部分圧縮によって加工硬化されたブランクを用いたプレス成形性の向上

33 部分圧縮によって加工硬化された
ブランクを用いたプレス成形性の向上
極限成形システム研究室 石原 翔
海外生産の増加
現地材料でのプレス成形
強度
ばらつく
OKロット
NGロット
ロット間のばらつき:大
ブランク抜き
ロットを変えると成形困難
割れ発生
絞り加工
目的
ばらつき程度の品質の低下に
対応できる成形方法の開発
成形品
割れ発生
部分圧縮によって加工硬化された
ブランクを用いたプレス成形性の向上
1.部分圧縮によるプレス成形性の向上
2.部分圧縮された円形ブランクの絞り加工
3.球頭パンチ形状の最適化
4.異なる板材のプレス成形性
部分圧縮によるプレス成形性の向上
順送成形
成形品
コイル材
部分圧縮工程を追加した順送成形
成形品
コイル材
1工程追加
部分圧縮による
割れ部分の変形抑制
ブランク
圧縮
引張試験片の部分圧縮条件
30
19
12.5
1.5
圧縮パンチ
ストッパー
しわ押え
12
ダイス
引張試験片
標
(a)部分圧縮
点
間
非圧縮部 圧縮部
距
離
10 10 10
12
50
(b)部分圧縮された試験片形状
材質 引張強さ /MPa 変形抵抗 /MPa 伸び /%
49
A1050-O
76
σ =142ε0.28
非
圧
縮
部
圧
縮
部
部分圧縮された試験片の引張試験における
ひずみと伸びに及ぼす部分圧縮率の影響
100
80
60
非
圧
縮
部
標点間伸び
30
破断
40
圧
縮
部
破断
r =5%
破断
20
破断なし
10
20
0
40
r =13%
r =21%
部分圧縮率
0
標点間伸び /%
圧縮部,非圧縮部のひずみ /%
部分圧縮率 r =
t0 - t
t0
部分圧縮によって加工硬化された
ブランクを用いたプレス成形性の向上
1.部分圧縮によるプレス成形性の向上
2.部分圧縮された円形ブランクの絞り加工
3.球頭パンチ形状の最適化
4.異なる板材のプレス成形性
ブランクの部分圧縮条件
絞り加工
圧縮箇所
パンチ
7
ブランク
ダイス
φ34 しわ押え
パンチ
15°
φ38.2
割れ
球頭パンチ 15
パンチ 15
7 15
しわ押え
30
R10
しわ押え
平底パンチ
20
ブランク
20
1.5
1.5
ブランク
ダイス
丸底パンチ
(a)丸底,平底パンチ
ダイス
(b)球頭パンチ
部分圧縮された円形ブランク
A’
5mm
A
(a)丸底パンチ
B’
A-A’断面
パンチ形状
5mm
B
(b)平底パンチ
B-B’断面
パンチ形状
4mm
C
C’
(c)球頭パンチ
R10
C-C’断面
パンチ形状
丸底パンチ,r =20%における部分圧縮後の
肉厚・硬さ・強度変化率分布
強度 = 肉厚×硬さ
肉厚・硬さ・強度変化率 /%
60
50
y
硬さ
x
硬さ
y
40
30
強度
ブランク
x
強度
ブランク
20
10
0
-10
肉厚
肉厚
-20
-30
0
5
10 15 20 25 30 0
ブランク中心からのx方向距離 /mm
(a) x方向
5
10 15 20 25 30
中央からのy方向距離 /mm
(b) y方向
部分圧縮されたブランクの絞り加工における
破断時ストロークに及ぼす部分圧縮率の影響
破断時ストローク変化率 /%
2
球頭
1.5
割れ
丸底
1
平底
0.5
圧縮なし
0
-0.5
破断時
ストローク
-1
-1.5
-2
12
14
16
18
20
22
部分圧縮率r /%
24
26
部分圧縮によって加工硬化された
ブランクを用いたプレス成形性の向上
1.部分圧縮によるプレス成形性の向上
2.部分圧縮された円形ブランクの絞り加工
3.球頭パンチ形状の最適化
4.異なる板材のプレス成形性
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
パンチ
パンチ
しわ押え
ブランク
しわ押え
ブランク
ダイス
(i) 圧縮あり
R= 5,10,15mm
ダイス
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
(i) 圧縮あり
(b)絞り
R= 5,10,15mm
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
R= 5,10,15mm
割れ
(i) 圧縮あり
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
R= 5,10,15mm
割れ
(i) 圧縮あり
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
R= 5,10,15mm
割れ
(i) 圧縮あり
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
(a)部分圧縮
R= 5,10,15mm
割れ
(i) 圧縮あり
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
部分圧縮と絞りのシミュレーション
球頭パンチ形状
しわ 球頭パンチ
押え
ダイス
R
ブランク
R= 5,10,15mm
(a)部分圧縮
割れ
(i) 圧縮あり
割れ
(b)絞り
(ii) 圧縮なし
板厚・強度変化率 /%
R =5mm,r =24%における部分圧縮後の
板厚・強度変化率分布
50
40
30
20
強度=板厚×変形抵抗 [MPa・mm]
計算
x
実験
強度
ブランク
10
0
-10
-20
-30
-40
0
板厚
t0 - t
部分圧縮率 r =
t0
5
15
20
25
30
10
ブランク中心からのx方向距離 /mm
部分圧縮されたブランクの絞り加工における
破断時ストロークに及ぼすパンチ半径の影響
破断時ストローク変化率 /%
6
球頭パンチ
4
-6
実験
R10
圧縮なし
R15
0
-4
計算
R10
R5
R
2
-2
R5
R15
破断時
ストローク
15
20
25
部分圧縮率r /%
30
35
部分圧縮によって加工硬化された
ブランクを用いたプレス成形性の向上
1.部分圧縮によるプレス成形性の向上
2.部分圧縮された円形ブランクの絞り加工
3.球頭パンチ形状の最適化
4.異なる板材のプレス成形性
異なる板材のプレス成形性
球頭パンチ 15
パンチ
ブランク
R5
7
しわ押え
ストッパー
ダイス
φ34 しわ押え
パンチ
15°
φ38.2
1.5
ブランク
ダイス
(a)圧縮条件
材質
A1050-H
A1050-O
SUS304
n値
0.05
0.28
0.44
割れ
(b)絞り条件
引張強さ /MPa 伸び /%
10
121
49
76
58
663
ひずみ = ln(
t0
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
t
破断時ストローク変化率 /%
部分圧縮されたブランクの絞り加工における
破断時ストロークに及ぼす加工硬化指数の影響
t0
)
t
部分圧縮後のブランク
SUS304(n =0.44)
O材(n =0.28)
H材(n =0.05)
0
0.1
0.2
圧縮なし
0.3
ひずみ
0.4
0.5
0.6
まとめ
1.部分圧縮の加工硬化によって圧縮部の変形が
抑制されて破断位置が変化した.
2.部分圧縮することによって圧縮部の強度が増加
した.
3.球頭パンチを用いて24%程度部分圧縮した
ブランクを絞り加工すると,破断時ストロークが
約3%増加した.