VOL.7 JANIS (Japan Nosocomial Infections Surveillance)newsletter 2012年12月発行(年4回発行) SPECIAL ISSUE 新しい ステージへ 突入! SSI部門 変更のポイントを チェック! 今号のJANIS通信 今年も残すところあとわずかとなり、慌ただしい日々をお過 ごしのことと存じます。 今回は、SSI部門の変更点についての特集です。SSI部門 参加医療機関は、すでに2012年上半期のデータ提出をされ SPECIAL ISSUE ているのでご存じのこともあるかと思いますが、 あらためてご SSI部門 変更のポイントを チェック! 確認ください。 ●手術手技コード これまでの 「JANIS参加医療機関の現場レポート」 に代わ ●菌名コード り、今回は 「感染対策防止地域連携について」 の座談会を設 ●データフォーマット・入力支援ソフト けました。 お楽しみに! ●その他の変更点 ●データの集計方法 ●還元情報 院内感染対策サーベイランス (JANIS)事務局 ●座談会レポート http:www.nih-janis.jp/ ほか 01 JANIS 通信 VOL.7 SPECIAL ISSUE SSI部門変更のポイントをチェック! 米国NHSNをベースに、 日本の実情に合わせて変更しました 手術手技コード 2012年1月より、SSIサーベイラン 変更された手術手技コード 追加された手術手技コード 削除された手術手技コード ①NHSNに準じて追加 OBL その他、 血液リンパ系 AAA 腹部大動脈修復 OCVS その他、 心臓血管系 AVSD 透析のためのシャント OENT その他、 耳、 鼻、 口、咽頭 CEA 頸動脈血管内膜切除術 OES その他、 内分泌系 HTP 心臓移植 OEYE その他、 眼 KTP 腎臓移植 OGIT その他、 消化器系 LTP 肝臓移植 OGU その他、 尿生殖器系 OVRY 卵巣手術 OMS その他筋骨格系 PACE ペースメーカー手術 ONS その他神経系 PVBY 末梢血管バイパス手術 OOB その他、 産科手技 RFUSN 脊椎再固定術 OPRO その他、 人工関節 THYR ORES 甲状腺・副甲状腺手術 その他、 呼吸器系 スの手術手技コードを変更しまし 細分化された手術手技コード (日本独自のコード) た。今 回、米 国NHSN(National Healthcare Safety Network) BILI ⇒ BILI-L 胆道再建を 伴わない肝切除 の手術手技コードに合わせる形 BILI-PD 膵頭十二指腸切除 でJANIS手術手技コードの追加 BILI-O その他の肝胆膵手術 や削除、 コード名変更を行いまし GAST ⇒ た。 さらに、 日本で多く行われてい GAST-D 幽門側胃切除 GAST-T 胃全摘 る手術にも考慮し、 日本独自の手 GAST-O 胃手術 術手技コードを追加並びに細分 化を行い、SSIサーベイランス対 手術手技コード名変更 (NHSNに合わせた変更) 象手術手技は46手術手技から ②日本独自の追加 OSKN その他、 外皮系 AAE 腹部大動脈血管内手術 SKGR 皮膚移植 COLN ⇒ COLO 大腸手術 TAA 胸部大動脈手術 TP 臓器移植 HN ⇒ NECK 頚部手術 TAE 胸部大動脈血管内手術 VS 血管手術 MAST ⇒ BRST 乳房切除術 VARX 下肢静脈瘤手術 49手術手技になりました。 菌名コード 他部門と共通のコードになりました 2011年まではSSI部門独自の菌名コードを使用していましたが、2012年からは検査部 門やICU部門と共通の菌名コードに変更しました。 新しい 入力支援ソフトは、 分母情報の 入力だけでも途中 保存できます。 データフォーマット・入力支援ソフト 2012年以降は新バージョンで入力を 手術手技コードと菌名コード等の変更に伴い、2012年からデータフォーマット (提出 データの形式) や入力支援ソフトも変更しました。従って、2012年以降のデータは、 旧 入力支援ソフトを用いて提出することができません。 その他の変更点 必須項目を しぼりこみました 人工肛門造設の有無を報告する手術手技 COLO(大腸手術)、SB(小腸手術)、REC(直腸手術) に限って、人工肛門造設の有 無を報告してください。 その他の手術手技では報告の必要はありません。 