研究年次報告書

Macroscopic Quantum Coherence Team
巨視的量子コヒーレンス研究チーム
チームリーダー 蔡 兆申
Jaw-Shen Tsai (Ph.D.)
キーセンテンス:
1.
微小超伝導回路による量子ビットの研究
2.
量子ビットを使った量子コンピュータの研究
3.
量子ビットを使った量子光学の研究
キーワード:量子ビット、ジョセフソン接合、量子コンピュータ、コヒーレンス、固体素子
研究概要:
当チームでは、微小なジョセフソン回路に現れる巨視的量子コヒーレンスの研究を行っている。これら
をコヒーレントに制御する事により、量子コンピュータの基本素子である量子ビットとして利用する事
が可能である。我々は世界に先駆けてこの超伝導回路でのコヒーレンスを実証し、それを利用した量子
ビット回路技術を開発してきた。この回路は人工原子であり、これを使った量子光学の研究も行ってい
る。すでに単人工原子のレーザー発振や巨視的量子散乱現象を実証している。今後は、実用的な量子回
路やプロトタイプ量子コンピュータなどの実現を目指し、小規模な量子プロトコル演算の実験などに取
り組んでいく。
○巨視的量子散乱(アスタフィエブ、アブドゥマリコブ他)
我々は、超伝導量子ビットを共振器と強く結合させることで、たった一つの原子が発する光子をもとに
レーザー発振させることに成功した。このような極めて単純なシステムを使ったレーザー発振の成功は
画期的なことであった[1]。このような超伝導量子ビットを人工の巨視的原子とみなした量子光学の研究
を続けていて、すでに多くの新しい成果を上げている。
このたびは、人工原子を共振器に配置する代わりに、それを伝送線の中に配置し実験を行った。実験に
は人工原子として磁束量子ビットを使った。開放系にある自然原子は共鳴散乱によって検出できる。こ
れは共鳴蛍光と呼ばれる量子光学の基本原理である。我々は単一の巨大な人工原子により、同じような
入射電磁場の散乱が起こることを観測した。人工原子のこの様な振る舞いは、量子光学を使った一次元
開放系中の点散乱源の予測と定量的に一致していた[2]。このような現象は、巨視的量子散乱と呼ぶこと
ができる。共鳴条件では入射電磁波がほぼ完全に反射されること(透過電磁波の消滅)が観測された。
これは原子と場の相互作用が大変強いことを示し、このような制御性を備えた人工原子の量子光学やフ
ォトニクスへの応用が期待される。
人工原子の 2 準位を使い、弱いマイクロ波を照射した場合、入射光の約 94%が反射される弾性散乱が観
測された。更に強いマイクロ波を照射したときには、非弾性散乱(蛍光共鳴)が観測され、Mollow ト
リップレトが明確に観測された[2]。
人工原子の 3 準位を使った実験も行った。|0> ⇔ |2>転移が抑制される縮退点にバイアスした場合、
電磁誘導透過(electromagnetically induced transparency、EIT)が観測され、Autler-Townes
ダブレットが明確に観測された[3]。縮退点から離れたバイアス点では|0> ⇔ |2>転移が抑制されず、
光学的ポンピングによる反転分布が実現し、マイクロ波光の誘導放出と増幅が観測された[4]。
同様な系で、時間領域の実験も行うことに成功した。量子状態の制御や評価が、透過光の観測のみで実
現できることを示した[5]。
[1] Nature, 449, 588, 2007, “Single artificial-atom lasing”
O. Astafiev, K. Inomata, A. O. Niskanen, T. Yamamoto, Yu. A. Pashkin, Y. Nakamura & J. S. Tsai
[2] Science, 327, 840, 2010, “Macroscopic Quantum Scatterer of Electromagnetic Waves”
O. Astafiev, A. M. Zagoskin, A. A. Abdumalikov, Jr., Yu. A. Pashkin, T. Yamamoto, K. Inomata,Y.
Nakamura, J. S. Tsai
[3] Physical Review Letters, 104, 193601, 2010, “Electromagnetically induced transparency through
a single artificial atom”, A. A. Abdumalikov, Jr., O. Astafiev, A. M. Zagoskin, Yu. A. Pashkin, Y.
