中長期試算検証レポート プレゼン資料

中長期試算の検証に関する報告と今後の課題
2015 年 4 月 2 日
自民党・行政改革推進本部
中長期財政見通し検討委員会
マクロ経済前提の妥当性
 中長期試算の経済再生ケースについては、強気の経済前提(バブル時代より高
い生産性向上 etc)を置いた結果、2016 年度以降、名目 3.6%、実質 2.3%程度
の経済成長が達成される楽観的な内容。
 ただし、経済前提は楽観的だが、「名目3%、実質2%の成長」を目指す安倍内
閣の政策的整合性の観点からは一定の妥当性。
 加えて、税収見積もりは、消費税の引上げ年度を除き、税収弾性値が 1.0 近傍で
あり保守的な内容。
 したがって、本検討委は、経済再生ケースのPB赤字 9.4 兆円を検討すべきと判断。
なお、高成長を描けない場合も想定し、ベースラインケースにも備えておく必要。
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歳出面の検証①(総論)
 2017 年 4 月の消費税引上げが決定されている現状では、先ずは歳出減を中心と
した議論が重要
 PB対象経費の 2015 年から 2020 年の伸びは 19.8 兆円(国 9.7、地方 10.1)
ただし、①国・地方の重複計上分(交付税や国庫支出金等):約3兆円、②消費
税引上げに伴う社保充実等の経費:約2兆円を控除すると、純増額は 15 兆円
程度
15 兆円から PB 赤字 9.4 兆円を捻出する必要!!
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歳出面の検証②(社会保障の効率化の重要性)
 伸びの内訳を見ると、国 9.7 兆円のうち約6割の 5.7 兆円が社会保障の増加(地
方も 10.1 兆円のうち約5割の 4.9 兆円が社保)
 第一次安倍政権時との比較(2007 年と 2015 年)
① 一般会計PB対象経費は約 10.3 兆円増加しているが、公共事業費、文
教・科技費等は横這い
② 社会保障関係費は約 10.4 兆円増加。一般会計PB対象経費のリーマン
ショック後の増加要因は社会保障関係費
 諸外国との比較
歳出規模対 GDP 比を OECD 諸国と比較すると、社会保障支出は中位にいる
一方で、社会保障以外の支出は最下位
⇒以上、社会保障の効率化は避けて通れない!!
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歳出面の検証③(社会保障)
 年金⇒試算上は、マクロ経済スライドなども織り込まれ、PB改善効果は乏しい
(ただし、公的年金等控除の是正 etc)
 医療⇒3.2 兆円増加
うち、消費税引上げに伴う充実分等:0.7 兆円
高齢化分:1.2 兆円
その他(物価・賃金上昇、高度化等): 1.3 兆円
 介護⇒1.7 兆円増加
うち、消費税引上げにともなう充実分等: 0.2 兆円
高齢化分:1.1 兆円
その他(物価・賃金上昇等): 0.4 兆円
 その他社会保障⇒2.5 兆円増加
当面の効率化対象部分
ただし、さらに切り込むことも
(医療費扶助を含む生保・地方単独事業など)
うち、充実分等:0.3 兆円
その他: 2.2 兆円
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歳出面の検証④(その他歳出の伸び)
 公共事業費、防衛費、文教費などが含まれるが、いずれも 2015 年度歳出を消
費者物価上昇率で延伸して 2020 年度を算出
 その結果、国・地方合わせて 7.9 兆円増加
 そこから、国庫支出金など重複分を除いた純増は 7.2 兆円
⇒投資的経費も多く含まれ、これまでの歳出抑制実績や人口
減少社会を踏まえれば 7.2 兆円を根っこから抑制する必要
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特別会計・独立行政法人等の検証
 一部の特別会計・地方公営企業・独立行政法人等もPBの対象範囲
 2020 年度のPB▲9.4 兆円の内訳を精査すると、
 国(一般会計)▲9.1 兆円
 地方(普通会計)+4.8 兆円
 一般会計以外の国▲4.8 兆円
 普通会計以外の地方▲0.3 兆円
特会・独法・地方公営企業
 このため、特会や独法等の財政健全化も重要な課題
 ただし、2020 年度まで名目GDPで延伸されており、内訳は不明
 7つの特会、100 を超える独法等も個別の精査が不可欠であり、行革本部としても
引き続き取り組んでいく
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歳出改革についてまとめると・・・
 9.4 兆円の赤字削減は不可能ではない
 が…、相当の政治の覚悟が必要
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地方財政改革の必要性
 国の取組と歩調をあわせた歳出抑制の具体的規律が不可欠
 2018 年度以降、「地方歳出 < 地方歳入+交付税法定率分」となっている
 この超過部分を、自治体が新たな政策的経費に充てるとPB悪化要因となるた
め、確実に公債の償還に充てることを担保する仕組みが必要
 なお、交付税を削減しても同額の地方歳入が減るため、国・地方PBには影響は
ないが、地方歳出を抑制する手法として、交付税の在り方(配分調整・積算方
法等)の見直しが課題
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