共通番号利用拡大法案の内容と問題点

共通番号利用拡大法案の内容と問題点
2015/04/06院内集会
[1] 個 人 情 報 保 護 法 改 正 と 番 号 利 用 法 改 正 の 一 体 法 案
個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等
に関する法律の一部を改正する法律 (2015
年 3月 1
0日閣議決定・国会提出)
[2] 改 正 法 案 の 概 要
第 1条 個 人 情 報 保 護 法 改 正
1)目的・・・「有用性j の強調
現行法の「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護j の「有用性j を、「適正
かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び農かな国民生活の実現に
資するものであることその他の個人情報の有用性」に
2
)特定個人情報保護委員会の個人情報保護委員会への改組
第 2条 個 人 情 報 保 護 法 改 正
1
)個人情報の定義
•r
個人識別符号j の追加
「個人識別符号」次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるもの
一特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の
符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
二個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当℃られ、又は個人に発
行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他
の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てら
れ、叉は記載され、若しくは記録されるととにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識
別することができるものが含まれるもの
・個人データ 5000以下の対象除外の削除(第2条 3の五)
.r
要配慮個人情報 J (本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った
事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に
配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報)の新設と取得制限
.r
匿名加工個人情報j の新設とその扱いの規定
「匿名加工個人情報J =次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じ
て特定の個人を識別することができないように個 λ情報を加工して得られる個人に関する情
報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの
一当該個入情報に含まれる記述等の一部を削除すること
二当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること
2
)個人情報保護委員会から外国執行機関への情報提供
3
)個人情報保護委員会と認定個人情報保護団体、事業所所管大臣への委任
4
)匿名加工個人情報取扱事業者等の義務・・・提供方法、識別行為の禁止、安全管理措置
5
)請求権を規定・・・請求の方法、提供停止・利用停止、等
6
)委員会の監督権限の強化・・・報告聴取→報告・立入検査、助言→指導・助言
7
)外国にある第三者への個人情報提供の制限
8
)第三者提供の記録の作成、提供受取時の確認、等
第 3条個人情報保護法の条文整理
第 4条 番号利用法改正・・・特定個人情報保護委員会関係の規定の変更
第 5条番号利用法改正・・・特定個人情報保護の「読み替え J規定の条文整理
第 6条番号利用法改正・・・利用拡大
1
)条例利用事務の情報提供ネットワみクシステム利用
2条 1
1の改正、 1
9
条8の追加、 26条新設)
「条例事務関係情報照会者/情報提供者Jの規定を新設 (
9
条1
2(警察等への提供等)が 1
9
条1
3に
※現行法の 1
2
)銀行口座への照会
9
条 1に追加「個人番号利用事務実施者が、生活保護法第二十九条第一項、
・銀行等への照会・・.1
厚生年金保険法第百条の二第五項その他の政令で定める法律の規定により本人の資産又は収入
の状況についての報告を求めるためにその者の個人番号を提供する場合にあっては、銀行その
他の政令で定める者に対し提供するときに限る。 j
3
)特定健診情報の利用
別表の利用事務に「保健事業者しくは福祉事業の実施Jの追加
4
)予防接種事務の追加
予防接種法による予防接種の実施に関する事務で、あって主務省令で定める
別表の利用事務に f
もの j を追加(別表第一
1
6の2
)
第 7条一番号事J
I
用法改正
(1)預貯金付番関係
1
)9
条3 個人番号関係事務に国税通則法、所得税法を追加
2
)利用事務(別表第一)に預金保険機構、農水産業共同組合貯金保険機構を追加
3
)預貯金者情報への個人番号・法人番号の付番
・国税通則法(預貯金者等情報の管理)第七十四条の十三のこ
金融機関等は、政令で定めるところにより、預貯金者等情報を当該預貯金者等の番号(個人番
号又は法人番号により検索することができる状態で管理しなければならない。
-地方税法(預貯金者等情報の管理)第二十条の十ーのこ
金融機関等は、政令で危めるところにより、預貯金者等情報を当該預貯金者等の個人番号(法
人にあっては、法人番号)により検索することができる状態で管理しなければならない。
4
)個人番号による照会
国民年金法、厚生年金法、
(2) 条例利用事務での本人確認情報の提供の追加(住基法改正)
(
3)特定健診の利用事務追加(別表第一)
(4) 特定有料賃貸住宅感の事務での利用(別表第一 23の3追加)
施行予定
0月5日、附則第2
条第4号関係は 2016年 1
月 1日 (
2
0
1
5年4月3日政令第 1
7
1号)
※番号法施行日は 2015年 1
年3月 1
0日)より(犬は改正案に盛り込まれた内容)
・朝日デジタル (2015
16年 1月
制度スタート
女メタボ健診の履歴を引き継ぎ可に
17年 7月 自治体を含めた情報照会スタート 大予防接種の履歴を引き継ぎ可に
18年1月 犬口座情報もマイナンバーでつなげるように
-2-
[3] 番 号 利 用 法 際 係 の 改 正 の 問 題 点 ( r
法 改 正 へ の 6つの疑問」補足)
1 なぜ個人情報保護法改正と一体で番号利用拡大法案を提出するのか?