Nakamura & J. S. Tsai
[4] Physical Review Letters, 104, 183603, 2010, “Ultimate on-chip quantum amplifier”
研究年報
O. V. Astafiev, A. A. Abdumalikov, Jr., A. M. Zagoskin, Yu. A. Pashkin, Y. Nakamura, and J. S.
Tsai
[5] Not published
○分散型量子ビット非破壊読み出し(猪股他)
ジョセフソン量子ビットをその最適動作点で量子非破壊的に読み出すことが可能な、分散型読み出し法
の研究を行っている。この読み出し法の基本原理は、0 と 1 状態での量子インダクタンスまたは量子キ
ャパシタンスの違いを利用したものである。量子ビットをタンク回路中に置くと、タンク回路の共振周
波数は量子ビットが 0 状態と 1 状態の時で尐し異なる値を持つことを利用して読み出しを行う。
我々は線形なタンク回路を使った電荷量子ビットの読み出しと、ジョセフソン接合のバイファーケーシ
ョン現象を利用した非線形タンク回路を使った研究を行ってきた[1]。
ジョセフソン接合のバイファーケーション増幅器を使った量子非破壊読み出しを実現した。読み出し効
率は、0状態が約 90%で、1 状態が約 40%であった。読み出しを行うことにより、1状態は通常の緩和
時間 T1より早く緩和する。その要因は二段階に分けられる。バイファーケーションがオンになると緩
和が促進され、タンク回路がマイクロ波で駆動されることで緩和は更に促進される[2]。
読み出しのビジビリティーをよくし、量子ビットへのバックアクションを低減するために、現在ジョセ
フソン接合を使った超低雑音プリアンプの研究を進めている。このようなプリアンプとして、高速な
SQUID 回路とパラメトリックアンプを開発した[3]。
[1] Physical Review B 80, 174502, 2009, “Power-dependent internal loss in Josephson bifurcation
amplifiers”
Michio Watanabe, Kunihiro Inomata, Tsuyoshi Yamamoto, and Jaw-Shen Tsai
[2] Not published
[3] Applied Physics Letters, 93, 042510, 2008, “Flux-driven Josephson parametric amplifier”
T. Yamamoto, K. Inomata, M. Watanabe, K. Matsuba, T. Miyazaki, W. D. Oliver, Y. Nakamura, and
J. S. Tsai
○量子ビットの結合(ビランジョン、ペン他)
複数の量子ビットを、如何に結合させるかは、将来量子コンピュータを実現させるために大変重要な研
究テーマである。結合した量子ビットの系で、1ビットの量子状態の制御を正確に行うには、結合を一
時切る必要がある。結合を切ることは読み出し時にも量子ビット間の望ましくない干渉をなくすことが
できる。そのため随時相互作用をオンオフできる可変結合の実現が強く望まれていた。我々はビット間
結合を制御可能な量子ビットの実証にすでに成功している[1]。ひき続き同様な量子ビットに基づく結合
器の研究を行った。結合オン時の結合の強さと、結合オフ時の残留結合の強さは、結合器のバイアス点
に依存し、これは 3-量子ビットハミルトニアンで説明できることが分かった[2]。このことにより、この
結合器の最適化設計を行うことができるようになった。
この結合方式を発展させた研究を進展させている。磁束量子ビットを、そのデコヒーレンス時間を最大
化できるバイアス点に保ったまま、正確な1ビット制御と、2ビット制御(制御付き位相ゲート操作)
が実現できる結合方式を提案した[3]。この新たな結合方式は幾何学位相制御型のもので、正確な状態操
作が期待できる。また1次元、または2次元にスケールできる特徴を持っている。他にも、マイクロ波
共振器を介した結合方式なども研究している。
[1] Science, 316, 723, 2007, “Quantum Coherent Tunable Coupling of Superconducting Qubits”
A. O. Niskanen, K. Harrabi, F. Yoshihara, Y. Nakamura and J. S. Tsai
[2] Physical Review B 79, 020507(R), 2009, “Engineered selection rules for tunable coupling in a
superconducting quantum circuit”, K. Harrabi, F. Yoshihara, A. O. Niskanen, Y. Nakamura, and J.
