サプリメントの問題点

サプリメントの問題点
1.定義
日本でのサプリメントの定義は、曖昧でありあくまで食品としての位置づけである。
<米国 >
「栄養補助食品健康教育法案(DSHEA)」(1994 年)成立。サプリメントは「食品」と「医薬品」の中間的
存在と位置づけ。
サプリメント = 「ハーブ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養素を一種類以上含む栄養補給のための
製品」: 科学的論拠が明確であれば、製品ラベルに効果・効能を記載することができる。
<日本>
「保健機能食品」制度発足(厚生労働省 2001 年 4 月)。
「特定保健用食品(トクホ)」
生理機能などに影響を与える成分を含み、特定の保健効果(血圧、血中コレステロールなどに
対する効果)が科学的に証明されている食品。表示可能な内容に応じ個別審査にて許可。
「栄養機能食品」
ビタミン(12 種類)ミネラル(5 種類)に関して国が定めた規格基準に合致していれば、製造業者
等の責任で栄養成分に関する機能を表示することができる。(個別に厚生労働省の許可を受け
ている食品ではない)
サプリメントとは保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)のほか、いわゆる健康食品も含む。
サプリメントは医薬品のような審査を受けていないので、効果・効能を表示してはならない。さらに、1 回に
何錠飲むなどの表示もできない。あくまで食品。
医薬品
医薬品
(医薬部
外品を
含む)
名称と分類
食品
保健機能食品
特定保健用食品
(厚労省の個別許可型)
1.保健機能食品(特定保
健用食品)である旨
2. 栄 養 成 分 含 有 表 示
3. 保 健 用 途 表 示
(栄養成分機能表示)
4. 摂 取 目 安 量 ・ 方 法
5.注意喚起表示
栄養機能食品
(厚労省の規格基準
型)
一般食品
(いわゆる健康食品を含む)
健康補助食品
栄養補助食品
その他の食
(日本健康栄養食
品
品協会の規格基
準)
表示内容
1. 保健機能食品(栄 1.日本健康栄養
養機能食品)である旨 食品協会認定健
2.栄養成分含有表示 康補助食品である
3.栄養成分機能表示 旨
4. 摂 取 目 安 量 ・ 方 法 2.栄養成分含有
5. 厚生労働省による 表示
個 別 審 査 を 受 けた も 3.注意喚起表示
の で は な い 旨
6.注意喚起表示
1.栄養成分含
有表示
2.注意喚起表
示
2.健康食品による健康被害
様々な健康食品の摂取による重篤な健康被害(死亡、肝障害、甲状腺機能障害など)が多数発生してい
る。
具体的な症例等については、
厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/index.html)
や東京都のホームページ(http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/anzen/supply/index.html)を参照。
3.サプリメントの問題点
① 効果の科学的証明が十分でない。
臨床研究が遅れており、効果に関する十分な科学的裏づけのないものも多くある。
② 規格基準がない。
栄養機能食品以外、サプリメントとしての規格基準がない。
日本健康栄養食品協会が規格基準を設け、協会認定(JHFAマーク)を表示。日本健康栄養食
品協会から健康補助食品ガイド 2004 年が発行されているので参考にされたい
(http://www.jhnfa.org/)。なお、現在無料で配布している。
③ 摂取目安・方法の基準がない。
効果を期待して過剰摂取の危険性がある。多く摂ればより効果があるわけではない。逆に、副
作用が出ることもあり得る。
基本は バランスよい食事をしっかり摂る こと。
サプリメントは、あくまで食事の補助的手段。
④ 妊婦、授乳婦、小児、長期摂取に関して安全性が確立していない。
ビタミン A の過剰摂取を除けば催奇形または、長期摂取に関して問題はないと考えられる。
しかし、食経験のないハーブなどに関しては十分な研究がなく、妊婦、授乳婦、乳幼児、小児
は摂取すべきではない。
⑤ 副作用
臨床研究が遅れており、副作用に関する情報が少ない。安全と思われるサプリメントでも重篤な
副作用が起こる可能性がある。
⑥ 疾病、医薬品への影響
サプリメントの方が安全でしかも治療効果があると思い、治療薬の服用を中止したり、または治
療を受けない場合など、症状の悪化や合併症の発症につながることがある。
サプリメントは病気を治す薬ではない。
サプリメント摂取により、病状の悪化、あるいは治療薬との相互作用が起こることがある(セント・
ジョーンズ・ワートやイチョウ葉エキスなど)。
サプリメント利用について、必ず医師又は薬剤師に相談する。
⑦個人輸入・値段
インターネット販売や通信販売等で、海外からの製品も容易に手に入る。商品によっては、医薬
品成分が含まれている場合もある。
個人輸入した場合、金銭トラブルや健康被害などが生じても、全て自己責任。
4.サプリメントの利用
*販売者側の話や広告に頼らない。
使用経験談や、大学教授などの談話なども安易に信用しない。
「厚生労働省が許可している」等のセールストークをすることもあるが、栄養補助食品におけるビ
タミン、ミネラルの規格基準に当てはまるというだけで厚生労働省が個別に認可しているわけで
はない。
*食生活・生活習慣を見直し、何が必要かを考える。
基本はバランスよい食事を十分摂ること。その上で、身体の状態、栄養状態などを考え必要な
サプリメントを必要量摂るようにする。
使用に際しては、以下の事に気を付ける。
1.製品の表示をみて、成分、成分量、摂取量を確認
2.摂取目安や使用法を守る
3.医薬品と併用する場合は、医師又は薬剤師に相談
4.効果がない、または体調が悪化した場合は、すぐに中止
〔参考〕
石見佳子:サプリメントの法的規制,薬局,Vol55,No.5 9-14,2004
健康補助食品ガイド 2004:(財)日本健康栄養食品協会
厚生労働省:中国製ダイエット用健康食品等関連情報
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/index.html
東京都安全対策課:いわゆる健康食品ナビ
http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/anzen/supply/index.html
など