第3號 脱炭 に依 り生 ず る地鐵 粒 の形 状 に就 い て 171 脱 炭 に依 り生 ず る地鐵 粒 の形 状 に就 い て 持 田 徳 彦* Tokuhiko Motida : On the Shape of Ferrite Grains formed by Decarburization of Steels. When steel is decarburized at a temperature below its A3 point, a ferrite band is sometimes formed on its surface, When the band is formed, the form of the ferrite grains is either in columnar or equiaxed grains. The author studied the relations between the Fe-C equilibrium diagram and these two kinds of ferrite grains formed by decarburi zation. (1) High purity steels having 0.6%, 0.9% and 1.7% of carbon were decarburized below the A3 point by moist hydrogen _ and the relation between the forming of columnar or equiaxed grains and the equilibrium diagram was sought. (a) The decarburization of y phase or ƒÁ+Fe3C phase forms columnar ferrite grain. (b) The decarburization of a+ y phase or below the Al line forms equiaxed ferrite grain. (2) Hypereutectoid steel of grain sizes Nos. 3, 5 and 8 were decarburized, and it was found that although the amount of decarburization was affected by grain size, the form of ferrite grains was not affected by it. The decarburization is less as the grain size becomes smaller. (Received December 16, 1941) I.緒 銑 の脱 炭 に於 て起 る普 通 の現 象 で あ るが,吾 國 で は未 だ 言 採 上 げ られ て 居 ない.外 國 に於 て は この柱 状 結 晶粒 生 成 鋼 の脱 炭 は工 業 に も重 要 で あ る か ら古 くか ら研 究 せ ら に關 して 多 く の 研 究 が れ報 文 の数 も澤 山 あ る.殊 に爐 内 瓦斯 に依 る鋼 の脱 炭 が あ るが,ま だ 吾 人 の 首 肯 重 要視 せ られ,こ れ に關 す る諸 現 象 の研 究 が行 はれ て居 し得 る よ うな説 明 は與 へ る ので あ るが ,多 くは 観 察 的 な内 容 に止 ま り, 脱炭 に依つ られ て 居 ない.著 者 は本 て生 じた 地鐡 層 の種 々相 に關 して は ま だ 十分 な説 明 は與 報 に於 て 粧 状 地 鐵 粒 の 生 へ られ て 居 な い,著 者 は前 報(1)の"鋼 の 乾 濕 水 素 に依 る 威 と状 態 闇 とが 如 何 な る 脱 炭"に 於 て 地 鐵 層 の 生 成機 構 を “脱 炭 力 ど”"γ相 中の 關 係 を有 す る か を實 驗 的 炭 素 擴 散 力"の に絹 か に し,そ の 發 構 を 相 對 的 關 係 に よ る も の と して 鐵-炭 素 系 状 態 圖 を基 と して そ の 明 を 試 み た.但 し脱44に 依 り生 ず る 地 鐵 粒 が 或 る條 件 下 に柱 状-Columnar(Fig.1)と り,或 は 粒 状 一Equiaxed 、 は 餘 り觸 れ な か つ た,こ *東 (1)著 Crysta1(Fig.1)と な る點 に就 て 考 へ 又脱 炭 組 織 よ りisに その 脱炭 が 如何 なる條 件下 に進 行 せ しか を知 り得 る こ と を明 か にせ ん とす る もの で あ る. の 地 鐵 の 柱状 晶 生 成 は 鋼 或 は 白 京帝 國 大 學 工學 部 工業 分 析 化學 教室 者,鐵 な と鋼,27(1941).260. II.鋼 の 脱 炭 機 構 次 に順 序 と して前 報(1)の乾 濕 水 素 に依 る鋼 の 脱 炭 に就 172 研 て 簡 單 に記 す.