S. Tsai
[3] Not published
○デコヒーレンス、磁束雑音の研究(吉原他)
我々は結合した量子ビットのデコヒーレンスの研究を行った。この系では、二つの磁束量子ビットが
それらの超伝導ループの一部を共有することにより結合されている。量子ビットのバイアス点を変化さ
平成 22 年度
せることにより、それぞれの量子ビットの磁束ノイズに対する感度を制御することができる。デコヒー
レンス時間は、この感度の大きさや正負サインで促進または抑制される。磁束の 1/f 雑音とその相関効
果を調べ、局所的な磁束ノイズがデコヒーレンスの要因であることを突き止めた[1]。
[1] Physical Review B 81, 132502, 2010, “Correlated flux noise and decoherence in two inductively
coupled flux qubits”
F. Yoshihara, Y. Nakamura, and J. S. Tsai
○超伝導電流ポンプの研究(パシュキン他)
我々はヘルシンキ工科大学と、超伝導ナノエレクトロニクスをテーマに一連の共同研究を行っている。
特に将来期待されている量子電量標準を実現するか目の研究に力を入れている。また準粒子注入による
冷却も研究している。
超伝導体と常伝導体からなるハイブリッド単電子ターンスタイルを作りその特性を調べた。この場合、
素子の電荷エネルギーは超伝導エネルギーギャップより大きくする必要がある。このタースタイルによ
り、160pA というかつてない大きな電流ステップが実現できた[1]。その後このターンスタイルを 10 個
並列にして動作させることに成功し、さらに大きな量子化された電流を作り出すことに成功した。詳細
に検討したところ、並列動作での電流レベルのランダム精度は、電荷ノイズや素子のばらつきに影響さ
れにくいことが分かった[2]。
同様な超伝導体/常伝導体ハイブリッド素子作成技術により、常伝動の島と超伝導のリードを有するハ
イブリッド単電子トランジスタを作った。このトランジスタのゲート電極に交流電圧を印加することに
より、単電子トランジスタの島を冷却することができた。温度は、交流信号により誘起された電流をモ
ニターすることにより in situ に測定することができた[3]。
[1] Applied Physics Letters, 94, 172108, 2009, “Experimental investigation of hybrid single-electron
turnstiles with high charging energy”, A. Kemppinen, S. Kafanov, Yu. A. Pashkin, J. S. Tsai, D. V.
Averin, and J. P. Pekola
[2] New J. Phys., 11, 113057, 2009, “Parallel pumping of electrons”
