平成27年度 分子応用化学への招待 - 首都大学東京 都市環境学部 都市

目
次
目次···································································· 1
主任からのメッセージ···················································· 2
学域・コースの目指すもの、学域・コースの構成···························· 3
履修のしくみ···························································· 4
学部································································ 4
大学院······························································ 6
学域・コースの施設と共通機器、大学の窓口・施設等························ 8
環境保全、防災と安全··················································· 11
研究室紹介····························································· 12
キャンパスライフ······················································· 24
卒業・修了後の進路····················································· 26
広報・啓蒙活動、沿革··················································· 27
学域・コースへのアクセス、教職員一覧··································· 28
<挿絵提供:金村研究室>
20 m
(左上)構造化された新しいリチウムイオン電池、(右上)セラミックス電解質を用いた全固体電池、
(左下)種々の希土類イオンをドープしたシリカガラス、
(右下)シリカゼオライト DDR の貫入双晶の光学顕微鏡写真
1
主任からのメッセージ
分子応用化学へようこそ
(平成 27 年度
教授 金村 聖志
学域長・コース主任)
分子応用化学コースへのご入学おめでとうございます。小学校、中学校、高校での勉学を通して、そ
の一つの集大成としてのご入学、本当に嬉しいことですね。大学での勉学は、これまでの高校までの学
習と少し違うところがあります。その第一は、より専門的な知識とより高度な一般教養を身につけるこ
とです。化学の授業は高校にありますが、分子応用化学という授業はありません。何が違うのでしょう
か。
“応用”という言葉と、
“分子”という言葉が違いますね。この二つを大学では勉学することになり
ます。化学を応用するには何が必要となるのでしょうか。それには、社会科学や人文科学などの知識も
必要となります。なぜなら、化学を“応用”するとは、実社会に役立つモノ作りや発明、そして社会の
皆様に面白いと感じてもらえる新しい発見をすることを意味します。何が新しい発明で何が面白くて何
が求められているのかは、
“社会”
(普通の人)が決めることです。そのため、
「なぜそれが面白いのか」、
「なぜそれが大切なのか」という問い対する答えも用意しておく必要があります。そのためには、1 年
から 2 年生で学習する教養科目が重要となります。次に大切なのが化学の専門家としての基礎力です。
基礎力の根幹を成すのは、化学の場合、分子レベルでの現象の理解です。例えば、薬を作ったり、太陽
エネルギーを利用するデバイスを開発したり、電気エネルギーを蓄積するデバイスを提案するには、化
学物質の性質とそれらの反応を分子レベルで理解することが必要です。“分子”の意味はこれで理解で
きるでしょうか。2 年生から 3 年生でこれらの観点を学習することになります。
“分子応用化学”とは、化学物質の性質とそれらの反応を分子レベルで理解し、その知識を基にして
実社会に貢献するいろいろな発見や発明をする工学的な学問分野であることが理解できたと思います。
分子応用化学コースは首都大学東京に属するコースです。他の大学と異なり、大都市東京の大学です。
そのため重要な課題として、大都市の問題をライフサイエンス、環境、エネルギー、材料の観点から解
決することが挙げられます。分子応用化学の知識と知見を深めることにより、大都市の課題を解決して
いくことが求められています。4 年生では実践的にこれらの研究課題に取り組むことになります。
『自分
自身で考えて判断し、結果を見つめ直して修正し、課題を解決し、その成果を発表する。』これが卒業
論文となります。4 年生での研究活動が十分にできるように、1 年生から 3 年生の間に、しっかりと基
礎を身につけておいてください。4 年間は長くて短いと思います。身につけるべき内容が多くあり、消
化不良になることもあるかもしれません。そのような時には、分子応用化学コースの先生たちに相談し
ましょう。一人で考えていても結論が出ないことが多いです。先生たちの経験を活かしたいろいろな切
り口でアドバイスして頂けると思います。
2
学域・コースの目指すもの、学域・コースの構成
学域・コースの目指すもの
基礎研究によって人類の知識を豊かにすることは、私たちの重要な使命のひとつです。しかし、それ
を生活に役立てることができれば、その知識はより意義深いものとなります。分子応用化学では、基礎
化学を中心としながらも、工学としての化学に軸足を置く応用化学・材料化学に関する教育と研究を行
っています。特に、地球環境と共生しながら、有限な地球資源やエネルギーのもとで人類や社会が持続
的に発展して行くために必要となる化学を指向し、それに貢献できる資質をもった人材の育成が目的で
す。さらに、国際化に対応できるように入学時から化学英語を学び、自らの考えを発信できる能力を養
う教育も行います。研究面では 10 を超える研究グループが、環境、エネルギー、材料、ライフサイエ
ンスなどを包含した広大な応用分野を対象に世界トップレベルの研究を行っており、研究室で体験する
卒業研究が、皆さんを真のグローバル化に対応できる研究者、技術者へと育てていきます。実社会では
より高度な専門性が必要となるため、大学院への進学を奨励しており、最短 3 年間で博士前期・後期課
程を履修できる制度等を導入、国際社会でのリーダーを目指す大学院カリキュラムも用意されています。
学域・コースの構成
分子応用化学域・コースは、次の 11 研究室と 1 協力研究室から構成されています。
川上研究室(先端機能物質分野):高分子化学をベースとし、人類の医療と福祉、環境とエネルギーに
貢献できるような新しいバイオマテリアル、環境工学マテリアルの創製を目指し研究を進めています。
益田研究室(先端機能物質分野):電気化学プロセスにもとづく規則微細構造の形成とその応用、特に
ナノデバイスへの応用展開に関する研究を行なっています。
吉田研究室(先端物質デザイン分野)
:分子を積み上げて構造を制御する「分子積み木」
、ナノ空間を「分
子フラスコ」として利用する研究を行っています。
瀬高研究室(先端物質デザイン分野):炭素と同族元素であるケイ素を含む有機分子の合成構造研究に
より、典型元素の特長を利用した分子機能開発の基礎研究を進めています。
春田研究室(先端物質デザイン分野):(1)金ナノ粒子触媒を用いた環境調和型化学プロセスの開拓、
(2)シリカなどの金属酸化物の表面構造と物性、について研究しています。
金村研究室(エネルギーデバイス分野):セラミックス化学を基礎として、新型リチウム電池や燃料電
池用の新規材料、酸化物をベースとした光学材料・機能材料の研究開発を中心に展開しています。
高木研究室(環境分子化学分野):分子レベルでの配列制御に関する「ナノ構造化学」と「光化学」を
基盤として、光機能性ナノ材料の創出、人工光合成反応の構築などを目指して研究を進めています。
山口研究室(環境分子化学分野):有機合成を基盤とする「効率的で選択的な触媒反応の開発」と「機
能性有機材料および有機-無機複合材料の創出」について研究しています。
内山研究室(分子計測化学分野):環境試料や生体試料中の微量成分を迅速かつ高感度に測定するため
の新しい分析法やマイクロ化学デバイスについて研究しています。
久保研究室(分子計測化学分野)
:要素間相互作用の設計に基づく分子システム創製を研究していま
す。テーラーメイドされた自己組織分子系の提案と機能開発が主な研究対象です。
宍戸研究室(環境調和化学分野):触媒作用の分子論的理解に基づく分子・ナノレベルでの触媒設計を
進め、「高効率な分子変換プロセス」
「環境保全・浄化に有効なシステム」の構築を目指しています。
井上研究室(光エネルギーと物質変換分野):水と二酸化炭素を原料に太陽光のエネルギーを化学エネ
ルギーとして固定、蓄積する人工光合成や光刺激で駆動する人工筋肉モデルなどを研究しています。
3
履修のしくみ
学部 - 分子応用化学コースのカリキュラム
環境、エネルギー、材料、ライフサイエンスなど幅広い分野において、地球環境に調和した物質や材
料を創造し、環境と共生しながら豊かな人間社会が発展するために必要な知識や能力を、基礎から専門
領域へと段階的に学べるようにカリキュラムは構成されています。カリキュラムの特色は、(1)充実し
た基礎・専門教育、(2)学生の主体性を育成する問題発見・解決型教育、(3)世界を目指したグローバル
教育、(4)世界トップレベルの研究の 4 つです。物理化学系、無機化学・ナノテク系、有機化学系、エ
