武尾研究室へようこそ! - 地震研究所

武尾研究室へようこそ!
Welcome to Takeo Lab
火山物理セミナーのようす
メンバー
武尾 実、大湊 隆雄、青木 陽介、市原 美恵、前田 裕太
学生…宮林 佐和子 (D2)、長岡 優 (M2)、前原 祐樹 (M1)
地球が発する最も大きな(ダイナミックな)声の一つは,「地震」です.地震現象は,時間的には
動的な発生過程にかかる秒のオーダーから 活断層の形成に至る万年のオーダーまでの 1013 の幅を
持ち,空間的には微小亀裂のセンチメーターのオーダーから巨大地震の千キロメートル,さらに大断
裂帯の万キロメートルのオーダーに至る 109 の幅を持つ 非常にスケールの大きなものです.この
様々な幅広いスケールの現象が相互に関わり合いながら,地震現象の多様性と一定の規則性が出現
していると考えられます.その複雑性と規則性を支配する要因の明らかにすることは,地震発生の物
理のみならず地震が発生している場の状態を理解することにつながり,沈み込み帯や断層帯の物性
を明らかすることにも役立ちます.さらに,地震波は普通の断層運動だけで励起されるわけではあ
りません.例えば,火山では,断層運動による地震波では見られない 特異な波形を持った地震波が
観測されます.また,最近では,断層運動が起こりにくいと考えられる下部地殻内でも,日本列島の
全域に渉って,深部低周波地震と呼ばれる特殊な地震が 起こっている事が明らかになってきました.
この様な地震波は,断層運動とは異なる物理過程で励起されたものと考えられていますが,未だそ
の正体ははっきりしていません.しかし,火山の特殊な地震の正体を明らかにする事は,火山におけ
るマグマや地殻内流体の移動などの解明のつながり 噴火活動を理解する上で重要ですし,深部低周
波地震の物理過程解明は下部地殻と上部マントルとの相互作用を 理解する上で鍵となります.また,
沈み込むプレート境界付近で発生する深部低周波微動は,プレート境界地震の震源過程解析と同様
に,沈み込み帯における物理過程の理解につながるものと考えられます.
この地震や火山など地球内部で現象を理解するためのアプローチの仕方は 様々ありますが,私た
ちは,それらの現象が発するダイナミックな声である「地震波」を調べることを基本において,地球
で起こる現象を理解していくアプローチを取っています.
浅間山周辺の観測点
138˚26'
138˚28'
138˚30'
138˚32'
138˚34'
観測点間を伝わる地震波
8
Distance (km)
36˚28'
36˚26'
36˚24'
6
4
2
36˚22'
0
1.5
0
5
-10
0
Time (sec)
10
位相速度変化
0.5
噴火前に
急増加
0
-0.5
-1
-1.5
→
→
Δv/v (%)
1
km
徐々に減少
2006
Jan
2007
Jan
噴火
2008
Jan
2009
Jan
2004 年浅間山噴火の前に発生した特異な波動特性
を持つ長周期地震と微動の非線形ダイナミクスを
明らかにすることで同一の数理モデルで再現する
ことに成功しました。
2 観測点で記録された S コーダ波の相互相関を
とって、2 観測点間を伝わる地震波を抽出するこ
とができます。浅間山周辺の観測点間を伝わる地
震波の速度を測定し、火山活動にともなう速度構
造の変化を検出しています。
図の実線は浅間山で観測された VLP 地震の波形で
す。本研究では従来取り扱いの困難であった傾斜変
動によるシグナルに対する新しい解析手法を開発・
適用した結果、上下動・水平動ともに同じ単一のソー
スによって説明することに成功しました ( 点線 )。
富士山のマグマ供給系を明らかにするために、レ
シーバ関数解析をおこないました。右図は求めた
レシーバ関数で、左図が富士山の下におけるレ
シーバ関数の振幅です。富士山の下に速度境界面
を見つけました。
研究内容の詳しい説明はホームページにのっています。興味を持って下さっ
た方は、是非遊びに来て下さい!!
E-mail:[email protected]
HomePage: http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/TAKEO-LAB/