岩手大学三陸復興推進機構 水産業復興推進部門「新素材・加工技術部門」 20141220-1/2 1.機能成分の探索 生体調節機能評価【伊藤芳明,塚本知玄】 ○サケの健康有益性の評価,ならびに生体調節機能を有する新規成分の探索 ・サケ筋肉に含まれる色素成分アスタキサンチンやサケ筋肉の健康機能性(図 1) ・新規サポニン配糖体を高濃度で含有する野生大豆を岩手大学圃場で増殖し,得られた種子から単離精製したサポニンの化学構造を決定(図 2) 現在,種子の増殖を進めると共に,栽培化,健康機能性評価,ならびにサケ加工食品への利用を模索中 三陸資源 サケ アスタキサンチン 脂肪細胞における脂肪蓄積・分化マーカーの抑制 125 ab PPARγ 脂肪蓄積量 a ab 100 150 a b a 100 [%] 75 ab 100 ab bc 50 bc cd 50 c 25 0 a c 50 C D AX5 AX10 AX20 0 抗糖尿病効果 抗筋肉量低下効果 FABP4 150 C D AX5 AX10 AX20 サケ魚肉 (良質のタンパク質源) d 0 C D AX5 AX10 AX20 メタボリックシンドローム 運動機能障害 三陸食材の高品位・高付加価値化 図 1 三陸資源サケの食材として高機能化研究のデザイン 図 2 新規な大豆サポニンの構造 2.熱・物質・運動量移動の解析 (1) 相変化を伴う熱・物質移動の調査・解析と評価【廣瀬宏一,吉野泰弘,福江高志】 目的 現在の状況 水産物の凍結・解凍過程を、固液相変化過程として捉え, 凍結・解凍時における熱・物質移動を調査・解析し,水産 加工品製造などでの凍結・解凍工程の効率化に資する。 Microsoft Excelを応用した、水産加工品の凍結過程の 簡易型予測プログラムの開発に成功。 Excel 解析シート 場所や使用者を選ばず,漁獲直後や加工中の水産品の 凍結・解凍現象を高速で簡易に予測できる解析手法を 開発し、その適用可能性を評価することを通して地場 企業の高度化に資する。 案)・Microsoft Excelの利用 ・熱回路網法の応用 など ・熱伝導率 ・比熱(DSC) 計測した熱物性の 解析への取り込み 熱伝導率 2.5 2.0 比熱 100 Tuna(Experiment) Water & Ice(7) Specific heat[J/(gC)] 解析技術の構築 Thermal conductivity [W/(mK)] 熱物性値の計測 計測した熱物性値の温度依存性の取り込み 1.5 1.0 0.5 : Experiment (DSC) : Values used in the analysis 10 1 0.0 -15 -10 -5 0 5 10 15 -40 Temperature [oC] -30 -20 -10 0 10 20 Temperature [C] 30 40 今後の課題: 解析精度の評価、汎用性の拡大(検証対象増) (2) 相変化を伴わない熱・物質・運動量移動の解析と実験的検証【船崎健一,加藤大雅,井村忠継】 ○水産物の乾燥施設内部の熱・物質および運動量移動の数値シミュレーションと実験的検証 ・コンブ乾燥室内部の温度分布の実験値と 3.9%程度の誤差で熱分布を予測可能な数値シミュレーションの比較(図 1) ・シミュレーション結果から導かれたコンブ乾燥室の改良案(仕切り板挿入による熱移動の適正化)の実験的検証(図 2) 55 15 (a) 数値計算結果(定常解析) 仕切りあり 仕切りなし 温度分布(赤が高温,青が低温) 55 100 35 15 (b) 実験結果(乾燥開始3時間後:温度の変化が小さくなった状態) 仕切りあり 仕切りなし 湿度分布(赤が高湿度,青が低湿度) 0 ○省リソースかつ安易に予測可能な計算モデルの構築 ・表計算ソフトで予測可能な乾燥室に用いられた各諸元値および数値計算によって算出されたコンブ近傍の流速の平均値を基に,均一化されたと 仮定された乾燥室を貫く流束(熱,蒸気量,空気質量)を用いて乾燥量の時間変化を予測するモデルを構築し、検証を進めている。 ・水産物の定率・減率乾燥期間における乾燥速度変化のモデルへの組み込みに関する検討 岩手大学三陸復興推進機構 水産業復興推進部門「新素材・加工技術部門」 20141220-2/2 3.装置・施設の効率化および水産関連作業の分析・伝承 (1) 水産関連作業の分析とそれに基づく省力化・高付加価値化ロボット・アシストシステムの開発 【萩原義裕・アデルジャンイミティ】 冷凍イカ外套膜のトリミングと規格切断を画像認識に基づく自動制御で行い,入荷から製造完了までの一貫自動生産システムを開発中 図 3 冷凍イカ外套膜のトリミングと規格切断装置の画像処理部 【三好 扶・髙木基樹】 水産資源の適切な管理および漁獲量を決定する調査を支援する水中超小型 ROV を開発 図 4 水中超小型 ROV 14 水中ロボットコンベンション in JAMSTEC: フリースタイル部門 3 位入賞’(左) 海洋研究開発機構理事長賞(右) 4.食品加工技術の革新 (1) 品質保持型乾燥法の確立と普及【三浦 靖,森川卓哉,菅原悦子】 ① 品質保持した水産物の乾燥品の製造に向けて,低温除湿乾燥法を開発中 ㈲北三陸天然市場と連携して商品開発し, 『潮騒の一夜干し』を岩手県内で販売開始 図 5「潮騒一夜干し」製品(左),プレスリリース(右) ② 農水産物用の減圧乾燥装置,これを用いた高品質乾燥食品を開発中(サケ切り身,スライストマト) 『固体食品用ブランチング・殺菌・減圧装置』プロトタイプ機を製作し,㈱マルサ嵯峨商店久慈冷凍工場に設置 図 6「固体食品用ブランチング・殺菌・減圧乾燥装置」プロトタイプ機 (2) 品質保持型加熱処理法の確立と普及【三浦 靖,森川卓哉,菅原悦子】 項目 4(1)記載の『固体食品用ブランチング・殺菌・減圧装置』プロトタイプ機に,過熱水蒸気を用いたブランチング・殺菌機能を搭載 (3) 匂いの定性・定量評価法の確立【山下哲郎】 別パネル参照 (4) 安全性確保技術の確立と普及【山田美和,三浦 靖,森川卓哉,伊藤綾香】 「粉体用閉回路型低酸素気流連続式殺菌装置」実用機レベルを製作し,岩手県先端科学技術センターに設置
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