クライオモジュールの設計:大内徳人

クライオモジュールの設計
高エネルギー加速器研究機構
大内 徳人
ILCクライオモジュール講義内容
1. クライオモジュールの構成
‡
構成機器の説明
2. クライオモジュールの冷却・加温
‡
ILCで提案されている冷却機器の構成、冷却・加温時の
検討事項
3. クライオモジュールの組立て
‡
DESY-TESLAクライオモジュールの組立て
4. ILC用クライオモジュールとしての今後の検討事
項
(1)クライオモジュールの構成
•
•
•
ILCは、アジア、アメリカ、ヨーロッパの3領域が協力して建設することが検討され
ている。約2100台のクライオモジュールを製作する。加速器の構成機器は現在
開発中で最終的な形状のものは存在しない。
クライオモジュールに関しては、DESY-TESLAで開発されたTYPE-IIIをILC用ク
ライオモジュールの基本設計とする方針で開発を進めている。
このDESY-TESLA-TYPE-IIIクライオモジュールの設計・実験結果について説明
を行う。
TESLA-TYPE-IIIクライオモジュール
真空容器
全長12.2m
サポートポスト
8台の超伝導空洞
超伝導4極電磁石
TESLA-Cryomoduleの改良
•
DESYではTESLA-Cryomoduleの低コスト化・小型化を目指して3タイプのクライオモ
ジュールが建設されてきた。
– 結果として、初代と2代目のクライオモジュールは外径1200mmの真空容器を使用してい
るのに対して、3代目は内部冷却配管の構成を変更し外径を965.2mmまで小さくしている。
TESLA-TYPE-I
TESLA-TYPE-II
TESLA-TYPE-III
DESY-TTF-TYPE-IIIクライオモジュール
(2)クライオモジュールのコンポーネント
•
真空容器
– 外径965.2mm、全長11m鉄パイプ
– モジュール接続部はベローパイプ
– 磁気シールド
•
サポートポスト
– 空洞ストリング、超伝導4極磁石をクライ
オモジュール軸方向3箇所の位置で支持。
– 材質:FRP(G-10)
•
熱輻射シールド
– アルミ板+多層アルミ蒸着フィルム(SI)
– 40K-80K、4K-5Kヘリウムガス冷却
•
2K液体ヘリウム蒸発ガス回収配管
– 内径300mm、全長2.3kmのSUSパイプ
•
•
その他冷却配管
超伝導空洞(8台)
– 液体ヘリウム容器、パワー入力カップラー、
ホモカップラー、周波数チューナー
•
超伝導4極電磁石(1台)
– 電流リード、補正コイル、ビームモニター
DESY-TESLA-TYPE-III
クライオモジュール断面図
超伝導空洞ヘリウム容器
•
超伝導空洞の動作温度:2K
2K液体ヘリウム供給管
– 冷却:飽和蒸気圧超流動ヘリウム
(温度2K、圧力3.1kPa)
•
入力カップ
ラーポート
超伝導空洞ヘリウム容器
– 材質:チタン
• 熱収縮率がニオブとほぼ同じ
• チタン:0.134%、ニオブ:0.129%
ブレード型周波数チューナ
ホモカップラー
– ヘリウム容器長:1036.2mm
•
ヘリウム容器付属部品
– 周波数チューナー
• 5Kに冷却されたモータ:遅い周波
数変化
• ピエゾ素子:速い変化(1200Hz)
ブレード型周波数チューナーが組み込まれた空洞ヘリウム容器
– 入力カップラー
– ホモカップラー
– 2K液体ヘリウム供給管
• 材質:チタン
– 空洞容器スライドサポート
TESLAタイプ入力カップラー
空洞ヘリウム容器の支持機構−1
•
空洞ヘリウム容器は内径300mmの蒸
発ヘリウムガス回収配管から支持されて
いる。
– 蒸発ヘリウムガス回収配管の冷却に伴
う熱収縮量:32mm(配管全長>12m、ス
テンレスの熱収縮量(300K->2K):
0.265%)
•
ヘリウムガス回収配管は真空容器から
3本のポストで支持されている。