著 者の 研 究 に依 れ ばA3點 究 以 下 の温 度 に 第6卷 而 して この場 合 も脱 炭 の 進 行 と 共 にaは 於 て濕 潤 水 素 に依 り鋼 を脱 炭 す る時 は,試 料 の 外 周 に地 ら(1),(2)共 にcはaと 鐵 層 を生 ず る も,乾 燥 水素 に依 り脱 炭 する 時 は斯 る地 鐵 こ と ゝな る, 層 を生 じ ない くA3點以 上 で脱 麦 すれ ば 常 に地 鐵 を生 じな い).こ の 相 違 は脱 炭 量 の大 小 に基 づ くこ と,換 言 す れ ば 以 上 がA3點 炭 素 を失 ふ か 變 り最 外 層 に は 地 鐵 暦 を生 ず る 以 下 の 脱 炭 に於 け る生 成組 織 の 状 態 圖的 説 明 で あ る.脱 炭 現 象 は α,γ相 内 の炭 素 の擴 散 の 形 で進 濕 潤 水 素 の 脱炭 力は乾 燥 水 素 の それ に比 して 大 き く,斯 行 す る場 合 と,γ →αの 形 で起 る場 合 との 二 つ の場 合 が る脱 炭 力の 大 小 が地 鐵 層存 否 を支 配 す る もの で あ る こ と 考 へ られ る の で あ る 。斯 様 に 鋼 をA3點 が 明 か にせ られ た.即 場 合に 常 に地 鐵 層 を析 出 す る とは 限 らず,地 鐵 層 の 存否 ち試 料 表 面 で脱 炭 反 應 が 起 れ ば表 以 下 で 脱 炭 し泥 面 の炭 素 量 は滅 少 し,從 つ て 内 部 炭 素 は 外部 へ擴 散 し表 は脱 炭 剤 の 強 弱 即 ち脱 炭 力の 大 小 に依 り左 右 され る.濕 素 量 を平 均 せ ん とす る.故 に表 面 の 脱 炭 反應 の速 度(脱 潤 水 素 は脱 炭 力 は大 きい が ,これ とて も水 素 中 に存 在す 炭 力)と 内部 よ り外部 へ の炭 素 の擴 散速 度(γ 中 の炭 素 擴 る水蒸 氣 量 に應 じて 異 る こ とは 云 ふ 迄 もな い. 散 力)と の 大 さの 差 に依 り組 織 は種 々の 相 を生 じる.結 Ⅲ.柱 論 と して は, (l) 脱 力> γ中 の炭 素 擴 散 力 の場 合 地 鐵 層 を生 ず (2)脱 炭 力< γ中の 炭 素 擴 散 力 の 場 合地 鐵 層 を生 じ ない. 來 の 研究 C.Upthgrove(2)は 結 晶粒 度 と鋼の 脱 炭 量 の 關 係 に 就 い て研 究 し,結 晶 粒 大 な る 鋼 は 小 な る 鋼 よ り も脱 炭 量 が 多 い こ と を述 べ て 居 る に 反 し,F.N. これ をFig.2に 就 て説 明 せ ん に(x)の 場 合 壁脱 炭 力 > γ 中 の炭 素 擴 散 ノ ゴ で Fig, (1)從 状及び粒状地鐵の生成 2 Rhines & C. Wells(3)は 逆 に結 晶粒 小 な る鋼 は大 な る鋼 よ り幾 分 脱 炭 量 が 多 い と 述 べ て 居 る,次 に 脱 炭 に よ り生 あ るか ら圖 のtな るYom.度 じ た 地 鐵 の 結 晶 粒 の 形 状 で あ る が,一 般 に この地 鐵 は に 於 てc∼d間 の 鋼(γ Fig.1に Crystal)を 相)例 へばeを 脱 炭 すれ 示 す 如 く柱 歌 結 晶(Columnar て 居 る 時 とFig.1粒 状(Equiaxed Crystal)を 呈 し 生 ず る場 ば 外 側 の 炭 素 は 減 つて 一 行 き途 に は そ の炭 素 量 は 合 とが あ る . こ の 柱 状 地 鐵 の 生 蔵 機 構 に 就 い て は 多 くの c點 に達 す る.次 子 が 放 射 状 に 通 過 す る 時 に 生 ず る カ が,結 の瞬間 研 究 が あ る .C. R. Austin(4)は 脱 炭 の 際 に鋼 中の 瓦斯 分 晶 力に 打 勝 に ρは これ 以 上 γ相状 態 つ 場 合 に 柱 状 を 呈 す る と の 論 を 出 した が 、Upthgroveは で炭 素 を減 ら し得 ない か こ の 瓦 斯 分 子 説 を 否 定 し て 居 る.こ らcは αのaに こ と は 判 つ き り し な い. 變 り,〓 に不 連續 な脱 炭 相 變 化 が G.W.Green(5)は のAustinの 云ふ 脱 炭 に 依 る γ→ α 變 化 の 際 に 生 ず る. 起 ろ . これ 以 後 の 脱 炭 は一 方 に於 て 釜 〓 γのcがaのa 非 常 に 小 さ い α粒 は 最 初 に 出 來 て 居 る α粒 に 吸 收 され 漸 に變 る と共 に他 方 α のaが 脆 炭 され て 行 く,即 ち γが減 次 發 達 す る もの と 考 へ た.一 つ て αが 壇 して ゆ くが γ相 はc以 下4zは 下 ら ぬ .