V. F. Maisi, Yu. A. Pashkin, S. Kafanov, J. S. Tsai, J. P. Pekola.
[3] Physical Review Letters, 103, 120801, 2009, “Single-electronic radio-frequency refrigerator”
S. Kafanov, A. Kemppinen, Yu. A. Pashkin, M. Meschke, J.S. Tsai, and J. P. Pekola
○ナノ機械的共振器(パシュキン他)
角度蒸着法と下部基板のエッチングの組み合わせにより、簡便に空中に浮いた単電子電荷計を作成す
る技術を確立した。また同様な技術によって両側が固定されたナノ機械的共振器が実現できる。起磁性
法での測定で、このよう多結晶の金属膜による共振器は単結晶 Si, GaAs, SiC や AlN で作られたものと
比べ遜色無い特性を持つことが分かった。この技術は、電荷量子ビット、磁束労使ビットや単電子電荷
計と機械的共振器を自然に結合させることが可能となる[1]。
同様な技術によって作られた空中に浮いた AuPd の島から、超伝導電極へ準粒子を注入することによ
り、島を効率よく冷却することに成功した。このデバイスは設計通りに動作し、約 2 倍程度の明白な冷
却効果をサブミリケルビンの環境で示した[2]。
機械振動を簡便に直周信号で件注する新たの方式を実現した[3]。また機械共振器での損失の要因の解
析を、Q 値の温度変化などから解析した[4]。
また空中に浮いた超伝導トランジスタを作り、その島が機械的共振器を形成する構造を使い実験を行
った。このデバイスを電流バイアスすると、上記のマイクロ波メーザーの実験(Nature 449, 588, 2007)
とまったく同じように反転分布が実現することが期待できる。実際に実験を行うと、まさに同様な共鳴
電流ピークが現れた。これは機械的振動モードのレーザー発振が実現していることを示唆している[5]。
[1] Applied Physics Letters, 92, 043112, 2008, “High-frequency metallic nanomechanical
resonators”
T. F. Li, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, Y. Nakamura, and J. S. Tsai, and H. Im
[2] Applied Physics Letters, 94, 073101, 2009, “Suspended electron cooler made using reactive ion
etching”
J. T. Muhonen, A. O. Niskanen, M. Meschke, Yu. A. Pashkin, J. S. Tsai, L. Sainiemi, S. Franssila,
and J. P. Pekola
研究年報
[3] Applied Physics Letters, 96, 263513, 2010, “Detection of mechanical resonance of a single electron
transistor by dc current”
Yu. Pashkin, T. Li, J. Pekola, O. Astafiev, D. A. Knyazev, H. Im, F. Hoehne, Y. Nakamura, J. S. Tsai
[4] Physical Review B81, 184112, 2010, “Damping in high-frequency metallic nanomechanical
resonators”
F. Hoehne, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, L. Faoro, L. B. Ioffe, Y. Nakamura, and J. S. Tsai
[5] Not published
○超伝導材料表面状態(イム他)
ジョセフソン量子ビットでは、超伝導トンネル接合は中心的役割を果たす。トンネル接合のサブギャッ
プ抵抗は、量子ビットのデコヒーレンスの要因になるほか、トンネル接合に基づくエレクトロニクス全
般の性能に重要な現象である。そのため、我々は通常使われる AlOx トンネル障壁の詳細な解析を行っ
てきた。このようなトンネル接合の輸送特性の温度依存性から、トンネル障壁のエネルギープロフィー
ルが金属/絶縁体に形成される界面準位の影響を強く受けることが分かった。この界面準位は、金属/
絶縁体材料やその成膜方法に依存性を持つ。実験的に得られたトンネル障壁のエネルギープロフィール
を、第一原理計算により得られたものと比較すると、両者に定質的な一致が見られた[1]。このことは、
metal-induced gap states(MIG)がトンネル使用壁の形状に影響を及ぼすことが考えられる。
また、同様なサブギャップ抵抗が、環境からの光子介在トンネルに一部起因することを突き止め、その
低減法も実現した[2]。
[1] Physical Review B 80, 125413, 2009, “Potential barrier modification and interface states
formation in metal-oxide-metal tunnel junctions”, Hyuntae Jung, Yongmin Kim, Kyooho Jung,
Hyunsik Im, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, Y. Nakamura, Hosik Lee, Y. Miyamoto, and J. S. Tsai
[2] Physical Review Letters, 105, 026803, 2010, “Environment-assisted tunneling as an origin of the
Dynes density of states”
J. P. Pekola, V. F. Maisi, S. Kafanov, N. Chekurov, A. Kemppinen, Yu.A. Pashkin, O.-P. Saira,
Möttönen, and J. S. Tsai
---------------Key Sentence:
1. Studies of small Josephson junction based qubits
2. Studies of quantum computer based qubits
3. Studies of quantum optics based qubits
Key Words:qubit, Josephson junction, quantum computer, coherence, solid state device
Outline
We are studying macroscopic quantum coherence that occurs in small Josephson junction circuits.