ネルギー化学系、高分子・生命化学系、環境分析化学系、化学工学系の 7 分野がコア科目となり、1、2
年次ではその基礎を、3 年次では環境、エネルギー、材料、ライフサイエンスに繋がる専門的授業を受
講します。4 年次になると各研究室に配属され、指導教員の指導のもと世界のトップレベルにある専門
的な研究を行って卒業論文をまとめます。1 年次に受講する分子応用化学基礎ゼミナールと 3 年次に受
講するアドバンスゼミナールは、プレゼンテーション力、コミュニケーション力、問題解決力を高める
ためのアクティブラーニングを取り入れた特色ある問題解決型 PBL 講義です。また、応用化学英語 1・
2 をはじめ専門科目にも化学英語を取り入れ、グローバル化に対応した講義を行っています。
分子応用化学コースでは、皆さんが計画的に履修できるよう、モデルプランとして「標準履修モデル」
(「履修の手引」および次ページ参照)を用意しています。必修科目や履修年次が指定されている科目は、
不合格になると他の科目の履修が困難となり留年する場合もあるので注意してください。1、2 年次の教
養科目(外国語科目と保健体育を含む)の履修についての相談は基礎教育部会委員の先生が、また 3、4
年次の専門科目の履修に関しては教務委員の先生がそれぞれ対応してくれます。成績優秀な学生に対し
ては、大学院入試における筆記試験免除の制度があります。
分子応用化学基礎ゼミナール
入学して最初に、コースの教員とじかに接するのがこの科目です。基礎ゼミナール 1A・1B(1 年次前
期)では、実験や文献講読を通じて「本コースで何を学ぶのか」を体験してもらいます。同時に、発表
や討論を通じて各テーマの理解を深め、成果をレポートにして提出します。大学に入学して最初の実験
を行いますので、実験着や保護メガネも必要になります。基礎ゼミナール 2A・2B(1 年次後期)ではよ
り専門的な内容について集中的に講義、課題調査、グループ討論、英語文献購読、発表会などを行い、
「大学ではどのように勉強したらいいのか」を実践を通じて身に付けることができます。
実験および実習
2 年次後期から分子応用化学基礎実験 A・B が始まります。化学物質
や実験器具の取り扱い方や、化学の諸現象の定量的な解析法を学びます。
3 年次の分子応用化学実験第 1A・1B および第 2A・2B では、実験を通
じて講義で学んだ内容の理解を深め、あわせて 4 年次で特別研究を行う
ための基礎的な実験手法を習得します。講義による知識を踏まえ、実際
に自分で実験、データ整理、考察、レポート作成を行うことで体得でき
ることが多くあります。
学外実習(3 年次)では工場や研究所を見学します。現場を見学するこ
とで化学産業についての理解を深めることができ、実学を志すうえで有用な体験ができます。
語学留学・海外留学
夏休みや春休みを利用して、イギリス、カナダ、マレーシアなどの大学における 3~4 週間の短期英
語研修(全学から各 5~15 名程度を募集、マレーシアはインターンシップとセット)が実施されています。
また、入学後に海外留学できる「かわいい子には旅をさせよプロジェクト」なども行っており、海外の
大学への半年から1年の海外留学を推奨しています。
特別研究とゼミナール
4 年次になると研究室に所属して研究テーマをもち、各研究室の教員の指導のもとで学位論文(卒業論
文)を執筆するため、1 年間かけて特別研究とゼミナールを履修します。これらは将来研究者として自立
するための基本トレーニングです。研究室での研究内容は、1 年次春および 3 年次秋に実施される研究
室公開で見学できますので、これらを参考にして特別研究を履修する研究室を決めます。特別研究とゼ
ミナールは必修科目であり、その履修には、修得単位数など一定の履修要件を満たすことが必要です。
この条件を満たさない場合は事実上の留年となるので十分注意してください。
4
履修のしくみ
特別研究発表会と MIP
1 年間特別研究を行って得た研究成果は、例年 2 月に 2 日間かけて行われ
る特別研究発表会で発表します。各自 10 分程度の発表を行い、その後発表
を聞いた教員・学生からの質問に答えます。優れた研究発表を行った学生に
は、分子応用化学コースから MIP(Most Impressive Presentation)が授与さ
れ、例年卒業パーティー席上で授賞式が行われています。MIP は、修士論文
発表会で優れた研究発表を行った学生にも授与されています。
分子応用化学コースの標準履修モデル
上の表は分子応用化学コースの「標準履修モデル」です。「履修の手引き」と基本的には同じもので
すが、分かりやすいよう分野ごとにまとめてあります。指定科目は原則として指定された学年でしか履
修できないので注意してください。
専門科目では上記のように物理化学系、無機化学・ナノテク系、有機化学・ライフサイエンス系、エ
ネルギー・環境系、分析系、化学工学系、材料化学系、学生実験など各分野を学習します。この他にも、
応用化学英語、安全化学、化学技術経済論、工学倫理などの共通科目、全員が履修する分子応用化学基
礎ゼミナール1A・1B・2A・2Bや分子応用化学特別研究Ⅰ・Ⅱ、同ゼミナールⅠ・Ⅱなどがあります。
分野によっては履修する科目の順番が決まっているので、シラバスをよく読んでください。標準履修モ
デルと時間割をよく見て、各分野をバランスよく履修するようにしましょう。
詳細は「履修の手引き」やシラバスを参照してください。
取得できる学位と資格
分子応用化学コースを卒業すると「学士(工学)」の学位を取得できます。学位取得(卒業)には130単位
以上の単位の修得が必要となります。学士の学位取得条件(卒業要件)の詳細については、履修の手引き
をよく読んでください。
また、卒業を要件として「毒物劇物取扱責任者」、
「特定高圧ガス取扱主任者」の有資格者となるほか、
「危険物取扱者(甲種)」、
「化学分析技能士(2級)」、
「消防設備士(甲種)」などの受験資格が得られます(在
学中に受験資格が得られるものもあります)。
5
履修のしくみ
大学院 - 分子応用化学域のカリキュラム
博士前期(修士)課程
分子応用化学域では講義の約 50%を英語で行い、さらに外国人教員
による英語による講義科目などもあり、グローバル化に対応したカリ
キュラムが組まれています。カリキュラム制度はすべての国の学期に
対応できるクォーター制を採用しています。また、博士前期課程では
分子応用化学域の研究室に所属し、指導教員の指導の下で学位論文
(いわゆる修士論文)にむけて各自の研究に取り組みます。学位取得者
は、高度な専門知識と研究能力を有する研究者・技術者として、多方
面での活躍が期待されています。
主な行事
履修計画 1 年次の 4 月に、2 年間の履修計画を指導教員に提出し、履修指導を受けます。
中間報告 1 年次の 12 月に、ポスター発表形式の中間報告を行います。
修士論文発表 2 年次の 2 月に、2 年間の研究成果を発表し、学位論文を提出します。
修了要件
修士の学位を取得するには、所定の授業科目について 30 単位以上を修得し、さらに学位論文を提出
し、かつ最終試験(発表会)に合格しなければなりません。ただし在学期間に関しては、当研究科には期
間短縮制度があり、特に優れた研究業績をあげたと認められた者については 1 年で修了することができ
ます。
博士前期課程の標準履修モデル
注)斜字は奇数年のみ開講。その他は偶数年のみ開講(特に記したものを除く)。英字は英語で講義される科目。
1*先端機能物質化学系、2*先端物質デザイン化学系、3*エネルギーデバイス化学系、4*環境分子化学系、5*分子計測化学系、6*環境調和化学系
◇推奨科目(国際会議に参加予定の学生は履修すること) §留学生のみ履修可
上の表は分子応用化学域の「標準履修モデル」です。コア科目(選択必修科目)は原則として隔年開講
なので注意して下さい。必修科目が 1 年から 2 年まで半期ごとにあります。表でわかるように、必修科
目である特別セミナーⅠ~Ⅳや特別実験Ⅰ~Ⅳは履修できる時期が決まっているので、履修申請を忘れ
ないよう注意してください。
「履修案内」とシラバスをよく読んで履修計画を立て、指導教員と相談のうえで履修するようにして
ください。
6
履修のしくみ
博士後期課程
博士後期課程では、分子応用化学域の研究室に所属し、指導教員の指導の下で学位論文(いわゆる博
士論文)にむけて各自の研究に取り組みます。博士号取得者には、オリジナルな研究を企画立案したり、
研究や開発を指導・統括したりできる能力を有した専門家としての活躍が期待されています。
主な行事
研究計画発表 1 年次前期に、博士後期課程で行う研究内容及び研究計画を発表します。
中間報告 2 年次後期に、研究の進捗状況の発表を行います。
公聴会
3 年次後期に、博士後期課程で行った研究内容及び研究成果を発表し質疑応答を受けます。
修了要件
博士の学位を取得するには、3 年以上の在学期間を満たし、正規の授業を受け、所定の授業科目
について 20 単位以上を修得のうえ学位論文を提出し、かつ最終試験(公聴会)に合格しなければな
りません。また、学位論文テーマに関連し、審査員のいる学術雑誌に掲載済みあるいは掲載決定の
論文があることが原則です。ただし在学期間に関しては、当研究科には期間短縮制度があり、特に
優れた研究業績をあげたと認められた者については、博士後期課程を 2 年以下(博士前期課程と博
士後期課程の在学期間の合計が最短で 3 年)で修了することができます。
博士後期課程の標準履修モデル
1 年次前期
必修
単位 1 年次後期
単位
1 年次前期
単位 1 年次後期
単位 計
分子応用化学セミナーⅠ
1
分子応用化学セミナーⅡ
1
先端機能物質化学講究Ⅰ
4
先端機能物質化学講究Ⅱ
4
