Metabolic Syndrome キーワードは、 『インスリン抵抗性から内臓脂肪蓄積へ 』 メタボリックシンドロームとは? メタボリックシンドロームの有無による 心疾患事故の累積発生率 複数の動脈硬化危険因子を 重複する症候群である。 対照: 初年度に薬物治療のない男性808人 エンドポイント: 心疾患、脳卒中の発症と死亡 20 累積発生率︵ %︶ 危険因子の重複は、心血管 疾患の発症と死亡リスクを 顕著に高める。 メタボリックシンドローム(+) 15 メタボリックシンドローム(−) 10 年齢、性、喫煙、 調整後ハザード比、2.1倍 5 0 0 1 2 3 4 5 追跡期間(年) (島本和明 日本臨床 2004,62: 1053-1058) メタボリックドミノ マルチプル・リスクファクター症候群の概念 内臓脂肪症候群 松澤 1987 シンドローム X Reaven 1988 内臓脂肪蓄積 耐糖能異常 耐糖能異常 死の四重奏 Kaplan 1989 インスリン 抵抗性症候群 De Fronzo 1991 上半身肥満 肥満 耐糖能異常 2型糖尿病 インスリン抵抗性 高インスリン血症 高インスリン血症 高脂血症 高VLDL血症 高TG血症 脂質代謝異常 高血圧 高血圧 低HDL-C血症 高血圧 高血圧 動脈硬化性疾患 WHO(1999)によるメタボリックシンドロームの定義 2型糖尿病 高尿酸血症 耐糖能異常 凝固能亢進 インスリン抵抗性 高レプチン血症 少なくとも1つ + 診断には必須ではないが、 シンドロームの一部と考えられる 高血圧 肥満 脂質代謝異常 高トリグリセリド血症 低HDLコレステロール血症 微量アルブミン尿 インスリン抵抗性(耐糖能異常も含む)があって はじめてMSの基準を満たすことが出来る 少なくとも2つ メタボリックシンドローム Zimmet P.et al.:Nature, 414: 782, 2001 WHO(1999)によるメタボリックシンドロームの定義 2型糖尿病 耐糖能異常 インスリン抵抗性 少なくとも1つ + 高血圧 肥満 脂質代謝異常 高トリグリセリド血症 低HDLコレステロール血症 >140/90mmHgまたは降圧薬内服 BMI >30kg/m2 またはWH比 >0.90(男) >0.85(女) TG>150mg/dL またはHDL-C <35mg/dL(男) <40mg/dL(女) 微量アルブミン尿 少なくとも2つ 微量アルブミン尿 >20μg/分 メタボリックシンドローム メタボリックシンドローム診断基準 WHO 1999 Main criteria インスリン抵抗性 or DM / IGT / IFG EGIR 1999 Main criteria インスリン抵抗性 Other components 1)高血圧 ≥140/90 2)脂質代謝異常 3)中心性肥満 4)微量アルブミン尿 (2つ以上) Other components 1)耐糖能異常 2)高血圧 ≥140/90 いずれか3つ以上 3)脂質代謝異常 4)中心性肥満 非糖尿病に限定 (2つ以上) NCEP : National Cholesterol Education Programme NCEP ATPIII 2001 1)内臓肥満 2)高TG血症 3)低HDL-C 4)高血圧 ≥130/85 5)空腹時血糖高値 微量アルブミン尿を除外 EGIR : European Group for the Study of Insulin Resistance メタボリックシンドローム 診断基準検討委員会 血栓止血学会 腎臓病学会 循環器学会 高血圧学会 肥 満 学 会 糖尿病学会 動脈硬化学会 日本内科学会 メタボリックシンドローム診断基準(日本) 腹腔内脂肪蓄積 男性≧85cm 女性≧90cm ウエスト周囲径 (内臓脂肪面積 男女とも≧100cm2に相当) 上記に加え以下のうち2項目以上 高トリグリセライド血症 and/or 低HDLコレステロール血症 空腹時高血糖 < 40mg/dl 男女とも ≧130mg/dl 収縮期血圧 拡張期血圧 ≧150mg/dl and/or ≧ 85mg/dl ≧110mg/dl CAD(+) 内臓脂肪 内臓脂肪型肥満 皮下脂肪型肥満 内臓脂肪量が100cm2を超えた症例における 他の危険因子保有リスクの上昇 「境界型」にて管理中の男性症例575例を対象に、内臓脂肪面積を説明変数(cut off レベルは、 100cm2)としてロジスティック回帰分析を行った時の各危険因子の年齢調整オッズ比を示す。 