成果の上がる口腔ケア①

成果の上がる口腔ケア①
メディソフィア事務局
本編は、「岸本裕充編著 看護ワンテーマBOOK 成果の上
がる口腔ケア」(2011年 医学書院)をもとに作成しました
成果の上がる口腔ケア
第1章
「やるべきこと、やらなくていいことを見極める」(1)
• なぜ口腔ケアが必要なのか
• 口腔ケアにおける看護師の役割
• 最大の目的は歯垢(プラーク)の除去
•
•
歯垢=デンタルプラーク(dental plaque)
プラークコントロール 虫歯や歯周病の予防
全身へも影響
• 歯垢ってなに?
• 乳白色で歯に似た色調
• 虫歯菌・歯周病菌をはじめ、多種多量の菌を含む。
• 「1グラムあたり1000億」=糞便レベル
• 歯垢は「バイオフィルム」
• バイオフィルム
• 菌が排泄するスライムが層をなして堆積している状態
• 歯垢はこのバイオフィルムそのもの。
• 歯垢には虫歯・歯周病の原因菌だけでなく、口腔内に侵入して
きたその他の菌も表面に付着する。
• ICUなどでは、歯垢からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
が検出されることもある。
• MRSAの予防のためには、歯垢もターゲットにすべきであること
を示唆している。
• 「唾液を誤嚥して肺炎になる」?!
• 唾液そのものよりも、中に含まれる菌の量が問題
• 歯垢や舌苔中の菌量↑
唾液中の菌量↑
• プラークコントロールによって唾液中の菌量を少なくできれば、
唾液を誤嚥しても肺炎になるリスクを低くできる。
• どうすれば歯垢は取り除ける?
• 歯垢(バイオフィルム)には、消毒/抗菌薬に耐性がある
• 口をゆすぐ程度で除去することはできない。
• 歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシで擦って物理的にとり除く。
虫歯菌と歯周病菌
• 歯垢を構成する代表的な菌「虫歯菌」「歯周病菌」
• 「虫歯菌」=「ミュータンス連鎖球菌(Sm)」
• グラム陽性の通性嫌気性球菌
• 少量の酸素があっても生育することができる
• 唾液や飲食物に含まれる糖分を栄養源としている
• 「歯周病菌」
• 代表となる菌は酸素が存在すると死滅する偏性嫌気性桿菌。
プラークコントロールで
歯周病菌の増大を防ぐ
• 口腔ケアの目的
• 歯面に付着したバイオフィルム=歯垢を、歯ブラシ
でゴシゴシ擦って落とすことが口腔ケアの基本。
• 補助清掃用具を駆使しても、全ての歯垢を落と出るわけ
ではないが、ブラッシングにより・・・
口腔内に残った砂糖の除去
不溶性グルカン排泄抑制
歯周ポケット入口の歯肉縁上
プラーク除去
内部の風通しを改善
歯周病菌が生育しにくい環境
バイオフィルム形成抑制
歯周病菌抑制
• 「看護師が行うこと」と「歯科に任せること」を
アセスメントする
歯肉から出血する前に!
アセスメントで早期発見
• 出血の前兆(発赤、腫脹)を見逃さない
• 出血の悪循環に陥らせない
• 出血を理由にあまりにも早くブラッシングを中止すると、
歯周菌の増加を招き、かえって炎症を悪化させ、出血の
危険性を高めることがある。
2つの出血の悪循環
• 出血は歯肉から、歯面からではない
やさしく歯肉を刺激しないように清掃する
歯科との連携
• 深い歯周ポケットがある場合
• 歯科の介入を依頼する。
• う窩、歯周ポケットの菌は口臭の原因
• 歯磨きや粘膜清掃をしているのに口臭が消えない場合、こうした歯科的な原
因が隠れている可能性がある。
• 虫歯、義歯の不適合や分からないことがあれば、
歯科衛生士と連携する
歯科医師、
• 歯科なら道具や環境が整った中で口腔環境を整備することができる。
• プラークフリー法でその後のケアをしやすくする
• 歯垢の完全除去を行うこと=プラークフリー法。
• 気管内挿管、抗がん剤投与前
• 術前にぐらぐらする歯を固定する、虫歯の穴を埋める
• 予定手術の前に、歯科で口腔内を清潔にしてもらう
その後のケアを容易にする
術後肺炎のリスクを軽減する
引用文献
岸本裕充編著(2011)看護ワンテーマBOOK
成果の上がる口腔ケア、医学書院