分子応用化学セミナーⅢ
1
分子応用化学セミナーⅣ
1
先端物質デザイン化学講究Ⅰ
4
先端物質デザイン化学講究Ⅱ
4
分子応用化学実験Ⅰ
2
分子応用化学実験Ⅱ
2
エネルギーデバイス化学講究Ⅰ
4
エネルギーデバイス化学講究Ⅱ
4
分子応用化学実験Ⅲ
2
分子応用化学実験Ⅳ
2
環境分子化学講究Ⅰ
4
環境分子化学講究Ⅱ
4
分子計測化学講究Ⅰ
4
分子計測化学講究Ⅱ
4
環境調和化学講究Ⅰ
4
環境調和化学講究Ⅱ
4
合計
6
6
選択
必修
4
合計
4
20
取得できる学位
分子応用化学域を修了すると「修士(工学)」または「博士(工学)」の学位を取得できます。
短期英語研修・海外留学
大学院では多くの学生が国際会議に参加して研究発表をするので、プレ
ゼンテーションやディスカッションなど実践的な英語力の向上が求められ
ています。またグローバル化した世界では、国際的な情報発信力、コミュ
ニケーション力、リーダーシップなどが求められています。そこで本学で
は、学部または大学院在学中に海外留学できる「かわいい子には旅をさ
せよプロジェクト」なども行っており、海外の大学や大学院への留学を
推奨しています。現在、約 40 の大学と交換留学協定を結んでおり、こ
れらの大学へ留学する場合は本学に授業料を支払うことで留学先の授業料は免除され、宿舎の斡旋
や留学中のサポートを受けることができます。留学するためには、TOEFL、IELTS などの検定試験
を受け、一定以上のスコアが要求されます。派遣学生の募集は、毎年春と秋の 2 回行われます。将来、
国際社会で活躍することをめざす人は、是非チャレンジしてみてください。
また夏休みや春休みを利用したイギリス、カナダ、オーストラリア、マレーシアなどの大学にお
ける 3~4 週間の短期英語研修(マレーシアはインターンシップとセット)が実施されており大学院
生も参加できます。希望者は国際センターのホームページなどで調べてください。
奨学金制度
本学大学院では、博士後期課程に入学する研究意欲が旺盛で優秀な大学院生に対して、年額 180 万円
の給付(返済不要)を行う奨学金制度(大学院研究奨励奨学金)が実施されており、全学の入学予定者から
毎年度 8 名程度が採用されています。また、博士後期課程の大学院生は、日本学生支援機構の奨学金制
度に加え、月額 20 万円の研究奨励金と年額 150 万円以内の研究費(平成 26 年度実績)が給付される日本
学術振興会の特別研究員に応募できます。このように、博士後期課程の学習環境は、以前と比較して大
変に充実してきていますので、将来研究者として活躍したいと考えている方は、是非博士後期課程への
進学を考えてみてはいかがでしょうか。
7
学域・コースの施設と共通機器
学域・コースの施設と場所
本学域・コースの関連施設は主に南大沢キャンパス 9 号館にあります。主な施設としては、学域・コ
ース全員が使用する共通施設(講義室や学生実験室、ゼミ・会議室、共通機器など)、他学部などと共同
で運用する施設、サポートを行う施設(事務室、医務室)、そして学域・コースに所属する研究室などが
あります。各研究室は独自の施設を持ち、最先端の研究を行っています。
8
学域・コースの施設と共通機器
学域・コースの共通機器と装置
本学域・コースではミクロな現象を高感度かつ単時間で検出し解析するために、大型分析機器・装置
を共通スペースに集め利用しています。これらの機器は特別研究や大学院における研究に広く活用され
ています。これらの学域・コース共通機器に加え、さらに大型装置や高性能分析機器などを全学研究施
設へ設置して共同で運用し、より先進的な測定や分析を行っています。下表は本学域・コースの共通機
器及び全学共通装置のなかで特に本学域・コースに関連が深い機器です。この他に、放射性物質を取り
扱うことが可能な RI 研究棟の機器もあります。
機
器 名
走査型分析電子顕微鏡 (SEM)
X 線回折装置 (XRD)
装
置 名
JEOL JSM-7500
リガク SmartLab,
リガク MiniFlex600
できること
形態観察・元素分析
結晶構造や規則構造の解析
蛍光 X 線分析装置 (XRF)
リガク ZSX100e
固体試料の組成分析
X 線光電子分光装置 (XPS)
JEOL JPS9010MX
固体表面の組成や状態の分析
JEOL ECS-300
分子構造の決定
JEOL ECA-400
分子構造の決定
質量分析装置 (MS)
JEOL JMS-700
分子量の測定
元素分析装置 (EA)
パーキンエルマー 2400 CHN
分子の組成確認・純度の評価
SPECTRO CIROS-120
組成元素の定性・定量分析
原子吸光光度計 (AAS)
島津製作所 AA6200
組成元素の定性・定量分析
示差走査熱量計 (DSC)
島津製作所 DSC-60
構造の温度変化の解析
島津製作所 DTG-60H
構造の温度変化の解析
ゼータ電位・粒径測定システム
大塚電子株式会社 ELS Z
表面の電気的性質・粒径の測定
円二色性分光装置 (CD)
日本分光 J-820
光学異性体の分析
赤外分光光度計 (FTIR)
日本分光 FT/IR-4100
化学結合や官能基の分析
電子ビーム描画機
エリオニクス ELS-7500
分子構造の決定
ブルカー AVANCE III 500
分子構造の決定
JEOL JEM-3200FS
分子レベル形態観察・元素分析
核磁気共鳴装置 (NMR)
(液体試料⽤)
核磁気共鳴装置 (NMR)
(固体試料⽤)
高周波誘導結合プラズマ
発光分光分析装置 (ICP)
示差熱重量同時測定装置
(TG-DTA)
核磁気共鳴装置 (NMR)
(液体試料⽤) [理⼯共通機器]
300 kV 透過型電子顕微鏡
(TEM) [全学共通機器]
9
大学の窓口・施設等
教務課(http://www.kisokyo.tmu.ac.jp/kyomu/)
履修申請、在学・成績証明書の発行など、大学での学務全般を扱う窓口で、1 号館にあります。学割
の発行も行っています。休講や学生呼出などの情報は窓口前の掲示板に張り出されるとともに、専用の
ホームページ(https://jjh.tmu.ac.jp/tmu/campus、携帯版 https://jjh.tmu.ac.jp/tmu-m/campus)でも公開さ
れています。これらのページは、履修申請や成績確認でも使用します。なお、専門科目の教務課は、8
号館と 9 号館の間、2 階 9 号館寄りにあります。
学生サポートセンター(http://www.gs.tmu.ac.jp/gakuseika/)
奨学金や授業料減免の受付、学生寮・寄宿舎や教室・講堂・学館
(7 号館)・各種運動施設の利用受付、就職支援など、学生生活全般
にわたる業務を扱う窓口で、1 号館(学生課)と 7 号館(就職課)にあ
ります。カウンセラーに個人相談のできる学生相談室や医務室(健康
支援センター)もあります。保険(学生教育研究災害傷害保険)の加入
手続きが行えます。小冊子「キャンパス ライフ&スタディ」も参考
にしてください。
図書情報センター本館(http://www.comp.tmu.ac.jp/library/)
約 60 万冊の蔵書が収められており、平日は 9 時から 21 時まで、土曜や春夏冬季の休業期間中は 9
時から 17 時まで、図書閲覧や勉強のために利用できます。図書は、2 週間、10 冊まで借りることがで
きます。また、館内ではノートパソコンを借りて利用することができます。窓口でマイライブラリの利
用を申請すれば、インターネットを通じて図書貸出の予約や資料の取り寄せなどを行うことができます。
日野キャンパス、荒川キャンパスにもそれぞれ分館があり、相互利用ができます。
情報関係施設(http://www.comp.tmu.ac.jp/tmuner/)
1 号館と情報処理施設にはパソコン室があり、授業時間外に開放されています。また、AV 棟と図書情
報センター内でノートパソコンの貸出が行われています。ユーザアカウントは入学と同時に発行されま
すが、利用にあたっては情報リテラシー実践 I の授業で行われる倫理講習を受講する必要があります。
首都大学東京 生活協同組合(http://www.univcoop.jp/tmu/)
南大沢キャンパスのほぼ中央に、食堂と購買部があり、授業期間中は昼から夜まで営業しています(土
曜や休業期間中は昼のみの営業のことが多いようです)。購買部では、教科書・書籍や文具類、弁当な
どを販売しているほか、JR や航空券の予約、旅行の手配、保険(学生総合共済)の加入、運転免許・
TOEIC・TOEFL をはじめとする各種受験の申込などができます。生協の組合員になると、書籍が 10%
割引で購入できます。また、インターネットによる書籍・CD・DVD 購入サービスを利用できます。
国際センター(http://www.ic.tmu.ac.jp)・国際交流会館
大学の国際交流に関する業務の窓口で、国際交流会館にあります。海外留学・英語研修(7 ページ参照)
のサポートや留学相談も行われています。国際交流会館の大会議室・中会議室では、国際学会や各種の
学会・研究会が開かれています。分子応用化学域・コースの修士論文発表会と特別研究発表会は、例年、
大会議室を使って行われます。フランス料理のレストランも営業しており、ランチがおすすめです。
カフェテリア館(TOMU の食堂と売店)
9 号館の南東にあるコンビニエンスストアです。弁当類を販売しているほか、食堂も営業しています。
11 号館、12 号館から近いので、専門の講義が増えてくると食事や休憩に便利です。
プロジェクト研究棟・フロンティア研究棟
高度・大規模な研究を行う施設として、プロジェクト棟(運動広場横)は 2009 年、フロンティア研究
