12.技術資料(建築内装・吸音・保温・保冷)

技術資料
耐熱性
■ 外観
ロックウールと似た用途をもつ建築材料「グラスウール」
との比較。
700℃の高温下では、グラスウールが溶けて縮んでしまうのに対し、ロックウールはほとんど体積が変わりません。
ロックウール
80K
(kg/㎥)
常態
700℃
グラスウール
32K
(kg/㎥)
■ 収縮性比較
70
24K
急 激に収 縮するのに対して、
グラスウール
32K
ロックウールは400℃∼700℃
ロックウール
40K
ロックウール
80K
の高 温になるまで収 縮するこ
とがありません。
60
厚さ収縮率︵%︶
グラスウールが3 0 0 ℃以 上で
グラスウール
ロックウール 120K
ロックウール 200K
温度と厚さ収縮率の関係
50
※
40
30
20
10
0
-10
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
温度(℃)
※ 正(+)
の値は試験体の厚さが収縮したことを、
負
(−)
の値は試験体の厚さが膨張したことを示す。
断熱性能
ロックウールの断熱効果は、その体積中の95%以上を占めている空気が、ロックウールの繊維によって微細な空隙に
区切られ、動きにくくなることによって発揮されます。ロックウール中の空気はその温度が上昇するにつれて、より活発
に活 動するため、雰 囲 気 温 度 の
熱伝導率(100∼600℃)参考データ
上 昇とともに断 熱 性 能は低 下し
ます。しかしロックウールの 密 度
ほど、空 気 の 流 れの 抵 抗( 通 気
抵抗)
が増し、断熱性能の低下を
防止します。
95
0.30
保温帯 1 号
保温板 1 号
0.25
熱伝導率
のロックウール 繊 維 本 数が 多い
熱伝導率
が 高 いほど、つまり単 位 体 積 中
(JIS A 9501 保温保冷工事施工標準一般式より)
0.30
0.20
保温板 2 号
0.15
(W/m・K)
0.10
0.25
0.20
フェルト
0.15
(W/m・K)
0.10
保温筒
保温板 3 号
0.05
0
0.05
100
200
300
400
500
600
平均温度(℃)
0
100
200
300
400
500
600
平均温度(℃)
■ 高温雰囲気下の断熱性能
ロクセラムは耐火性に優れ、400℃程度の高温領域でも断熱材として利用できるため、プラント設備など厳しい条件下
で幅広く利用されています。
熱伝導率算出参考式(保温JIS解説から抜粋)
熱伝導率 算出参考式W/
(m・K)
θ:温度
(℃)
(2)
密度
(kg/㎥)
ロックウールボード
0.0337+0.000151・θ
(-20≦θ≦100)
40∼100
保温板 1号
ロックウールボード
2
θ≦600)
0.0395+4.71×10-5・θ+5.03×10-7・θ(100<
0.0337+0.000128・θ
(-20≦θ≦100)
101∼160
保温板 2号
2
θ≦600)
0.0407+2.52×10-5・θ+3.34×10-7・θ(100<
■ 温域別での断熱性能
低温域
(100℃以下)
密度が80∼100㎏/㎥で最低値を示しますが、
全密度範囲で大きな差はありません。
高温域
(100℃以上)
100℃以上では、温度の上昇とともに熱伝導率
は二次関数的に上昇します。なお、この傾向は
密度が高くなるほど穏やかになります。
【 ロックウールの平均温度(θ)と熱伝導率(λ)の関係 】
ロックウールの熱伝導率(λ)
は、平均温度(θ)
が高くなると上昇し、ロックウールの密度(ρ)
が低い程その上昇が著しくな
ります。これらの関係を図1、図2に示しました。
ロックウールの平均温度と密度の関係
ロックウール密度と熱伝導率の関係
● 図1
● 熱伝導率λ[W/( m・K)]
0.50
熱伝導率λ[W/( m・K)]
実験式(100℃以上)
-7
2
42
-5
-7
2
65
-5
-7
2
86
-5
-7
2
100
-5
-7
2
123
-5
-7
2
160
-5
-7
2
205
②λ=0.0434−
( 3.75×10 )
・
θ+( 6.29×10 )
・
θ
③λ=0.0402+
( 1.19×10 )
・
θ+( 4.96×10 )
・
θ
⑤λ=0.0380+
( 2.14×10 )
・
θ+( 3.30×10 )
・
θ
⑥λ=0.0379+
( 1.44×10 )
・
θ+( 3.13×10 )
・
θ
⑦λ=0.0393+
( 1.40×10 )
・
θ+( 2.65×10 )
・
θ
0.45
0.40
実験式(40㎏/㎥以上)
温度℃
①λ=0.0412+0.301/ρ
100
②λ=0.0472+1.231/ρ
200
③λ=0.0538+2.819/ρ
300
④λ=0.0636+4.769/ρ
400
⑤λ=0.0727+7.745/ρ
500
⑥λ=0.0710+12.959/ρ
600
一般 建 築 用
-5
④λ=0.0338+
( 8.31×10 )
・
θ+( 3.15×10 )
・
θ
0.40
0.50
密度㎏/㎥
①λ=0.0565−
(15.33×10 )
・
θ+(11.61×10 )
・
θ
0.45
同一平均温度(θ)に置ける
ロックウール密度(ρ)と熱伝導率(λ)の関係
図2
ロックウールの平均温度(θ)熱伝導率(λ)の関係
42㎏/㎥
0.35
0.35
0.30
0.30
65㎏/㎥
0.25
0.25
86㎏/㎥
0.20
100㎏/㎥
123㎏/㎥
160㎏/㎥
205㎏/㎥
0.15
0.20
0.15
600℃
500℃
0.10
0.10
0.05
0.05
0
400℃
300℃
200℃