– 3本のポストの内、中央のポストは真空
容器に固定され、両側のポストはスライ
ド機構により真空容器に対してクライオ
モジュール軸方向に対して拘束されない。
•
空洞ヘリウム容器には入力カップラーが
室温から接続されている。
– 両端の空洞容器は回収配管に固定され
ると真空容器に対して15mm位置変位す
る。
– 入力カップラーを破損する危険性がある。
– 空洞ヘリウム容器支持機構にスライド機
能を持たせる。
空洞ヘリウム容器とスライド機構
空洞ヘリウム容器の支持機構−2
•
空洞容器の冷却時の位置変化を小さ
くするためにInvar棒を用いる。
–
•
•
空洞ヘリウム容器は下図に示すよう
にInvar棒により固定される。
Invar棒はクライオモジュールの中央
のサポートポスト位置に固定される。
–
•
冷却時の空洞容器の中心位置からの距離変化
Invar熱収縮率:0.034%
中央のサポートポスト位置は真空容
器に対して固定されている。
空洞番号
C1
C2
C3
C4
C5
C6
C7
C8
空洞位置@室温
5693
4312
2929
1547
165
1217
2599
3981
空洞位置@2K
5678
4301
2921
1543
165
1214
2592
3970
∆L
15.1
11.4
7.8
4.1
0.4
3.2
6.9
10.5
∆LIn
1.9
1.5
1.0
0.5
0.1
0.4
0.9
1.4
この結果、両端の容器位置の変化は
2mm以下となる。
超伝導空洞ヘリウム容器軸方向固定概念図
空洞容器付属部品(入力カップラー)
•
入力カップラー
– ビーム加速を行うためのRFエネルギー
を超伝導空洞に与える。
– 入力カップラーは、室温の真空容器に
固定されている。この為、低温部と室温
部を直接接続している。
– 室温からの熱伝導による侵入熱は、5K
及び80Kの熱輻射シールド板、あるい
はヘリウム冷却配管からのサーマルア
ンカーにより除去される。
Low-Lossタイプ用入力カップラー侵入熱
(1台当り)
80K
5K
2K
定常ロス[W]
1.24
0.54
0.00
RFロス[W]
2.14
2.88
0.25
合計[W]
3.38
3.42
0.25
入力カップラー
入力カップラー低温側アンカー
KEK-STFで開発が進められている
45MV/m空洞用クライオモジュール
サポートポスト−1
•
超伝導空洞8台、4極電磁石1台、冷却
配管及び熱輻射シールド板は3本のポ
ストで真空容器から支持される。
G-10ポスト部
– ポスト1本当りの支持荷重は750kgであ
る。
•
クライオモジュールの中央に位置する
ポストは真空容器に固定されるが、両
側のポストは真空容器上をスライドし内
部機器の熱収縮の影響を緩和する。
– 両側のポストの移動量:12.9mm、
13.2mm
80Kシールド板接続フランジ
5Kシールド板接続フランジ
サポートポスト−2
•
サポートポスト熱計算
‒
‒
G-10パイプの肉厚:1mm
サーマルアンカー位置は冷凍機への負荷を最も
小さい値になるように決める。
冷凍機への負荷を考えるためにカルノー効率と
機械的な効率(経験値)を用いる。
0.0015W/cm
0.146W/cm
カルノー効率=Tc/(To-Tc)
–
–
•
L2がポストの伝導距離の50%の値で冷凍機へ
の負荷は最小となり、負荷への影響は鈍感であ
る。
サポートポスト熱解析モデル
最終形状
‒
•
熱伝導積分:1.249W/cm
計算結果
サポート高さ:140mm、 G-10パイプ:外径
300mm、肉厚2.2mm、L1=27mm、L2=37mm、
L3=10mm
侵入熱
–
‒
0.023W @ 1.8K、1.104W @ 4.5K、11.84W @
70K
冷凍機必要仕事量:327W/W
室温での冷凍必要仕事量
温度
カルノー効率
機械的効率
総合的な効率
室温での必要
仕事量 W/W