棟(東門横)は 2014 年に竣工しました。分子応用化学域・コースにも利用している研究室があります。
運動施設
南大沢キャンパスの東側には、野球場、球技場、体育館、トレーニングルーム、室内温水プール、テ
ニスコート、多目的運動場(フットサルコート、ソフトボールコート)など、各種運動施設があります。
体育の授業(身体運動演習)やクラブ・サークル活動で利用されるほか、分子応用化学域・コース学生主
催のスポーツ大会でも使われています。テニスコート、プールなどには、学内開放といって、学内の誰
でも利用できる時間帯も設定されています。詳しくは学生サポートセンターに問い合わせてください。
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環境保全、防災と安全
環境保全、防災と安全
分子応用化学域・コースでは、有機・無機化合物をはじめとする化学物質や、放射性物質、高圧ガス
など、法規制の対象となる物質を多く扱っています。これらの物質の取り扱いが適切でないと、人体に
悪影響が及ぶだけでなく、安易に廃棄すると環境汚染や社会問題を起こす可能性もあります。ゆえに、
これらの物質を利用する際には、
「危険から自分を守る」十分な注意と、
「他の人や環境に危害を及ぼさ
ない」責任とが求められます。化学に携わる者として、このことを常に自覚するようにしてください。
危険物・毒劇物・放射性物質
エタノール、水銀、塩酸 ― 高校の化学の時間や学生実験
などで目にすることの多い化学物質ですが、これらはそれぞ
れ危険物、毒物、劇物に分類されており、その貯蔵や取扱い
が法令によって規制されています。このように、試薬を取り
扱ううえでは、安全性だけでなく、法律上どのような規制を
受けているかも考慮する必要があります。
危険物:金属ナトリウムのような発火性物質、ガソリンやア
ルコールのような引火性物質、過酸化物やニトロ化合物の
ような爆発性物質などが該当する。日本では第 1 類から第 6 類に分類されている。
毒劇物:毒性、有害性、刺激性をもつ物質が該当する。毒性の強弱によって毒物と劇物とに分類され
ている。毒物のうち良く知られているものに、水銀、フッ化水素、ニコチンなどがある。
放射性物質:高いエネルギーをもった電磁波や粒子線を放出する物質。化学反応機構の解明や、物質
の構造解析および改質などに不可欠であるが、生体にとって極めて有害であるので、拡散させないよ
う細心の注意を払って実験する必要がある。特別の設備をもったアイソトープ施設にて取り扱う。な
お、X 線などの放射線を出す装置を扱う際にも、ほぼ同様の注意が必要である。
ドラフト、実験廃棄物・実験廃液
有害な気体を出す化学物質や可燃性ガスはドラフトの中で扱います。ドラフトとは、ガスを無害化し
て排気する装置のことで、学生実験室にも設置されています。排気ガスは、まずドラフト内で化学的処
理を行い、法定の基準値を下回るように無害化する必要があります。排気ガスは、大気中に放出される
前に、屋上にあるガス洗浄装置でさらに浄化されています。
実験廃棄物や廃液には有毒・有害なものがあり、そのまま廃棄したり、下水に流したりすると環境を
汚染する恐れがあります。実験廃棄物や実験廃液は専用の容器に廃棄・貯留してください。実験容器の
洗浄水などに微量混入してしまう化学物質は、本学の環境保全施設で無害化処理されています。しかし、
濃厚廃液の処理は想定されていませんので、流しには決して廃液原液を流さないようにしてください。
保護具、非常用シャワー、洗眼器
実験の際は、薬品の飛散から目や顔を守るための保護めがねや保護面などを着用して、事故を未然に
防いでください。万一のために各階に非常用シャワーが、各実験室には洗眼器が備えられていますが、
これらの設備を利用することのないよう注意するのが最善です。
災害傷害保険
分子応用化学域・コースでは、実験中の万一の事故に備えて、学生教育研究災害傷害保険(学研災)ま
たは学生総合共済への加入を義務付けています。前者は学生課、後者は生協が窓口です。
応急処置
やけど
切り傷、擦り傷
試薬による中毒
ガスによる中毒
水道水で 10 分以上冷やす。燃えている衣服の火は水で消し、必要に応じて傷を
つけないように衣服を切るか、脱がす。重いやけどの場合はただちに病院へ。
泥・ガラス片などを除いた後、水洗、消毒して絆創膏・ガーゼ等で止血。大きな
怪我の場合は、止血の応急処置のみ行い、ただちに病院へ。
とにかく多量の水で水洗する。飲み込んだ場合は水を飲ませて吐かせる。目に入
ったら、指でまぶたを開いて洗うか、洗面器に水をためてまばたきする。
風通しの良い場所に移動して休ませる。そばにいる人も巻き込まれやすいので注
意すること。
事故・火災等の場合の緊急時連絡先: 守衛室
内線 2999 または 3999
11
研究室紹介
先端機能物質分野 川上研究室
かわかみ ひろよし
教授 川上浩良
あさやま しょういちろう
准教授 朝山章 一 郎 た
なか
まなぶ
助教 田中学 やま と
まさふみ
准教授 山登正文
研究概要
化学・生物学・医学と工学とを結ぶバイオエンジニアリングは、今後の生命科学、環境科学の分野で
中心的役割を果たす研究領域ですが、私達の研究室では、このバイオエンジニアリングを発展させる上
で最も重要となる「材料(バイオマテリアル)の基礎および応用に関する研究」を進めています。一方、
人類が今後も持続的発展を遂げるには、環境・エネルギー問題を考慮したあるいはそれら問題を解決で
きるマテリアル創製が重要となります。サステイナブルテクノロジー、ナノテクノロジーを実践できる
「材料(環境工学マテリアル)の基礎および応用に関する研究」も進めています。 私達の研究室では、高分子化学・有機化学・分子生物学を基礎にして新しいバイオマテリアル、環境
工学マテリアルを創り出すため、研究の方法論や独創性がどこにあるのか、何のために研究をするのか
を厳しく問いながら、各自が研究テーマに取り組んでいます。学生は日頃の研究や学会・国際会議での
発表を通して様々なことを学びながら、これからの時代に対応できる能力を育むとともに、人類の医療
と福祉、環境とエネルギーに貢献できるよう努力を重ねております。
主な研究内容






エピジェネティクス工学(生体適合性材料、細胞工学、エピジェネティクス工学による臓器再生)
バイオミメティック(生体の酵素を超える人工酵素の合成による生体内フリーラジカルの制御)
ドラッグデリバリーシステム(医薬・遺伝子キャリアの合成による部位特異的送達・遺伝子治療)
機能性高分子分離膜(高機能性分離材料の創製に基づく地球規模での温暖化等の環境問題の解決)
固体高分子電解質膜(燃料電池・リチウムイオン二次電池の為の高イオン伝導性材料の開発)
ナノファイバー(ナノファイバー 本及びナノファイバー構造体の特性・高次構造制御と応用)
研究キーワード
エピジェネティクス工学、生体内フリーラジカル、ドラッグ・遺伝子デリバリー、ライフサイエンス、
分離膜、燃料電池、ナノファイバー、サステイナブルテクノロジー、環境・エネルギー
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研究室紹介
先端機能物質分野 益田研究室
ますだ
ひでき
たけい
たかし
教授 益田秀樹
准教授 武井 孝 こんどう
としあき
助教 近藤 敏彰
やなぎした たかし
准教授 柳 下 崇 研究概要
電気化学反応は、電気の力を借りて、様々な化学反応を効率的に進めることができる便利な方法です。
当研究室では、電気化学反応を利用して、新しい材料の開発やナノメータースケールで物質の幾何学形
状を制御する研究を行っています。また、これらの成果をもとに、これまでにない機能をもった様々な
デバイスの開発を進めています。特に、電気化学反応に伴って物質自身が規則的なかたちをつくる性質
(自己組織化能)を上手に利用した材料開発では、通常の方法ではつくることができない新しい材料が
効率良く作製できることが明らかになっており、今後の発展が期待されています。
主な研究内容
 光学デバイスに関する研究金属ナノ粒子による光電場の増強、反射を抑制する表面の高効率形成
 磁気デバイスに関する研究高密度磁気記録媒体の開発
 バイオデバイスに関する研究高効率の生体反応電極、'1$ 分離用基板の作製
 エネルギーデバイスに関する研究電解コンデンサ用、リチウム電池用電極の幾何学形状の制御
研究キーワード
ポーラスアルミナ、電気化学、自己組織化、ナノインプリント、パターンドメディア
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研究室紹介
先端物質デザイン分野 吉田研究室
よしだ
ひろひさ
教授 吉田博久
研究概要
分子内ならびに分子間の相互作用や外部刺激を利用して、有機材料や無機材料、高分子材料の構造制
御を行い、新規な特性を示す材料を開発する研究を行っています。相互作用には、クーロン力などの強
い相互作用やファンデルワールス力のような弱い相互作用といった引力的相互作用と斥力的相互作用
があります。これらの相互作用が特定の方向に働く分子をデザインすることで、たくさんの分子が集ま
ってできる集合体の構造をナノスケールで制御することができるようになります。構造を制御した有機
分子集合体や高分子をエネルギー、医療、環境などの分野で応用することを目指して研究を進めていま
す。
主な研究内容
 自己組織化重合による構造を制御した高分子センサーの研究分子の積木
 ナノ構造制御高分子を利用した触媒の研究分子フラスコ
 単分子膜ならびに多層膜の構造と物性の解析
研究キーワード
ナノ構造制御、構造解析、高分子物性、高分子物理化学、高分子センサー、放射光科学
分子の積木を利用した
高分子センサーの構造
高分子単分子膜の構造
分子フラスコを利用した
