- 1 - 殿 ( 株 ) タ ッ ク 新 し い エ ア ー モ ル タ ル の 配 合 に

殿
(株)タック
新 し い エ ア ー モ ル タ ル の 配 合 に つ い て
1.従来配合
現在エアーモルタルの標準配合といわれている配合は下記のようなもので
ある。
高炉セメント
陶土
240kg
240kg
起泡剤
2.4kg
水
エアー量
320L
50%
上記の配合は、
W/(C+C)=320/(240+240)=66.5%
フロー値
20∼25cm
(フロー値の大きさは、用いる陶土の鉱物組成や粒度により異なる。
つまり、粘性の低い陶土ではフロー値が大きく、分離し易い
粘性の高い陶土ではフロー値は小さく、分離し難い
という傾向がある。
強度
一般的にはσ28=10
といわれている。
といった性状を有している。
2.中詰め注入工に求められるエアーモルタルの性状
標準配合の性状は上記のようなものであるとはいえ、中詰め注入工に求め
られるエアーモルタルの性状をもう一度検討してみる。
①流動性があり、充填性に富んでいること。
つまり、フロー値が大きく、流れ易い性状が必要。
20∼25cmでは流れにくい。もっと大きなフロー値が望ましい。
②長距離圧送が可能であること。
これもフロー値が大きいことが必要であり、分離抵抗性に富んでいること
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も必要である。
③硬化熱が低いこと。
強化プラスチック管は60∼70゜Cで変形する可能性がある。
④ブリージングが生じ難く、安定していること。
硬化するまで消泡したり、材料分離しないことが必要。
⑤注入後の容積減少が生じないこと。
上記内容とほぼ同義。
⑥一定の強度がムラなく発現すること。
中詰め注入材は、構造物というよりも充填物である。
耐久性があり、安定した地山の1軸圧縮強度(3∼4
)と同程度の強
度が発現すること。
ということになり、性状的に要約すると、
①フロー値は大きいほど望ましい。
②フロー値が大となると、消泡やブリージングが起こり易いが、こうした現
象が起こらないこと。
③安定した地山以上の強度、5
位の強度が発現すること。
という条件を満たすエアーモルタルが求められていることが分かる。
3.従来配合と求められる性状の比較
従来配合では、
セメント:陶土(クレーサンド)=1:1
W/(C+C)=65∼70%
といった概念でエアーモルタル配合を考えていたが、こうした概念で作り上
げるエアーモルタルでは、粘性が高い(フロー値が小さい)ため、流動性・
填充性・長距離圧送性等に問題があった。また、この配合に流動性を与える
ために水を増量する(W/Cを上げる)と、硬化までの間に材料分離やブリ
ージングが生じる。
つまり、従来の陶土エアーモルタルでは流動性に富んだエアーモルタルは
限界があることが分かる。
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4.新配合の提案
そこで、配合に用いる陶土の性状によってエアーモルタルの粘性・フロー
値が変化することに着目し、フロー値が大きく、しかもブリージングが生じ
ない新しいエアーモルタル配合を検討した。
新しいエアーモルタルで用いるクレーサンドは、裏込注入工で一般的に用
いられているモンモリロナイト鉱物を含有するクレーサンドである。この材
料の特徴は、水としばらくの間なじませておくと鉱物中に水を含有し、粘性
が上昇する性質を有しており、「膨潤性」に富んだといわれる性状を有して
いる。
水の中で膨潤させて粘性が上昇したクレーサンドは、エアーモルタルに含
有される独立起泡の周囲を保護し、泡と泡が連結して大きな泡となって上昇
・消泡の過程を阻害し、泡の独立性を高めるため、エアーモルタル中に大量
の水を抱くことができ(W/Cの比を高める)、フロー値が大きく、しかも
ブリージングが生じにくいエアーモルタルを作ることができる。
<新配合案>
高炉セメント
240kg
特殊陶土
起泡剤
140kg
2.0kg
水
エアー量
516L
35%
<新配合混練フロー>
(溶解槽でクレーサンドを膨潤させる)
特殊陶土
溶解槽
水
高炉セメント
ミキサー
起泡剤液
発泡ガン
コンプレッサー
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エアーモルタル
5.従来配合と新配合の比較
従来配合
新配合
W/C+C
67%
136%
フロー値
20∼25cm
30∼35cm
ブリージング
1∼2%以内
1∼2%以内
但し水が多いとブリージング
強度
σ28=5∼10
填充性
普通
良
圧送性
1000m程度
2000m程度
陶土
(例)TAC−1号
(例)TAC−β
クレーサンド
水に撹拌後静止させると粘
水に撹拌後静止しても粘土
土粒子が沈降する。
粒子が沈降しにくい。
セリサイトにより独立気泡を保
モンモリロナイトの膨潤性により独
護する力を有するが、70%
立気泡の気泡保護力が強
以上のW/Cにおいては気
い。
泡保護力は極端に低下する
裏込注入工に一般的に用い
。
評価
*参考
σ28=5∼10
られている助材。
○
◎
TAC−1号及びTAC−βの成分表
建設物価
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