1 マラケシュ条約とは 2015/9/14 日本オーディオブック制作社協会

マラケシュ条約とは
2015/9/14
日本オーディオブック制作社協会
マラケシュ条約とは、
2013 年 6 月 17 日から 28 日にかけて、
世界知的所有権機関(WIPO)
<日本では特許庁と文化庁に相当>に加盟している 186 カ国が、モロッコのマラケシュで
行われた外交会議に集まり、視覚障がい者やプリントディスアビリティ(印刷物を読む事が
困難な人)のための新著作権条約の採択について話し合いました。
27 日に加盟国で合意し、
「盲人、視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進の
ためのマラケシュ条約(Marrakesh Treaty to Facilitate Access to Published Works for
Persons who are Blind, Visually Impaired, or otherwise Print Disabled 訳は WIPO 日本
事務所)」が日本を含む 186 の全加盟国の合意を得て、成立しました。<2014 年 9 月現在
は 75 カ国の署名があります。>
マラケシュ条約の目的は、視覚障がい者(全世界:約 3 億人以上)をはじめ、読者が困難
な障がい者のために著作権を制限し、特別に制作された DAISY 図書などのアクセス可能な
形式の複製物の提供及びそれらの国境を越えた共同利用の促進です。
具体的には,視覚障がい者と「知覚もしくは読む事に障害があり、印刷された著作物を機
能障害、または障害のない人と同程度読むことができない人」及び「身体障害により、本を
持つことや扱うことができない人、あるいは錯視や目を動かすこと、読むために必要な条件
を満たせない者」(条約第 3 条)が含まれています。
日本では 2010 年 1 月に著作権法が改正され、これを受けて日本図書館協会が「図書館の
障害者サービスにおける著作権法第 37 条第 3 項に基づく著作物の複製等に関するガイドラ
イン」を策定しています。
そこでは対象となる「障害」を視覚、聴覚、肢体、精神、知的、内部、発達、学習の各障
害といわゆる「寝たきり<事実上動けない>」
、一過性の障害、入院、その他図書館が認め
た障害としています。
日本においては、マラケシュ条約について 2016 年に批准する動きがあります。条約が発
効される事になると、主に出版社において、マラケシュ条約に沿って、著作物をアクセシブ
ルにする事が義務づけられる事が予想されます。書籍の出版において、デジタル著作物(電
子書籍、オーディオブック)での発行によって、文字の拡大や朗読再生が可能になると考え
られ、検討が必要になると考えております。
上記の件について、文化庁著作権課などに話を聞いた感触では、準備中で有り、批准後に
すぐに対応されるものと思います。
以上
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参考:
[プレスリリース] 歴史的な条約を採択。世界の視覚障害者の書籍へのアクセスを加速。
http://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/news/2013/news_0036.html
マラケシュ条約の概要
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/kokusai/h25_02/pdf/siryou
1_2.pdf
マラケシュ条約の意義
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/copyright/norma1311_nomura.html
E1455 - 障害者のアクセス権と著作権の調和をはかるマラケシュ条約
http://current.ndl.go.jp/e1455
マラケシュ条約―視覚障害者等への情報アクセスの保障に向けた WIPO の取り組み
http://current.ndl.go.jp/ca1831
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