金ナノ粒子の配列制御
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研究室紹介
先端物質デザイン分野 瀬高研究室
せ たか わたる
准教授 瀬高 渉 いながき ゆうすけ
助教 稲垣佑亮
研究概要
医薬品や液晶などに代表されるファインケミカルは、現代社会の暮らしを豊かにする応用化学材料で
す。これらの多くは、少量でも高度な機能性を示す有機分子材料です。主に炭素原子、水素原子、窒素
原子および酸素原子で構成される有機分子は、その元素の組み合わせに無限の自由度があり、多種多様
な構造の分子を設計・合成することが可能です。私たちは、これに環境負荷が小さい元素であるケイ素
原子を組み込むことにより、有機分子の新しい機能性を開発する研究を行っています。すなわち、新規
な構造の有機ケイ素分子の設計・合成および機能評価の研究を通して、新しいファインケミカル開発の
ための基礎原理を確立する研究を進めています。
主な研究内容
 結晶中でベンゼン環が回転する“分子ジャイロコマ”の合成と回転運動に伴う結晶物性
ベンゼン環が架橋したかご化合物は、ベンゼン環が1軸回転可能であることからジャイロコマと同
様の機能性が期待されています。結晶複屈折変化など回転運動に伴う機能性を研究しています。
 双極子配向を制御した有機結晶の作成と物性
かご型化合物により双極子モーメントのある有機π電子系の配列を制御した有機結晶を作成し、π
電子系の配向が変化したときの複屈折性や誘電性を研究しています。
 ケイ素基盤ロタキサンの合成と動的分子配座制御
大環状分子に軸分子がはまり込んだ分子はロタキサンと呼ばれています。環状分子が軸分子上を高
速シャトリングする際の軸分子の構造と性質について研究しています。
研究キーワード
元素化学、分子技術、分子機械、分子運動、機能性有機材料
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研究室紹介
先端物質デザイン分野 春田研究室
はるた
まさたけ
たけとし
あやこ
よしだ
たくや
教授 春田正毅
助教 竹歳絢子
特任助教 吉田拓也
いしだ
たまお
特任教授 石田玉青
にしがき じゅんいち
むらやま とおる
特任准教授 村山 徹 ふじた
たかし
特任助教 西垣 潤 一 特任助教 藤田隆史
研究概要
春田研は、
「金の科学JROGVFLHQFHを中心に環境にやさしい化学JUHHQFKHPLVWU\の開拓」を主題
とする、世界でもちょっと珍しい研究室です。バルク塊の金は化学的に不活性ですが、直径が 2-10 nm
の小さなナノ粒子になると、-70°C のような低温(南極)でも一酸化炭素(CO)を酸化できるようになります。
この金ナノ粒子の低温触媒活性を利用して、都市空間(特に地下やビル内)の空気を加熱エネルギー無
しで浄化することや日常生活で用いる化成品を環境に負荷をかけずに簡単な方法で合成することを目
指しています。最近では、さらに微小な金クラスター(直径 2 nm 以下、原子数 200 個以内で物性が劇的
に変化することが期待される)について、サイズ(原子数)と立体構造を自在に制御して作る方法を探索し、
新しい物質科学の最前線を開拓しています。
主な研究内容
 金ナノ粒子触媒による常温空気浄化
CO、ホルムアルデヒド(HCHO)などの空気中の有害成分を酸化・無害化する金ナノ粒子触媒の開発
 環境に優しい化学プロセスの開拓:金ナノ粒子・クラスター触媒による選択酸化
化学量論的な酸化剤を使う反応から酸素(O2)を酸化剤とする高選択触媒反応への転換
 バイオマス化学の開拓:新しい選択的水素化触媒の開発
 金クラスターの構造と物性の科学
異方性金属酸化物粒子、無機有機ハイブリッドメソ多孔体、多孔性配位高分子、バイオポリマー
などが持つナノ空間の形や壁との相互作用を利用して、ある特定の原子数からなる金クラスターの
立体構造制御と新しい物性の探索・開拓
研究キーワード
金ナノ粒子、金クラスター、環境調和型反応、空気浄化触媒、グリーンケミストリー、酸素酸化、
バイオマス原料、選択水素化
金ナノ粒子
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研究室紹介
エネルギーデバイス分野 金村研究室
かなむら
きよ し
かじはら
こういち
教授 金村聖志
准教授 梶原浩一
むなかた ひろかず
助教 棟方裕一
なるしま
たかし
特任助教 成島隆 あき た
やすひろ
はいばら
まさ き
特任助教 秋田康宏
特任助教 生原雅貴
しょう じ
ま
お
特任助教 庄 司真雄
き むら
たけ し
特任研究員 木村豪志
研究概要
無機材料化学および電気化学をベースとして、機能性材料に関する研究を行っています。特に、燃料
電池やリチウム二次電池などのエネルギー変換デバイスに関連した機能性材料の研究に注力していま
す。特に、三次元規則多孔構造を有する高分子・セラミックス・炭素材料の開発と電池材料への応用を
積極的に推進しています。また、生体材料であるハイドロキシアパタイトの基礎的な研究や、さらには、
無機固体材料セラミックス、ガラスの構造と物性、主に光・電子物性に関して、基礎および応用の両
面から研究を推進しています。
主な研究内容
 燃料電池に関する研究電極反応過程の解析や新規電解質材料、電極触媒の研究開発
 リチウム二次電池に関する研究電極反応過程の解析や新規活物質、電解質材料の研究開発
 三次元規則多孔構造を有する高分子・セラミックス・炭素材料の開発と電池材料への応用
 ゾルゲル法、水熱合成法、電気泳動法など、溶液からの機能材料合成ソフト溶液プロセス
 シリカガラスをベースとした光学材料に関する研究
 光・電子機能性セラミックスの設計・合成と物性評価
研究キーワード
電池、燃料電池、電気化学、セラミックス材料化学、生体関連セラミックス、光・電子機能セラミック
ス・ガラス、深紫外光学材料
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研究室紹介
環境分子化学分野 高木研究室
教授 たかぎ
しんすけ
しまだ
てつや
高木慎介
助教 嶋田哲也
研究概要
私たちの研究室では、「自然に学び自然を超える」を合い言葉に、分子を思い通りに並べ、電子とエ
ネルギーの流れを制御することに挑戦しています。分子を並べることは究極のナノテクノロジーの一つ
であり、これまでの化学では不可能だったナノ材料の開発や、精緻な化学反応系の構築が可能となりま
す。独自に見い出した分子配列技術を用いて、機能性色素材料の開発や、人工光合成モデルの研究を行
っています。光合成反応は分子配列を巧みに利用している理想的なエネルギー変換反応であり、人工光
合成を実現できれば、環境問題、エネルギー問題に大きく貢献することができます。一方、極短パルス
レーザーを用いた超高速時間分解分光測定、導波路分光測定などにより学理を追求し、科学の発展につ
ながる新たな法則、原理の発見を目指しています。
主な研究内容
 分子を思い通りに並べる:ナノ層状粒子上での機能性色素の能動的配列・配向制御
 空間を思い通りに操る:ナノシート層間における分子環境、ナノ空間構造の能動的制御
 思い通りの光反応を実現する:分子レベルで制御された構造における光化学反応の研究
研究キーワード
ナノ構造化学、光化学、エネルギー、人工光合成、ナノ色素材料、粘土鉱物、無機/有機複合体
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研究室紹介
環境分子化学分野 山口研究室
やまぐち
もとお
さとう
きよし
教授 山口素夫
准教授 佐藤 潔 研究概要
有機材料化学には「新しい手法の開発」と「新しい物質の創製」という二つの目標があります。我々
の研究室では、有機合成と分子設計を基盤として「環境にやさしい触媒反応の開発」と「新しい機能を
もつ有機材料および有機無機複合材料の創出」を目的として研究を行っています。さらに、生体系に
多く見られる自己集積体(超分子)を手本にして、水素結合、イオン結合、配位結合など共有結合以外
の分子間力(分子間相互作用)を利用した超分子材料へと展開しています。
主な研究内容
 有機溶媒を用いず水を酸素源とする光酸化触媒の開発
 包接機能をもつ光応答性ルテニウム分子スクエアの開発
 光増感効果を利用してゲストの光反応の触媒となる光捕集性ルテニウム四核ホストの開発
 光解離反応のスイッチングを利用した光機能性錯体の創製
 特異な構造を有する新規な縮合多環アゾニア芳香族化合物の合成
 カチオン性芳香族複素環化合物を利用した凝集誘起発光型低分子ゲルの開発
 ポリアリール置換イミダゾリウムとアニオンとの特異的相互作用による蛍光応答
研究キーワード
錯体触媒、ルテニウム錯体、自己集合、包接、光解離反応、光応答性材料、スイッチング材料、
超分子、分子認識、カチオン性ヘテロ芳香族化合物、クロミック色素、環境応答型材料
19
研究室紹介
分子計測化学分野
うちやま
内山研究室
かつみ
教授
内山 一美
准教授
中嶋 秀
助教
曽 湖烈
なかじま ひずる
ぜん ふーりえ
かとう
しゅんご
准教授
加藤 俊吾
助教
乗富 秀富
のりとみ ひでたか
研究概要
顕微鏡が小さなものを見る道具として大切なように、科学の基本はものを分析し見えるようにするこ
とです。当研究室(分析化学研究室)では、環境試料や生体試料をはじめとした種々の試料の中に、何
が、どのような状態で、どのくらい含まれているのかを迅速に明らかにするための、マイクロ・ナノ空
間を利用した新しい分析手法の開発を行っています。また、大気中の化学反応についての研究を行って
います。
主な研究内容
 インクジェットを用いる迅速感染症検査システムの開発