又 γ中 A. Hultgrem(6), C.O. で は 内 部 よ り外 部 へ炭 素 が 擴 散 して 來 てc點 の γがc以 意 見 で あ る,但 しGreenはEquiaxed 上 に炭 素 量が な らん とす る.cと は 全 然 觸 れ て 居 ら な い し,両 者 の 關 係 に 就 て も言 及 し て の脱 舞 に依 りaを 離 れ てa以 るか らaよ 共 存 す る αのaは 表 面 下 の 炭 素 量 に な らん とす り低 い 炭:素 量 の α と γのC或 はC以 上 に炭 素 を含 む γ とが 接 觸 し,こ の 両 者 は平 衡 し得 な いか ら 反應 してa及 びcを 生 じや う とす る.か く して 脱 炭 は ゐ な い.C. A1點 A. Edwards 般 に は この 説 が 支 持 され Banister & W . D・Jones(7)も Cryst毒 & T. Yokoyama(8)は 同 に 關 しそ 柱状地鐵は 以 下 の 温 度 に 於 て 弾 性 限 よ り僅 か 歩 く 變 形 した も 以 上 の諸 詮 は桂 状地 鐵 を 生 ず る 場 合 に就 い て であ る 進 行 し組 織 は 明 瞭 な境 界 を 持 つ て 地 鐵 層は 増 して 行 く (Photo.1).(2)の 場 合 に は"脱 炭 力 < γ中 の炭 素 擴 散 力 ” で あ る か ら内部 の炭 素 量 は減 つて も脱 炭 力が 弱 い か ら γがc點 の 濃 度 に は な ら ない .從 つ てaは 現 はれ ない. 即 ち外 側 の炭 素 量 がc點 に 速 しな い で γ相 の み の 脱 炭 と な る.從 つて この場 合 に は地 鐵 層 の析 出を 見 な い で速 續 的脱 炭 組 織 を呈 す る(Photo.2)、 次 にb状の 如 き炭 素 量 の もの を 睨 炭 す る 場 合 を 考 へ る に,こ の 場 合 鋼 は その 温 度 で 己 にaとcよ り成 つ て居 る. . の を脱 炭 し て 得 られ る と 述 べ て 居 る .こ れ は 歪 説 で あ る. (2) D. I1. Rowland, C. Upthgrove, Trans. Amer. Soc. Metals, 24 (1936), 96. (3). F. N. Rhines, C. Wells, Trans. Amer. Soc. Metals, 27 (1939),625. (4) C. R. Austin, J.Iron &Steel Inst., 105 (1922). 93, (5) G. W. Green, J. Iron & Steel Inst., 105 (1922), 174. (6) A. Hultgren, Amer. Inst. Min. Met., (1928), 390. (7) C. 0. Banister, W. D, Jones, J. Iron & Steel Inst., 124 (1931), 71. (8) C. A. Edwards, T. Z okoyama, J. Iron & Steel Inst., 118 (1928), 141. 第3號 脱炭 に依 り生ず る地鐡粒 の形状に就いて が 説 炭 組 織 と し て は 粒 状-Equiaxed Crysta1(Fig.1) を 呈 す る場 合 も又地 鐵 層 を生 じ ない 場 合 もあ る. これ 等 の 關 係 に就 い て の 研 究 はC.R.Austin(9)が 173 量 との 關 係 を豫 め知 つ て 置 くこ とが便 利 で あ るか ら750° に於 て1.7%Cの 高 純 度 鋼 を6時 間 宛 種 々 の流 速 で脱 結晶粒説 を 提 唱 し,鋼の 結 晶 粒 大 な る もの は 柱 状 地鐵 を生 じ,結 晶 粒 炭 して み た.結 果 を Fig.3に 示 す.縦 軸 小 なる もの は粒 状 地鐵 を生 ず る と述 べ て居 る.然 しなが に脱 炭 量,横 軸 に水 ら この論 も實 驗 的 に は首 肯 し難 い と ζろ を 多分 に 持 つ て 素 流 速 を探 る.水 素 ゐ る. 著 者 は 同 一 試 料,同 一 粒 度 の鋼 を脱 炭 した場 合 に, 流 速 は流 速 計 の2本 柱 状地 鐵 と粒 状 地 鐵 の2種 の地 鐵 粒 形 歌 を呈 す る こ と を の パ ラ フ ィ了桂 の 差 發 見 した 。從 つて本 研 究 を行 つた 次 第 であ る. を採 る.こ の柱 差 よ 以 下 先づ 著 者の 行 つた 實驗 の 結 果 を述 べ,次 い で その 考 察 を なす こ と ゝした. Fig. 3 and Relation Decarburized Purity (1)實 驗 驗 装 置及 方法 (2)實 驗試料 準 備 差2cmの 前 報 と同様 で あ る(1). 