100℃
0
100
200
300
400
500
平均温度(θ)
[ ℃]
600
50
75
100
125
150
175 200
225
密度[㎏/㎥]
96
技術資料
吸音性能
吸 音 効 果は、ロックウールが 形 成する連 続した細い迷 路に音が 入って圧 縮と膨 張を繰り返し、音 のエネルギーが
熱エネルギーに変換され、消滅することにより達成されます。吸音率曲線が示すとおり、一般に低音域( 周波数が低い
領域)の吸音率は高音域に比べて低いですが、これはロックウールの厚さを増やすことにより改善されます。
同様に低・中音域の吸音率は、背面に空気層を設けることで著しく改善されます。
■ ボードの吸音性能
1.20
498
8
38
34
JIS A 1409
【残響室法吸音率の測定方法】
試験体
A ・ B:スピーカー位置
1.00
試験装置
・計測点
位置図
B
④
⑤
マイクロフォン位置
① ∼⑤: 第1残響室
室容積:225.29㎥
表面積:227.10㎡
0.60
8150
●
6221
残響室法吸音率
③
0.80
A
①
②
5690
(単位:㎜)
0.40
80K
80K
150K
150K
0.20
0.00
125
250
500
1000
2000
ボード
25㎜
50㎜
25㎜
50㎜
4000
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
125
250
500
1,000
2,000
4,000
0.05
0.21
0.56
0.91
1.00
1.04
80K
25㎜
80K
50㎜
0.14
0.59
1.03
1.09
1.05
1.06
150K
25㎜
0.06
0.29
0.76
0.94
0.98
1.01
150K
50㎜
0.20
0.66
0.91
0.96
0.97
1.02
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
■ フェルトの吸音性能
■ 住宅用マットの吸音性能
1.20
1.20
1.00
1.00
残響室法吸音率
残響室法吸音率
0.80
0.60
0.40
0.80
0.60
0.40
0.20
0.20
40K 25㎜
40K 50㎜
0.00
125
250
500
1000
2000
55㎜
100㎜
0.00
4000
125
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
フェルト
97
250
500
1000
2000
4000
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
マット
1/3オクターブバンド中心周波数
(Hz)
125
250
500
1,000
2,000
4,000
125
250
500
1,000
2,000
4,000
40K
25㎜
0.07
0.23
0.60
0.90
1.00
1.01
55㎜ 室内側
0.19
0.70
1.12
1.10
1.00
0.96
40K
50㎜
0.13
0.50
1.01
1.09
1.06
1.06
100㎜ 室内側
0.45
0.96
1.19
1.11
1.07
0.95
配管の防火区画貫通部の説明
建築物の安全性に関する要求が高まる今日、
なかでも防火区画貫通部に関しては、火災の拡大を防止する重要な機能を
持つため、多岐にわたる規制があります。
このページでは区画貫通部措置工法事例と性能試験の結果を紹介します。
1. 一般区画貫通部の例
2. 令8 区画貫通部及び共住区画貫通部の例
配管200A以下
防火区画
1m以上
保温材
(ロックウール保温筒)
1m以上
50以上
300以下
50以上
ケイ酸カルシウム板
又は鋼板等
ロックウール充填
ロックウール充填
* 充填密度の指定のない場合は、
粒状綿又は保温板などを隙間の
無いように充填する。
* 単位:㎜
3. 試験結果
結果抜粋 ロックウール充填材(粒状綿、密度:156.5㎏/㎥)
300
充填材:ロックウール
裏面温度
(鋼管から10㎜離した位置)
裏面温度
(充填材と躯体との接合部)
250
裏面温度︵℃︶
200
150
100
50
0
15
30
45
時間(分)
60
75
■ 試験体概要
なし
非加熱側へ10秒を超えて
断続する発炎の有無
なし
火炎が通る亀裂等の損傷
及び隙間の発生の有無
なし
一般 建 築 用
0
非加熱側へ10秒を超えて
断続する火災の噴出の有無
90
■ 区画貫通部ロックウール充填試験結果
* 単位:㎜
配管用炭素鋼鋼管(SGP管)
(外径φ114.3、肉厚4.5)
ロックウール
の種類
貫通径
[㎜]
給水管
呼び径
充填密度
[㎏/㎥]
判定
合否
火災
噴出
発炎
亀裂
150以上
なし
なし
なし
合格
200以上
なし
なし
なし
合格
150以上
なし
なし
なし
合格
100以上
なし
なし
なし
合格
150以上
なし
なし
なし
合格
80以上
なし
なし
なし
合格
150以上
なし
なし
なし
合格
150以上
なし
なし
なし
合格
900
10
75
1
粒状綿
2
ロックウール
150
非加熱側
1300
床(ALCパネル、厚さ100)
100
フェルト
100A
加熱側
300
200
φ114.3
開口φ150
断面図
1:裏面温度測定位置
(鋼管から10㎜離した位置)
2:裏面温度測定位置
(充填材と躯体との接合部)
ボード
保温筒+フェルト
上記の通り、区画貫通処置工法として所定の密度以上のロックウールを充填すると、建築基準法施行令
第129条の2の5第1項第7号ハの規定に基づく認定基準を満たします。
( 加熱時間60分)
98