70K
30.43%
20%
6.09%
16
4.5K
1.52%
20%
0.30%
328
1.8K
0.60%
10%
0.06%
1657
サポートポスト熱計算
700
Total room temperature
refrigeration loads (W)
•
L2の距離をパラメータにして冷凍機負荷を計算
L1 fixed
L3 fixed
600
500
400
300
200
100
0
10
20
30
40
50
60
70
L2(% of total thermal path length)
サーマルアンカー位置の熱負荷への影響
80
熱輻射シールド−1
•
熱輻射シールドの構成
– 5Kと80Kに冷却されたアルミ板
• 5Kシールド板表面積=30m2
• 80Kシールド板表面積=35m2
– このアルミ板を覆う多層のアルミ蒸
着フイルム(スーパーインシュレー
ション:SI)から構成される。
• 5Kアルミ板には10層のSI
• 80Kアルミ板には30層のSI
•
アルミ蒸着フィルム
– 6~25ミクロンのポリエステルフィ
ルムにアルミを約0.1ミクロン蒸
着
– 放射率:ε=0.056 (80K~300K)、
ε=0.011 (4.2K~80K)
熱輻射シールドの組立て
平行平板の熱輻射による伝熱
Qr=Aσ(1/(1/εh+1/εc-1))(Th4-Tc4)
A:表面積、σ:ステファン・ボルツマン定数、
添え字は、h高温面、c低温面を示す。
80K熱輻射シールド板
熱輻射シールド−2
•
熱輻射シールド板への実効侵入熱
量の評価としてCERN-LHCの試験
結果を用いる。
– 30層のSIで300Kから80Kへの熱
束:1~1.5 W/m2
– 10層のSIで80Kから5Kへの熱束:
0.05 W/m2
熱輻射による侵入熱(計算値)
SI有り
SI無し
300K->80K実効熱束、W/m2
1~1.5
45.7
300K->80K全熱侵入量、W
35~53
1600
80K->5K実効熱束、W/m2
0.05
0.232
80K->5K全熱侵入量、W
1.5
6.96
SIが無い場合の放射率:0.1
•
熱輻射シールド板内の温度分布
– 室温からの冷却時はシールド板内の温度の分布は過渡期にあり、場所に
よっては大きな温度差が発生する。(INFN Calro Paganiによる解析)
70Kシールド
冷却曲線
70Kシールド
4.2Kシールド
4.2Kシールド
計算に用いた冷却速度は21.5K/時
シールド板内最大温度差:~60K
熱輻射シールド−3
•
熱輻射シールド板内温度分布
– 冷却開始から8.7時間後の結果
– 冷却配管はシールド板の片側のみ溶接
されているためこの部分の冷却が促進
されている。
•
4.2Kシールド板
シールド板内ストレス
– 計算された最大応力:30MPa
•
温度分布及び熱応力に因る変位
– 横方向(水平方向):10mm程度
70Kシールド板
4.2Kシールド板
4.2Kシールド板
70Kシールド板
70Kシールド板
熱輻射シールド−4
冷却配管(冷却回路)
•
•
•
クライオモジュール内部には8種類の冷却配管が配置されている。
15台のクライオモジュールを1クライオストリング(165m)とし、このストリングの両端には液面制
御用の液溜めがある。液面は2K液体ヘリウム供給配管内部にあるように制御される。
2Kの飽和蒸気圧液体ヘリウム(圧力3.1kPa)は過冷却液体ヘリウム供給管からJT弁で等エンタ
ルピー膨張されて得られる。
80Kシールド用ヘリウムガス戻配管
(ID=100mm)
80Kシールド用ヘリウムガス供給配管
(ID=100mm)
5Kシールド用ヘリウムガス戻配管
(ID=70mm)
5Kシールド用ヘリウムガス供給配管
(ID=70mm)
Line F
Line E
Line D
Line C
Line A
