環境安全衛生に係る法律・規則 - 総合安全管理センター

2011.5.9-12(環境安全衛生講習会I)
環境安全衛生に係る法律・規則
~環境安全衛生確保の重要性~
総合安全管理センター
小山 富士雄
[email protected]
大学教職員に求められているもの
1.健全な社会人としての倫理観、常識
2.教職員に必要な知識(関連する知識、法令等)
3.組織の一員としての知識・常識(大学・学会)
大学教職員としての判断基準・遵守基準
1.絶対遵守事項
(災害防止・法違反防止)
2.業務遂行のための規則
(組織維持)
3.より良い結果を求めての行動 (改善・成果)
大学教職員が教育・研究や大学の運営活動を行
う際には上記分野についての知識が必須である。
安全と安心
大学における環境・安全問題の特徴
教職員、学生等の安全・衛生・健康の確保が第一優先課題
1.多種多様・移動の激しい構成員と構成員間の安全意識の差
教職員、学生、外部からの研究員、病院患者・訪問者
2. 教育の場 ~構成員の環境・安全の知識レベルに差
3.研究の場 ~自主性、独創性、未知の分野を探求
4.学問の自由と管理のバランス、管理の継続性
5.研究終了時、卒業時の薬品や機材の処理が必要
6.地域における公園、大規模避難場所の役割
[労働安全衛生]
1.労働安全衛生法 2.労働安全衛生規則 3.有機溶剤中毒予防規則 4.鉛中毒予
防規則 5.特定化学物質等障害予防規則 6.石綿障害予防規則 7.電離放射線障
害防止規則 8.事務所衛生基準規則 9.粉じん障害防止規則 10.PRTR法
[建築・設備]
1.建築基準法 2.都市計画法 3.建築物における衛生的環境の確保に関する法
律 4.高圧ガス保安法 5.ガス事業法 6.消防法 7.水道法 8.下水道法 9.学校保
健安全法
[毒劇物] 1.毒物及び劇物取締法 2.麻薬及び向精神薬取締法
[環境保全]
1.環境基本法 2.大気汚染防止法 3.水質汚濁防止法 4.悪臭防止法 5.騒音規
制法 6.廃棄物の処理及び清掃に関する法律 7.環境配慮促進法
[遺伝子組換え]
1.遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
[病原体] 1.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
[放射性同位元素等] 1.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
[核原料物質等] 1.核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
[その他] 1.刑法,2.民法
国立大学法人東京工業大学職員就業規則
国立大学法人東京工業大学安全衛生管理規則
国立大学法人東京工業大学総合安全管理センター規則
国立大学法人東京工業大学核燃料物質管理委員会規則
国立大学法人東京工業大学における学生等の安全衛生管理
に関する暫定措置を定める規則
国立大学法人東京工業大学における化学物質等の管理及び
化学物質等の取扱いによる健康障害の防止に関する規則
国立大学法人東京工業大学毒物及び劇物管理規則
国立大学法人東京工業大学放射線障害予防通則
国立大学法人東京工業大学エックス線障害防止管理規則
国立大学法人東京工業大学高圧ガス製造施設危害予防規程
国立大学法人東京工業大学環境保全規則
国立大学法人東京工業大学廃棄物取扱規程
国立大学法人東京工業大学防災規則
国立大学法人東京工業大学交通安全規則
環境・安全・衛生管理体制の見直しについて
地区総括衛生管理者
部局長の役割
環境安全衛生管理に
専攻長の役割
関する各種措置を講じ
る責務を負う
・チェックリストを集めて部局長に提出する
部局
環境安全衛生管理委員会・室の役割
部局環境・安全・衛生管理室
衛生管理者の役割
専攻の安全衛生に掛かる職務
別紙参照
・各部局内規を定める(内容は統一する)
専攻長/安全衛生管理者
研究室
専攻
部局環境・安全・衛生管理室
指導教官の役割
指導教員/安全衛生推進者
チェックリスト
・安全衛生推進者の職務を参照
部局環境・安全・衛生管理室
各種作業主任者
部局環境・安全・衛生管理室
部局環境・安全・衛生管理室
必須
安衛法(H16)
ブロック安全衛生委員会
各種作業主任者等
事務組織の改組
・有機溶剤作業主任者
・特定化学物質作業主任者
部局安全衛生委員会
・酸素欠危険作業主任者
・プレス機械作業主任者
PRTR法(H12)
・ガス溶接作業主任者
環境保全室(環境保全センター)
・エックス線作業主任者
・玉掛け技能資格者
・危険物取扱者
・廃棄物管理責任者
・その他
建物責任者?