必須項目の削減 これまで必須項目として収集されていた全身麻酔、外傷、合併手術、 日帰り手術、診断 時期、転帰の情報は、公開情報および還元情報の集計項目に含まれないため、必須 項目から削除しました。 また皮下膿瘍、縫合不全、遺残膿瘍の有無は必須項目から任 意項目に変更になりました。 院内感染対策サーベイランス (JANIS)事務局 http:www.nih-janis.jp/ 02 JANIS 通信 VOL.7 データの集計方法 手術時間、 カットオフポイントは JANISデータより算出します。 手術手技別リスクインデックス別SSI発生率 リスクインデックスの算出方法 創分類 点数 会) スコア」、 「 手術時間」 を用いて算出するリスクインデックスカ Clean 0点 ASA1 0点 Clean contaminated 0点 ASA2 0点 Contaminated 1点 ASA3 1点 Dirty 1点 ASA4 1点 ASA5 1点 ASA6 1点 テゴリー毎にSSI発生率を集計します。 ただし、手術時間のカッ トオフポイント (75パーセンタイル値) は、2011年までは2004年の 米国 NNIS(National Nosocomial Infections Surveillance System)Reportを利用していましたが、2012年からはJANIS に報告された手術時間から算出します。 内視鏡使用の有無別のSSI発生率 内視鏡を使用する手術手技コードでは、2012年から内視鏡使用 「有」 「無」 に分けたSSI発生率を還元します。対象となる手術手 技コードは、右表の通りです。 還元情報 手術時間 点数 カットオフポイント値以内 0点 カットオフポイント値以上 1点 ・APPY(虫垂切除術) ・CHOL(胆嚢手術) ・COLO(大腸手術) ・ESOP(食道手術) ・GAST-D(幽門側胃切除) ASAスコア 点数 創分類点数 + ASAスコア + 手術時間 = JANISでは引き続き 「創 分 類」、 「ASA(アメリカ麻 酔 科 医 学 リスク インデックス カテゴリー リスクインデックスカテゴリー ・GAST-T(胃全摘) ・GAST-O(胃手術) ・HYST(腹式子宮摘出術) ・NEPH(腎臓手術) ・OVRY(卵巣手術) 0 1 2 3 ・PRST(前立腺手術) ・REC(直腸手術) ・SPLE(脾臓手術) ・THOR(胸部手術) ・VHYS(経膣的子宮摘出術) PDFとExcelの2種類があります 還元情報PDF 還元情報PDFでは、 自施設の手術手技コード別手術件数、SSI件数、SSI発生率と集計対象医療機関の手術件数、SSI件数、 SSI発生率を併記し、 自施設データを集計対象医療機関データと比較しやすい形で表示します。 系統ごとに手術手技を 分 けました。 自施設が サーベイランス対象と している手術手技のみ 掲載します。 内視鏡の有無別の表も掲載します。 還元情報Excel 還元情報Excelは、 2012年から新たに追加される還元情報です。 自施設データと全体集計デー タを上下に表示します。 自施設データでは年齢と手術時間の平均値と中央値を表示し、 全体集 計データではさらに手術時間の75パーセンタイル値も表示します。 また内視鏡使用の有無、 緊急 手術、待機手術、埋入物の Excel版、 新登場です! 有無、感染部位別のSSI件 数を表記しました。 各医療機 関の手術件数とSSI発生率 は、PDFでは提示していな い10、25、50、75、90パーセン タイル値を表示しています。 還元情報Excelの詳細な情 報から必要な情報を抽出 し、 自施設のSSI対策のため の資料作成などにご活用く ださい。 院内感染対策サーベイランス (JANIS)事務局 http:www.nih-janis.jp/ 03 JANIS 通信 VOL.7 レポート 福島県の 太田西ノ内病院で 開催しました! 座談会! テーマ: 「感染防止対策地域連携について」 今回は、福島県臨床衛生検査技師会感染制御部門の微生 司会: 「加算1」 を取るために、慌てて看護師を研修に出して専従 物・ウイルス検査分野研修会に参加された皆様に、実際にどの のICNにしたところもあるようですね。 芳賀[竹田綜合病院] :当院も 「加算1」 を取りましたが、準備期間 ように地域連携をされているかを中心に、 お話を伺いました。 が短かったように思います。連携先の病院とどうやって耐性菌分 (※要約しています ※敬称略) 離率の比較をするかという話になったときに、 当院はJANISに参 加しているのでその紹介をしたところ、 「加算2」 の病院はJANIS の存在すら知らないようでした。