 インクジェットを用いるキャピラリー電気泳動用試料導入システムの開発
 インクジェットを用いる機能性単分散ナノ/マイクロ微粒子の生成と応用
 位置選択的表面化学修飾ツール(μケミカルファウンテンペン)の開発
 環境応答性分子を用いたマイクロ化学スイッチングデバイスの作製
 CD 型マイクロチップを用いるマイクロ化学分析システムの開発
 有機 EL と有機フォトダイオードをオンチップ化したマイクロ蛍光検出システムの開発
 2 次元ナノビーズアレー構造体を用いる透過型表面プラズモン共鳴センサの開発
 カーボンモノリスカラムを用いる酸化還元化学種変換 HPLC の開発
 大気中の全 OH ラジカル反応性測定装置の開発
 大気中微量成分測定による汚染大気長距離輸送に関する研究
 植物から放出される大気微量成分に関する研究
研究キーワード
環境計測、生体分子計測、オンサイト分析、マイクロ化学分析システム(μTAS)、クロマトグラフィー、
電気泳動、化学センサ、バイオセンサ、インクジェット、CD、有機 EL、大気化学、揮発性有機化合物
現場で,誰もが,簡便,迅速かつ高感度に測定できる
新しい分析手法・分析機器の開発
試料導入
・ インクジェット
(pL~nL)
反応・分離
送液
マイクロ・ナノ空間
を利用する分析法
環境分析
食品分析
医療検査
・ 電気浸透流
・ CD型マイクロチップ
・ 遠心力を利用した送液
検出
・ LED / 有機EL
・ 表面プラズモン共鳴
・ 原子発光検出器
・ マイクロチップカラム
・ 規則配列ビーズ構造体
20
研究室紹介
分子計測化学分野
く ぼ
久保研究室
ゆう じ
教授
久保 由治
准教授
Yan Mulyana
助教
西藪 隆 平
や ん
む り や ー な
にしやぶ りゅうへい
研究概要
当研究室は、有機合成化学を専門分野とし、有機分子にもとづく「ものづくり」を通じて世界へ情報
発信をおこなおうと、日夜努力しています。有機化学の大きな目標のひとつは、原子や分子を思い通り
に組み合わせる新しい「ものづくり」の原理を構築し、その方法論にそったユニークな分子機能の創出
です。当研究室では、合成可能な分子部品の相互作用を設計することによって達成される分子組織体(超
分子)の開発を目指します。具体的には、生命現象の作用機構をヒントにしたナノ組織体から動的な秩
序構造をもつソフトマテリアルへの展開を検討します。超分子化学の視点から「人の暮らしを豊かにす
る材料」の開発をおこないたいと考えています。また、有機太陽電池等のデバイス化に有効な色素体の
合成を通じて、環境・エネルギー問題への貢献を果たす取り組みもおこなっています。
主な研究内容

刺激応答型分子組織体の合成:ほしいときにほしい機能を発現させる機能プログラミング法の開発

動的有機ゲル化剤の開発とソフトマテリアルへの応用

自己組織型分子センサーの開発とアレイ技術への応用

機能性π共役ポリマーの創製と高次構造制御法の開発

金属ナノ粒子複合型有機材料の開発

新しい物質間相互作用の開発と分子認識への適用

有機太陽電池等のデバイス化に有効な機能性色素の設計と合成
研究キーワード
超分子、自己組織、分子認識、分子カプセル、分子センサー、π共役ポリマー、機能プログラミング、
ソフトマテリアル、有機太陽電池、金ナノ粒子
21
研究室紹介
環境調和化学分野 宍戸研究室
ししど
てつや
みうら
ひろき
教授 宍戸哲也
助教 三浦大樹
研究概要
「触媒」は、現代社会において欠くことのできない機能性材料です。我々の身の周りの製品のほとん
どは、
「触媒」を利用して製造されています。空中窒素固定法、すなわちアンモニア合成法であるハー
バー・ボッシュ法は、鉄触媒が用いられていますし、2010 年のノーベル化学賞(鈴木章先生、根岸英
一先生、ヘック先生が受賞)は、パラジウム触媒を基本とするカップリング反応に関するもので、医薬
品の原料の製造などに広く応用されています。また、自動車や工場からの排気ガスを浄化し、酸性雨や
光化学スモッグなどの環境問題を防止しているのも「触媒」の働きです。このように「触媒」は、大変
有用で重要な物質です。最近では、分析手法や理論化学計算の手法の進歩に伴い、「触媒」が鍵となっ
て起こっている現象(化学反応)を原子・分子レベルで解析することが可能になりつつあります。私達
の研究室では、物理化学・有機化学・無機化学を基礎にして新しい「触媒」システムを構築するため、
研究に取り組んでいます。いろいろな分光法を駆使することによって「触媒」表面の構造と電子状態を
解析し、さらに速度論的な検討を組み合わせることで、「触媒」で起こっている現象を明らかにしよう
としています。また、これをもとに高機能な触媒が備えるべき性質や、改善すべき点などを考え、この
知見をもとに高機能な「触媒」の設計・構築を行い、
「新しく高効率な分子変換プロセスの構築」や「環
境保全・浄化に有効なシステムの構築」を目指しています。
主な研究内容
 固体表面における酸・塩基性の発現機構とその応用
 高活性・高効率を目指した光触媒化学
 金属あるいは合金ナノ粒子を用いたあたらしい分子変換反応の開発
 環境汚染物質の高効率除去を可能とする触媒の開発
 反応中における触媒材料の“その場”観察
研究キーワード
触媒化学、物理化学、表面科学、固体酸塩基、光触媒、その場分析、環境調和型反応、グリーンケミス
トリー、環境・エネルギー
22
研究室紹介
光エネルギーと物質変換分野
いのうえ
はるお
特任教授
井上 晴夫
特任助教
鍋谷 悠
井上研究室
たちばな ひろし
教授 立花 宏 (大学教育センター)
なべたに ゆう
研究概要
化学反応を予測し、そして意のままに制御することは人類の夢の一つであり現在さまざまな取り組み
がなされています。一般に化学現象は 1)物質変換現象(物質AがBに変化する)であると同時に 2)
エネルギー変換現象(エネルギーの蓄積や放出)であるため、化学反応の予測と制御のためには「エネ
ルギーの流れ」を理解することが重要になります。当研究室では「化学反応におけるエネルギーの流れ」
を重要視し、距離と時間のスケールを分子レベルまで掘り下げた研究を行っています。現在は特に、光
エネルギーを分子が吸収することにより誘起される化学反応(光化学反応、電子励起状態の化学)を中
心に研究しています。太陽光を有効なエネルギー源として利用できる反応を開発し、自由に制御できれ
ば、人類は無尽蔵のエネルギーを確保することができます。
主な研究内容
 1) 人工光合成を目指して、2) 光駆動型ナノマテリアルの開発、3) 化学エネルギー共役
研究キーワード
研究者集団、自由、楽天的バイタリティー、Happy research!、Enjoy research!、瞬間を見る
1) 人工光合成を目指して
分子と分子の間に電子の受け渡しがあると化学反応が誘起
されます。光エネルギーの吸収により生じる分子の励起状態で
は、元の基底状態と比べて電子を他分子に渡し易く、また受け
取り易くなります。このため普通は反応をしない分子同士でも、
光により化学反応を誘起することができます。植物の光合成も
この性質を利用して水分子の電子を二酸化炭素へ移動させて
います。井上研究室では、従来は人工的に行うことが困難であ
った可視光による水分子の電子の利用を、高原子価金属ポル
フィリンを用いて実現しました。人工光合成に繋がる成果です。
現在はエネルギー蓄積型化合物の生成、アルカンの水酸化、
二酸化炭素還元など様々な有用な反応への展開を行っています。
2) 光駆動型ナノマテリアルの開発
分子の視点から、光のエネルギーを力学エネルギーに変換する物質の開発を行ってい
ます。光により形を変える分子を無機層状化合物とハイブリッド化し、ナノマシンなどの動
力としても応用できそうな、光で自由に伸び縮みさせられるナノマテリアルの開発に成功
しました。
3) 化学エネルギー共役
物質中に蓄積された内部エネルギーを引き出す新たな方法として、高振動エネルギ
ーの選択的移動と反応誘起について研究しています。溶液中で高振動状態にある分子
から他分子へと選択的に振動エネルギーを移動させ、反応を誘起させるモデル反応を
見つけています。従来の常識を覆す発見です。
23
キャンパスライフ
大学2年生の生活
浅妻 克弥(都市環境学部 分子応用化学コース2年)
大学 2 年次は、私にとって 1 年次より大変忙しく充実した日々となりました。
2 年次は専門科目が増え、有機化学、無機化学、生命化学、化学システム工学等の基礎を幅広く学ぶ
ことができるため、自分の専門分野の選択の参考になります。また、後期に「分子応用化学基礎実験」
という授業があります。実験は 2,3 人の班で行います。実験後に書くレポートも重要ですが、実験前
に予習として実験ノートを書くことも必要不可欠です。実験テキストが英語で書かれているため、予習
を行う上で化学英語を学ぶことになります。私の場合ですと、予習からレポート作成までに 10 時間程
度はかかります。アルバイトもしているため、時間の使い方を考えました。
分子応用化学コースでは「現場体験型インターンシップ」の履修が 2 年次に推奨されています。私は
夏休みにインターンシップに参加し、水の分析をさせていただきました。座学で学んだことが実社会で
どのように使われているかを確認できました。
サークル活動も忙しくなってきます。私のサークルは大学祭の準備が大変なため、夏休みに休めた記
憶がありません。役職に就き、企画運営の上で先方との打ち合わせもあり、段取りや準備の大切さを学
びました。サークルに入るのであれば、実のあるサークルに入ることをお勧めします。
理系学生はやはり忙しいです。しかし、その経験が自分を成長させる糧となると思います。
大学4年生の生活
上田 颯季(都市環境学部 分子応用化学コース4年)
4 年次に進むと、3 年次までの大学生活から一変します。決められた時間の授業を受けていた学生生