試 料 と して は文 献 に於 け る諸 説 の何 を使 っ て見 る こと ゝ した. 0・035%Si,0.05%Mn,0・009%P,0・O06%S)を (ii)市 販 鋼 素 量 は0'6%0.9%,1・7%C 4cmで 者 は 前 者 に 比 しで1・5倍 67cc),小 V.實 (1)高 炭 素 量 の 鋼 を前 記 同 様 に 作 り (3)豫 備實驗(本 素流速 と脱炭量)水 素流 速 と脱炭 1 Decarbuiization C.......... Columnar 純 度 鋼 の脱 炭 下 の實 分 した. は750°),800°,850° 700° は30時 Crystal 結 果 試 料 は ス ポ ン ヂ 鋼 の0・6%, を 用 ひ た . 温 度 は700° ,740° ,(又 り 各 温 度 で,こ 間 脱 炭 し他 のA1點 の 内A1點 とA3點 以下 の の間の温度では 以 上 の 温 度 で は γ相 の 脱 炭 と な り地 鐵 層 を 生 じ な い か ら本 研 究 で は850° 迄 に 止 め た. of High Purity Steel (Manufactured (9) C. R. Austin,M. C. Fetzer, Trans. Amer.Soc, 出. は3∼ 場 合は後 大の 場 合 は4cm(毎 分15cc)と 驗 6時 間 宛 脱 炭 した .A3點 Metals, 27 (1939)., 18. し て1cmと4cmの 脱 炭 量 が 大 な る 故,以 の 場 合 は1cm(毎 曲線 果 は 圖 に 示 す 如 く柱 場 合 が 最 大 の 脱 炭 量 を 示 し,1cm又 も 下 つ て 居 る.而 0・9%,1・7%Cの3種 試 料 と じた. (1)前 對 水素 流 量"の 高周 ス ウ ェー デ ン鋼 を 用 ひO・2%,0'4%, Table た “パ ラ フ ィン柱 差 750•‹. 波 電 氣 爐 に て 熔 解 し,鋳 造 し焼 準 後 これ を 直 径8mm,長 0'6%,09%,1・3%Cの り豫 め 求 め て 置 い Higi Decarbprizec 驗 に 使 用 す る水 素 流 速 は4力 これ は 本 渓 湖 ス ポ ン ヂ 鐵(0・095%C, さ30mmに 仕 上 げ た.炭 1の3種 類 と した . Velociti か ら 容 易 に 水 素 流 速 が 得 られ る.結 れ が 正 しい か判 ら ない の で純 度 の高 い鋼 と市 販 鋼 の2種 (i)高 純 度鋼 1-7%C. at Gas Amount. Steel 6 Hours IV.實 of E............ 結 果 をTable (i)亞 850°,67cc水 from Spongy Iron) . Equiaxed Crystal 1及 びPhoto.1∼17に 共 析 鋼(0・6%C),850° 素/分)の 示す 脱 炭 力 大(Photo.1, 場 合 は柱 状 地 鐵 層 を析 出 す る も 174 研 脱 炭 力小(Photo.2,850°,15cc水 究 を析 出 して 居 ない . これ は前 に も述 べ た 如 く(IIの(1), 然 らば何 に原 因 し斯 様 に地 鐵 粒 に柱 状 と粒 状 一Equiaxed Crystalの2種 を生 ず るか と云 へ ば 單 に脱 炭 温 度 の相違 (2)参 照)地 鐵 層 の 析 出 と否 とは"脱 炭 力"と “γ 中の 炭 の み に よつ て ゐ る.從 つ て脱 炭 温 度 の影 響 す る意 味 を考 素 擴 散 ガ 、の大 小 に依 り支 配 せ られ る.“ 脱 炭 力> γ 中 へ て 見 る と06%Cの の 炭 素 擴 散 力"の 關 係 に あ る場 合 地 鐵 層が 生 ず る.“ 脱 状 態 圖 の 示 す如 くα十 γ共 存状 態 で あ るが,800° 以上 で 炭 力 く γ中 の 炭 素 援 散 力"の 場 合 に は脱 炭 温 度 に於 て オ ー ステ ナ イ 卜の 状 態 に て脱 炭 が 行 はれ るか ら地 鐵 層 を析 は γ相 の み で あ る. この 脱 炭 前 の 組 織 の 相 違 に よ り或 時 は.Ectuiaxed Crystalの 出 しない の で あ る. 鐡 粒 を生 ず る こ とが 判 る 。 800° 素/分 )の場 合 は 地 鐵 暦 第6卷 脱 炭 力 の 大(Photo.3)小(Photo.4)に 不拘 地 鐵 層 を 生 じ て 居 る,地 鐡 粒 は 両 者 共 に柱 状 を 呈 し て 居 る .( 即 ち こ の 温 度 に 於 て は 脱 炭 力 の 大 小 共 に “脱 炭力 > γ 中 の 炭 素 擴 散 力"な 740。 る 關 係 に 在 る こ と を 示 して 居 る. 結 果 は 前 言02温 度 め 場 合 と 著 し く異 つ て 居 る . 