過冷却液体ヘリウム供給配管
(ID=60mm)
蒸発ガス戻配管(内径300mm)
TT
Line B
CD
TT
CD
JT
JT
2K飽和蒸気圧液体ヘリウム供給管(ID=72mm)
LT
LT
LT
LT
C
C
H
C
予冷・加温配管
(ID=39mm/3mm)
TT
C
C
Q
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
H
TT
Cryomodule
Slope
Cryo-string (15 cryomodules, ~ 165 m)
Coupler & Adsorber heat intercepts
C 9-cell cavities
TT
Q SC quadrupole
Temperature sensor
Screens or shields
Current lead heat intercepts
LT
SC level sensor
クライオモジュール内冷却回路
H
Heater
蒸発ヘリウムガス戻り配管−1
•
蒸発ヘリウムガス配管の役割
– 減圧ポンプを含めた冷凍機システム
は2.3kmの間隔で配置される。蒸発
ガスはこの間を本配管で減圧ポンプ
まで導かれる。
– 蒸発ガスの流れに伴う管内での圧
力分布は飽和蒸気圧ヘリウムの温
度に影響を与える。パイプの口径
300mmは超伝導空洞の運転温度を
考慮して決められている。
– 戻りガス配管には8台の空洞容器と
1台の超伝導4極電磁石が吊るされ
る(クライオモジュールの背骨)。
• 配管に吊るされる重量は2トン程度
になり、3本のポストでサポートされ
た場合の戻りガス配管の変位は50
ミクロン以下である。
クライオモジュール内冷却配管
蒸発ヘリウムガス戻り配管−2
•
この圧力分布の液体ヘリウム温度へ
の影響を計算した。
‒ クライオモジュールは17m毎に2.5km
の距離にわたって147台配置される。
‒ クライオモジュール1台当りの熱負
荷は30Wとした。
2.015K
圧力損失計算式
2K
∆P=4f×(G 2/2ρ)×(L/D)
f:摩擦係数、G:質量流速(kg/m2/s)、
ρ:密度(kg/m3)、L:配管長(m)、
D:配管内径(m)、∆P:圧力損失(Pa)
P=3.129kPa
蒸発量合計:188.5g/s
蒸発量:1.282g/s
クライオモジュール1台の熱負荷QC:30W
蒸発ガスによる圧力分布計算モデル
2K飽和ヘリウム供給管−1
•
超伝導空洞への飽和液体ヘリウム
の供給
‒ 長さ165mの1冷却ユニットに渡さ
れた内径72mmの配管+内径55mm
(長さ~200mm)枝管
‒ 空洞の熱負荷は飽和液の蒸発熱で
除去される。
‒ 蒸発面積が十分確保されない場合
(ヘリウム供給管内を液で満たし
てしまう)、安定な冷却が期待で
きない。
•
熱負荷がある場合の液体ヘリウム
内部の温度分布
‒ 熱負荷:4空洞で30W(設計値の
略2倍)
‒ 加熱面を空洞面とし、又簡単化の
ため円筒形状とした。
‒ 熱計算は、粘性とエントロピーが
ゼロの超流動成分と粘性とエント
ロピーをもつ常流動成分からなる
2流体モデルで行った。
空洞容器及び2Kヘリウム供給管
空洞容器内ヘリウム温度分布計算モデル
2K飽和ヘリウム供給管−2
•
計算結果
‒ 仮定した熱負荷では、超流動ヘリ
ウムが乱流状態であることを示す
液内部に温度分布が存在する。
‒ 温度分布は加熱面から蒸発液面ま
での液頭圧により液が過冷却状態
になるため発生する。
‒ 蒸発面が小さくなると液温全体が
上昇し過冷却状態が小さくなる。
>>加熱面で蒸気膜が発生しやす
く冷却効率の低下。
液体ヘリウム供給管
枝管
空洞容器内液体ヘリウム
空洞容器部
(3)クライオモジュールの冷却・加温
クライオモジュール冷却システムの構成
•
1冷却ユニット(冷凍機1
台が担当)
‒ 16クライオモジュールスト
リングから構成される。