耐糖能 インスリン抵抗性 5 *** 3.896 4 *** *** ** 2.809 2.594 2.576 3 2 メタボリックシンドローム 関連危険因子 *** 2.371 * P<0.05 ** P<0.01 *** P<0.001 *** 2.118 *** * 1.943 1.701 1.45 1 0 IFG IGT IFG DM /IGT IRI120 HOMA-R ≥63 ≥2.58 TG HDL-C BP ≥150 <40 ≥130/≥85 Mori Y, et al. Exp Clin Endocr Diab 2005; in press 内臓脂肪面積とリスクファクター保有数の関係 男性(n=479) P<0.001 2.0 リスクファクター数 2.5 P<0.001 2.0 1.5 1.5 1.0 1.0 0.5 0.5 0 10 <1 0∼ 00 12 1 5∼ 25 15 1 0∼ 50 17 ≧ 5 17 5 0 VFA(cm2) 10 <1 0∼ 00 12 1 5∼ 25 15 1 0∼ 50 17 ≧ 5 17 5 リスクファクター数 2.5 女性(n=181) VFA(cm2) 内臓脂肪面積(VFA)と今回の診断基準によるリスクファクター数、Kruakal-Wallist 検定(Mean±SE) (投稿準備中) 内臓脂肪面積とウエスト周囲径の関係 90 日本内科学会雑誌 94(4)188-203. 2005 メタボリックシンドローム診断基準(日本) 腹腔内脂肪蓄積 男性≧85cm 女性≧90cm 2に相当) (内臓脂肪面積 男女とも≧100cm 負荷後2時間血糖値は? ウエスト周囲径 ・負荷後2時間血糖値も基準に含めること 上記に加え以下のうち2項目以上 が提案されたが、健康診断などの大きな 集団でMSの診断を可能とするため空腹 高トリグリセライド血症 時のみを診断基準に加えた。 ≧150mg/dl ・委員会はMSと診断された場合は、空腹 and/or < 40mg/dl 時血糖値が正常域であっても臨床医の判 低HDLコレステロール血症 男女とも 断で糖負荷試験を行うことを薦めている。 ≧130mg/dl 収縮期血圧 拡張期血圧 空腹時高血糖 and/or ≧ 85mg/dl ≧110mg/dl メタボリックシンドロームの危険因子の 保有数と冠動脈疾患発症オッズ比 30 31.34 25 冠動脈疾患 発症オッズ比 20 15 9.70 10 5 5.09 1.00 0 0 1 2 3∼4 危険因子の数 (危険因子:高BMI、高血糖、高血圧、高トリグリセリド血症) 労働省作業関連疾患総合対策研究:宿主要因と動脈硬化性疾患に関する研究(松澤佑次) 平成7年度研究報告書 メタボリックシンドロームの概念 ちょっとの魔法? 肥満 耐糖能異常 脂質代謝異常 高血圧 一つ一つはちょっとでも、 これらの合併は心血管イベントを 相乗的に増大させる。 4つすべてそろうと 死にいたることが多い 逆にこれら4つをちょっとでいいから良く できたら、心血管イベントは減少するか? 