脱 炭 力 大(Photo.5)小(Photo.6)共 に 地 鐵 層 を析 出 し て は ゐ る が,そ の 地 鐵 の 結 晶 粒 は 柱 朕 で な く何 れ も粒 状 -Equiaxed Crystalで 即 ち0・6%C鋼 ある. Crystal(Fig.1)を 呈 し,800° 700° こ の 場 合 はA1點 以 下 の 脱炭 で あ る か ら脱 炭 量 間 と して 地 鐵 層 を充分 發達 せ しめ た . 結 果 は 脱 炭 力大(Photo.7)小(Photo,8)共 にEquiaxed はA1以 Crystalの て 居 る. 7500こ の温 度 に於 て は脱 炭 力大 の 場 合 の み行 つ た. 結 果 は柱 状 地 鐵 を示 して居 る. axed Crystalの 過 共 析 鋼 の 場 合 も亜 共 析 及 び 共 析 の そ れ と同 じ く,脱 炭 力 大(Photo.10)で 下 で 長 時 間 加 熱 され た 爲 球 状 化 して 居 り,こ の 球 状 化 状 態 で 脱 炭 が 行 は れ た こ と ゝな る., 地 鐵 を 生 じ,小(Photo.11) で は地 鐵 層 は生 じ ない.地 鐵 は 柱 状 であ る. 800° 地 鐵 を 生 じ て 居 り,パ ー ラ イ ト 間 脱 炭 した も の で 結 果 はEqui 地 鐵 を 示 して 居 る. (iii)過 共 析 鋼(1・7%C) 850° が 少 い 故 ,脱 炭 時 問 を30時 析 鋼(09%C) 鐵 層 を生 じて 居 ない.こ の 場 合 の 地 鐵 層 は柱 状 で あ る。 800,こ の 場合 は脱 炭 力の 大 小 共 地鐵 粒 は柱 状 を示 し 及び 850° で は 柱 状 を呈 す る. 地鐡 を生 じ又 或 時 は 柱 状 の地 共 析 鋼 で は脱 炭 力大 で 地 鐵 暦 を生 じ,小 で は地 700°(Photo.9)30時 で は 脱 炭 に 依 つ て 生 ず る 地 鐵 粒 は740° に 於 て はEquiaxed (ii)共 850° 亜 共 析 鋼 は脱 炭 前740。 に於 ては 脱 炭 ヰ 大(Photo.12)小(Photo.I3)共 に 柱状 地 鐵 を 生 じて 居 る. 750° 脱 炭 力 大(Photo.14)小(Photo.15)選(に 地鐵 粒 は柱 状 を 呈 して 居 る. 以 上 の 如 く脱 炭 温 度 及び 脱 炭 力の 相違 に よ つ て種 々の 脱 炭 組 織 を生 ず るの で あ るが この 内 地 鐵 を 生 ず る と否 と に 就 いて は 前 報 告 に 述 べ た と ころ と全 く一 致 して ゐ る. 700°(Photo.76,17)A1點 Crystalを (2)瑞 以 下 な る 爲Equiaxed 生 じて居 る が形 は頗 る不 整 で あ る 。 典鋼の脱炭 純 度 の 高 い 鋼 に 就 て は上 述 の結 而 して 地鐡 の形 状 に柱 状 と粒 状 との2種 あ り,生 成 條 件 果 と な つ たの で あ るが 市 販 鋼 で も同様 の 結 果 と なるか否 の 異 る こ とが以 上 の結 果か ら知 られ る. か を調 べ る こ と ゝ した._raの Table 2 C...... Decarburization Columnar Crystal of Commercial Steel (Sweedish Steel). E...... Equiaxed Crystal 結 果 で は 粒 状 地 鐵 はGS 第3號 -GP線 脱炭 に依 り生 ず る地 の間 で 脱 炭 した とき及 びA1以 下 で脱 炭 した とき に 生 じ1柱 状 地 鐵 は γ状 態 で脱 炭 した と きに 生 じて居 る. 0・2%,04%,0・6%,0・9%,1・3%Cの 験 した.A3線 あ る. 又 鐵 單 結 晶 の 製 造 に 於 て も實 験 の結 果 か ら して考 へ ら 炭 素 鋼 を 用ひ 實 れ る こ とは,單 結 晶 を 作 らん とす る軟 鐵 中 の炭 素 の 多 少 に よつ て(α 十 γ)の状 態 又 は γ又 は αの み の 状 態 で 焼 鈍 ら斜 る如 くA3繊GSの 上側 に保 つた 鋼(γ 相)の 脱 炭 は柱 状 結 晶の 地 鐵 粒 を生 じ,下 Equiaxed 175 を挾 む 上下 の 温 度 に 於 て 脱 炭 を試 みた の で あ る が 結果 はTable2か 側GS-GP間 鐡 の形状に就いて (加工 後脱 炭 及 び焼 鈍)す るか に よつ て 單 結 晶 の 生 成 に難 易 を生 ず る であ ら うこ と で あ る. に保 たれ た 鋼(α 十 γ相)を 脱 炭 した場 合 は 尚 この 結 論 を更 に判 り状 易 くす る爲 に 脱 炭 進 行 中に 條 件 Crystalを 生 じ て 居 る. 即 ち 同 一 含炭 量 の試 を變 へ それ が 地 鐵 粒 の 形 状 に 及 ぼ す 影 響 が素 の結 論 と一 料 で もA3線GSの 上 下 に依 り生 成 地 鐵 粒 の 形状 に相 違 致 す る こと を示 す 實 験 を した.