Their coherent control can be exploited as quantum bit (qubit), the basic component of the quantum
computer. We have demonstrated such coherence in the superconducting system, and subsequently
pioneered the superconducting solid state qubit technology. This qubits system can be considered as
artificial atoms. We have been utilizing the artificial atoms as component in quantum optics that
originally developed for natural atoms. We have so far demonstrated single artificial lazing and
macroscopic quantum scattering. In the future, we plan to demonstrate a small scale prototype of
future quantum computer.
平成 22 年度
図1 伝送線(1次元開放系)中に配置された人工原子(磁束量子ビット)。挿入図(赤枠):巨視的量
子散乱の一例として非弾性散乱(蛍光共鳴)の実験結果をしめす。Mollowトリップレトが明確に観測さ
れている。
Figure 1. An artificial atom (flux qubit) was positioned in a transmission line (1D open space.
Inset (red frame): As an example of macroscopic quantum scattering, result of inelastic
scattering (resonance fluorescence) with clear observation of Mollow triplet was shown
here.
Macroscopic Quantum Scattering (Astafiev, Abdumalikov and et al)
We have successfully demonstrated a laser emission from one artificial atom by coupling
superconducting qubits to a resonator previously. The lasing effect was achieved by an extremely
simple system - a single “atom” coupled to a resonator – and represents a world first in the use of a
superconducting qubit as an artificial atom to generate lasing photons [1]. Continuing this exciting
new research direction of Josephson qubit (an artificial atom) based quantum optics, many new
effects observed.
This time, instead of trapping the artificial atom in the cavity, it was positioned in a
transmission line. A flux qubit was utilized in this case. An atom in open space can be
detected by resonant scattering of electromagnetic waves, known as resonance
fluorescence – a fundamental phenomena of quantum optics. Likewise, we observed the
scattering of propagating electromagnetic waves by a single artificial atom. The
behavior of the artificial atom, a superconducting macroscopic two-level system, is in a
quantitative agreement with the predictions of quantum optics for a pointlike scatterer
interacting with the electromagnetic field in 1D open space [2]. Such phenomena can be
called the macroscopic quantum scattering. The strong atom-field interaction as
revealed in high degree of extinction of propagating waves will allow applications of
controllable artificial atoms in quantum optics and photonics.
Utilizing two lowest energy levels, with weak incident power, elastic scattering with
nearly perfect (94%) reflection of the incident wave was observed. With stronger
driving, inelastic scattering (resonance fluorescence) was observed with clear
observation of Mollow triplet [2].
Utilizing three energy levels, when biased at the degeneracy point where |0> ⇔ |2>
研究年報
transition is prohibited, electromagnetically induced transparency was observed with
clear observation of Autler-Townes doublet [3]. When biased away from the degeneracy
point so that |0> ⇔ |2> transition is allowed, optical pumping for generating
population inversion was realized, and amplification by stimulated emission was
observed [4]. We have also carried out time domain experiment on the same system.
We demonstrated by just applying photon and measuring transmitted wave, we can
characterize the dynamics of the quantum states as well as characterize them fully [5].
[1] Nature, 449, 588, 2007, “Single artificial-atom lasing”
O. Astafiev, K. Inomata, A. O. Niskanen, T. Yamamoto, Yu. A. Pashkin, Y. Nakamura & J. S. Tsai
[2] Science, to be published, “Macroscopic Quantum Scatterer of Electromagnetic Waves”
O. Astafiev, A. M. Zagoskin, A. A. Abdumalikov, Jr., Yu. A. Pashkin, T. Yamamoto, K. Inomata,Y.
Nakamura, J. S. Tsai
[3] Physical Review Letters, 104, 193601, 2010, “Electromagnetically induced transparency through
a single artificial atom”, A. A. Abdumalikov, Jr., O. Astafiev, A. M. Zagoskin, Yu. A. Pashkin, Y.
