【第1部】 輸血感染症への赤十字の取り組み 2. 輸血副作用、遡及調査

【第1部】
2.
輸血感染症への赤十字の取り組み
輸血副作用、遡及調査報告の解析について
五十嵐 滋
質問)
(日本赤十字社 血液事業本部)
CMV の疑いがあった症例に対して、全て PCR が陰性であったとのことです
が、この解釈として、白血球除去フィルターを使用しているから CMV が除去さ
れて感染しなかったと考えてよろしいでしょうか。
回答)
実際のところ、輸血で感染しているかどうかはまだ分かりません。低出生体重
児の多くは、輸血前も輸血後も検体が殆ど無いという状況です。DNA は検出さ
れないのですが、低出生体重児は免疫能が無いような状況と思いますので、血液
で感染していないと言い切れません。可能であれば、今後、血液以外でも良いの
で、唾液や尿などでも DNA 検査出来るので、輸血前後の検体保管をお願いして
いかなければならないと思っています。
コメント) 当院でも新生児を診療しています。カリウムの上昇を考えて、事前に CMV
が除去されている製剤は日数が経っている関係で、なるべく新しい血液を使用
するため CMV 陰性血液は準備していながら使用できていない状況です。うま
く使用出来れば良いと考えています。今後は陰性血を使用したいと思います。
質問)
日本赤十字社では保管検体を 11 年間保管していますが、医療機関ではどのく
らいの期間、輸血前後の血液を保管すれば良いでしょうか。
回答)
輸血後の検査をしているかどうかにもよります。実施していれば必要ないか
もしれません。先ほど申しましたが、献血者が来るのは 1 年に数回という方が
殆どです。調査に最長で 3~4 年かかっている状況です。可能であればその位保
管できると良いですが、実情は難しいと思います。
質問)
輸血した後 3 か月後に血液検査を勧めることになりますか。
回答)
それが一番ですが、退院などもあり難しい状況と思います。
質問)
インフォームドコンセントが大切で、私も外科医をやっていたので輸血する
時は輸血による感染の危険性を言いますが、もう一度来て頂くように言えてい
ない。カルテは 5 年で廃棄が可能ですが、遡及調査を考えるとインフォームド
コンセントの書類も保管しておくことが必要ですね。
回答)
血液製剤使用記録はもう少し長いです。インフォームドコンセントの書類も長
めに保管すると良いと個人的には考えています。