‒ 1クライオモジュールスト
リングは15台のクライオモ
ジュール(~165m)からな
る。
‒ 1台の冷凍機の能力:
25kW (at 4.5K)
•
1冷却ユニット(16クライオモジュールストリング)
e-ライナック冷凍機台数:5
‒ クライオモジュール数:
1050
e-ライナックの冷凍機システム構成
クライオモジュール冷却の検討−1
•
室温からの冷却
‒ DESY-XFELで進められてい
る冷却に関する検討を元に
ILCクライオモジュールの冷
却を考える。
‒ XFELで用いられるクライオ
モジュールはTESLA-TYPEIIIがベースになっている。
‒ 冷却のシュミレーションには
TESLA-TTF2の冷却結果が用
いられている。
•
50K迄冷却:31g/s
初期流量:11g/s
XFELでの解析
‒ ストリングの数:10
(ILC:16)
‒ クライオモジュールストリン
グは並列で冷却される。
XFEL-No.1ストリングの冷却ヘリウムガスの状態
(供給ライン及び戻りライン)
冷却されるヘリウムガスの温度は戻りガスとの温度
差が50K以下になるように段階的に下げられる。
冷却時間は5000時間(3.5日)を想定している。
クライオモジュール冷却の検討ー2
過冷却2Kヘリウム配管内での各ストリング
位置での冷却ヘリウムガス流量及び圧力
•
室温からの冷却時の各ストリングのヘリウムガス流量及び圧力
–
–
各ストリングには同じ流量の冷却ヘリウムガスが流れるように制御される。並列冷却。
No.1のストリング位置は冷凍機から出てくるヘリウムに対応する。
•
•
•
•
No.1とNo.2ストリングでのクライオモジュ
ールと戻り配管内ヘリウムガス温度との差
システムが250Kに冷却されたときの必要な全流量は110g/sで、16ストリングでシステムを構成しているILCでは
176g/s必要となる。
40Kまで冷却されると流量は310g/s(ILC:~500g/s)まで増加される。
圧力分布は各温度レベルで変らない。
冷却時のクライオモジュールと冷却ガスとの温度差
–
–
クライオモジュールは並列に冷却されていることからNo.1とNo.10間で大きな差は見られない。
図中の温度差はストリング中央部(8台のモジュール間の温度差)に対する値。温度差は最大で40K以下
に抑えられている。
冷却・加温時の超伝導空洞の位置変化−1
•
超伝導空洞は室温でアライメントされる。
– アライメント精度(ビーム軸垂直面): TESLAの要
求精度
• 空洞:XY方向=±0.5mm
• 4極磁石: XY方向=±0.3mm
•
冷却時には低温機器は熱収縮の影響を受け、
空洞・4極磁石の位置は変化する。
– 冷却による位置変化及びその再現性を測定する
必要有り。
• 冷却時の位置変化測定:Wire Position Sensor
(WPM)
• WPM:検出器は50Ωにマッチングがとられた4個の
電極からなり90度位置に配置されている。
• 0.5mmのベリリューム銅線を検出器内部に張られ
ている。張力=100kg/mm2、ワイヤーのサグ=
2.07mm。
• ワイヤーは室温部から支持されるため、冷却の影
響を受けない。
冷却・加温時の超伝導空洞の位置変化ー2
•
サーマルサイクルを行った場合の空
洞の位置変化
–
–
–
•
WPM#1~7:Module-4
WPM#8~14:Module-5
Module-4と5はベローパイプで接続さ
れている。
2K
水平方向変位
–
–
室温での初期アライメント精度<
0.1mm
2K冷却後の基準ラインからの変位
•
•
–
•
水平方向変位
1回目の冷却:-0.3mm<∆<+0.3mm
2回目の冷却:- 0.3mm<∆<+0.5mm
室温
M4
M5
加温後の変位:- 0.1mm<∆<+0.5mm
上下方向変位
–
–
室温での初期アライメント精度<
0.21mm
2K冷却後の基準ラインからの変位