Nakamura & J. S. Tsai
[4] Physical Review Letters, 104, 183603, 2010, “Ultimate on-chip quantum amplifier”
O. V. Astafiev, A. A. Abdumalikov, Jr., A. M. Zagoskin, Yu. A. Pashkin, Y. Nakamura, and J. S.
Tsai
[5] Not published
Dispersive Quantum Non-demolition Readout (Inomata and et al)
For reading out the Josephson qubit at its optimal point, in a quantum-nondestructive fashion, the
so called the dispersive readout is considered to be quite advantageous. The essence of the method
is taking advantage of the difference in quantum inductance or quantum capacitance of the 0 and 1
states of the qubit. By putting the qubit in a tank circuit, the resonant frequency of the tank circuit
will have a different value, depending on whether the qubit is in 0 state or 1 state.
We have carried out experiment using linear tank circuit and non-linear circuit to readout the
charge and flux qubit. The non-linear version of it was done by utilizing Josephson bifurcation
phenomena [1].
A quantum non-demolition readout utilizing Josephson bifurcation amplifier was demonstrated
with efficiency of about 90% to retain |0> state and efficiency of about 40% to retain |1> state.
Qubit state relaxes faster than T1 when the bifurcation is switched on in the consecutive readout
measurement. Especially, this phenomenon is enhanced when the resonator (co-planer waveguide
type) was driven by microwave [2].
To improve the visibility of the readout and reduce the backaction of the readout to the qubit, we are
currently developing Josephson junction based ultra-low-noise preamplifiers. For such amplifiers, a
high-speed SQUID as well as a new type of Josephson parametric amplifier were made [3].
[1] Physical Review B 80, 174502, 2009, “Power-dependent internal loss in Josephson bifurcation
amplifiers”
Michio Watanabe, Kunihiro Inomata, Tsuyoshi Yamamoto, and Jaw-Shen Tsai
[2] Not published
[3] Applied Physics Letters, 93, 042510, 2008, “Flux-driven Josephson parametric amplifier”
T. Yamamoto, K. Inomata, M. Watanabe, K. Matsuba, T. Miyazaki, W. D. Oliver, Y. Nakamura, and
J. S. Tsai
Coupling qubits
Coupling qubits in a scalable way is one of the most important functions in the future quantum
computer. In coupled flux qubit system, making use of selection rules is a useful strategy for
coupling and decoupling qubits in superconducting quantum circuits. Following this approach, we
implement a tunable coupling scheme between two flux qubits previously [1]. The qubits are
coupled parametrically under microwave driving via the nonlinear inductance of a third qubit. The
measured on-state coupling as well as the off-state residual coupling depends on the coupler bias
and agrees quantitatively with a calculation of transition matrix elements of a three-qubit
平成 22 年度
Hamiltonian [2]. We improved this coupling scheme using coupling qubit into a scalable one
recently [3]. In this scheme, control-phase gate operation can be achieved via a manipulation of
geometrical phase. Other coupling schemes using electro-magnetic resonators are also being
studied.
[1] Science, 316, 723, 2007, “Quantum Coherent Tunable Coupling of Superconducting Qubits”
A. O. Niskanen, K. Harrabi, F. Yoshihara, Y. Nakamura and J. S. Tsai
[2] Physical Review B 79, 020507(R), 2009, “Engineered selection rules for tunable coupling in a
superconducting quantum circuit”, K. Harrabi, F. Yoshihara, A. O. Niskanen, Y. Nakamura, and J.
S. Tsai
Correlated Flux Noise and Decoherence (Yoshihara and et al)
We have studied decoherence in a system where two Josephson-junction flux qubits share a part of
their superconducting loops and are inductively coupled. By tuning the flux bias condition, we
control sensitivities of the energy levels to flux noises in each qubit. Dephasing rate of the first
excited state is enhanced or suppressed depending on the amplitudes and the signs of the
sensitivities. We quantify amounts of 1/f flux noises and their correlations and learned that such
local fluctuation give rise to a dominant contribution to the decoherence of the flux qubit [1].