2 えよぜ国会答弁に反して番号制度実施前にも関わらず利用拡大するのか?
番号利用法 附則第六条「政府 l
士、この法律の施行後三年を目途として、この法律の撞宜2強盗5
主
主動寒与、個人番号の利用及び情報提供ネットワークシステムを使用した特定個人情報の提供の範
囲を拡大すること並びに特定個人情報以外の情報の提供に情報提供ネットワークシステムを活用す
ることができるようにすることその他この法律の規定について検討を加え、必要があると認位ゑよ
きは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずるものとする。 J
O甘利国務大臣(衆院内閣委 2
0
1
34
/
3
) r
三年後に民間への導入も含めてその時点で検討するとい
うのは、その時点で民間に開放しますということを決めているわけではなくて、三年間の導入をし
た成果を見て、改善すべき点あるいはさらに推進すべき点等々を精査した上で、どの範囲までさら
に当初よりも広げていくかというのは、その日寺点で幅広く識者の英知を集めて検討をしていくとい
うことになりますから、かなりその時点でも三年の経緯を踏まえての慎重な対応をしていくという
ことになろうかと思います。
j
3 準備が遅れ実施の延期が必要なのに、なぜ急いで利用拡大するのか?
-政令省令の遅れ
2
0
1
3
年 8月の自治体向け説明会で国は、年内に公布すると説明
個人番号やカード、情報提供などの政令委任事項を定める施行令の公布は 2014
年 3月に
本人確認の方法などを定める施行規則は 2014
年 7月公布
利用事務を定める番号法別表第一の省令が 2
0
1
4
年9月公布
情報連携事務を定める別表第二の省令が 2
0
1
4
年1
2月公布
※省令は一部事務についてだけ公布。残りは 2015
年4月5日現在まだ案も未提示
.システム整備関係も大幅に遅れ
中間サーバーソフトウェア
当初 2014
年 3月までに開発する予定が 1年遅れ
共同化・集約化する中間サーバー・プラットフォームと自治体を調整する管理支援業務は未定
.朝日 2
0
1
5年2
月1
7日r17
年 7月の本格稼働を控え、国は自治体に、今年末までにシステム改修を終える
ょう求めている。来年 7
月から全国的な運用テストに入る必要があるからだ。ところが、総務省がNEC
と
開発中の「中間サーバー jの設計が遅れている。各自治体が持つデータを集中的に管理するサーバ
ーだが、入力する年金関連の情報などが想定より多く、追加改修が必要になった。このため中間サー
ノ〈ーの f
仕様書jづくりが遅れ、自治体のシステム改修も遅れる状況になっている。
総務省は、 17
年
7月の本格稼働の日程には「影響しない jとしているが、 l
iiJの総務省関係者は「現場の業務内容を整
理せずに設計を手がけ、あとから問題が次々と浮かんで混乱している」と明かす。 J
-番号制度を 7割が知らないという内閣府の調査結果 (
2月 1
9日 f
マイナンバー(社会保障・税番
号)制度に関する世論調査J
) を受けて、政府はあわてて P R
・マイナンバーへのシステム対応、完了企業は 2割弱
(
2
0
1
5
/
4
/
5 日本経済新聞電子版)
日本情報経済社会推進協会などの調査。作業に入っていない企業が 6割以上
4 預貯金への付番は不公平の拡大、個人番号の悪用、国民生活監視の強化に?