活と異なり、それぞれ配属された研究室で、卒業研究に向け自分で考えて日夜実験に取り組むようにな
ります。卒業研究では学生一人一人に与えられた研究テーマに取り組みます。3 年次までも授業の一環
として学生実験はありますが、4 年次の研究は未開の領域に挑戦するものであるため、思うようにいか
ず、落ち込むこともあります。さらに、実験操作や実験計画を自分で考える主体的な行動が必要になる
ためとても大変です。だからこそ、新たな結果を出すことが出来たときの達成感は何ものにも代えがた
いものです。また、卒業研究と並行して毎週ゼミが行われます。ゼミでは各々の実験の進捗状況の報告
を行い、先生や他の学生と意見交換したり、最先端の研究の論文を紹介したりします。これらにより 4
年次では、論理的な思考やプレゼンテーション能力、問題発見・解決能
力、スケジュール管理能力など社会に出てから必要とされる能力を身に
つけることができます。毎日が研究室主体になるため、私自身、卒業研
究やゼミの準備と並行して就職活動・アルバイト・サークル活動を行い、
ハードな生活に疲弊することもありましたが、先生や大学院生の先輩方
のお力添えを頂くことで、研究を進めていくことができました。写真:
著者(左)、同期の荒瀬淳子さん(右)と一緒に。
修士課程の生活
今井 一穂(大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域 博士前期課程 1 年)
大学院生は、学部生とは違って生活の中心が研究室となり、より高度で専門性に富んだ知識や情報と
触れ合いながら研究を行っていきます。研究によってはかなりの難題に取り組んでいく人もいますが、
そこでまた新たな発見があるだけでなく、取り組む姿勢をとおして今後の自分の糧になる探求心や粘り
強さを育む要素がたくさん含まれていると思います。
研究生活において、今まで先輩しかいなかったところから後輩が入ってく
ることもあり、先生、先輩、後輩たちとたくさんの議論を行うことが出来ま
す。それによって、ただのコミュニケーションだけでなく意見交換から見落
としていたことや新たな発見のヒントになるものを見つけられることも多い
です。さらに研究だけでなく今後社会に出ていくなかで必要な表現力やディ
ベート力などを磨いていくことが出来ます。加えて、研究分野を問わず英語
は欠かせないものとなっているので、論文の内容を理解し自分がそれを紹介
する機会なども出てくることから、得意不得意に関わらず英語の勉強は少し
ずつやっていくことで後の苦労も減ると思います。
学部生の頃とは違い、忙しいことが多くなると思います。しかしそれがた
だ大変で辛いだけのものにならないよう、やるべきことをやりながらも自分
の趣味や学外活動を限られた時間の中でやっていくことで、自分の大学院生活を楽しんでいくことが大
切だと思います。皆さんも修士課程の生活で、今後の足掛かりをつかむ 2 年間を過ごしませんか。
24
キャンパスライフ
海外インターンシップ体験に参加して
江口 大地(大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域 博士前期課程2年)
私は首都大学東京の国際性豊かな大学院生育成プログラムの一環として、アメリカのシリコンバレー
で行われた研修に参加しました。このプログラムでは、シリコンバレーを拠点とする企業や大学を訪問
し、プレゼンテーションやディスカッションを行いました。最も印象的だったのは、スタンフォード大
学でのプログラムでした。これは、興味のある教授に自分でアポイントメントを取り、ディスカッショ
ンに臨むというものです。そのため、専門性の高い、白熱した
ディスカッションになりました。世界の第一線で活躍する異国
の研究者の熱意に直接触れることで、私の研究に対する熱意が
さらに高まり、博士後期課程進学の決意が強くなりました。ス
タンフォード大学で有意義なディスカッションができたのは、
私が英語を流暢に話せたからではありません。これまで学んで
きた「科学」という世界共通の知識のおかげだと思います。新
入生の皆さんもこれからしっかりと科学を学んで、 世界中の
研究者と交流してみて下さい!! きっと新しい世界が待ってい
るはずです!!!! (写真説明:スタンフォード大学の Oval 広場に
て、ディスカッション後に Ph. D の学生(左)と記念撮影)
博士課程の生活
藤村 卓也(大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域 博士後期課程3年)
博士後期課程では、博士前期課程修了後にさらに三年間(短期短縮制度あり)、大学院生として研究に
従事し、博士号の取得を目指します。博士号取得後の進路は人により様々ですが、研究職を目指す方が
多いです。博士後期課程では、前期課程に比べ、大学院生がより主体となって研究を進めます。実験結
果を深く考察するための理論を自主的に学びつつ研究を推進していくため、自主性や考察力が鍛えられ
ます。また研究以外にも、国内外の学会における発表、論文執筆、後輩の指導などを行ないます。これ
らの活動は研究者にとって非常に重要であり、また博士前期課程で全て体験する事は難しいため、研究
職を志している方は、博士後期課程への進学をお勧めします。
博士後期課程では前期課程に比べ、海外へ渡航する機会に恵まれています。国際化が重要視されてい
る近年、この様な国外に出る経験は大変重要です。私の場合、アメリカ合衆国に留学し、University of
Miami にて 5 ヶ月間研究を行わせて頂きました。海外での生活、研究活動は大変刺激的なものであり、
日本国内では決して得られない貴重な体験をいくつもしました。特に現地の同級生と研究について議論
したり、勉強を教え合った事は、私にとって忘れ難い思い出です。
本学では博士後期課程の学生に対する奨学金や、留学・国際会議への参加を支援する制度もあります。
博士を目指す方はこのチャンスを生かし、実りのある研究生活を送れるよう、頑張って下さい
国際会議に参加して
柿木 詩織(大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域 博士前期課程2年)
大学 4 年生から研究室に配属されると、日々の研究活動に加えて、
学会発表を行う機会があります。普段の研究成果をポスターやスライ
ドにまとめて学外で発表するので、分野の違う多くの人と意見交換を
することが出来ます。私は、中国の杭州で開催された The 7th
International and the 9th China−Japan Symposium on
Calorimetry and Thermal Analysis という国際学会に参加し、ポス
ター発表と口頭発表を行いました。初めての英語の口頭発表だったの
でとても緊張しましたが、話し出すとリラックスして落ち着いて発表
をすることが出来ました。また発表後には質疑応答の時間があり、多
くの質問やアドバイスをいただき、有意義なディスカッションをすることが出来ました。著名な先生方
にも発表を聞いていただけ、貴重な情報交換になったと同時に自信を得ることが出来ました。その中で
自分の考えや意見を伝えることの大変さを感じ、英語は読むだけでなく話すことが大切だと実感しまし
た。このような国際学会を通して自分の肌で直接外国の文化に触れ、国外の研究者や学生と交流するこ
とでは、多くの良い刺激をもらえると思います。私自身、今回の学会で多くのことを学ぶと共に
Excellent Poster Award という賞をいただくことができ、自分にとってプラスになる非常に貴重な経験
をすることが出来ました。新しい経験は自分の成長につながり、視野を広げる良いチャンスになります。
みなさんも機会があればぜひ積極的に国内だけでなく国外の学会に参加してみてください。
25
卒業・修了後の進路
就職と進学
皆さんは卒業・修了後、大学で学んだ専門知識や経験をもとに技術者・研究者として活躍することに
なりますが、4 年生になると、就職するか進学するかの最初の選択を行う必要があります。同時に、分
子応用化学コースのいずれかの研究室に所属して研究テーマを持ち、特別研究を行います。これまで学
んだ専門知識をいかに利用して研究を進めていくかを学び、技術者・研究者として自立するための仕上
げを行う重要な期間です。特別研究は自分の進路に大きく影響しますので、将来設計・目的意識を持っ
て選んで下さい。特別研究を通じて勉強や研究の面白さを知り、もっと続けたいと思った人には大学院
修士課程(博士前期課程)への進学を勧めます。現在、4 年生の約 80%が進学を希望しています。
採用システムの変化と求められる人材像
2016 年度入社以降の大学卒業・大学院修士課程修了予定者等の採用選考は、
『採用選考に関する企業
の倫理憲章』の定めにより、広報活動は卒業・修了前年度の 3 月 1 日以降、面接等実質的な選考活動は
卒業・修了年度の 8 月 1 日以降に開始することが決定されました。応募形態には主に大学推薦と自由応
募がありますが、最近の傾向として、大学との関係強化を志向し、OB・OG が出身研究室を訪問して推
薦を行う大学推薦が増えつつあります。企業側が求める人材のキーワードは「学業成績重視」と「社会
人基礎力」です(経産省ウェブサイト参照)。社会人基礎力は 3 つの力、「前に踏み出す力」、「考え抜く
力」、「チームで働く力」と 12 の能力要素からなり、主体的な行動と協調、基礎学力、専門的な思考を
積み重ねることで成長します。グローバル化に対応できる資質も求められ、英語力も最低限必要です。
企業の新人研修の縮小、採用減等により、新人にも従来に比べて高い能力が期待されています。社会人