即 ち最 初 γ相の 状 態 で脱 を來 す こと ゝな る .以 上 の結 果 は 高純 度 鋼 の場 合 と一 致 炭 し次 に α+ γ相 の状 態 で脱 炭 すれ ば 最 初 に脱 炭 され た した .但 し1.3%鋼 部 分 は 柱 状 結 晶,後 の 場 合 はEquiaxed を700° 以 下 で脱 炭 した 場合 は地 鐵 を生 じ なか つた か らそ の形 状 を論 じ得 られ な い. 高 純 度 鋼 と市 販鋼 との脱 炭結 果 の相 違 と して は市 販 鋼 る故,試 料 の地 鐡 暦 は外 側 に柱 状結 晶,内 側 にEquiaxed Crystalを 生 ず る も状 の と豫 想 せ られ る. 含有 の 不純 物 に依 る炭 素擴 散 速 度 の低 下 の 爲,市 販 鋼 の 實 驗 側,06%C高 脱 炭 量 が 高純 度 鋼 の それ よ りも低 い こ とが 主 な る相 違 で γ→ α+ γ の 順 序800°(3時 あ る。 Photo.18に Equiaxed VI,地 鐵粒形 と状態圖との關係 及びその應用 Crystalを 生 ず 純 度鋼 間)→740°(6時 間). 示 す 如 く地 鐵 層 の 外 側 は 柱 状,内 側 は Crystalと な つ て 居 り,豫 想 と 一 致 した. 即 ち柱 状 及 び粒 状 地 鐵 の 生 成 に關 す る著 者 の 結 論は 正 しい もの と云 ふ ことが 明か であ ら う. 以 上 の實 験 結 果 か ら して脱 炭 に依 り生 ず る地 鐵 に柱 状 VII.結 晶粒度 の影響 と粒 状 とあ る理 由 を考 ふ る に次 の如 くな る. Vの(1),(2)の 結 果 は 次 の 如 く な つ て 居 る. (1)γ 相 或 は γ十Fe3C相 よ り脱 炭 した場 合 に析 出 す る 脱 炭 に於 け る地 鐵 粒 の形 状 に及 ぼ す 鋼 の結 晶 粒 度 の影 響 に 就 て はC.A,Siebert & C. Upthgrove(10)が實 驗し 地 鐵 粒 は柱 状 を呈 す る. て 居 る . 彼 は 結 晶 粒 大 な る もの は 脱 炭 に依 り柱 状 を 呈 (2)α + γ相 及 びAi以 下 の 鋼 を 脱 炭 した 場 合 に 粒 状 -Equiaxed Crystalの 地 鐵 粒 を生 ず 都 し,結 晶 粒 小 な る も の はEqulaxed と 述 べ て 居 る.實 験 例 は1%前 Crystalを 生ず る 後 の 炭 素 鋼 に 就 て760°, 從 つ て この結 果 か ら柱 状 地 鐵 を生 ず る の は脱 炭 が γ→ αの形 で進 行 す る場 合,脱 炭 以 前 比地 鐵 な く γ の みの 時 800°,840° に 於 て 行 っ た も の で あ る が,實 験 結 果 を検 討 は柱 状 と な り は 醗 りに 實 瞼 的 根 據 が 不 足 して 居 る.亦Upthgrove(2) てy→aが が 存 在 す る 時 は この地 鐵 に 遮 ぎ られ 柱状 晶の 發達 とな ら ない もの と結 論 され る. 即 ち柱 状 粒 状 の 生 成 はAustin等 の 云 ふ が 如 き もの で は す る と結 晶 粒 度 が 地 鐵 粒 の 形 状 を支 配 す,る と 断 定 す る に の 實 験 結 果 を 見 て も結 晶 粒 度 と地 鐵 粒 の 形 状 と の 關 係 は 明 瞭 で な い. ないの で あ る .尚 γ相 の み の脱 炭 に於 て γ→aに 脱 炭 が 柱 状 及び 粒 状 地 鐵 生 成 は 結 晶 粒 度 に 關 係 な く.そ の 組 進 行 す る とき柱 状 晶 と な ろ 理 由 は,例 へ ば カ ロラ イジ ン 域 と温 度 とに依 る もの で あ る こ とは 以 上 の 如 くで あ るが グに 於 て も同様 の控 状 態 が 生 ず う と 同 様 αの 核 の 上 に, 尚 著 者 は高 炭 素鋼 に就 て結 晶粒 度 の 影 響 を吟 味 して見 る その 後 に 生 ず る αが 生長 して 行 くか らで あ る. こ と ゝした. 斯様 に脱 炭 に依 り生 ず る地 鐵 粒 の形 状 と状 態 圖 とは密 實 験 例 接 な關 係 が あ る. それ 故 試 料 の 組 成 が 判 れ ば 脱 炭 條 件 か 試料 ら析 出 す る地 鐵 粒 の 形 状 を容 易 に 推 知 し得 る.こ の 事 柄 結 晶 粒 度ASTM No.3,5,8. は 又逆 に脱 炭 組 織 か ら脱 炭 條 件 が 推 測 し得 る こ と ゝな 脱 炭 温 度750° 6時 間. る .期 様 な こ とは實 際 上 に も役 立 つ こ とで あ る.