<技術資料 2007.5> 東 洋 イ ン キ 株 式 会 社 プリンティング技術統括部技術 3 部 ECS 事 業 統 括 部 UV イ ン キ 販 売 部 FDフォームX各色Mの御紹介 近年のUVフォーム印刷は従来からの帳票用途に加え、ダイレクトメールや広告冊子等の一般商業印 刷用途にその展開を拡大しており、刷り濃度向上、高速印刷適性、ロングラン適性向上といったイン キの高性能化への期待が高まる中、UVフォームインキの素材面での根本的な見直しを行い、FDフ ォーム X 各色Mを開発致しました。 改良のコンセプト、インキの基本性状について以下に御報告申し上げます。 【改良のコンセプト】 ・必要な要求性能 ①乳化適性 地汚れ耐性向上/水を上げて印刷した際の印刷適性向上/乳化インキの転移性向上 ②高速印刷適性 粘弾性向上/硬化性向上 現行インキから、樹脂・モノマーならびに光開始剤の見直しを行い、上記各性能について向上を図りました。 【印刷適性について】 ①転移性 水有オフセット印刷において、インキが過剰乳化することにより弾性を失うことで 版→ブラン→印刷用紙の転移性に悪影響を及ぼします(転移不良) 。本インキは乳化 による弾性損失を低減させることで良好な転移性を実現します。 ②ブラン残り ロングランでの印刷を行った際に、湿し水の供給とのバランスが取れず、過剰乳化 し、粘弾性を失なったインキがブラン上で紙紛等の成分と共に堆積し、ブラン残り が発生することがあります。本インキは最大乳化量を向上させ、印刷機上での水余 り現象を抑制し、水負けによるブラン残りの発生を低下させます。 【インキ基本性状比較】 今回ご紹介申し上げます「FDフォームX各色M」と現行インキ(フォームTF)の物性比較結果を次 に示します。 ・粘弾性 凝集力を高め、高粘弾性にしております。 ・最大乳化率 水の許容幅を拡げました。 ・硬化性 高速印刷適性を考慮し大幅に向上しました。 ・粘弾性損失率 乳化によるインキ粘弾性低下を抑制しております。 黄 紅 TF X TF X タック値 9.0 9.0 8.0 9.0 フロー値 16.5 16.0 18.0 18.5 粘度[Pa・s] 45.0 50.0 62.0 65.0 硬化性[m/min] 130 150 90 120 最大乳化量[%] 29.0 37.0 28.5 32.0 30 0 110 30 粘弾性損失量[mNm] 藍 墨 TF X TF X タック値 8.5 9.0 10.5 9.0 フロー値 18.0 16.0 17.5 16.0 粘度[Pa・s] 49.0 50.0 45.0 50.0 硬化性[m/min] 90 150 50 60 最大乳化量[%] 30.0 33.0 - - 粘弾性損失量[mNm] 100 0 90 50 *尚、本インキはNC(ノンカーボン適性) ・NIP適性を具備しております。 【試験条件】 タック値測定 :インコメーター400rpm、1 分値、30℃ フロー値測定 :スプレッドメーター 1 分値、25℃、半径 mm 粘度測定 :コーンプレート型回転粘度計 D=100s-1 25℃ [Pa・s] 硬化性評価 :インキ盛り量 0.1cc/4 分割ロールにてPEコート紙上に展色し、空冷メタルハライドランプ 1灯下(黄:96W/cm 紅・藍:112W/cm 墨:160 W/cm)にて照射を行い、綿布で擦れ落ちない限界 のコンベアスピードの値で評価。[m/min] 最大乳化量 :ローラー上で一定膜厚のインキ中に水を供給し、含水量を測定。飽和含水量で評価。[%] 粘弾性損失量 :乳化進行に伴うインキ撹拌トルクを測定。粘弾性損失量=[最大値]-[20%乳化時の値] 以上、今回ご紹介申し上げますFDフォームX各色Mは印刷適性・硬化性に優れたインキです。 ご評価の程宜しくお願い申し上げます。 【各種補助剤】 印刷条件や環境等により必要に応じて、以下の各種補助剤をご使用下さい。 レジューサー :FDレジューサーAP 添加量5%を上限としてご使用下さい。 3%添加により弊社インキの季節型にて1ランク近く軟調化します。 コンパウンド :FDコシキリン (腰切り剤) インキのタックを下げ、フローを出したくないときにご使用下さい。 添加量5%を上限としてご使用下さい。 3%添加により弊社インキの季節型にて1ランク近く軟調化します。 ドライヤー :FDCドライヤー 硬化性を向上する事ができますが、多量の添加により接着性が劣化して しまうことがあります。 ※ドライヤーの添加量は最大5%までとして下さい。 ※弊社製品「FDドライヤー」のご使用は避けて下さい。NC適性を損なう 恐れがございます。 【ご使用にあたって】 ①インキの盛りすぎは乾燥劣化・皮膜物性の低下を招きます。特に墨インキは盛りの影響を受 けやすいため、濃度の管理には十分にご注意下さいますようお願いいたします。 ②直射日光や蛍光灯の光に含まれる紫外線でも硬化反応が起こる可能性があります。そのため 工場の窓の配置によっては窓ガラスに紫外線カットの対策を施していただくこと、場合によ っては蛍光灯も一般的なものから美術館用の紫外線カットタイプに交換していただく必要が あります。 ③高温下での保存によりゲル化を生じることがあります。そのためインキの保存は25℃以下 の冷暗所にて行っていただきますようお願いいたします。
© Copyright 2024 ExpyDoc