今月のお知らせ 相続・贈与・事業承継が専門です。 平成27年5月1日 資産税NEWS 5 THE PROPERTY NEWS FROM KYOTO CERTIFIED TAX ACCOUNTANT COMPANY 今⽉の Q&A No. 110 私は夫と二人暮らしで子供がおらず両親も他界しています。 相続対策は不要でしょうか。 大塚家具のお家騒動が世間を賑わしていました。 争いを防止する策は何かあるのですか ? 今月の クイズ ? 真ん中の□に漢字を⼊れて、四つの熟語を 作ってみましょう! ただし熟語は⽮印の⽅向に読みます。 残 ↓ 保→ ※ 正解は次号資産税NEWSにて発表いたします。 ※ 前号(No.109 平成27年4⽉号)の解答は【⾷】でした。 ■■■■■■ お問い合わせ → 学 ↓ 守 ■■■■■■■ 〒601-8328京都市南区吉祥院九条町30番地1 江後経営ビル TEL : 075-693-6363 FAX : 075-693-6565 URL : http://www.ego-kcc.com 01 今月のトピックス 02 連載!事業承継のススメ Q 私は夫と二人暮らしで子供がおらず両親も他界していま す。相続対策は不要でしょうか。 Q 大塚家具のお家騒動が世間を賑わしていました。 争いを防止する策は何かあるのですか? A 遺言書を作成することで遺産分割協議を行わ ずに全ての相続財産を相続できます。 A 議決権を確保しておくことが争いの防止策 になります。 ⺠法では、遺⾔が残されていなかった場合を想定し、 財産を相続する⼈の順位や、それぞれの割合(法定相続分)を定めています。 相続⼈全員で協議して合意すればこれに従う必要はありません。 ⼦と両親がいない場合には注意しないといけません。夫が亡くなり⼦と両親が いない場合には配偶者だけではなく、亡くなった夫の兄弟姉妹までもが法定相 続⼈になります。 例えば、夫名義の⾃宅に夫婦が住んでいて、夫婦の間に⼦はおらず、夫の親は 亡くなっており、夫に兄弟3⼈いるとしましょう。この場合の法定相続⼈は妻と 夫の兄弟3⼈の合計4⼈になります。 ⾃宅の名義は夫といっても、実際には⼆⼈で築いてきた財産といえるでしょう。 遺⾔が無ければ夫の相続財産を分割するためには、この4⼈で遺産分割協議をし ないといけません。 遺産分割協議書に⾃宅の⼟地建物は妻が相続すると書いて、そこに4⼈がハンコ を押して、4⼈の印鑑証明をつけなければ、⾃宅の⼟地建物を妻名義に変更する ことができないのです。夫の兄弟のうち⼀⼈でも「いやだね」といわれてしま うと名義変更できなくなるのです。 これを避けるために重要なのが遺⾔となります。 夫には「全ての相続財産を妻に相続させる」と書いてもらいます。また妻に 「全ての相続財産を妻に相続させる」と書いておきます。そうすれば、義理の 兄弟と話し合う必要はなくなります。 兄弟姉妹には、遺⾔にかかわらず相続できる「遺留分」と いう権利がないからです。義理の兄弟を気にすることなく 全財産を相続することができます。 ⼤塚家具の創業者である勝久⽒と⻑⼥久美⼦⽒の対⽴が連⽇報道されていました。 経営権をめぐる親族の争いはメディアにとっては格好の材料となります。 しかし⾃分が巻き込まれるとなるとこれほど⼤変な事はありません。 このような場合、勝久⽒の⽴場で考えるとどうすれば争いを避けられたのでしょう。 ⼤塚家具の株主構成は、勝久⽒は18%の議決権を有する筆頭株主であり、次いで⼤塚 家具の資産管理会社である㈱ききょう企画の議決権が9.7%となっています。この両者 の議決権と勝久⽒の妻や⻑男の議決権を合わせると約30%の議決権を確保できます。 つまり⻑⼥久美⼦⽒が保有していた㈱ききょう企画の議決権を勝久⽒が確保出来れば争 いを避ける事が出来たのです。 勝久⽒が㈱ききょう企画の議決権を確保する為の⽅法を考えてみましょう。 (1)勝久⽒から⼦へ株式を移転する前に無議決権株式にしておく ㈱ききょう企画を設⽴する際に勝久⽒が⼀定額を出資しその株式の⼀部を無議決権 株式に組み替えてから⼦などへ移転する事が考えられます。財産権は⼦へ移転するた めに相続対策になり議決権のある株式は勝久⽒が確保することが出来ます。 (2)勝久⽒が所有する株式の⼀部を拒否権付種類株式にしておく 勝久⽒が所有する株式の⼀部を拒否権付種類株式としておき、拒否権の範囲を役員 の選解任権、⼤塚家具への議決権⾏使権などとして絶対的な権限を確保します。 (3)定款に属⼈的定めを規定し、他の株式よりも多くの議決権を有することにする 株式譲渡制限会社は、定款によって株主平等の原則と異なる定めをすることができ ます。そこで、勝久⽒が所有する株式は他の株主と異なり1株当たりの議決権を多く 与える旨を定款に規定しておきます。その場合、所有する株式数は少なくても、その 株式だけで過半数の議決権を確保することも可能となります。 上記の⽅法は㈱ききょう企画が設⽴された年においては会社法が創設され てなく、かつ信託法も改正前の制度であったことから設⽴当初で出来なか った対応策ですが現在では有効な策です。 今すぐ、遺⾔書の作成をお勧めします。 税理士 江後慎太郎 議決権の分散は争いを招きます。 対岸の⽕事と思わずに事前対策はしっかり⾏いましょう。 主任 牧本
© Copyright 2024 ExpyDoc