例 へ ば 脱 炭 組 織 の 地 鐵 粒 の 形 状,地 鐵 層 に 接 す るパ ー ライ ト(脱 高 純 度 鋼1・7%C 結 果 をTable (1)脱 3及 びPhoto.19∼24に 炭 力 大 の場 合 結 晶粒 度3,5,8何 炭 温 度 に於 て は オ ー ステ ナ イ ト)の炭 素 濃 度 及 び そ の勾 呈 して ゐ る .結 晶粒 度8の 配,セ メン タ イ トむ 形 状 等 よ り脱 炭 が 如 何 な る作 業 行 程 、 中 に起 っ た もの か正 確 に判 断 出 來,從 つ て その 對 策 を構 も狭 い に不 拘,柱 状 を呈 して 居 る. ず 多 こ とに依 り製 品 の 損 失 を防 ぎ,品 質 性 能 の 改 善 向 上 を爲 し得 る わ け で あ る.斯 る 例 は 實 際 上 少 くない の で (2)脱 炭 力 小 の場 合 示 す. れ も柱 状 を もの は脱 炭 量 少 く地 鐵 暦 の幅 結 晶 粒 度3,5の (10) C. A. Siebert, C. Upthgrove, Metals, 26 (1938), 1051. Trans. 試 料 は柱 状,8 Amer. Soc. 、 176 研 Table. P hoto. 1 High tee1(0.6%C), Purity Specimen S o. 78, DecarburizedN for Hours at by 6 strong 850•‹ Decarburizer. Ph otor 6 teel High (0.6%C) o. 64 DecarburizedN .Hours at 740•‹ by ecarburizer. Ph oto. 11 ateel (1.7%C) o. 82 High Decarburizer. at for 6 850•‹ No. 73 30 Hours D Strong Purity by (0.6 Weak for 6 at 12 (1.7% No. 76 Hours Strong Purity 700•‹ High No. 69, Hours 800•‹ Puiity Specimen Decarburized. at 800•‹ by 6 Strong Decarburizer. 8 High (0'6% for No. 72 by 30 Hours Purity High (0.6%C), Weak Decarburized Decarburizer. 3 Steel Steel C) Specimen at Photo. Photo. Decarburizer. Steel Weak 6 High % C) Specimen Decarburized Photo. Specimen DecarburizedN Hours 7 Steel 第6卷 Influeilce.of Grain Size on the Type of Ferrite, Grains. Photo. 2 High Purity Steel (0.6%C), Specimen No. 79, Decarburized for 6 Hours at 8500by Weak Decarburizer. Photo. Purity Specimen 3 究 Purity C) Specimen Decarburized at for 700•‹ by Decarburizer. Photo. 13 Steel (1.7% for No. by 6 Hours 77 High Purity C) Specimen Decarburized Decarburizer. at 800•‹ for by Weak Photo. 4 High Purity Steel(0.6%C), Specimen No, 68, IDecarburized 6 Hours at 800° by Weak Decarburizer. Photo. :5 Steel (0.6 No. 65, 6 High Decarburized Hqurs Strong Purr % C) Specim at 740•‹ 1 Decarburizer. Photo. 9 High Purity Steel (0.9% C) Specimen No. 94 Decarburi2ed for 30 Hours at 700° by Strong Decarburizer. Photo. 14 .Steel (1.7% No. 59 Hours Strong High Purity Photo. C) Specimen Decai burized at Decarburizer. 750•‹ Steel for 6by No. Hours 15 High (1.7% 60 Puri, C) Specim Decarburizee at Decarburizer. 750•‹ by We. 第3號 Photo. 