特許庁からのお知らせ 「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ 改正協定」の我が国における発効日が決まりました 特許庁 審査第一部 意匠課 平成27年2月13日、日本政府は、 「意匠の国 管理する国際登録簿にその国際出願の内容が記録さ 際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協 れ(国際登録)、国際登録された意匠は、その後所 定」 (以下 「ジュネーブ改正協定」)の加入書を 定期間が経過すると公表されます(国際公表)。国 世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に寄託 際出願は、WIPO国際事務局に対して直接行うこと しました。 も(直接出願)、自国の官庁を経由して行うことも(間 これにより、ジュネーブ改正協定が我が国で 接出願)できます。 発効する平成27年5月13日以降、ジュネーブ改 国際登録の名義人は、国際出願時に指定した締約 正協定に基づく意匠の国際登録制度を利用する 国(指定国)の官庁が国際公表から6か月(又は、各 ことが可能となります。 国の宣言により12か月)以内に拒絶の通報をしない 限り、その指定国において意匠の保護を確保するこ ジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度 の概要を以下にご紹介します。 とができます。 3.意匠の保護の具体的な内容 1.経 緯 国際登録された意匠は、指定国において、次の保 ハーグ協定は、1925年に「意匠の国際寄託に関す 護を受けることができます。 るハーグ協定」として制定されたものを起源とし ①国際登録日から、指定国の官庁に出願されていた て、その後1934年にロンドンで、また1960年にハー 場合と同一の効果。 グで、それぞれ改正協定が制定されました。しかし ②指定国の官庁が、拒絶の通報期間(国際公表から ながら、これらいずれの改正協定も、各国における 6か月又は12か月)内に拒絶する旨の通報をしな 保護の効果を拒絶するための期間が短いこと等が障 い場合には同期間の経過時、拒絶の通報後に当該 害となり、実体審査国の参加は進みませんでした。 通報を取り下げた場合はその取下げ時、又は、拒 ジュネーブ改正協定は、実体審査国や政府間機関 絶の通報期間内に保護の付与の声明を行った場合 の積極的な参加を目指し、これまでの改正協定を更 はその声明時から、指定国の法令に基づく保護の に修正・補完する形で1999年7月に制定され、2003 付与と同一の効果。 年12月に発効しました。 ジュネーブ改正協定には、2015年2月現在、EU、 韓国を含む47の国と政府間機関が参加しています (我が国及び米国については、2015年5月に正式発 効予定) 。 2.制度の骨子 出願人がWIPO国際事務局に対して出願をすると (国際出願) 、方式審査を経て、WIPO国際事務局が ③国際登録の存続期間は、国際登録日から5年(そ の後更新可能)。 4.手続の概略 ①国際出願及び使用言語:意匠の国際出願をする時 は、直接又は自国官庁を通じて、WIPO国際事務 局に願書を提出します。国際出願の言語は、英語、 フランス語、スペイン語の中から任意に選択しま す。 DESIGNPROTECT 2015 No.105 Vol.28-1 53 ●ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度の手続概要 出願人 世界知的所有権機関(WIPO) 国際事務局 指定締約国 官庁 <直接出願の場合> 国際出願 出願書類 出願書類 原則 6月後 国際出願の手数料 願書(DM/1) 図面又は写真 国際出願の手数料 基本手数料 指定手数料 公表手数料 指定情報 指定締約国 A ※ 即時公表、 公表の延期 も請求可能 <間接出願の場合> 国際出願の手数料 指定締約国 B 送付手数料 (間接出願の場合 のみ) 国際登録簿 国際登録の 更新 審査結果(拒絶) 指定締約国 C <国際登録の維持管理手続> 一つの国際出願で、複数の指定国を選択するこ 年です。また、国際登録は更新することができま とができます。また、一つの国際出願に、最大 す。更新の手続はWIPO国際事務局に対して行う 100までの意匠を含めることができます(ロカル ものであり、指定国ごとに行う必要はありません。 ノ国際意匠分類の同一の類に属することが条件)。 ②WIPO国際事務局による国際登録、国際公表: WIPO国際事務局は、国際出願の方式審査をした 後、国際登録簿に意匠を登録します。国際登録さ ⑥料金:一の通貨(スイスフラン)によるWIPO国 際事務局への手数料の支払だけで、国際出願、及 び国際登録の更新を行うことができます。 の請求により国際登録後速やかに若しくは国際登 5.ジュネーブ改正協定を利用した場合の メリット 録後30か月以内の公表延期期間が経過した後に、 1)一度の手続で複数国での権利取得が可能 WIPO国際事務局によって国際公表されます。 複数国・複数意匠(最大100意匠)について、単一 れた意匠は、国際登録から6か月後、又は出願人 ③指定国官庁による拒絶の通報:指定国の官庁は、 書類・単一言語・単一通貨での一括出願手続が可能 その指定国において国際登録に係る意匠の保護を となるため、複数国において意匠権を取得するため 拒絶する場合には、国際公表から6か月以内(宣 に必要な直接・間接コストの低廉化が図れます。 言をしている場合には12か月以内)に、その旨を WIPO国際事務局に通報します(拒絶の通報)。 2)複数国・複数意匠についての意匠権の管理が容易 ④指定国官庁による拒絶の取下げの通報、保護の付 国際登録の更新や移転等の手続はWIPO国際事務 与の声明:指定国の官庁は、拒絶の通報を行った 局に対する一回の手続で可能となるため、複数国・ 意匠について、後に拒絶の理由が解消した場合に 複数意匠についての意匠権の管理が容易になりま は、WIPO国際事務局に対して拒絶の取下げの通 す。 報を行います。 指定国の官庁は、その指定国において国際登録 ジュネーブ改正協定への加入により、以上のよう に係る意匠の保護を認める場合には、上記③の期 な効果がもたらされ、 間の経過を待つことなく、WIPO国際事務局に対し ①我が国企業の国際的経済活動に伴う高コストの改 て保護の付与の声明を送付することができます。 これらいずれの場合も、当該指定国の法令に基 づく保護の付与と同一の効果が発生します。 ⑤更新:国際登録の存続期間は、国際登録日から5 54 特許庁からのお知らせ 善 ②我が国企業の魅力的なデザイン製品による更なる 国際展開の拡大 が期待されます。
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