基礎力のような力はすぐには身に付かないため、日頃からそれらを意識した行動が必要となります。
学域・コースへの求人募集は事務室に一括整理して保管してあります。また、学生サポートセンター
の就職課も、いろいろなセミナー・説明会を開催していますので、これらも活用して下さい。
平成 25 年度
卒業生の進路
大学院修了生の過去 3 年間の主な就職先
旭化成、ADEKA、アドマテックス、出光興産、宇部興産、NEC システムテクノロジー、王子製紙、花王、キーエンス、
鬼怒川ゴム、京セラ、共同印刷、クレハ、コニカミノルタ、コニシ、GS ユアサ、JFE エンジニアリング、信越化学工業、
新神戸電機、住友スリーエム、ゼブラ、ソニーケミカル、大気社、大日本印刷、太平洋セメント、高砂熱学工業、DIC、
TDK、テルモ、東亜ディーケーケー、東芝、東ソー、東洋アルミニウム、東洋インキ、東洋製罐、東レ、東和薬品、凸
版印刷、トヨタ自動車、ニコン、ニチコン、日油、日揮触媒化成、日産自動車、日本アイソトープ協会、日本カーリット、
日本自動車研究所、日本触媒、日本ゼオン、日本蓄電器工業、日本表面化学、日本ペイント、パナソニック、日立化成、
富士電機、富士紡、芙蓉化学、ブリヂストン、古河電池、本田技研工業、三井金属工業、三菱アルミニウム、三菱ガス化
学、三菱自動車、矢崎総業、横浜ゴム、ヨネックス、ライオン、リオン、公的研究機関、公務員(国家、地方)など
卒業生からのメッセージ
間々田 祥吾(平成 14 年度 東京都立大学大学院工学研究科応用化学専攻修了
平成 26 年度 分子応用化学域博士後期課程修了 公益財団法人鉄道総合技術研究所)
現在、私は、鉄道の振動および騒音の対策材の研究に携わっています。振動や騒音の対策材の多くは、
高分子材料等の有機材料で作られています。学生の時も高分子研究室に所属していましたので、基礎的
な部分では理解しているつもりですが、鉄道という分野での応用、活用を考えると、化学だけでなく、
物理の勉強をもう少ししておけば良かったかと思います。
振動や騒音の対策の他にも、機能性の新材料の研究にも取り組んでいます。この分野では、学生の頃
に研究していた基礎知識が大いに役立っています。特に私の職種は、研究職ですので、研究の進め方は、
学生の頃と基本的に同じです。論文等からの情報収集、理論的な仮説、仮説に基づいた実験、実験結果
に関する考察、この繰返しです。研究職に進もうと考えている方は、学生の時にこの流れをしっかりと
身につけておくと良いと思います。首都大学東京の分子応用化学域・コースは、研究職に必要なこの流
れを、先生方の指導のもとで学べる場です。今の環境をフル活用して下さい。
最後になりますが、学域・コースでは、研究だけでなく、様々なイベント等もあると思います。研究
は、全てを一人でできるものではありません。他研究室や周りの仲間と積極的に交流して下さい。これ
は学生生活が楽しいものになる上、会社に入っても大いに役立ちます。
26
広報・啓蒙活動、沿革
広報・啓蒙活動
在校生の皆さんをはじめ、高校生やひろく一般市民の方々に分子応用化学域・コースを理解していた
だくために種々の広報・啓蒙活動を実施しています。
分子応用化学域・コースウェブサイト (http://www.ues.tmu.ac.jp/apchem/)
本学域・コースの特徴や教育内容、研究室紹介、研究成果、キャンパスライフ、入試案
内などが掲載されています。所属教員や学生の教育研究活動成果を積極的に公開し、本学
域・コースの魅力が存分に伝わるよう工夫しています。本学域・コースの教育理念や研究
動向の把握に利用してもらえば幸いです。まずは、アクセスしてください。
一日体験化学教室・オープンクラス
高校生の皆さんに、化学の面白さ・奥深さを実感してもらうために企画さ
れている化学実験・体験教室で、例年 8 月に行われています。この体験教室
は、日本化学会がおこなっている「化学への招待」のプログラムおよび首都
大学東京のオープンクラス事業の一環として運営され、本学化学系教員と大
学院生が一体になって参加高校生と一緒に実験します。
ブルーバックス
21 世紀の先端技術を支える化学材料の意味と意義を、未
来を創る在校生や高校生の皆さん、さらには一般市民の方々
にわかりやすく伝え、科学的に物事を見る目を涵養すること
は、本学域・コースの大きな使命のひとつと考えています。
そこで、講談社科学図書出版部のご協力を得て解説書(ブル
ーバックス)を出版しています。これまで「化学がつくる驚
異の機能材料」(1992 年)と「材料化学の最前線」(1998 年)
を発刊しましたが、2010 年に 3 冊目となる最新巻「新・材料化学の最前線」を発刊しました。
コロキウム
本学域・コースでは、「応化コロキウム」を開催しています。コロキウム(Colloquium)とは「学術的
な会合であり、スペシャリストが講演して、質疑応答を行う」(Webster 辞書)とあります。「応化コロ
キウム」もほぼこの形式でおこなわれます。参加できる人に制限はなく、本学域・コースの教員や学生
のみならず、テーマによっては他コースや他学部の人たちも参加します。その運営は、教員から選ばれ
た世話人がおこない、講演者の専門分野が偏らないように配慮して年間スケジュールを決めます。時に
は、国際会議に参加するため日本を訪れた海外の研究者や、本学を訪問した外国人研究者にも講演をお
願いすることがあります。本学域・コースの前身である東京都立大学工学部工業化学科で 1981 年に始
まった当コロキウムの開催は 350 回を超えています。
出張講義
分子応用化学域・コースではどのような研究・教育活動が行われているのか、またその成果はどのよ
うに役立っているのか、本学域・コース所属の教員が高校などを訪問して、その内容をじかに、わかり
やすく講演する活動を行っています。興味がありましたら是非お問い合わせください。
本学と分子応用化学域・コースの沿革
1949年 旧制都立高等学校と都立専門学校 5 校を母体とし、東京都立大学開学。工学部工業化学科発足
1963年 工学研究科工業化学専攻設置
1991年 目黒・深沢キャンパスから南大沢キャンパスに移転
工学部工業化学科に工業化学専攻と材料化学専攻を設置
1998年 工業化学専攻(大学院工学研究科)を応用化学専攻に変更
1999年 工業化学科を応用化学科に変更
2005年 東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学を統合し、
首都大学東京開学。工学部応用化学科を都市環境学部 都市環境学科 材料化学コースに変更
2006年 大学院工学研究科応用化学専攻を大学院都市環境科学研究科 環境調和・材料化学専攻に変更
2009年 都市環境科学研究科の一専攻化(都市環境科学環の設置)に伴い、環境調和・材料化学専攻を
都市環境科学環 分子応用化学域に変更。材料化学コースを分子応用化学コースに変更
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分子応用化学域・コースへのアクセス
〒192-0397 東京都八王子市南大沢 1-1
首都大学東京 都市環境学部 都市環境学科 分子応用化学コース
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 都市環境科学環 分子応用化学域
TEL 042-677-1111(代表)、042-677-○○○○(直通ダイヤルイン、下記参照)
※ 本コースの研究室は 9 号館内(8 ページ参照)にあります。
京王相模原線 南大沢駅下車後、徒歩およそ 15 分です。
9 号館までのアクセス
大学までのアクセス
分子応用化学域・コース 教職員一覧
講座
研究室
氏名
先端機能物質分野
川上研究室
川上 浩良
朝山 章一郎
山登 正文
田中 学
益田 秀樹
武井 孝
柳下 崇
近藤 敏彰
吉田 博久
瀬高 渉
稲垣 佑亮
春田 正毅
竹歳 絢子
金村 聖志
梶原 浩一
棟方 裕一
高木 慎介
嶋田 哲也
山口 素夫
佐藤 潔
内山 一美
中嶋 秀
加藤 俊吾
曽 湖烈
乗富 秀富
久保 由治
Yan Mulyana
西藪 隆平
宍戸 哲也
三浦 大樹
井上 晴夫
立花 宏
香川 末雄
宮本 治子
藤井 幸江
益田研究室
先端物質デザイン分野
吉田研究室
瀬高研究室
春田研究室
エネルギーデバイス分野
金村研究室
環境分子化学分野
高木研究室
山口研究室
分子計測化学分野
内山研究室
久保研究室
環境調和化学分野
宍戸研究室
光エネルギーと物質変換分野
井上研究室
学生実験室
事務室
28
部屋番号
(部屋番号のみは 9 号館)
638
651
137
639
147
136
140
238
447
336
349
フロンティア研究棟 204
フロンティア研究棟 203
247
246
233
446
445
542
542
339
343
338
344
148
539
149
436
549
538
プロジェクト研究棟 302
B44
290
291
134
電話番号
内線
直通下 4 桁
4972 2853
4976 2854
4837 2844
4586
4935 2843
4836 2822
4931 2842
4854
4938 2845
4874 2834
4886
5564 2852
5563
4862 2828
4861 2827
4851 2826
4893 2839
4897 3149
4955 2849
4956 2848
4877 2835
4882 2836
4875 2833
4883
4838 2824
4953 3134
4841 2823
4936
4951 2850
4958 2846
4896 2840
4822
4872 2831
4873 2832
4810 2820