
白血球を塗抹したスライドガラス中の多核白血球感染細胞をカ
ウントすることで、再活性化された CMV 感染細胞を血液中に有
しているかが確認できます。CMV 感染細胞数は病勢を反映する
場合が多く、治療開始や治療終了の指標としても有用です。多核
白血球数が少ない場合には評価が困難となるため、当院では
real-timePCR 法も測定し、CMV 感染の評価を行っています。
(図 2)CMV 抗原血症検査鏡顕結果
赤:陽性(CMV 感染白血球) 紫:陰性
大変手間のかかる検査ですが、院内測定を行うことで、結果報告時間の短縮に繋がりました。今後
も、患者様の治療に貢献できるように、新しい検査に積極的に取り組んで参ります。
※裏面に診療実績報告がございます。
診療実績報告
○診療科別新入院数(平成 26 年 4 月~平成 27 年 2 月)※( )内は平成 27 年 2 月分の実績を示す
細胞治療科 総合腫瘍科
血管再生科
脳血管内
治療科
眼科
耳鼻科
その他
計
63
269
0
77
62
19
3
493
(5)
(36)
(0)
(9)
(7)
(2)
(0)
(59)
○患者数(平成 26 年 4 月~平成 27 年 2 月)
入
院
新入院数
延患者数
1日平均
493
17,339
51.9
(59)
(1,535)
(54.8)
※(
新
外
来
患
前年度
同期計
520
対前年比
94.8%
)内は平成 27 年 2 月分の実績を示す
再
来
延患者数
1日平均
3,075
18,616
23,559
106.1
(249)
(1,498)
(1,903)
(100.2)