スライド 1

乗用車用スチールホイールディスクの
多段プレス成形における加工条件の決定
リム
塑性加工研究室
ディスク
乗用車用スチールホイール
1, ショックライン
2, 取付け面角部の肉厚減少
安部 洋平
ディスク成形におけるショックライン
(a)
第1段
(C)
第3段
ショックライン
(b)
第2段
(d)
第5段
・ショックラインが現れる成形をモデル化し,発生挙動を
実験と計算により調べる.
ショックライン
乗用車用ホイールディスクの約1/5
しわ押え力:19.6kN
ポンチ
素板直径:85mm(t0=0.8mm)
φ45
R=2,4mm
パンチ
φ45
φ85
R=2,4mm
φ63
φ63
(a)
しわ押え 0.8
しわ押え
R4
R4
α
φ40
φ37
押え
上工具
拡大
β
ダイス
ダイス
hc
下工具
(b)
絞り成形
曲げ戻し成形
SPCCの機械的性質
降伏点
引張強さ
F値
n値
195MPa
308MPa
527MPa
0.21
曲げ戻し成形前後の形状
ショックライン
(a)
曲げ戻し成形前
(b)
(R/t0=2.5,α=35°)
カップ底半径比:R/t0 =
曲げ戻し成形後
(β=27°)
パンチ肩半径R
初期板厚t0
ショックライン深さ比の定義
ショックライン深さ比=
窪み深さh
初期板厚t0
拡大
曲げ戻し成形中の断面形状
( R/t0=2.5 ,α=47°,β=30°)
剛塑性有限要素シミュレーションによる
軸対称変形の計算結果
摩擦係数=0.1
ポンチ
しわ押え
上工具
ダ
イ
ス
節点を拘束
下工具
(a) 絞り成形
(α=47°)
(b) 曲げ戻し成形
(β=35°)
角部の内面形状の変化(R/t0=2.5,α=48°)
上工具
β
実験
計算
押え
下工具
0
°
5
°
29
°
角部拡大
0.05mm
1mm
β
盛り上がりと窪みの変化(R/t0= 2.5,α= 47°)
ショックライン深さ比
0.10
0.08
全体 窪み
: 実験
: 計算
盛り上がり
0.06
窪み
0.04
角部拡大
0.02
0
10
20
曲げ戻し角度
β
30
/
°
40
曲げ戻し角度の増加とともに大きくなる.
ショックライン
=
盛り上がり
+
窪み
β=αー10°におけるショックライン深さ比
ショックライン深さ比
(a)β=11°
(b)β=17°
(c)β=30°
0.15
0.10
R/t 0
2.5 5.0
:実験
:計算
0.05
(b)
0
(c)
(a)
5
10 15 20 25 30 35
曲げ戻し角度 β / °
実験による曲げ戻し成形前後の肉厚の変化
(α= 47°,R/t0= 2.5 )
肉厚ひずみ
0.05
0.00
曲げ戻し前
-0.05
曲げ戻し後
-0.10
-0.15
0
5
10
15
20
25
30
35
中心からの距離 / mm
絞り加工による肉厚減少が原因
ディスク成形における取付け面角部の
肉厚減少
(a)
(b)
第1段
第2段
(C)
第3段 絞り成形時の
ポンチ角部に
なる
取付け面
(d) 第5段
肉厚減少
・取付け面角部の肉厚減少に及ぼす成形条件の影響を
実験と計算により調べる.
