システム最適化特論 担当:平田 健太郎 第10回 (6/15) 1.グラフとネットワークにおける数理 ・ 組合せ最適化(3) 2.システム制御と最適化 ・ 最適制御とDP 1 講義日程(予定) 4/13 1.グラフとネットワークにおける数理 ・ 輸送問題とLP 4/20 ・ シンプレックス法(1) 4/27 ・ シンプレックス法(2), 双対問題 5/7 ・ 多項式時間アルゴリズム, 内点法(1) 5/11 ・ 内点法(2) 5/18 ・ 最短経路問題とダイクストラ法(1) 5/25 6/1 6/8 ・ 最短経路問題とダイクストラ法(2) ・ 組合せ最適化(1) ・ 組合せ最適化(2) 2 6/15 ・ 組合せ最適化(3) 2.システム制御と最適化 ・ 最適制御とDP 6/22 ・ 凸解析と線形行列不等式 6/29 ・ 最適制御再訪 7/6 ・ LMIによる制御系解析・設計 7/13 ・ 非線形最適化 (1) 7/27 ・ 非線形最適化 (2) (8/3) (期末レポート提出) * 期末試験はレポートとする 3 例4: 巡回セールスマン問題 8 1 7 4 2 4 4 5 8 3 動的計画法(ダイナミックプログラミング)による解法: 最適制御問題の導入も兼ねて 4 動的計画法(Dynamic Programming) 離散過程に対する多段階決定問題 状態 𝑥 に決定 𝑢 を与えたときの状態遷移: 𝑓(𝑥, 𝑢) 𝑥2 = 𝑓(𝑥1 , 𝑢1 ) 𝑥3 = 𝑓(𝑥2 , 𝑢2 ) 𝑥𝑁 = 𝑓(𝑥𝑁−1 , 𝑢𝑁−1 ) 各段階におけるコスト: 𝐿 𝑥𝑘 , 𝑢𝑘 , 𝑘 = 1, ⋯ , 𝑁 𝑁 𝐿 𝑥𝑘 , 𝑢𝑘 和 を最小にするよう 𝑢𝑘 を選ぶ. 𝑘=1 5 N段決定過程の最小和 𝐽𝑁 𝑥1 = min 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 + ⋯ + 𝐿 𝑥𝑁 , 𝑢𝑁 𝑢𝑘 = min min ⋯min 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 + ⋯ + 𝐿 𝑥𝑁 , 𝑢𝑁 𝑢1 𝑢2 𝑢𝑁 = min 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 + min ⋯ min 𝐿 𝑥2 , 𝑢2 ⋯ + 𝐿 𝑥𝑁 , 𝑢𝑁 𝑢1 𝑢2 𝑢𝑁 = min 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 + 𝐽𝑁−1 𝑥2 𝑢1 = min 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 + 𝐽𝑁−1 𝑓(𝑥1 , 𝑢1 ) 𝑢1 N-1段決定過程 の最小和 6 動的計画法による解法 巡回セールスマン問題に対する最適性の原理 8 1 7 4 2 4 4 5 8 3 8 8 1 7 4 2 5 4 8 3 4 S 1 S 2 9 S 3 8 1 7 4 5 4 8 3 4 2 10 ヒューリスティック解法(発見的解法) NP困難な問題に対しては厳密解をあきらめて,比較的短時間で よい近似解が得られればよしとする. 最近近傍法 ある節点から出発点して,まだ訪問していない隣接節点の なかで現在の節点に最も近い節点へ次々と移動していく. (欲張り法) 8 1 7 4 2 5 4 8 3 4 1から出発すると1⇒3⇒2⇒4⇒1(最適解!) 3から出発すると, 1と2は同距離 3⇒1⇒2⇒4⇒3(最適でない) 3⇒2⇒4⇒1⇒3(最適) 11 ヒューリスティック解法によって得た近似解を部分的に修正して,よ りよい近似解を求める ⇒メタヒューリスティックス(主として局所探索法) 近似解 2-opt 法: 得られている巡回路から隣接し ない2本の枝を選んで別の2本と変える 3-opt 法: etc … 12 局所解に囚われないための工夫 シミュレーテッド・アニーリング法 温度のパラメータを定め,高温時には目的関数値を悪化させ るような遷移もある確率で許す. タブー探索法 一度探索した領域をタブーリストに加えて,再度探索しない ようにする その他にもいろいろな探索アルゴリズムがある. 遺伝アルゴリズム(GA, Genetic Algorithm), PSO(Particle Swarm Optimization), NN (Neural Network) etc… 13 2.システム制御と最適化 ・ 最適制御とDP 14 制御系設計においては, 各種性能の最大化が求めら れる. これは最適化問題に他ならない. また, ある仕様を満足するような設計問題は, 目的関 数を持たない実行可能解の探索問題 (feasibility problem)と見ることができる. まずは典型例として, いわゆる最適制御問題を考える. 15 最適制御問題 (一般形, 非線形) 制御入力 𝑢(𝑡) システム (内部状態 𝑥 𝑡 ) 出力 システムの動特性は(非線形な)常微分方程式で与えられるとする. 状態方程式 終端条件の重み関数 状態,制御入力の重み関数 16 線形系 一般形 状態方程式 評価関数 𝑥 𝑡 = 𝐴𝑥 𝑡 + 𝐵𝑢(𝑡) 𝐽 = 𝑥 𝑇 𝑇 𝑄𝑓 𝑥 𝑇 𝑇 + 𝑥 𝑇 𝑡 𝑄𝑥 𝑡 + 𝑢𝑇 𝑡 𝑅𝑢 𝑡 𝑑𝑡 0 (2次評価関数) 17 最適性の原理 min 𝐽 𝑢(⋅) s. t. 𝑥 𝑡 = 𝑓(𝑥 𝑡 , 𝑢 𝑡 ) 18 動的計画法に基づく最適条件の導出 最適コスト関数 積分区間を分割 最適性の原理から 19 最適コスト関数 (離散時間の場合の次式に相当) 𝐽𝑁 𝑥1 = min 𝐽𝑁−1 𝑥2 + 𝐿 𝑥1 , 𝑢1 𝑢1 𝑥(𝜏) 𝑥(𝜏1 ) 𝑥1 𝑥2 20 とし, 右辺第1項をテーラー展開する. (2変数関数) 第2項については 中の を と近似し, 𝜕𝐽∗ 𝜕𝐽∗ = − min 𝑢 𝜏 ∈𝑈 𝜕𝑥 𝜕𝜏 の極限をとる. 𝑇 𝑓 𝑥 𝜏 ,𝑢 𝜏 + 𝐿(𝑥 𝜏 , 𝑢 𝜏 ) 21 𝜕𝐽∗ 𝜕𝜏 = − min 𝑢 𝜏 ∈𝑈 𝑇 ∗ 𝜕𝐽 𝜕𝑥 𝑓 𝑥 𝜏 ,𝑢 𝜏 右辺を最小化する 𝑢 は 𝑥(𝜏) と 𝑢 𝑥 𝜏 𝜕𝐽∗ , 𝜕𝑥 𝜕𝐽∗ 𝜕𝑥 + 𝐿(𝑥 𝜏 , 𝑢 𝜏 ) に依存するので, これを とおくと 最適であるための必要条件 (十分性もいえる) 22 一般に, 非線形偏微分方程式であるHJ方程式を 解析的に解くことは困難 ⇒ 線形システムに限定 23 平方完成 右辺を最小化する 24 -1 × 𝑇 → ∞ (定常解)⇒ 代数リカッチ方程式 25
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