糖尿病判定基準(日本糖尿病学会1999年) mg/dL 空腹時血糖値 糖尿病 126 IFG IFG/IGT 110 IGT 正常 140 200 負荷後2時間値 mg/dL 耐糖能別にみたメタボリックシンドロームの頻度 対照:企業の管理検診にて「境界型」にて管理中の男性症例575名 (%) NGT (n=162) 単独IFG 単独IGT IFG/IGT 71.5 45.7 52.0 (n=123) (n=46) (n=104) DM (n=140) 100 p<0.01 Odds比 2.38 76.5 53.0 MS(−) 50 MS(+) 有意差なし 23.5 平均保有数 1.16±0.07 54.3 28.5 1.24±0.08 # p<0.001 48.0 47.0 1.57±0.14 1.74±0.09 # * 1.73±0.08 # ** vs NGT * p<0.01,** p<0.001 vs 単独IFG Mori Y,et al. Exp Clin Endocr Diab 2005; in press 耐糖能別にみた心血管系疾患による死亡率 IGTはIFGと異なり心血管系疾患による死亡リスクが高い −舟形町研究− 1.00 1.00 0.99 0.98 0.97 0.98 * * 0.96 * (WHO1985年基準による) 0.95 * IGT群 糖尿病群 NGT群 0.94 0 * * 0 1 2 * 0.96 * * 累積生存率 累積生存率 * * 0.94 IFG群 糖尿病群 NFG群 0.92 3 4 5 6 7 (年) 0 * (ADA1997年基準による) 0 1 2 * 3 4 5 6 * 7 (年) 対象:2,651例 方法:舟形町住人に75gブドウ糖負荷試験を行い、WHO診断基準(1985)に基づき正常耐糖能(2,016例)、 耐糖能異常(382例)、糖尿病(新規136例、合計253例)に分類した。 さらに、試験開始時に得られた空腹時血糖値からADA診断基準(1997)に基づき再分類し、 心血管系疾患のリスクファクターについてそれぞれ検討した。 期間:観察期間7年間 Tominaga, M et al.: Diabetes Care 1999; 22(6): 920-924 メタボリックシンドロームに伴う耐糖能異常、 脂質代謝異常、高血圧には、早期介入お よび厳格なコントロールが求められる。 グルコバイは、 メタボリックシンドロームの危険因子を改善し、 心血管疾患の発症を抑制します。 STOP NIDDM STOP-NIDDM グルコバイによる2型糖尿病発症・進展予防試験 カナダ ノルウェー フィンランド オーストリア スペイン デンマーク イスラエル ドイツ スウェーデン STOP-NIDDM 試験デザイン 選定基準 • 年齢:40∼70 歳 • BMI :25 ∼ 40kg/m2 • WHO基準によるIGT • 空腹時血糖 ≥ 5.6mmol/L (≥ 100mg/dL) (月) 1 来院 6 12 18 24 30 36 プラセボ×3/日 (n = 715) グルコバイ 100 mg×3/日 (n = 714) 60 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 3 ヵ月 プラセボ 0 Placebo -1 プラセボ n = 1429 STOP NIDDM STOP NIDDM グルコバイの効果 STOP-NIDDM 糖尿病 高血圧 心筋梗塞 心血管 イベント 25% 34% 91% 49% p= 0.0015 p= 0.006 p= 0.03 p= 0.02 Chiasson JL, et al. Lancet 2002;359:2072–7 Chiasson JL, et al. JAMA 2003;290:486–94 Acarbose Meta-Analysis 対象:2型糖尿病 12ヵ月以上グルコバイを投与した 7つのプラセボ対照無作為二重盲検比較試験 対象 方法 平均治療期間 併用薬 DM薬内訳 アメリカ カナダ グルコバイ群 2型糖尿病患者 1248例 50mg×3∼200mg×3/日 プラセボ群 2型糖尿病患者 932例 3-8週間かけて段階的増量 プラセボ×3 403日 84.9 % SU剤 31% メトホルミン 4% インスリン 11% 412日 86.4 % SU剤 38% メトホルミン 5% インスリン 12% イギリス ドイツ イスラエル オーストリア ギリシャ ラトビア リトアニア Hanefeld M.,et al.The