今後、JANISについて宣伝、普及 させていく必要があるように思いました。 JANISデータの活用方法について - 司会: 「ものさし」 を揃えるという意味で、JANISに参加して還元 情報の分離率などを比較するということは有用でしょうか。 前田:JANISで行っている検体や菌株の重複処理は、 自分たち ではできないので、一つの 「ものさし」 として有用かと思います。但 感染防止対策加算について - 司会: 「加算1」 、 「加算2」 の病院はそれぞれどのように連携先を し、急性期と慢性期の病院では病院の特性が違いすぎるので、 分離率の比較はあまり意味がないように思います。 決められたのでしょうか。 金子:当院の分離率などは院内の勉強会で情報共有していま 前田[太田西ノ内病院] :福島県では、県下の病院が一同に集ま す。 いわき地区では、NICUを持っている病院が他にありません る機会があり、 そこで 「加算2」 の病院が、組みたい 「加算1」 の病 し、 どちらかというと全国の同規模、 同機能の病院と比較してみた 院にアプローチするという形でした。 中には、経営母体が同じ病 いです。 院同士のみが連携する、 というところもありました。 司会:そうすると、 「加算1」同士の比較をする際には、還元情報 山口[福島労災病院] :福島県全体、特にいわき地区ではコメディ を活用できるかもしれない、 ということでしょうか。 カルが少ないので、 要件を満たすスタッフが整わず、 「加算2」 を取 前田:地域連携加算で年1回集まることになっているのですが、 れない病院が多いようです。 また、ICTのラウンドや年4回の勉強 先日はラウンドだけで終わってしまいました。今後、 それぞれの病 会で集まることも難しいのが実情です。 ラウンドの仕方すら分から 院の耐性菌分離率、 できればアンチバイオグラムなどを比較して ないという病院もあるので、 「加算2」 をまだ取れていなくても勉強 みたいと思います。 会に来られる病院もあります。 司会: 「加算1」 を取る病院と、 「加算2」 を取る病院の違いはどこ にあるのでしょう? 金子[磐城共立病院] : 「加算2」 を取る病院は、 リハビリ・精神科 - 貴重なお話を伺うことができ、 皆様どうもありが とうございました!今後のJANISの改善につなげて いきたいと思います。 などの療養型病院、 つまり慢性期の病院が多いように思います。 したがって、 「加算1」 を取る病院と特性が異なるので、耐性菌分 離率の比較は難しいと思います。 山口:いわき地区では、 「加算1」以外のほとんどの病院が細菌検 査を外注に出しているので、菌種によって薬剤パネルの組み方が 様々で、 比較すらできない現状があります。 編集後記 JANIS事務局・編集後記 柴山恵吾 宮永由弥子 皆 様のご協 力により データの精度が向上 し、JANISは 年 々 良 く なっています。 これから もご協力をよろしくお 願い致します。 来年の 「巳」 は蛇が冬眠 から覚めて地上にはい 出す姿を表すとも。 蛇の ごとく探究心と情熱で邁 進したいです。 蛇足です がムーミン好きです。 鈴木里和 瀧世志江 JANIS事務局のメンバーから一言ずつ SSI部門の新還元情報 は、山 岸・網 中 が 練り に練った力作です。 是 非ご活用ください!来 年は還元情報がもっと 使われますように。 網中眞由美 参加医療機関の皆様に JANISに参加してよかっ たと思っていただける よう、 来年も新たな気持 ちで取り組んでまいりま す。 院内感染対策サーベイランス (JANIS)事務局 筒井敦子 2013年からの新規参 加も含め、 参加医療機 関数は1088施設にな りました。 皆様のおか げで、 世界的にも大規 模なサーベイランスに 成長しました。 初の座談会では、 多くの 病院が一同に集まった ところで様々な意見を 伺うことができ、 大変勉 強になりました。 またど こかで開催させて下さ い! http:www.nih-janis.jp/ 2012年10月末で、2年 半勤務したJANIS事務 局を離れることになり ました。 中途半端な仕 事が多く残っています が、影 な がらJANISの 山岸拓也 発展を祈っています。 お疲れさま でした! 04
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