•
•
–
上下方向変位
室温
1回目の冷却:-0.35mm<∆<+0.25mm
2回目の冷却:- 0.4mm<∆<+0.2mm
2K
加温後の変位:- 0.2mm<∆<+0.5mm
M4
冷却時の位置の再現性が非常に良いとはいえない。
M5
クライオモジュールの熱負荷評価
•
•
•
DESYでは此れまで5台のクラ
イオモジュールを建設してきて
いる。改造されたものも含める
と10例の試験結果があり、右の
テーブルに熱負荷の結果は纏
められている。
表中赤で囲まれたモジュールは
TTF2ライナックで2004年3月か
ら冷却され運転されてきた。
5台のモジュールの熱負荷:
–
–
•
2Kへの熱負荷<3.5W
4.3Kへの熱負荷=13~14.5W
RF運転時の熱負荷:
–
–
入力カップラーからの負荷
45MV/m空洞カップラーの場合
•
•
4Kへの負荷:2.88×8=23W
2Kへの負荷:0.25×8=4W
運転時の負荷(ラフな計算)
2K:10W、4K:40W -> 4K換算80W
1冷却ユニット(240クライオモジュール):80×240=19200W
現在検討されている冷凍機:25kW@4K、30%程度の運転マージン
BCBTL2
Endcap
ACC5 M5 ACC4 M4
BC3
BCBTL1 VB
ACC3 M3* ACC2 M1*
BC2
ACC2 Transferl
Fermilab
Feedbox
ACC1VB
Transferl
ACC1 M2*
GUN
DESY TTF2でのクライオモジュールの構成
(3)クライオモジュールの組立ー1
クライオモジュールの組立ー2
クライオモジュールの組立ー3
クライオモジュールの組立ー4
クライオモジュールの組立ー5
クライオモジュールの組立ー6
クライオモジュールの組立ー7
クライオモジュールの組立ー8
クライオモジュールの組立ー9
クライオモジュールの組立ー10
クライオモジュールの組立ー11
(4)まとめ
ILCクライオモジュールとして検討すべき項目−1
„
超伝導4極磁石、補正コイル及びビーム位置モニターのパッケージをクライ
オモジュール中央のサポートポスト位置で支持する。
¾ TESLA-TYPE-IIIの設計では、この4極電磁石のパッケージはクライオモジュールの
片端に設置されている。クライオモジュール両端では熱収縮による位置変化が大き
い為、固定点である中央のサポートポスト位置で支持することにより、4極磁石の
パッケージをより安定に運転することを目的としている。
4極磁石、補正コイル
及びBPMパッケージ
ILCクライオモジュールとして検討すべき項目−2
„
4極磁石パッケージ用クライオスタットを空洞クライオモジュール
とは別にした場合の設計。
¾ 4極磁石に対してアライメントの精度の向上、磁場測定及び組立作業の簡単化、
振動に対する対処が施工しやすい等の利点がある。
„
空洞容器間の接続距離の短縮化及び簡単化。TESLA-TYPE-IIIでは空
洞間の距離は345.45mmであるが、この距離を283mmまで短くする。
¾ 空洞容器の長さが1034.55mmであるから、約5%の加速電場の向上につながる。下
図にTESLAクライオモジュールの空洞接続部の様子を示した。周波数チューナーが
容器端にあるため、この部分の構造が非常に複雑である。
ILCクライオモジュールとして検討すべき項目−3
„
„
„
„
クライオモジュール間の接続を含めた全体的なパッキングファクターの向
上。
クライオモジュールの組立作業の簡単化。
輸送を考慮した機械的設計。
チューナー用駆動モータの低温運転に対する信頼性の向上。
Active length = 1036.2 mm x 24 cavities = 24868.6 mm
Packing Factor = 24868.6 / 35109 = 0.71
35109mm
1036.2 mm