ディスクの2段モデル成形
しわ押え
素板
R7
11.4
ポンチ R6
φ53.4
R6
ポンチ
φ57.6
ダイス
ダイス
(a) 第1段
素板直径= 120mm、板厚t0= 1.6mm
R7
12.7
乗用車用ホイールディスクの約1/4
ダイス
(b) 第2段
潤滑剤:プレス潤滑油
SAPH440の機械的性質
降伏点
引張強さ
伸び
F値
n値
353MPa
465MPa
35.2%
780.1MPa
0.19
しわ押え
素板
R7
11.4
ポンチ
rp1
絞り比β1
ダイス
ダイス
φ53.4
R6
ポンチ
R7
φ57.6
12.7
加工条件
ダイス
(a)
第1段
(b) 第2段
実成形における計算条件
素板直径 / mm
120
初期板厚 / mm
第1段ポンチ肩半径比 rp1/t0
絞り比β1
1.6
1.88,3.75,5.63
1.76,1.91,2.08,2.25(1段成形)
潤滑剤
工具-素板間摩擦係数
プレス油
0.15
剛塑性有限要素シミュレーションによる軸対称
変形の計算結果( β1 = 1.91, rp1/t0= 3.75 )
ポンチ
しわ押え
ポンチ
ダイス
(a) 第1段
摩擦係数=0.15
ダイス
(b)
第2段
底部が第2段ポンチ角部になる
計算と実験による肉厚分布の比較
( β1 = 1.91, rp1/t0= 3.75 )
0.05
0.05
0.00
-0.05
-0.10
-0.15
計算
実験
0
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(a) 第1段
製品高さ= 13.9mm
肉厚ひずみ
肉厚ひずみ
取付け面角部
0.00
-0.05
-0.10
-0.15
計算
実験
0
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(b) 第2段
製品高さ= 14.3mm
取付け面角部最小肉厚に及ぼす
ポンチ肩半径比rp1 / t0の影響( β1 = 1.91)
角部最小肉厚ひずみ
0.00
角部最小肉厚ひずみの定義
-0.05
実験
-0.10
ポンチ
計算
ダ
イ
ス
-0.15
-0.20
-0.25
この範囲の最小肉厚
最適
0
2
4
第2段成形後の断面形状
6
8
第1段ポンチ肩半径比 rp1 / t0
10
第2段における位置の変化
( β1 = 1.91, rp1/t0= 3.75 )
(a)第1段成形後
(b)
第2段成形後
実験によるポンチ肩半径比を変化させたときの
肉厚分布(β1= 1.91)
0.1
肉厚減少幅Δx
0.1
Δx
第1段
0.0
-0.1
第2段
-0.2
-0.3
0
最小肉厚
ひずみεt
取付け面角部
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(a)
rp1 / t0= 1.88
肉厚ひずみ
肉厚ひずみ
0.0
第1段
-0.1
第2段
-0.2
取付け面角部
-0.3
0
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(b)
rp1 / t0= 5.63
実験による1段成形後の最小肉厚,肉厚減少幅
に及ぼすポンチ肩半径の影響(β1= 1.91)
0.3
Δx / t0
8
0.2
6
εt
4
0.1
2
0
2
4
6
8
0
第1段ポンチ肩半径比 rp1 / t0
最小肉厚,肉厚減少幅の相互作用
最小肉厚ひずみ εt
肉厚減少幅比 Δx / t0
10
取付け面角部最小肉厚に及ぼす
絞り比β1の影響(rp1/t0= 3.75)
角部最小肉厚ひずみ
0
-0.1
実験
-0.2
計算
-0.3
-0.4
-0.5
1.5
最適
1.75
2
第1段絞り比 β1
2.25 (1段成形)
0.10
0.10
0.05
0.05
0.00
-0.05
β1
1.78
1.91
2.08
-0.10
-0.15
-0.20
0
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(a)
第1段
肉厚ひずみ
肉厚ひずみ
実験による絞り比を変化させたときの
肉厚分布(rp1/t0= 3.75)
0.00
-0.05
β1
1.78
1.91
2.08
-0.10
-0.15
-0.20
0
取付け面角部
10 20 30 40 50 60 70
中心からの距離 / mm
(b)
第2段
第1段の絞り比大→肉厚減少大
小→第2段目で肉厚減少大
実成形を対象とした計算条件
R25
(a)
ポンチ R20
φ185
R25
50
しわ押え
45.5
ポンチ rp1
φ175
30
絞り比β1
ダイス
ダイス
第1段
(b) 第2段
実成形における計算条件
素板直径 / mm
板厚 / mm
摩擦係数
第1段ポンチ肩半径比 rp1/t0
410
3.5
0.15
2.0,2.86,4.29,5.71,8.57
絞り比β1
1.6, 1.8, 2.0, 2.2
実成形を対象とした計算による取付け面角部に及ぼす
ポンチ肩半径rp1/t0 ,絞り比β1の影響
0
角部最小肉厚ひずみ
角部最小肉厚ひずみ
0.00
-0.05
-0.10
-0.15
-0.20
-0.25
最適
0
2
4
6
8
10
第1段ポンチ肩半径比 rp1 / t0
(a)β1= 2.0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
1.5
最適
1.75
2
絞り比 β1
(b)rp1/t0= 4.29
2.25
実成形を対象とした計算による
変形挙動(rp1/t0=4.29, β1
=2.0 )
ポンチ
ポンチ
ダイス
(a)
第1段
ダイス
(b)
第2段
まとめ
1)ショックラインは,絞り成形におけるポ
ンチ肩部での肉厚減少により生じる.
2)ショックラインは,曲げ戻し成形におけ
る曲げ戻し角度の増加とともに大きくなる.
3)第1段成形後の肉厚減少幅および肉厚減
少の相互作用により,取付け面角部の肉厚減
少を最小にする最適な第1段のポンチ肩半径
が存在した.
4)第1段の絞り比を大きくしすぎると肉厚減
少が多くなり,最適な絞り比が存在する.