[1] Physical Review B 81, 132502, 2010, “Correlated flux noise and decoherence in two inductively
coupled flux qubits”
F. Yoshihara, Y. Nakamura, and J. S. Tsai
Superconducting Current Pump (Pashkin and et al)
We are carrying out a series of collaborative researches with Helsinki University of Technology. The
work involves the investigation of superconducting nano-electronics, especially focuses on the
current pumping aiming for the future quantum current standard. Quasi-particle injection cooling
was also studied.
We carried out an experimental study of hybrid turnstiles with high charging energies in
comparison to the superconducting gap. The device is modeled with the sequential tunneling
approximation. The back-tunneling effect is shown to limit the amplitude of the gate drive and
thereby the maximum pumped current of the turnstile. We compare results obtained with sine and
square wave drive and show how a fast rise time can suppress errors due to leakage current.
Quantized current plateaus up to 160 pA are demonstrated [1]. Later on, we succeeded in operating
the pump in parallel in order to achieve a larger quantized current. We carried out simultaneous
operation of ten single-electron turnstiles leading to one order of magnitude increase in current
level. Our analysis of device uniformity and background charge stability implies that the
parallelization can be made without compromising the strict requirements of accuracy and current
level set by quantum metrology [2].
With a similar superconducting/normal hybrid nano device technology, we demonstrated
experimentally that a hybrid single-electron transistor with superconducting leads and a
normal-metal island can be refrigerated by an alternating voltage applied to the gate electrode. The
simultaneous measurement of the dc current induced by the rf gate through the device at a small
bias voltage serves as an in situ thermometer [3].
[1] Applied Physics Letters, 94, 172108, 2009, “Experimental investigation of hybrid single-electron
turnstiles with high charging energy”, A. Kemppinen, S. Kafanov, Yu. A. Pashkin, J. S. Tsai, D. V.
Averin, and J. P. Pekola
[2] New J. Phys., 11, 113057, 2009, “Parallel pumping of electrons”
V. F. Maisi, Yu. A. Pashkin, S. Kafanov, J. S. Tsai, J. P. Pekola.
[3] Physical Review Letters, 103, 120801, 2009, “Single-electronic radio-frequency refrigerator”
S. Kafanov, A. Kemppinen, Yu. A. Pashkin, M. Meschke, J.S. Tsai, and J. P. Pekola
Nano-mechanical Oscillator
研究年報
We have developed a fabrication method for suspended metallic single-electron transistors utilizing
a combination of conventional angle evaporation technique and ashing of the underlying organic
polymer. The above technology can be used to fabricate fully metallic doubly clamped beams
working as nanomechanical resonators. Measured with a magnetomotive detection scheme, the
beams, made of polycrystalline metal films, show as good quality as previously reported ones made
of single crystal materials, such as Si, GaAs, AlN, and SiC. Our method is compatible with the
conventional fabrication process for nanoscale electronic circuits and thus offers a possibility of
easily integrating the beams into superconducting charge and flux qubits and single-electron
transistors as well as coupling them to coplanar waveguide resonators [1].
Using the same fabrication technique, we demonstrated electronic cooling of a suspended AuPd
island using superconductor-insulator-normal metal tunnel junctions. The devices function well
and exhibit clear cooling, up to a factor of 2 at sub-Kelvin temperatures [2].
We have invented a novel and easy way to detect the mechanical oscillation monitoring DC current
that go through a single electron transistor that coupled to the mechanical oscillator [3]. We have
also evaluated the loss of the mechanical resonator by monitoring the Q factor of the device. We also
proposed a microscopic mechanism for such losses [4].