@番号法が審議された 2
0
1
3
年第 1
8
3国会では、政府は預貯金への付番に慎重な答弁
-3-
0甘利国務大臣(衆院連合審査 20134/11) r
銀行口座の利子云々について、・・・・日本の場合は
源泉分離で、そこで納税関係が完結しているという理解のもとに、必要としていなし、。・・・こ
れは、課税制度自身をどうするかという議論の中で対応していくもの。」
。すでにある口座すべでに付番することは不可能であり、不完全な預金情報の把握に
銀行に限っても、現在、約 8 億口座が存在。その他信金、郵貯あわせて ~O億口座。休日民口座、睡
眠預金口座(長期間資金の出入りがなく、お客様との連絡もとれない口座)については、付番手続
2
0
1
4
年2
月2
8日政府税調マイナンバー分科会全国銀行協会報告)
は極めて困難 (
。預貯金の履歴をみれば個人の生活状況の把握は容易になり、国家による監視が強化
0
1
1
)p
.155~160 より
「どうなる?どうする 4共通番号J (森信茂樹日本経済新聞出版社2
「国民一人一人の口座残高まで全て把握すべきでしょうか0 ・・・普通の納税者の懐に直接手を突っ込
むような徴税国家になることだけは避けなくてはなりません。・・・税務当局の求めがあった場合、口座開
設情報の提出を義務づけている国は多くあります。しかし、保有している金融資産の残高や不動産など
の実物資産の価値まで、税務当局に報告させている例はほとんどありません。
j
5 医療分野での利用のなし崩し拡大と健康情報の国家管理を意図?
。特定健診・保健指導デ}タも医療プライパシー情報
年4
月開始のメタボリツクシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診。
特定健診 =2008
身体計測(身長、体重、
-基本的な項目。質問票(服薬歴、喫煙歴等)0
BMI、腹囲 )0血圧測定
O理学的検査(身体診察).0検尿(尿糖、尿蛋白 )0血液検査(脂質検査、血糖検査、肝機能検査
・詳細な健診の項目(医師が必要と認めた場合 )0心電図 O眼底検査 O貧血検査
-健診結果により「特定保健指導(生活改善)
Jが求められる
・健診と保健指導データは医療保険者に集まり、レセプト(診療報酬)データと突合してデータ分析
。番号法制定時点では医療分野は利用事務から外し、個人情報保護措置を整備した上で利用を検討
するととになっていたが、未だに保護措置も利用の内容も仕組みも決まっていない
0とかしき厚労大臣政務官(衆議院内閣委2
0
1
34
/
3
)r
今検討していただきます法案では・・・医療機
関は対象とはされておりません。・・・医療分野の番号制度の導入に当たりましては三つのハードルがあ
る。まずーっ日は、個人情報の利活用と保護を図るための必要な措置を議じるということ、二つ目が、番
1
号制度に対する国民の理解をどれだけ醸成できていくか品、うこと、そして三つ目は、医療情報を利 舌
用するための環境整備をしっかり行うこと、この三つの条件が前提となると考えられております。
この条
件をしっかりつくって環境づくりを行っていきまして、そして、各省庁と連携しながら取り組んでいきたいJ
O提供・利用の本人選択権を認めていない番号制度で、本人同意をどう保障するのか
「なお、健診データは、現在は本人同意を第三者提供の前提としており、番号を活用した情報連携の、
仕組みでも、現行制度と同様、本人同意が得られた情報だけを照会・提供する仕組みとする必要があ
(医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会中間まとめ平成2
6年 1
2月 1
0日)
る
。J
E
6 税と社会保障での利用から逸脱する利用範囲の拡大ではないか?
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0税・社会保障・災害対策とは言えない、中所得者向け特定優良賃貸住宅の管理にも利用拡大
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