外観検査ロボット FlexInspector-ROBO

外観検査ロボット
FlexInspector-ROBO
株式会社オービット/山田宏和
外観検査の自動化は「目」
と
「手」
が揃って初めて実現できる。
今回、弊社の「良品と同じかどうか」
を検査する
「目」と垂直多関節ロボットの「手」を組み合わせて、
「どうやって見ても良品と同じ」
を検査するFlexInspector-ROBOを開発した。今まで難しいとされてきた金属部品や成形部品と
いった立体対象物の外観検査を狙う。
1
目と手
2
自動化しやすい対象物
製造現場における目視検査の多くは、シンプルな
まず外観検査の自動化に対する弊社の考え方を
蛍光灯の下で行なわれている。外観検査装置のよう
まとめておきたい。
に凝った LED 照明を使っているわけではない。
外観検査の自動化を検討する際、最初に考えて
「人の目が優れているから」なのか。否、カメラは
おきたいのは、外観検査を自動化しやすい対象物
人の目よりも画像を正確に映し出すことができる。
と自動化しにくい対象物があるということであ
では何が問題で外観検査の自動化は困難なのか。
る。自動化しやすい対象物から自動化することで
「手」である。目視検査では「手」により対象物
実績を積み上げることが重要である。
の姿勢を制御し、蛍光灯との位置関係を変え、欠
対象物の特徴を 2 軸の平面上で考える。1 軸は
陥を見えるようにして検出しているのである。欠
「形状が安定しているかどうか」、もう 1 軸は「形
陥が見える姿勢にできれば、目であろうとカメラ
状が単純かどうか」である。形状が安定している
だろうと同じように見える。逆に見えない姿勢で
ものは、良品がどれも同じ外観であることから、
あれば、同じように見えない。いくら画像処理技
「良品と同じかどうか」を検査すれば容易に自動化
術、照明技術を駆使しようと見えないものは見え
は可能である。形状が単純なものであれば、対象
ないのである。
物自体から良品を推測することができ「推測され
ならばやることはただ 1 つ。
「手」を持たせよう
る良品と同じかどうか」で検査できる。動的二値
じゃないか。そして見えるようにして見たらいい
化や隣接画素比較といった画像処理アルゴリズム
じ ゃ な い か。 こ の 発 想 で「 外 観 検 査 ロ ボ ッ ト
はこの方法の一種であると考えられる。前者は撮
FlexInspector-ROBO」の開発は始まった。
像画像を平滑化することで欠陥を見えなくして推
測し、後者は繰り返しパターンにより良品画像を
推測する。撮像した画像自身から推測するため、
eizojoho industrial
April 2015︱33