We made a suspended superconducting single electron transistor with its island forming a
nanomechanical resonator. By driving it with current, in the same fashion as our previous
microwave laser (Nature 449, 588, 2007), we observed very similar resonant current peak in the
emmision side of the Josephson-quasiparticle current. Such current peak probably signifies the
occurence of lasing of the mechanical oscillation [5].
[1] Applied Physics Letters, 92, 043112, 2008, “High-frequency metallic nanomechanical
resonators”
T. F. Li, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, Y. Nakamura, and J. S. Tsai, and H. Im
[2] Applied Physics Letters, 94, 073101, 2009, “Suspended electron cooler made using reactive ion
etching”
J. T. Muhonen, A. O. Niskanen, M. Meschke, Yu. A. Pashkin, J. S. Tsai, L. Sainiemi, S. Franssila,
and J. P. Pekola
[3] Applied Physics Letters, 96, 263513, 2010, “Detection of mechanical resonance of a single electron
transistor by dc current”
Yu. Pashkin, T. Li, J. Pekola, O. Astafiev, D. A. Knyazev, H. Im, F. Hoehne, Y. Nakamura, J. S. Tsai
[4] Physical Review B81, 184112, 2010, “Damping in high-frequency metallic nanomechanical
resonators”
F. Hoehne, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, L. Faoro, L. B. Ioffe, Y. Nakamura, and J. S. Tsai
[5] Not published
Interface State in Superconductor (Pashkin, Im and et al)
Tunnel junction is at the heart of Josephson qubit. The sub-gap leakage current in the tunnel
junction not only can decohere the qubit, but also can degrade the performances of superconducting
circuits in general. For this reason, we carried out a detailed analysis of the AlOx barrier that we
often use. We show that the barrier profile of in situ grown AlOx tunnel barriers strongly depends
on the material choices of the oxide-metal interface. By doing transport measurements on Al and
Nb-based metal-oxide-metal tunnel junctions in a wide temperature range and using the
phenomenological Simmons’ model, we obtain barrier parameters that are qualitatively consistent
with the values obtained from the first-principles calculations [1]. The latter suggest that the
formation of metal-induced gap states originating from the hybridization between the metallic
bands and Al2O3 conduction band is responsible for the tunnel barrier modification. These findings
are important for electronic devices containing tunnel junctions with a thin insulating layer.
We have also shown the similar sub-gap leakage current can be induced by a photon-assisted
tunneling. In this work, it was demonstrated that such effect can be suppressed by adjusting the
environmental impedance [2].
[1] Physical Review B 80, 125413, 2009, “Potential barrier modification and interface states
formation in metal-oxide-metal tunnel junctions”, Hyuntae Jung, Yongmin Kim, Kyooho Jung,
Hyunsik Im, Yu. A. Pashkin, O. Astafiev, Y. Nakamura, Hosik Lee, Y. Miyamoto, and J. S. Tsai
[2] Physical Review Letters, 105, 026803, 2010, “Environment-assisted tunneling as an origin of the
平成 22 年度
Dynes density of states”
J. P. Pekola, V. F. Maisi, S. Kafanov, N. Chekurov, A. Kemppinen, Yu.A. Pashkin, O.-P. Saira,
Möttönen, and J. S. Tsai
研究年報
Principal Investigator
蔡 兆申
Jaw-Shen Tsai
Research Staff
Yuri Pashkin
Oleg Astafiev
吉原 文樹
Fumiki Yoshihara
猪股 邦宏
Kunihiro Inomata
Abdufarrukh Abdumalikov
宮崎 利行
Toshiyuki Miyazaki
Pierre-Marie Billangeon
彭 智慧
Zhihui Peng
Sergey Kafanov
Assistant and Part-timer
野村 千穂子
Chihoko Nomura
須田 美知子
Michiko Suda
Visiting Members
中村 泰信
Yasunobu Nakamura
山本 剛
Tsuyoshi Yamamoto
Seth Lloyd
Hyunsik Im
李 鉄夫
Tiefu Li
Dmitry Knyazev
Khalil Benali Harrabi