Annual Conference of the German Diabetes Association, Bremen, May 29-31 より作図 グルコバイの効果 ■HbA1Cの低下度 グルコバイ群 (n=1,248) プラセボ群 (n= 932) (%) 0.2 +0.01 -0.57 0 ■リスク低下度 心筋梗塞 心血管 イベント 64% 35% -0.2 p=0.0120 -0.4 -0.6 P<0.001 p=0.0061 Hanefeld M.,et al.European Heart Journal,25:10-16, 2004 グルコバイによる内臓脂肪、皮下脂肪の低下 グルコバイ、グリベンクラミドの比較 (cm2) 内臓脂肪面積(V) 200 150 (cm2) 200 ** V/S比 皮下脂肪面積(S) グルコバイ グリベンクラミド 1.5 * :P<0.05 対 投与前 **:P<0.01 対 投与前 150 * 1 100 100 0.5 50 0 50 投与前 24週後 0 投与前 24週後 0 投与前 24週後 対象:食事療法及び運動療法のみで治療中のNIDDM患者41例 方法:空腹時血糖160mg/dL未満の14例をグルコバイ投与群、空腹時血糖160mg/dL以上の27例を グリベンクラミド投与群に割り付け、24週間治療を行い、内臓脂肪に及ぼす影響を比較した。 投与量は担当医の判断とした。 加藤秀一ほか:糖尿病 1998; 41(4): 289-293 グルコバイの血清脂質改善効果 (mg/dL) (mg/dL) 280 40 血清脂質 p<0.001 260 240 220 200 180 160 140 前 後 トリグリセライド (n=70) p<0.001 p<0.001 38 36 34 32 30 28 前 後 総コレステロール (n=72) 26 前 後 HDL-コレステロール (n=53) バイエル薬品集計,1993 (承認申請資料) 高TG者における試験食負荷時の 血糖、血清TG値に及ぼすグルコバイの効果 血糖 血清TG (mg/dL) (mg/dL) 350 300 ** 血糖 血清TG 250 * * * 200 * ** 150 * * 100 250 150 * * 投与前 グルコバイ単回投与 グルコバイ8週投与 mean ± SEM * p<0.01, vs 投与前 ** p<0.05, vs 投与前 * 0 60 120 240 360(分) * * * * * * ** 50 0 60 120 240 360(分) Ogawa S et al: Diabetes, Obesity and Metabolism, 6, 2004; 384-390 メタボリックシンドローム 内臓肥満 脂質代謝異常 高血圧 高血糖 グルコバイ 動脈硬化 IDF CONSENSUS Agreed Components 〇 肥満 〇 TG ↑ ; HDL-C ↓ 〇 血圧↑ 〇 耐糖能異常 [?インスリン抵抗性] インスリン抵抗性について・・・ ・測定が非常に困難 ・内臓脂肪蓄積があり高トリグリセライドの場合、おそらくインスリン抵抗性があるのではないか IDF CONSENSUS メタボリックシンドローム定義 内臓肥満(CENTRAL OBESITY) 上記に加え2つ以上 ☛ トリグリセライドの上昇 ☛ 低HDLコレステロール血症 ☛ 血圧の上昇 ☛ 空腹時血糖の上昇 (or 糖尿病と診断されたことがある) IDFのメタボリックシンドローム診断基準 (2005年4月発表) カットポイント ・トリグリセライド ≥ 1.7mM(150mg/dl) ・HDL-C < 0.9mM(40mg/dl)男性 < 1.1mM(50mg/dl)女性 ・血圧 ≥ 130mmHg or ≥ 85mmHg or 降圧薬服用 ・空腹時血糖 Systolic Diastolic ≥ 5.6mM(100mg/dl)
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