16 Steel (1.7% No. 95 30 Hours Strong 脱 炭 に 依 り生 ず る地 鐵 粒 の 形 状 に 就 い て High Purity Photo. C) Specimen Decarburized for at 700•‹ 17 Steel (1-7% No. 97 30 Hours by Weak Decarburizer. Photo. High Purity Decarbu,rized at 700•‹ 18 Steel C) Specimen for No. by 3 Hours 91 Hours Decarburizer. High (0.6% Purity at Photo. C) Specimen 740•‹ and (1.7 No. for 800•‹(y) 19 Steel Pecarburized at 177 6 59 3 (a+ƒÁ). High % C) Grain Size Decarburized Hours at Photo. Purity by 6 Strong 21 High Steel(1.7%C) No, 8 58 Purity Specimen Grain Size Decarburized Hours at 750•‹ No. for by Strong Decarburizer. 6 Photo. 22 High Purity Steel (1, 7 % C) specimen No. 60 Grain Size No. 3 Decarburized for 6 Hours at 750° by Weak Decarburizer. ' の場 合 は地 鐵 暦 を生 じて 居 ら な い.3,5の 地 鐡 層 の幅 は 脱 炭 力大 の場 合 に比 して狭 くなつ て 居 り,脱 炭 量 が 少 い こ とを示 して 居 る.又8の び(2)を (1.7% No. 5 51 結 果 と 一 致 す る.然 し 共 析 鋼 に 於て は 購 炭1に依 り生 ず る地 鐸 粒 の 形状 は結 晶 粒 度 の 影 響 を 受 け な い こ とが 判 る.C. A. Siebert & C. Upthgrove(lo)の 試 料 が1%前 Purity C) Specimen Grain Size Decarburized Hours at No. for 750•‹ by 6 Weak Decarburizer. Hours at Size No. for 750•‹ by Strong Photo. 24 High Purity Steel (17 % C) Specimen No. 52 Grain Size No. 8 Decarburized for 6 Hours at 7504 by Weak Decarburizer. 温 度 に 於 て 脱 炭 し,柱 状 地 鐵 及 び 粒 状-Equiaxed Crystal の 生 成 と状 態 圖 と の 關 係 を求 め た. (i)柱 状地 鐵 は γ相 或 は γ十Fe3C相 (ii)粒 通 じて.結 晶 粒 の 小 さ い 程 脱 炭 量 は 少 く な り,こ れ はUpthgrove(2)の High Grain Decarburized. の鋼を脱炭 し た 時 に 生 ず る. 結 晶 粒 度 の高 低 に不 拘,柱 状 結 晶 を生 じた 庭 を早 れ ば 過 者 は1・7%Cの 23, Steel 場 合 は地 鐵 層 を生 じて 居 ら な い.こ れ は 結 晶 粒 の小 な る程 晩 炭た 量 が 少 い爲 で あ る. 似 上(1)及 Photo. 57 Purity % C) Specimen Decarburizer. Decarburizer. Photo. 5 High (1.7 No. No, for 750•‹ 20 Steel Specimen 後 の鋼 で あ る の に對 し,著 鋼 を用 ひ た の で あ る が これ は 問 題 に な 状-Equiaxed Crysta1は α+ γ 相 及 びA1點 以 下 め 温 度 に 於 け る 鋼 を脱 炭 した 時 に 生 ず る . (2)市 1・3% 販 鋼(瑞 典 鋼)の0.2%,0・4%,0・6%,0.9%, Cの 鋼 に 於 で も同 様 の 結 論 が 得 ら れ た. (3)結 晶 粒 度 は脱 炭 量 に 影 響 す るの み で地 鐵 粒 の 形 状 に は影 響 が 無 い .粒 の小 な る程 脱 炭 は 少 い . 本 研 究 は東 京 帝 國 大 學 工學 部 綜 合試 験所 に於 て行 はれ た,研 究 に際 し御懇 切 な御指 導 を賜つ た 宗 宮教 授 に深 甚 ら ない. Ⅷ.總 (1)0・6%,0・9%,1・7%Cの な感 謝 を捧 げ る.又 種 々貴 重 な御 教 示 を仰 いだ 東 北 帝 國 括 高 純 度 鋼 をA3點 大 學教 授 岩瀬 博 士 に深 謝 す る.本 實 験 中熱 心 に 助 力せ ら 以下の れ た櫛 引 達 二郎 君 の 勢 を 多 とす. 6
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