本学に適用されている法律等
・環境保全関係
・その他、危機管理に関する法律
・健康関係:人事院規則
各研究室:指導教員/環境安全衛生推進者の職務
作業主任者と共に以下のことを実施する
各研究室には実験等に応じた必要な作業主任者がいなければならない
1. 施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具を含む。)の点検及び使用状況の確認ならびにこれらの結果に基づく必
要な措置を関すること。
2. 作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検ならびにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
3. 健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること。
4. 環境安全衛生教育に関すること。
5.環境安全衛生に係わる異常な事態における応急措置に関すること。
6. 労働災害、環境汚染等の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
7.毎週、専攻で定めた環境安全衛生管理に関するチックリストに記入すること。
8.上記に係わるマニュアルを作成すること。
各専攻:専攻長の職務
専攻内各研究室の環境安全衛生管理状況報告を衛生管理者より受け、管理状況が適正であるかどうか判断し、不適正の場合は
障害防止対策の措置を講じる。各研究室と部局安全管理室との間を取り持つ役割を果たす
専攻衛生管理者の職務 (各専攻には衛生管理者がいなければならない)
1) 各研究室からチェックリストを集めて安全衛生管理状況を把握し専攻長に報告する。
2) 週1回以上の専攻内巡視義務は各研究室から提出されたチェックリストの検閲で代行してもよい。
3) リスク低減の指導助言を行い、改善された結果を専攻長に報告する。
建物管理責任者の職務
1)建物内の全ての居住者,研究室について管理責任を持つ(専攻の壁を超える)
2) 下水道法・水質汚濁法・廃掃法に関すること。
3)毒物及び劇物取締法・消防法・高圧ガス保安法に関すること
各部局:部局長の職務
環境安全衛生管理に関する各種措置を講じる責務を負う。
部局環境安全衛生管理室の職務
1)地区安全衛生委員会および総合安全管理センターの指示の実施,提案および報告責務を持つ
2)研究室単位で実施する環境安全衛生マネージメントシステムについて指導助言する。
3)指導教員/環境安全衛生推進者の補佐役を担う。
4)安全衛生上及び環境保全上問題が生じたときには総合安全管理センターの指示に従い、迅速に対応する。
本学の労働安全衛生マネジメントシステム導入への取り組み
・ 東京工業大学は平成16年度の東京都労働安全衛生マネジメントモデ
ル推進事業の事業場として指定を受け、都の労働基準監督署の指導の
下に本学の実験作業現場にマネジメントシステムをモデルとして導入し
実施した。
・ 「化学薬品」および「作業機械」を利用する作業現場として6研究室を
選定し、学長、部局長の理解の下に総合安全管理センターの事務部(施
設運用部)を事務窓口担当、環境保全室を実務担当として対処した。
・学長の声明文が作成され、学長自らが声明文を発表した。
・ 事業の推進に当たっては、都の労働基準監督署と中央労働災害防止
協会による現場見学に基づき、選定研究室と大学とが共同で作成した現
場のハザードの洗い出しリスト、リスク評価表、目標、実施計画書などで
指導を受けて進めた。
・ これらの指導に基づいて、リスク低減の実施、PDCAサイクルの実施
などを行った。
・ 平成17年度も同じ作業現場において、さらに充実を図った。
・ 平成18年度は法令に基づき、全学的に本格実施に移る。
事故発生時の責任・罰則
1.労安法等による書類送検、処罰
法人、責任者等の個人(両罰規程)
2.刑事責任
個人対象(含む命令権者)
3.民法による補償
法人、個人(双方又は片方)
4.大学・事業者による懲戒処分
個人
5.資格・免許剥奪
個人・法人(研究機関の研究許可取り消し含む)
6.設備の使用禁止、改善命令、機関の廃止・解散
法人
メディアへの対応
・市民、住民、消費者の主要な情報ソース
メディアに対する高い信頼性
メディアに対する情報開示の重要性
(強烈なインパクトとリカバリーの困難さ)
・メディアの特質
・メディアもビジネス(ニュースバリューのあるものを報道)
内部告発、特ダネ、弱者の味方
情報開示されたもの、法遵守等は記事にならない
東工大での不祥事は大きな扱い(高い評価の裏返し)
・他社との時間的競争の中で記者の誤解の防止
ポイントを簡潔に文書にして提供
・誤った報道に対しては直ちに訂正を申し入れる事
・メディアへの対応の誤りが引金で倒産した例 :雪印乳業
中期的視点で対応が必要な事項
1.東京工業大学の安全文化の確立
「研究のためには危険な作業も許される」は通用せず
2.日常の環境・安全衛生管理のレベルアップ
3S又は5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)
KY(危険予知)、HH(ヒヤリハット)
地震等災害発生時の対応、防災訓練、避難訓練
3.環境・安全衛生教育の充実(教職員、学生)
4.情報公開、社会の信頼確保
5.大学に適用される法令の問題点への対応
最後に
コンプライアンス(法令遵守を越えた対応を要求)
大学の教育・研究に潜む危険の認識
変更時の対応(作業や研究の変更・終了、
人事異動時の届出等)
3S(整理・整頓・清掃)、KY(危険予知)、
HH(ヒヤリハット)
事故が起きれば法的責任、民事責任、学内責任
さらには事業や研究、個人キャリア全て消滅
ご清聴ありがとうございました